風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -130ページ目

─結果─

「坂上部長、お電話です」受話器から女性事務員の声がした。
「はい、どこから?」
「内藤様という男性の方です。どちらのとお尋ねしたのですが繋いでもらえばわかりますと」
内藤という名に覚えはなかった。しかし、一度顔を合わせただけで親しげにしてくる取引先の人はいるものだ。坂上は受話器を上げてボタンを押した。
「お世話様です。坂上です」
「あ、お忙しいところ恐縮です」その声は親し気と言うより事務的だっだ。

「○○警察署ですが。坂上優子さんのご主人様でよろしいでしょうか」
警察……それに、妻の名前?……瞬時に閉じた毛穴が、体表を静電気が走るように波立たせた。
「はいそうですが、何か……」

妻に限って、そんな癖があるとは到底思えなかったが、一時の気の迷いによる万引きのようなものか、あるいは事件、事故か。私は何か覚悟を決めるように、唾を飲み込んだ。それは思いのほか大きい音を立てた。それに遅れるように耳元でカツンと音がした。人差し指の爪が受話器の腹に当たった音だった。私の指は強く受話器を握りしめていた。

「奥様が自動車事故に遭われまして」
事故……私は息で呟いた。事故という言葉はテレビで流れるものだった。
「ええ。飲酒運転の車に撥(は)ねられたんです。○○町の救急病院に搬送されました」
自分の吸った息が小さな音を立てるのを、私ははっきりと聞いた。

「で」周りを見渡し声を落とした。
「容体はどうなんですか? 無事、なんですか」
「まだ何とも分かりませんが、至急おいでいただけますか」
何とも分からない。救急病院に搬送。簡単な怪我ではなさそうだ。私は理由を告げて会社を早退し、タクシーを拾った。

病院についた時点で、妻はもうこの世の人ではなかった。
飲酒運転によるハンドルの操作ミスで、小型の乗用車は妻を撥ね、民家のブロック塀に激突した。運転手は骨折こそしたものの命に別条はなかった。
救急病院に搬入されたときすでに心肺停止状態だった妻は、結局助からなかった。
死に顔はどこか苦しげで、悲しげだった。

「妻は、苦しまずに死んだんでしょうか」自分の声も遠く、夢を見ているようだった。
「脳や臓器に大きな損傷は見られません。外傷性の失血死ですね」医師は沈痛な表情を浮かべた。
「それは、痛いんでしょうか、苦しいんでしょうか」
「痛みは誰しもご経験があるように」医師は唇を尖らせ、スーッと音をさせて息を吸った。「スポーツの時とか、まあ、今回のような突発的な事態で発生する、エンドルフィンという脳内物質によって緩和されたでしょう。しかし、寒さや……いわゆる不安を覚えたであろうと思われます」
妻は道路に横たわり、薄れゆく意識の中で、自分はこのまま死ぬのではないかという不安と、大量出血による寒さに襲われていたのだろうか。

いつも通い慣れた、家からわずか100メートルの道路に、スーパーの袋から飛び出したジャガイモやニンジンが散乱していたそうだ。
幾度も通ったその道に、妻は鮮血を流して死んだ。

昨夜のビーフシチューは私のリクエストだった。そして妻が今夜作りましょうかと言ったカレーは、私の好物だった。
妻の料理は美味しかった。リクエストした料理を作れないことはなかった。初めて作ったと自信なさげにしているものでも、そつのない味に仕上げた。
それが当たり前のことで感謝することすら忘れていた。

最後の最後は、罵倒して終わった夫婦生活。悲しいままに終わらせてしまった妻の人生。「そんなものいちいち聞くな」が妻が聞いた私の最後の声だったとは。
私は、なんと取り返しのつかないことをしてしまったのだろう。



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あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」-電話機

