
東邦生命京都西営業所。京都市下京区七条通東中筋角文覚町(もんがくちょう)
1992(平成4)年8月6日
当ブログ前回の「若林仏具製作所(現・京都七条迎賓館)」から140m西へ行った東中筋通との角にある銀行建築。
『近代建築ガイドブック[関西編]』(鹿島出版会発行、昭和59年、2800円)では「東邦生命保険京都西貯蓄営業部(村井銀行七条支店)、設計=吉武長一(よしたけちょういち)、施行=不祥、建築年=大正3(1914)年、構造=煉瓦造2階建」。解説文も紹介してしまうと「たばこの民営時代に巨富を築いた “たばこ王” 村井吉兵衛は、たばこが専売になると新しい事業として銀行経営に乗り出す。その村井銀行の七条支店として建てられたのがこの建物。正面のオーダーは、このクラスの規模の建物としては出色のできだ。」とある。
吉武長一はアメリカで建築を学び、帰国すると1910(明治43)年、村井銀行建築部長になる。1913(大正2)年に独立して吉武建築事務所を開設した。独立後も村井銀行の建物を多く設計して、「村井家お抱え」と言われたという。
七条支店は煉瓦造には見えない。本格的な新古典主義だが、ドーリア式のオーダーは建物の規模からすると大きすぎて奇妙な感じさえする。現在残っている五条支店と祇園支店も同じような規模で、やはり4本のオーダーを持つが、それがやたら目立つほどではない。
東邦生命になったのは1947年12月で、1999年6月まで使われた。その後「イヌイ」の所有になり(旧村井銀行七条支店(きょうと和み館))、2011年5月に「きょうと和み館」というレストランが開業した。
東中筋通向かいのマンション「メリーハウス」(1990年3月築、9階建)は、『近代建築ガイドブック[関西編]』では「メリーハウス(多田精肉店)」で、2階建で角のアールに玄関がある洋風建築で載っている。