大阪松竹座。大阪市中央区道頓堀1-9
1992(平成4)年8月7日
道頓堀が芝居街だった歴史を伝えるような劇場として名所になっている建物。現在の建物は、1997(平成9)年にファサードを保存して建て直されたもの。当記事の写真は1923(大正12)年に竣工した元の建物である。
『近代建築ガイドブック[関西編]』(鹿島出版会発行、昭和59年、2800円)によると、「大阪松竹座。設計=大林組(木村得三郎)、施行=大林組、建築年=1923(大正12)年、構造=鉄骨鉄筋コンクリート造5階建、所在地=南区道頓堀1-9」。外観については次のように記載されている。
松竹座のファサードは、サリバンのデザインを思わせる大壁面、大アーチが印象的で、頂部にカルツッシェを飾り、脇に壺飾をのせたアイオニックオーダーを配して、華やかさと共に不動の安定感を演出する構成は、折衷的様式建築の秀作といえよう。
前面に鋳鉄製のマーキー(大庇)が設けられていたのだが、最近のあまりに過剰なカンバンの陰にかくされて存否は定かでない。テラコッタ(米国アトランティック社製)には一部分コバルトブルーやブラウンに彩釉されたものが使われている。これらポリクロームの細部にも注目したい。
『ウィキペディア>大阪松竹座』によれば、開業時は映画と松竹楽劇部のレビューの組み合わせで興行、後に「梅田の北野劇場と並ぶ、大阪の洋画の殿堂として優秀外国映画の上映を行ったほか、松竹楽劇部から発展した大阪松竹少女歌劇団 (OSSK) のレビューも行った」。戦後は「松竹映画の封切館として再開したが、その後洋画ロードショー館に転向」「1994年(平成6年)5月、劇場へ改装するため閉館」。
新築開業は1997(平成9)年2月で、「松竹制作の歌舞伎・新劇・松竹新喜劇を中心に、ジャニーズ公演、歌劇、ミュージカル、コンサート、落語会等も上演されている」。
先日8月29日の新聞に閉館の記事が載った。松竹の拠点劇場である大阪松竹座は、来年5月の公演で終了、その後の計画は未定、ということだ。
大阪松竹座。1992(平成4)年8月7日