─原因─

朝の身支度を整えダイニングに向かった私は、テーブルに思いもよらないものが乗っていることに気が付いた。それは湯気を立てていた。
椅子に座ってそれをじっと見た。そして、眉間が険しくなるのが自分でも分かった。

「なあ……なあ……」返事がない。
「おい!」再び妻に呼びかけた。
「はい?」声が返ってきた。
「なんで朝からビーフシチューなんだよ! 馬鹿かお前は!」
「あ、いえ、昨夜あなたが急な打ち合わせで召し上がらなかったから、その……」妻がスリッパをパタパタとさせて走り寄ってきた。
打ち合わせと言っても、会社の仲間数人と酒を飲みに行っただけだが、確かに夕飯は食べなかった。

「朝からこんなコテコテしたもの食えるか! 焼き魚と納豆と味付け海苔はどうしたんだよ! 何十年飯を作ればわかるんだ!」
朝食をきっちり食べて昼は軽く済ませる。それがずっと続けてきたことだった。昼食がコーヒーだけで終わる日も珍しくはなかった。
健康上のことや、何らかのポリシーがあってのことではないが、朝を抜いて昼にがっつり食べると仕事中に眠くなる。あれが嫌なのだった。

「すみません。作ろうとした矢先に絵里から電話があったりしたものだから」
「どうせまた夫婦げんかの愚痴だろう? それと俺の飯とどっちが大事なんだ。これから一日仕事をするんだぞ。その第一歩なんだよ!」
「すみません。絵里がね……」
「そんな話聞きたくもない」
「いえ、そうじゃないんですよ」
「もういい! 出かける」
私は、椅子を蹴るように立ち上がった。

「あなた、何か召し上がらないと。パン……トーストでも焼きますか。すぐにできますよ。ベーコンエッグとコーヒーでも」声が追いかけてくる。
靴ベラを手に取り、磨かれた靴に踵(かかと)を通す。
「いらん!」
「ごめんなさい。途中で何か食べていってくださいね」
「余計なお世話だよ」
突き出した長い靴ベラを妻は手に取った。

「今日は定時に終わりそうですか? 夕飯はカレーにしますか?」妻がおずおずと尋ねた。
「そんなものいちいち聞くな」言い捨ててマンションのドアを出た。
私とて、普段からこんなに横暴な男なわけではない。しかし、習慣を断ち切られたことにひどく腹が立った。


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あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」-ビーフシチュー
                           ●クミン=セリ科の一年草。カレーの中心的な香りをなすスパイス。


瞳に映し出されるものと、目を凝らしても捉えられないもの。
形あるものと、無色透明なもの。
指先に当たるものと、手を伸ばしても触れられないもの。
一と零。ノイジーとサイレント。有機物と無機物の一瞬の境目。
古来ひとはその転換点を、畏怖を込めて、死と呼んだ。

死は地面に落とした影を奪い、実体のない空間はフォーカスさえ拒絶する。耳を澄ませば聞こえてきた音は無音の世界に飲み込まれ、静寂は無の証となる。

風は見えない。けれど、音はこの耳に届き、揺れる木々がその姿を垣間見せる。しかしそれは真の風ではなく、風が震わす物たちの音。風が揺らすものたちの姿。

網膜に映し出されないから存在しないのか。見ようとしないからかき消されるのか。消えたものは風さえ起こさぬ無情なるものなのか。

どこかにあるはずなのにこの手にできないものは、失くしたジグソーパズルのヒトカケラ。
画竜(がりょう)は点睛(てんせい)を欠き、行き場を失った画(え)はもはや飛立つような竜でも、身を隠すが如くに土を掘る土竜(もぐら)でさえもない。                                                         




