阪堺電気軌道上町線(住吉～住吉公園。2016年廃止)

【踏破後、廃線…】の第36回目は、1999年2月に乗りつぶしをして、2016年1月31日に廃止(運行は2016年1月30日まで)となった、
大阪市を走る路面電車・阪堺電気軌道上町線の末端区間だった住吉～住吉公園です。

上町線は四天王寺と住吉大社への参詣客輸送を目的として当初は馬車鉄道として1900年に天王寺駅前寄りの一部区間が開業し、電化後の1913年に今回紹介の住吉～住吉公園が開業しました。
しかし近年になると上町線電車が住吉から阪堺線に乗り入れる運用が増加し、住吉公園電停へ乗り入れる電車が激減していました。住吉公園電停のすぐ東側に阪堺線の住吉鳥居前電停があり代替が可能な事から大きな反対意見もなく、2016年1月30日の運行をもって住吉～住吉公園が廃止となりました。

部分廃止後に作成した上町線の天王寺駅前～住吉の路線別記事はこちら。
過去に作成した現役時の記事はこちら。

(Yahoo!地図を使用。現役時の地図です)  

廃止区間の概要   

路線名	区間	営業キロ	備考
阪堺電気軌道：上町線	住吉～住吉公園	0.2km	全線複線・直流600V電化。

(※)軌間1,435mm。     

踏破達成時	1999年2月
撮影時	2009年2月

住吉電停にて。右が住吉公園方面、左が浜寺駅前方面です。

住吉を発車後は阪堺線と平面交差しました。
阪堺線への渡り線もあり、近年は阪堺線直通電車が大多数を占めていて、住吉公園電停へ向かう電車はごくわずかでした。

阪堺線と交差後、住宅街の中を左へカーブしました。
左側のホーム跡は末期は使用されていないようでした。
また、廃止予定区間は専用軌道区間となっていました。
現在はコインパーキングになっています。

やがて踏切を通過すると高架を走る南海本線に寄り添うようになり、

 

終点の住吉公園電停に到着しました。
住吉公園駅(住吉公園電停)は頭端式ホーム2面2線の構造で、左側のホームは降車専用でした。

住吉公園駅の島式のホームには上屋があり、古レールが使用されている感じでした。
また、駅名標は親会社の南海仕様になっていました。

住吉公園駅ホームより住吉方を望む。

阪堺線の運賃は車内収受式のため住吉公園駅の駅舎内には改札口はなく、
そのまま駅舎内を抜けて外へ出る構造になっていました。
途中で右へ曲がると南海の住吉大社駅へ行けます。
売店がありますが、末期は営業していない様子でした。

住吉公園駅の駅舎です。簡易的な建物です。
壁面にある「住吉公園駅」の表示は戦前風の「駅園公吉住」で、右から書かれています。
また、左隣には南海本線の住吉大社駅があります。
さらに、右側へ少し歩くと、阪堺線の住吉鳥居前電停があり、この電停が住吉公園駅の代替駅となるでしょうね。
ちなみに2016年12月30日の時点で駅舎は残存していましたが、ホームは時間貸駐車場になっていました。

  
あとがき   

私が阪堺電気軌道上町線を全線踏破したのは1999年2月で、当時は昼間帯にも住吉公園電停へ乗り入れる電車が運行されていて、乗客も少ないながらも一定数いました。そして10年後の2009年にも上町線を乗り鉄したのですが、当時は既に朝方のみの運行だったと記憶しています。その時は住吉～住吉公園の乗客は私だけで廃止を危惧しましたが、やはりアウトでしたね…。2009年時点では私の乗車列車にファンは乗車していませんでした。最終日の超満員電車をテレビで見て驚きました。

阪堺電気軌道も当初は阪堺線がメインで上町線は支線格だったと思われますが、年を追うごとに天王寺駅前電停のターミナル度が上がり、現在では上町線の天王寺駅前から住吉を経由して阪堺線の浜寺駅前電停までの区間が実質的に本線格になっていますね。その影響で上町線の住吉～住吉公園と阪堺線の恵美須町～住吉の閑散線区化が進行し、住吉～住吉公園は廃止となりましたが、阪堺線の堺市内区間ほどではありませんが阪堺線の恵美須町～住吉も心配ですね。

  
接続路線  

接続電停	接続路線
住吉	阪堺電気軌道：上町線(天王寺駅前方面)、阪堺線
住吉公園	南海電気鉄道：南海本線 (住吉大社駅まで徒歩1分)
住吉公園	阪堺電気軌道：阪堺線 (住吉鳥居前電停まで徒歩2分)

  

(参考：Wikipedia)