内子線・五郎～新谷の旧線跡(愛媛県大洲市。2006年ほか訪問)

写真は今回の記事と関係ありません。

今回は、四国の愛媛県大洲市～内子町で営業している内子線のうち、予讃線の短絡ルートに流用されず、新線開業と引き換えに1986年に廃止となった

五郎～新谷の旧線跡(廃線跡)について超簡単にレポートします。
尚、前回に喜多山～内子について簡単に紹介しています⇒記事はこちら。

内子線は元々、予讃本線(現・予讃線)の「海線」区間にある五郎駅から宇和島方へ分岐して内子に至っていた盲腸線で、超ローカル線でした。本来なら特定地方交通線に選定されるべきところですが、予讃本線の伊予市～伊予大洲は伊予灘や肱川沿いに走り、地滑り地帯を走る危険区間があったことから、伊予市～内子は新線を建設して、内子～伊予大洲は一部を除いて内子線を活用することになました。この短絡線を仮称で「内山線」と呼んでいました。「内山線」計画のおかげで内子線の廃線は免れ、隘路解消の目的から伊予市(向井原)～内子の建設凍結もなくなりました。その後、1986年に「内山線」ルートが完成し、向井原～内子と新谷～伊予大洲は予讃本線として開業しましたが、内子～新谷は内子線として残されました。
その内子線の中でも五郎～新谷は予讃線への接続方向転換のため(松山～伊予大洲以遠でスルー運転を実施するため)廃止、喜多山(実際には現・五十崎駅付近)～内子は新線に切り替えられたことから並行する内子線旧線も移転廃止となり、五十崎駅と内子駅は新線上に移設されました。

今回は前者の五郎～新谷についてです。今回は新谷から五郎へ向けて紹介していきます。

尚、今回の区間はサラッと辿っただけなので調査が不十分なことをお詫び申し上げます。
また、2006年～2010年と探訪時期がかなり以前で、それ以後に変化があり様子が異なりますが、何卒ご了承願います。

(Yahoo!地図を使用。旧線跡のラインは実際の旧線跡を完全に辿れていません)  

路線名	区間	営業キロ	廃止日
日本国有鉄道：内子線	五郎～新谷	3.5km	1986年３月３日

探訪・撮影時

2006年６月、2010年９月(車内)

(１)新谷～伊予大洲(伊予若宮信号場)の旧線跡と現在線の分岐地点にて列車内より撮影。
この付近で現在線は左へカーブしますが、旧線跡は右へカーブします。

(２)旧線跡と現在線の分岐地点にて。高架の線路は予讃線(新線)です。
写真奥には川があるので築堤が存在していたと思われますが、痕跡は見られません。

(２)上の写真の地点より五郎方を望む。
旧線跡は道路転用されています。右方向への緩やかなカーブが現役当時の面影をとどめています。

(３)旧線跡を進むと十字路に差し掛かりますが、ここには踏切がありました。
これより先、旧線跡は大洲市肱北浄化センターの用地に取り込まれており、行けませんでした。
写真は2006年撮影で、当時、大洲市肱北浄化センターは建設中でした。

(４)予讃線旧線の列車内より内子線旧線跡との合流地点を撮影。
大洲市肱北浄化センターの用地が左へカーブしているのが旧線跡の痕跡です。

(５)内子線旧線跡は予讃線旧線と合流し、矢落川を渡っていました。
橋梁は両路線で共用していました。

(６)矢落川を渡り終えると、内子線旧線の起点駅だった五郎駅に到着します。
現在は単式ホーム１面１線ですが、かつては島式ホームもあり２面３線の構造でした。
写真右側には島式ホームの跡が残っています。内子線列車は島式ホーム右側の３番線より発着していたと思われます。

(６)五郎駅にて新谷方を望む。
写真左側には山が、右側には肱川が迫っています。

(おしまい)  

廃線跡探訪の注意点  

今回の廃線跡は距離が短く、徒歩でも１時間あれば五郎駅から往復できるでしょう。但し、五郎駅に発着する普通列車の本数が少ないので事前に確認を。また旧線跡と新線の合流点から新谷駅・伊予大洲駅とも距離があるので片道探訪には適しません。
コンビニは五郎駅および旧線跡沿いにはありませんが、旧線跡と新線の合流点より南側を通る国道56号線沿いは郊外型店舗が多数あり、飲料・食料の調達や食事が可能です。

ただ、遺構が皆無に近いので廃線跡探訪としては物足りないかもしれませんが…。

接続路線  

接続駅	接続路線
五郎駅	ＪＲ四国：予讃線(伊予長浜経由の旧線【海線】)
新谷駅	ＪＲ四国：内子線(現在線)、予讃線(伊予大洲方面の新線)

  
(参考：地理院地図、JTBキャンブックス『鉄道廃線跡を歩くⅣ』、Wikipedia)