─ prologue ─

「到着しました」
ヨキナと名乗った存在が、あたりを平定(へいてい)するかのように指し示した。

「ここが、そうですか?」
「ええ、そうです。ご気分はどうですか。お加減は悪くないですか」
「大丈夫です。たぶん」

こちらの質問を待つような、穏やかな気配を漂わせ、ヨキナは静かにそこにいた。
「ここにいるのですか」

少しの間をおいて声は返ってきた。「ええ、ここにいます」
「何も、ないんですね。星々が見えるだけで」
「宇宙空間ですからね。正確にはまだその場所に突入していませんが」
「ここはひどく遠い場所なんでしょうか」
「いえ、遠くはありません。遠いところにある必要はないのです。後ろを見てください」
振り返ると青い地球が大きく見えた。

「こんなに近いのですか」
「ええ、次元が違うがゆえに見えないだけです。もしもここにハイウェイがあれば、あっという間に到着するでしょう」
「見えないのに、存在するのですか」
「ご存知のように、虫たちには見えている紫外線も赤外線も人間の目には映りません。人の心も見えません。しかし、存在します。空気だって見えません。
人類の可視領域は極めて狭いのです。目に映るものは、ほんの少しです」

言われてみれば確かにそうだ。もっとも理科系の頭ではない私にそれを完全に理解するのは不可能だろうが。

「お会いになりますね」
「会えるのですか」
「そのためにおいでになったのでしょう?」
「いえ、なんと言うか、その、もちろん会いたいけれど……私は会いに来たのではないのです」
               




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あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」-青い地球

口に運びかけた五角形のオールドファッショングラスの中で、琥珀色の液体をまとったロックアイスが軽やかな音を立てた。

ほのかに甘みを感じさせてくれるその液体を口に含み、ゆっくりと飲み下す。舌先から胸元へ焼けるような刺激が通り過ぎた後、オーク樽とカラメル、バニラのフレーバーが口中と鼻腔に満ちる。
グラスを置き、煙草に手を伸ばしたとき、耳元で声がした。

「ジャジャーン!」

「まぁた、お前かよ」振り向きもせず、僕はゆっくりと首を振った。

うわ、またときたかぁ……
肩口をふわりと舞い、テーブルの上に仁王立ちした身の丈15センチぐらいの成人だか未成年だか判別しがたい女の子は、ま、いいわと呟き、うふふと笑った。
それから白くてふっくらとした自分の左頬をツンツンとつついた。

「うん? 今度は何の真似だい」
「チュよチュ」
「チュ?」
「お礼のチュ」口元をとがらせる。
「お礼のチュ?」
「そそ」
「あんたにお礼を言わなければならないようなことを、僕はしてもらったっけ?」

ひえ、妖精界のマドンナに向かってあんたかぁ……
下唇をとがらせた成人だか未成年だか判別しがたい女の子は、ふっと息を吐くと同時に気を取り直したように両手を後ろで組んであごを引いた。
「あるときあなたは一冊の本を手にした」

「本? だいたいあるとき僕は一冊の本を手にするんだけど……いったいどれのことだろう」椅子の背に背中を預け、本棚を見た。
「じーっと立ち読みしてたでしょ。食い入るように見てたわ。まるでグラビアの水着からこぼれる誰かさんのおっぱいに食いつくみたいに」
「それ、たとえがおかしくない?」
「ちっとも」
「そか、ま、いいや。で、いつの話しなんだろう」

「3年前。決してお勧めはしないけど煙草吸ってもいいのよ。手が宙で止まっているわ」
ああ……それはどうも。
僕はマルボロに火を付けた。

「しかし、随分古い話を持ち出すんだな……3年前に手にした本ねぇ……」
僕は紫に煙るマルボロの煙の向こうに霞(かす)む書棚を、なおも見た。

なにやら目論(もくろ)み顔の、成人だか未成年だか判別しがたい妖精は、空気音とともに鼻先を持ち上げたかと思うと、人差し指を立ててひときわ大きな声を出した。
「この世に克服できない悩みはありません!」

