「オペラ夫婦」
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世界的なテナー歌手、イタリアのアルベルト・クピード氏が来日した際に、
ホテルの一室で彼を撮影しました。
ちょうどその日は、オフだったらしく、好きなだけいていいよ。
という彼のひとことに甘えて、長時間の滞在となりました。
お茶をいただきながら、いろんな話を聞くことができました。
彼は、主に、ヨーロッパの歌劇場を中心に歌っていて、
日本では、ドミンゴやカレーラスほど知名度がないようですが、
奥さん(右の女性)の黒田あき子さんがソプラノ歌手だということもあって、
結構来日しているようです。
イタリアでは、プッチーニの「蝶々婦人」を夫婦で演じることが多く、
もちろん、クピード氏がピンカートンで、奥さんが蝶々さん。
ストーリーでは、ピンカートンが蝶々さんを裏切ることになるのですが、
クピード氏は、それが気に入らないらしく。
撮影の現場で、その話になったら、
興奮して、「ピンカートンは、あんなけなげな女性を裏切るなんて、けしからん」と
怒り出してしまいました。
どうやら、最愛の奥さんと蝶々さんが、だぶっているようです。
クピードさん。本当に、一途で良い人だと思いました。
※クピードさんのスペルはCupidoで、これは、キューピットのことだそうです。
可愛いですね。
「夫婦喧嘩」
先日、朝5時頃、多摩川の河川敷をジョギングしていたら、
広大な草地のど真ん中で、中年の男女が、大声で、どなりあっていました。
この光景は、確か5年位前の早朝にも眼にしたので、
一瞬、デジャブ状態になりました。
どうしても会話の内容が耳に飛び込んでくるので、推察するに、
彼らは夫婦で、夫婦喧嘩をしていたのです。
一見パジャマ姿風なので、
おそらく、近くに住んでいるのでしょう。
きっと、自宅で、夫婦喧嘩すると、近所迷惑になるから
河川敷にでてきて、気兼ねなく、大声で喧嘩していたと思うのですが、
恐らく、お互いに、少しは理性が残っているから
こういう配慮ができたのだと思います。
「多分、この夫婦は大丈夫だろう。」
なんて、
勝手に想像しながら、喧嘩している脇を走り抜けました。
すぐに切れて、相手を刺したりするご時勢なだけに、
妙に、その光景が新鮮でした。
早朝からドラマでした。
「ガブリエラ」
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ガブリエラ、本名ガブリエル・カールソンは、
ニューヨーク在住のオートクチュール・ファッションデザイナーです。
彼女の一家は、30年ほど前に、
南アフリカからアメリカに亡命してきました。
彼女の父親、ジョエル・カールソンは、
アパルトヘイト時代の南アフリカで、
ネルソン・マンデラ氏の弁護士を担当していたからです。
アパルトヘイト時代の南アフリカで、黒人の弁護をするということは
死を意味します。それだけ差別が激しい時代でした。
彼女の一家は、銃撃されたり、爆弾を仕掛けられたりして
命からがら、アメリカに亡命してきました。
「遠い夜明け」という、南アフリカのアパルトヘイトを題材にした映画が話題になりましたが、
そのシナリオは、彼女の一家の体験をもとにしています。
ニューヨークにたどり着いた彼女は、
パーソンズアートスクールを卒業し、
設立されたばかりのバーニーズニューヨークに勤めることになりました。
そこで、彼女は、世界的大スター、バーブラ・ストライサンドの衣装担当になりました。
わがままなバーブラストライサンドを、
若いガブリエラは叱りつけたそうです。
世界的な大スターであるバーブラを叱りつけるということは、
アメリカではあり得ないことで、
そのようなあり得ないことをするガブリエラを
バーブラは、とても気に入って、可愛がったそうです。
ガブリエラがファッションデザイナーとして独立することになったとき
バーブラは、それを援助しました。
そのころ、知人を通じて、
私はガブリエラと知り合い、
彼女の服を撮影しました。
(ちかいうちにその写真を掲載します)
東京に帰った私は、彼女の作品を、雑誌社に持ち込み、
その素晴らしさを紹介しました。
インプレッション(アメックスのPR誌)が、
彼女を大々的に紹介してくれて、
資生堂ザ・ギンザが興味を持ってくれて、
彼女の服を日本で販売してくれることになりました。
彼女は、私が生まれてから今までに会った中で、
最も強烈な印象を残してくれた人です。
彼女の服を撮る前には、
供に食事をしながら、長時間にわたって、
いろんな話をしました。
その中で、彼女の生い立ちを知りました。
この話を今まで、いろんな方に話しましたが、
あまりにドラマチックで、
にわかには、信じてもらえないことが多かったように思います。
しかし、
ニューヨークには、そのようなドラマを持つ人たちがごまんといます。
だから、感動的なミュージカルや映画が
次から次へと出てくるのでしょう。
ブロードウェイミュージカルはフィクションではないのです。
当時、アメリカ国防省のトップだった、シャリカシュビリや
クリントン大統領時代の国務長官、オルブライト女史は、
幼少時代、ナチスドイツの迫害を逃れて、
真冬の河を家族といっしょに命がけで渡ってきたといいます。
アメリカは、生きるか死ぬかで、体ひとつでたどり着いた人たちが
作り上げた国だとも言えます。
ですから、そこから出てくる感動やダイナミズムは
半端ではないし、
人権問題に過敏に反応するのも理解できます。
そんな国なのに、ジョージ・ブッシュが登場したりと、
興味がつきません。