丸万ビル。大阪市中央区道頓堀1-18
1992(平成4)年8月7日
道頓堀川の南に平行している道頓堀商店街の夷橋筋との角にあったビル。音楽喫茶「ナンバ一番」があったビルとして有名。「丸万ビル」の名称は、『戎橋筋案内』を踏襲した。「かつて丸万中店と呼ばれた蒲鉾店は、昭和4年(1929)になって近代的なビルに建て替えられた」「後に三笠屋百貨店、太平マートを経て現在に至る」とある。写真では広告で覆われていて外観は分らない。『戎橋筋案内』のイラストではアーチの窓が並んでいるが様式建築のようには見えず、表現主義に近いように思える。
『今はなき大阪の近代建築』によると、「名称=ナンバ一番(旧丸萬本家料理店)、設計者=銭高組、建築年=昭和4(1929)年、構造=鉄筋コンクリート造3(5?)階地下1建、所在地=大阪市南区道頓堀(現中央区道頓堀1丁目8)、備考=近代大阪の建築No.617」。1999年撮影の写真では「MARIATERESA」という洋品店が営業しているが、他の広告は取り外されていて、壁面には網がかけられ、廃墟にしかみえない。2000年頃に取り壊されたという。今はツタヤ戎橋店のビルが建っている。
『道頓堀商店会会報2015年6月号』では「三笠ビル」としている。昭和22年、1階に洋装・生地販売の「太平マート」が開店し、ものがない時代だったので繁盛した。昭和30年代初め、地下に音楽喫茶(ライブハウス)「ナンバ一番」がオープンした。その頃の「タンゴの女王」藤沢嵐子の広告が出ているビルの写真はいろいろのサイトに引用されている。その後ナンバ一番はダンスホールだった4階に移り、そこからファニーズ(後のザ・タイガース)が出てくる。