「しっ! ちょっとうるさいんだけど。もう夜中だよ」僕は人差し指を唇に当てた。
「あら、転調に失敗しちゃった。失礼」
「克服できない悩みはないかぁ……読んだような気がするなあ」
「今もあなたの本棚にちゃんと収まっているわ。あなたの永遠の生命の中にもね。だからあなたは今、呑気(のんき)にお酒を飲んでいるわ」

妖精はふわりと舞い背中を見せた。羽が緩やかに上下している。
「もしも人生が初めから終わりまで楽にいったら、もしも乗り越えるべき困難もなく、耐え忍ぶべき試練もなく、克服すべき障害もないとしたら」
一人で悦に入(い)って身振り手振りを交えている。それも後ろ向きのままに。
ミュージカルかと突っ込みを入れたくなったが、やめた。

「お尻ちっちゃいんだね」
「突っ込みどころはそこじゃない!」
妖精はキッと振り返り、肩越しに見せた眉を凛々(りり)しくさせた。

「あぁあぁ……読んだ読んだ。誰の本だかは忘れちゃったけどね。で、続きは?」

「そこには何の進歩も得られないことになります」
妖精の肩が再び上がった。どうやら再び大きく息を吸ったようだ。
「おっきい声は出さなくても聞こえてるから。夜中だし」

「あらそう」
くるりと振り向いた妖精は微笑み、ワイルド・ターキーの瓶の上にふわりと座った。

「この世に克服できない悩みはありません。ですから、悩んではいけないのです。
征服できない困難はないのです。
力の及ばないほど大きな出来事は、何ひとつ起きないのです」
妖精は一つひとつ念を押すかのように、人差し指を顔の横で振った。

「それが何でお礼のチュウに繋がるのかな」
「あの本に導いたのは、何を隠そう、わ・た・し」
言葉に合わせるように鼻の先を三度つついた。

「あの時のあなたが普通の書店に行くとも思えなかったから、古本屋に並べさせるのに随分苦労したのよ。
だってわたしが直接置きに行くわけにもいかないしね。でもあなたは、きっと買うって思った。ご飯を抜いてでも、買うって信じた」

「だから、その本を売りに行った人にも細工をしたと?」
「細工というと怪しげだけれどね」妖精は小鼻をうごめかしながらコクコクと頷いた。

「あなたは、端から端まですべての背表紙を読んでいったわ。そして、時々抜き出しては何行か読んで棚に戻した。あなたは数時間をそこで過ごした」
「うんうん、3年前は確かに暇だった。時間はあったけど、お金はなかった」

「さあ、力強く前進してください」
妖精は再び舞い上がった。

「最善を尽くすことです。それ以上のことは人間に求められていません。しくじった時は立ち直ればよいのです。以上!」

その言葉を、僕は確かに、思い出していた。

「さあ、これからはわたしの助言よ。
あなたを打ちのめそうとするすべてのものは、自分自身の中から現れることをあなたはすでに知っているわ。
だから、怨んでも憎んでも、愚痴を言っても陰口をたたいても何も好転しないどころか、かえって泥沼にはまることもね。
肉体に縛られた自我を捨て去りなさい。真我に目覚めなさい。
暴力、虐待、欺瞞(ぎまん)、搾取、妬(ねた)み嫉(そね)み、裏切り、無関心、果てしのない欲望、愛を忘れた利己の世界。あなたの目に映る世界があなたの目に好ましくないのなら、その責任は他の誰でもなくあなたにあるわ。
ちなみに好きな言葉は何?」

「大丈夫」

「うん、あなたもいくらか進歩したわ。
さぁ、あなたは無敵よ。自由に生きなさい。恐れることなく進みなさい。いつでも愛を忘れず優しく清らかに生きなさい。困った人には手を差しのべなさい。
助けることができたかどうかより、すべての計算を捨て去って全力で手を差し出す勇気が何より大切なのよ。それがきっとあなたが生まれてきた意味を教えてくれるはず。

