三寒四温とはこのことだ

と、思うほどの寒の戻りの中、ある患者さんのお宅へお邪魔して来ました。

 

こちらのご主人は、病院での検査や治療が予想より長引いている様子です。

そのため、入院前は歩いてトイレに行けたし、物を食べられたし、テレビを見てゆっくり過ごすことができていましたが、今ではそれら全てが出来ない状態とのこと。

 

でも、病院での治療はこれ以上できる事もなく

かといってリハビリも「シンドイから今日はお休みする」といってお休みが続いて

ただひたすらに、ご自宅へ帰ることは楽しみにされているんです。

 

「延命処置はしない」

というご本人の意向を、残されたご家族もしっかりご理解され

この点については間違いのないよう、確認しながら進めていくそうです。

 

ただし、背中の痛みの訴えはあり、

ゆっくり痛みの緩和はしてあげて欲しいと、ご家族からご要望を受けました。

 

入院により、状態が変化してしまうことは多いですが、

少しでも以前の状態に近づいて、穏やかに過ごせる日を多く持ってもらえるよう、

しっかりと対応をさせていただきますとお応えしてきました。

 

ご高齢の方では、今回のケースのように、入院した事をきっかけに

治療の効果が上がらないばかりか

以前できていたことが出来なくなったり

悪くなかったところが悪くなってしまったり

ということは、一定の割合で発生するものです。

 

支える家族や事業所は、この点を頭のどこかに常に置いて

入院させるのか?

検査だけして欲しいのか?

そして、どこの病院を受診すべきか?

と、冷静に考えて欲しいです。

 

そうでないと、ご帰宅後の介護度が上がり、

結局ご家族ではお世話ができなくて施設に入ったり

そうでなくてもお世話の難易度が上がる

など、生活が大きく変わってしまいかねません。

そして、いちぼ低下した機能を回復させるのはとても難しいです。

 

 

 

 

昨日の夕方、事務所で患者さんのご家族と連絡をとっていた時の事

施設に入られたお母さんの容態についてお話をしていると
割合に施設にも慣れた様子で
楽しく過ごしている、と聞いた反面

施設の方から
「足のむくみが出てきているので、ゴムの緩い靴下を持って来てください」
と言われたそうです。

ここの施設の様に
歩く機会もご自宅に居た頃より少なく、
立ち上がったり、用事を自分で済ます、機会が少ない事が原因で起こるむくみも多いです。

この方も
つい数週間前まで、訪問していて頃はむくみなんて
気になる程無かったのに〜!と、残念な気持ちになります。

コロナを理由に、施設側から訪問を中止と言われてしまっている状況です。
再会できるその日まで、何とか、患者さんの状態が悪化しないよう、に祈るばかりです。
今週の頭、吹雪の如く北風に雪が舞う日の朝
江戸時代にタイムスリップしたのか?
と思う程、古い日本建築が並ぶ町の患者さん宅に訪問した時の事

「今日はいつにも増して、腰が辛いねん」
と、患者さんが言いました。

辛いという腰に触れさせて貰うと
確かにいつもの状態より辛いのが伝わります。

娘さんと二人暮らしのこの方
背中は曲がり
耳は遠く
腰も膝も痛いので1人では買い物などは行けなくて
と言いながら、お仕事を頑張る娘さんの生活を支えて家事を頑張って、それを生き甲斐にされています。

若い頃の様に、なんでも手早くこなす
という訳には行かなくても
やっぱり、人の為になっているのは
エネルギー源になっていると、感じます。

そんな、大切なご家族との暮らしが
明日も続いて行くように
少しでも長く、穏やかな日常が繰り返されるように

心を込めて、僕らは施術をします。

世間話や、本当に他愛もないお話をしながら。
そういう意味では
今日も、その笑顔が、僕の活力でもあります。

今年のお正月明けのこと

いつも通り仕事をしていると、僕の携帯かなりました。

昨年より入院されていた患者さんの訃報を知らせる、ケアマネさんからの連絡でした。

 

