「ガブリエラ」 | 泳ぐ写真家龍之介

「ガブリエラ」

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ガブリエラ、本名ガブリエル・カールソンは、

ニューヨーク在住のオートクチュール・ファッションデザイナーです。


彼女の一家は、30年ほど前に、

南アフリカからアメリカに亡命してきました。

彼女の父親、ジョエル・カールソンは、

アパルトヘイト時代の南アフリカで、

ネルソン・マンデラ氏の弁護士を担当していたからです。


アパルトヘイト時代の南アフリカで、黒人の弁護をするということは

死を意味します。それだけ差別が激しい時代でした。

彼女の一家は、銃撃されたり、爆弾を仕掛けられたりして

命からがら、アメリカに亡命してきました。

「遠い夜明け」という、南アフリカのアパルトヘイトを題材にした映画が話題になりましたが、

そのシナリオは、彼女の一家の体験をもとにしています。


ニューヨークにたどり着いた彼女は、

パーソンズアートスクールを卒業し、

設立されたばかりのバーニーズニューヨークに勤めることになりました。


そこで、彼女は、世界的大スター、バーブラ・ストライサンドの衣装担当になりました。

わがままなバーブラストライサンドを、

若いガブリエラは叱りつけたそうです。

世界的な大スターであるバーブラを叱りつけるということは、

アメリカではあり得ないことで、

そのようなあり得ないことをするガブリエラを

バーブラは、とても気に入って、可愛がったそうです。

ガブリエラがファッションデザイナーとして独立することになったとき

バーブラは、それを援助しました。


そのころ、知人を通じて、

私はガブリエラと知り合い、

彼女の服を撮影しました。

(ちかいうちにその写真を掲載します)


東京に帰った私は、彼女の作品を、雑誌社に持ち込み、

その素晴らしさを紹介しました。

インプレッション(アメックスのPR誌)が、

彼女を大々的に紹介してくれて、

資生堂ザ・ギンザが興味を持ってくれて、

彼女の服を日本で販売してくれることになりました。


彼女は、私が生まれてから今までに会った中で、

最も強烈な印象を残してくれた人です。

彼女の服を撮る前には、

供に食事をしながら、長時間にわたって、

いろんな話をしました。

その中で、彼女の生い立ちを知りました。


この話を今まで、いろんな方に話しましたが、

あまりにドラマチックで、

にわかには、信じてもらえないことが多かったように思います。


しかし、


ニューヨークには、そのようなドラマを持つ人たちがごまんといます。

だから、感動的なミュージカルや映画が

次から次へと出てくるのでしょう。


ブロードウェイミュージカルはフィクションではないのです。


当時、アメリカ国防省のトップだった、シャリカシュビリや

クリントン大統領時代の国務長官、オルブライト女史は、

幼少時代、ナチスドイツの迫害を逃れて、

真冬の河を家族といっしょに命がけで渡ってきたといいます。


アメリカは、生きるか死ぬかで、体ひとつでたどり着いた人たちが

作り上げた国だとも言えます。


ですから、そこから出てくる感動やダイナミズムは

半端ではないし、

人権問題に過敏に反応するのも理解できます。


そんな国なのに、ジョージ・ブッシュが登場したりと、

興味がつきません。