この世は幻想よ。それでもなお、今という一瞬を正しく生きなさい。
以上の助言は妖精toあなたよ。

あ、それから、知っていると思うけど、最善を尽くすって、思うほど簡単なことじゃないからね。だから、ここぞというときは最大限の力を発揮しなさい。

いつも自分に問いかけなさい。これが最善か? これで全力なのか? とね。それは疲れることだけれど、心が、精神が、魂が、喜ぶわ。それは必ずその身を軽くしてくれる。
それ以外の時は、遊びなさい。人生を楽しみなさい。幸せになりなさい。

あなたの中に眠る、あどけない、疲れを知らない少年を蘇(よみがえ)らせなさい。
わたしはいつも、あなたのそばにいるわ。あまり気のりしていないようだから、チュは今度にお預けね」

煙草を灰皿に置き、本棚に向かった。ひと通り眺め回してから一冊の本を抜き出した。
正方形に近い小振りのその本は、他の文庫本からはみ出た部分が茶ばんでいた。

シルバーバーチ〝今日のことば〟

帯に「いつも あなたの そばに」と書かれていた。

うふふ、と成人だか未成年だか判別しがたい妖精の、優しげな笑い声が聞こえた気がした。


─ FIN ─

引用 シルバーバーチ「今日のことば」近藤千雄 訳編 103頁 株式会社ハート出版



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祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理(ことわり)をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ


人生の重要な出来事のひとつに、出会いというのがある。
いいものもあるけれど、中にはあまり喜ばしくないものだってある。

諸行は無常。この世に常はない。たとえ好ましく思われたものだって時が経れば形は変わる。
それも含めて僕たちは、経験と呼ぶのかもしれないけれど、
出会いがしらの交通事故みたいなものは、正直ご勘弁願いたいものだ。

僕たちは一生のうちに、いったいどれだけの人と出会うだろう。
ちょっと考えてみよう。
たとえば一日に一人新しい出会いがあると計算して、80年生きたとしよう。
すると2万9千2百人だ。
2人でも6万人に満たない。

長じる前や老成してからの人生に出会いは少ない。そもそも行動半径が狭くなっているからね。
社会人になってからも、家と会社の往復だけなんて日々も続く。
年に一度は新人の歓迎会があったりするけど、お酒を飲みに行くのだっていつも似たような顔ぶれ。
そうやって考えてみると、新しい出会いなんてそんなに多くないものだって気がつく。

さっき書いた出会いの人数って何の数字かはもうわかるよね。
日数なんだよ。2万9千2百日。人生ってなんて短いんだろうね。
でも、そこまで生きる人もそんなに多くはない。
だから、一生のうちに出会う人の数なんて、計算上のものとはほど遠いに違いない。

僕たちが日々繰り返すすれ違いはきっかけであったとしても、出会いそのものじゃない。
だから、たとえばスーパーのレジ担当の人はすごい数の人たちと出会っている、とは言わない。

この世は一睡(いっすい)の夢。
悪夢もあるけれど、思わず頬が緩んでいる夢だってある。
それを大事にするもしないも、いいものにするもしないも、その人次第だって、僕には思える。

求めてばかりだと、バランスが崩れる。
提供ばかりしていてもまた同じ。
氏(うじ)も素性も違うそれこそ赤の他人が、一緒に歩いてくれる奇跡に感謝を。



   ─ めざめ ─

出会いと別れはいつも 突然巡って
知らない顔して季節 通り過ぎて行くのね
なくしたあの日が かけがえのない 時のいたずら

ああ いちばん大切なもの
傷つく時にわかるの



作詞 西田佐知子
作曲 来生たかお

平井 菜水 (ひらい なみ)「めざめ」
日本テレビ系 『知ってるつもり?!』 エンディングテーマ




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もう半年も前のことになるけれど、年明け早々、僕は電話を何件か入れた。
リカバリしたパソコンがプリンターを認識しなくなったからだ。
ということは、いつものように年賀状をプリントアウトすることが出来ないということ。ついでにメールも送れない。

