2007年5月26日~28日、この年に応募した富山県・黒四発電所などを見学する黒部ルート(関西電力の物資輸送ルート)の見学会に当選したので、
2泊3日の日程で、富山県方面へ乗り鉄旅行に出かけました。
また、同時に立山黒部アルペンルートも踏破して、富山県の乗りつぶしを完了しました(一般乗車できない路線を除く)。
黒部ダムからバス、インクラインと乗り継いで黒部川第四発電所(くろよん)を見学した後、関西電力黒部専用鉄道などに乗って黒部峡谷鉄道の終着駅である欅平駅まで移動しました。
松本から大糸線と大町アルペンライン路線バス、そして関電トンネルトロリーバスを乗り継いで黒部ダムまでやって来ました。
トロリーバスを下車後は、構内にある集合場所へ。ここで手続きをして出発を待ちましたが、すでに20人ほどが私より先に待っていました。しばらく待っていると関西電力(以下:関電)の係員(2~3人。忘れてしまいました…)が来て、黒部ルートの説明がありました。今回の参加者は29人であることも話していましたが、定員は30人なので、1人辞退したのかもしれません…。そして私たちは予め自宅に届けられていた郵送物に同封されていた吊り下げ(首かけ)のワッペンのようなものを首にさげました。これが名札のような役割を果たします。
そしてバスは10時55分に黒部ダムを発車し、暗闇のトンネル内を鈍足で北へ走ります。関電トンネル方面へ道路が繋がっている様子も何となく分かりました。しばらく走ると、タル沢横坑という場所でバスは停車し、係員の言うままにバスを下車してトンネル内を少し歩くと、トンネルから外へ出ました。山の中でしたが、この日は快晴で、遠方には剱岳を望めました。係員の話では、「こんなに綺麗に剱岳を眺められるのは本当に運がいい」とのことでした。尚、トンネルの入口にはボードに剱岳の写真が数枚貼ってあり、他の季節に撮影した写真もあり、季節により眺望が相当変化することが分かりました。
タル沢ではしばし休憩して、再びバスに乗り込みました。そしてバスは引き続きトンネルを北上し、ほどなくして停車して、我々は下車しました。作廊谷という場所で、ここで黒部川第四発電所(以下:黒四発電所)へ至るインクライン(貨物用ケーブルカーの呼称)に乗り換えます。我々はバスを降りると一斉にインクライン上部駅へ移動し、インクライン車両に乗りました。車両はステンレス製?で、車内は我々29人と係員が入るとあまりスペースに余裕がなく、圧迫感を感じたように記憶しています。ちなみにこのインクラインも全線がトンネル内で、前日に乗った黒部ケーブルカーと似たような感じでした。
インクラインは上部駅を発車し、ソロソロと34度の急勾配を下ります。普通のケーブルカーと同様に、中間地点では線路が増えて下部駅から登ってきた車両とすれ違いました。
その後も勾配を下り続け、全長815m、高低差456mの道のりを20分かけて下り、12時ちょうどに黒四発電所の敷地内にあるインクライン下部駅に到着しました。
食事休憩が終わった後は、再び移動が始まりました。まずは先程通った黒部川第四発電所前駅へ。先程は何も停車していませんでしたが、いつの間にか列車が停車していました。我々はこの関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)の列車に乗ることになりますが、機関車1両の後ろに小型客車5両が連結されていましたが前2両は関電社員の専用車両でした。私は後部3両のうちの中央・4両目に乗りました。ナローゲージの路線なので当然、車内は狭く、10~12人乗りと記憶している車内には満員の状態で乗車しました。
列車はダイヤ通りの13時10分に黒部川第四発電所前駅を発車し、やはりトンネル内を進みます。しばらく走るとトンネルを出て、久方ぶりに地上へ出ると仙人谷駅に着きました。この駅は黒部川を渡る橋梁上にあります。我々は途中下車して、専用鉄道敷設の当初の目的であった仙人谷ダムを見学しました。
そして再び列車に乗車し、列車は仙人谷を発車し、再びトンネル内へと入りました。しばらく進むと、素掘りのトンネル区間を進みました。さらに進むと、窓ガラスが曇ってきました。ここは「高熱隧道」といって、岩盤の温度が相当高くて建設時のトンネル掘削が難航を極めたそうです。現在は色々と対策を施していますが、それでも平均40℃ほどだそうです。なので、上部軌道は非電化ですが、燃料の引火を防ぐためにディーゼル機関車ではなく蓄電池式の機関車が使用されています。また、この付近には硫黄が岩盤に付着しているらしく、電化したとしても硫黄によって架線が腐食することが理由で非電化のままです。この高熱隧道区間を通過する時は何も見えませんでしたが、車内の窓にはその対策として手動のワイパーが装備されていました。これで外の様子が分かりましたが、如何せんトンネル内なので…。そして高熱隧道区間が終わるとトンネル内を坦々と走り、13時37分に上部軌道の終点である欅平上部駅(竪坑上部駅)に到着しました。
ここで我々は列車を降り、外にある展望台へ案内されました。展望台からは素晴らしい風景を眺めることができました。ここからは立山か白馬岳か忘れましたが、綺麗な雪山を見ることができました。そして数分で展望台を後にして、今度は高低差200mを一気に下る竪坑エレベーター(荷物用)に乗車しました。このエレベーターの床面にはレールが敷かれていて、上部軌道の車両の運搬にも使用されています。このエレベーター(人荷用としては定員45人)に係員と見学客の全員が乗り込み、200mを一気に下りました。しかし、エレベーターだからか200mを一気に下った実感が湧きませんでした…。
200m下ると、欅平下部駅(正式には欅平駅の構内)に着きました。ここからは下部軌道の列車に乗って欅平へ向かいますが、客車は黒部峡谷鉄道で使用されているものと同じでした。また、下部軌道は電化されていて、牽引する機関車は電気機関車でした。私は最後部に乗車し、展望を楽しむことにしました。
列車が欅平下部駅を発車すると、超スローで進みましたが、すぐに下り勾配の線路が合流して列車は停車しました。ここでスイッチバックして今度は推進運転で下り勾配を進みます。前面展望の形になりました。機関車が標高の高い側にあるので少し気になりましたが、勾配はそんなに急ではなかったので大丈夫でした。しばらくトンネル内を進みますが、やがてトンネルを出るとすぐに欅平駅に到着しました。到着後はホームで係員にヘルメットを返却して、お礼を言って解散しました。そして、欅平駅の改札外へ出ました。
路線名 | 区間 | 距離 | 備考 |
関西電力:インクライン | インクライン上部駅→インクライン下部駅 | 815m | 踏破達成! |
関西電力:黒部専用鉄道【上部軌道】 | 黒部川第四発電所前→欅平上部 | 6.4km | 踏破達成! |
関西電力:竪坑エレベーター | 欅平上部→欅平下部 | 200m | 踏破達成! |
関西電力:黒部専用鉄道【下部軌道】 | 欅平下部→欅平 | 0.4km | (※1) |