この方と初めてお会いしたのは約3年前のこと、その頃はまだ、帰りがけに冗談を言ってくれたりしていました。

 

その頃、日本酒がお好きだった

と言うお話から、

僕も日本酒が一番好きなんですよー。量は飲めないけど。

なんて話をしていたら、奥様が

以前ご主人が使っていらした、切子ガラスのコップを下さいました。

 

お好きだった日本酒を飲めなくなってしまった分、

僕が代わりにコレでいただきますねー

 

そんなお話をしていたことや

訪問した時は「どうも」と笑顔を見せてくれたことや

帰りがけにいつも「ありがとう」と言って手を振ってくれたこと

が、一瞬で思い出されます。

 

現役時代は

お一人でお店を出されたり

田舎の親戚のために、いつも贈り物を欠かさずに送られていたことも

趣味のゴルフや日本酒を楽しまれていたことなど

お元気な頃のお話も、たくさん思い出されます。

 

天国に旅立たれた後も、

お父さんのことは、僕の胸の中にあります。

 

ご病気やその進行具合のことも、

最後の最後までご自身の体を動かす努力を続けられたことも

そして奥様への愛情も、たくさん僕の中に刻まれています。

 

週に何度もお会いしていたことが、今は叶わなくなってしまった寂しさはありますが、僕が患者さんと向き合う仕事を続けている限り、命が続く限り、忘れることはありません。

 

天国では、ゆっくり休んで、好きなお酒をまた楽しんでくださいね。

 

 

一昨日の夕方のこと、訪問が終わって車に乗り込んだ時のこと。

最近お気に入りの、奈良町のお茶屋さんで買った番茶を飲んで携帯を見ると、新しい患者さんのお問い合わせのメッセージが入っていました。

 

メッセージをくださったのは、近畿圏を股にかけて活躍する音楽療法士の先生ですが、身近な方の腰の痛みが酷いのでなるべく早く見て欲しいとのことでした。

 

ちょうどスケジュールの調整がついて、今日施術所へお越しいただきお会いすることが出来ました。

 

今日の奈良は、朝から雪が舞う寒さ。

月曜日は嵐のような風と雨でしたし、その前日は20度近い温度と、気候の変化が目まぐるしく、体調の悪い方には尚更応えたことと思います。

 

腰の状態は本当にお辛そうで、無理な動作をして痛みが出たのは5日前、その間ずっとお辛い症状を抱えていらしたそうです。

 

しかも、ご家庭に介護が必要なご家族がいらっしゃるため、なかなか心の休まる時も、ご自身の為の時間も無いと仰られていました。

 

そうなんですよね。

 

今日の施術中は、僕の話はお伝えしそびれてしまいましたが、僕自身もギリギリまで義母の介護を自宅でした経験があります。だから、とっても気持ちが伝わりました。

 

自分の生活の中で、思い通りにいかない時間。

終わりの見えない不安。

頭ではそうではないと分かっていながら、感じてしまう孤独感…。

 

簡単に、「前向きにね」なんて

とても声をかけられるののではありません。

 

僕にできるのは、

そのかたが困った時に、少しでも力になれる手段の一つとして、存在する位です。

 

とても生活全てを肩代わりしてあげることなんて出来ませんが、辛い痛みや不自由な体の症状を、できる限り緩和して差し上げたいです。

 

そんな思いで施術させていただくと、

今日お越しいただいたその方も、

腰から下が軽くなった

歩きやすくなった

背筋が伸ばせるようになった

とおっしゃって下さり、

ご紹介くださった方からも、座る姿勢も楽になって喜んでいらっしゃると、喜びのメッセージをいただきました。

 

「鍼(はり)を受けたことがないので、怖い」

と言いながら、こちらの「ここだけは」と言う部位への刺鍼をさせてくださった分、早く症状改善に繋げられました。

 

長い間ご無理をされた分、背中や腰にそのご苦労が伺えました。

お伝えした体操などを上手に活用して、ご自身の体も大切にして欲しいです。

 

明日から、また一段と寒さが増すそうです。

お体冷やさないよう、お大事になさってください。