「女子がオールOKなのに、お前がダメなんておかしくね?!」
「俺はさ、スミノフよりジーマの方が口に合うんだよね~、何て言うか、あぁ、うん、飲み慣れると分かるんだよ」
「何でサワーなんだよ! 男がサワーなんておかしいだろ!」
「カラオケ行こうぜ!」
「いやだぁ、あたし歌えないぃ~」
「煙草は? 煙草切らしてる奴いない?! 買ってきてやるよ」
親元を離れ、少し背伸びした大学生たちの声がする。どことなく東京の言葉もしゃべり慣れていない彼ら。まだ酒を飲み慣れない彼ら。
酒の味は自分の置かれた状況で明らかに変わるのだということさえ知らないだろう。
酔うことにも慣れていない彼らの音量調整は、かなり壊れている。
そんな喧噪の中を歩くとき、師走だなぁと、僕はコートの襟を立てる。
何だかんだで、もう年も暮れる。
おめでとう、の言葉を交わす家族も、電話を掛ける二親さえこの世にいない僕には、いつもと変わらない日付変更線。
でも、彼らは年が変わる午前0時を、何か神聖な時間のように受け止めるだろう。
記憶というものに関して、ちょっと前のブログ「Can You Keep A Secret?」で書いたけれど、思い出してみるに、やはり楽しかったような気がする。
実情は決してそうじゃなかったことは想像に難くない。でも、思い出すのは空腹だったことぐらい。
インスタントラーメンのスープだけで何日も凌いだこと。その粉末スープも残り少なくなって、お塩を足して飲んだこと。
噛みたかった。食べものを租借したかった。この喉を食物の塊が通り過ぎるのを渇望した。
革のシューズは、煮たら食べられるのだろうか? シューズは無理でも、革紐は食べられないだろうか。真剣にそう考えたあの日々。
故郷を出て、学業が故にアルバイトすらままならなかったあの頃、人間は、生きるために食べるんだと、初めて知った十代。
そうだそうだ、拾い集めた瓶を持って行くと、お金が返ってきた。それで堪らず肉まんを食べた。
後で後悔した。インスタントラーメンを買えば良かったと。
僅かばかりの仕送り。でも、親に無心はできない。
仕送りが届いた日、そのお金を握りしめ、お米の小袋とインスタントラーメンの箱買い。無上の喜びだった。
煙草は、パチンコ屋とバス停で他人様の吸いさしを拾った。
でもそれは、ダメージとしてはまったく残っていない。間違いなく笑い話。美味しい美味しい酒の肴。
本当のダメージは、心がもっと たくさん受けただろうに、もう忘れてしまっている。
だから、僕の青春時代は、間違いなく、美しい。
だからこそ僕は、自信を持って、君を励ます。
心のダメージは、生きていれば、いつか必ず癒えると。
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