「ピーター・フランクル」
という大道芸人にして、数学者が日本に住んでいる。
以前はテレビにもよく登場していたので、
見れば、すぐ分かると思う。
現在「ホリプロ」に所属しているそうだ。
彼は、世界中を、大道芸人をやりながら放浪して
日本にたどりついた。
だから、多くの国の人間社会を見てきた彼の比較文化論はとても興味深い。
その中でも、もっとも印象に残っているのが、
「世界中の労働者の中で、日本のサラリーマンが最も過酷だ」
という指摘だ。
これは労働時間や金銭的な物理的な要因ではなく、
人間関係等の精神的な苦痛を指しているらしかった。
世界には、もっと、時間的、経済的に過酷な労働者はたくさんいるはずだ。
なのに、なぜそうなるのだろう?
この話は、20年ほど前のものだが、
現在では、もっと状況は悪くなっていると思う。
戦争も無く、餓死者も凍死者もでない平和な国で、
なぜそういうことになるのか?
かつては見られなかった最近の猟奇的な事件を見ると、
答えはそのへんにあるような気がしてならない。
「バイト」
昨日、昔はバイト生活は儲かったと書いたが、
その楽で気ままな生活で、だめになっていく人もいたが、
それで敗者復活をとげた者もたくさんいた。
ある程度、短期間で、残業をこなしても、
まとまったお金になったので、
昼はバイト、夜は専門学校に通ったり、
店舗を開店するための、開業資金を
二年ほどの間に1000万ほど貯めたツワモノも私の回りにいた。
30年近く前の話だ。
だから、国が援助しなくても、
敗者復活を、やろうと思えばできる環境があったのだ。
今は、聞く限りでは、生活するのが精一杯のようだし。
みな疲労困憊でそれどころではないらしい。
なぜこんな余力がなくなったかというと
人材派遣業の問題が一番だろう。
そもそも、人材派遣というのは、
アメリカなどでは、ヘッドハンティングのような要素を持っていると思う。
企業等がどうしても欲しい優秀な人材を得るためにできた業種で、
通常の単純労働でのこのような搾取的な派遣形態は、アメリカで生活して
ヨーロッパでも仕事をしてきた私でも見たことが無い。
そもそも、労働力を商品化するということに対しては、
権利意識が強い欧米では拒否反応を示す人が多い。
これはある意味、搾取なのだ。
だから
最近の正社員化の促進は、自然な流れで、良いことだと思う。
現在雨後のたけのこのように存在する日本の人材派遣業は、
ある意味、存在しなくても、誰も困らない業種だ。
おそらく正社員化の流れで、廃業するところが続出するだろうが、
それは自然な成り行きだと思う。
ほとんどの人材派遣会社は、ベンチャーでもなんでもない。
こんな、国際競争力のない業種しか出てこない今の状況はかなり深刻だ。