「ん」とも「はぁい」ともとれる声が携帯電話の向こうから聞こえた。それを僕は、え? という思いで耳にした。


「あ、俺。プリンターの接続がうまくいかなくてさ、年賀状が刷れないんだよ」


「あらあら、今電車だから、後で電話するねぇ」その声はまだ、不思議な粘りを持っていた。
再びかかってきた電話の声は、さすがに自分でも気づいたのだろう、ちょっとだけ普通のものに戻っていた。
「手書きにすればいいのに」
「嫌だ、面倒くさい」
「相変わらずね」ふふっと息が聞こえた。

今仕事で何をしているかということ、それが大変なこと、彼女はそんな話をした。
頑張りすぎるところがあるから、体に気をつけなさい。責任感って、自分の体が無事であることも含まれるんだよ、無理をせずにね。僕はそんなことを言った。ディスプレー表示された僕の名前に、彼女の時間は遡(さかのぼ)ったのかもしれない。
二人が恋人と呼ばれたあの頃に。

僕は彼女を叱責したことがある。彼女からの電話で指定されたドトールに向かい、ウインドゥの外から彼女の姿が見えたときから、嫌な予感はしていた。
僕が到着してからも、彼女のその姿は変わらなかった。

ドトールを出た後、僕は注意を与えた。
「中で電話しちゃダメだよ」
彼女がどんな顔をしたのかは覚えていない。
「隣のおじさん、迷惑そうな顔をしてたよ。そもそもあんなところで電話しちゃダメだよ」

そう、隣に一人で座っていたおじさんが、かなり迷惑そうな顔をしていたのだ。くつろぎのコーヒータイムを、隣に座った女の人のかなり賑やかしい電話で邪魔されたことだろう。けれど彼女は、どうも僕の注意を理解していないように思われた。
そのことで、新宿まで出かける予定は壊れた。ドトールの前で右と左に別れたからだ。僕は彼女が歩いてく後ろ姿を、何故だろうという、ちょっと悲しい思いで見送った。
何度メールで説得しても、彼女はうまく理解できない様子だった。

ルールを守らないと君が冷たい目で見られる。それを僕が看過できるはずがないだろ? たとえば君が、両親の悪口を言われて、いい気がするかい? 身内ってそんなものじゃないのか? 僕にそれを阻止する権利はないのかい?
そんなことを書いた気がする。でも、彼女の頭をいっぱいにしたのは、いつもは優しい僕に叱られたということだけだったに違いない。

彼女はもう、そんなことさえすっかり忘れてしまっただろうけど。たぶんあれが、最後に顔を合わせたときだったような気がする。だから、僕が覚えているのは、涙を浮かべた彼女と、その後ろ姿。
いい加減な男なら、あれを見過ごしただろう。でも僕は、それを出来ない。それは自分のためじゃなく、何より相手のためだから。

彼女の中で、僕は思い出だろう。でも僕の中では少し悔悟の思いが残っている。
言葉足らずで説得に失敗したという悔悟が。

彼女の少し甘い声を聞いたとき、その情景が蘇った。

僕に叱られたらその場は分からなくとも納得すること。
れは命に関わるか、ルールに反することだけだから。
それ以外は、自由に泳いでいなさいね。


何でYouTubeが貼れなくなったんだろう?
これが出来ない以上僕はこのブログから去るしかないのだけれど。





幕末に生きてたら佐幕派?討幕派? ブログネタ:幕末に生きてたら佐幕派?討幕派? 参加中

私は討幕派派!


幕末に生きてたら佐幕派?討幕派?
  • 佐幕派
  • 討幕派

気になる投票結果は!?



僕の性格から言ったら倒幕派でしょうか。でもこれはあくまで岡目(おかめ)、第三者の目ですから、そのとき会津に生まれてたら間違いなく佐幕派でしょうね。

出ましたね、僕がかつて生きていた幕末のクエスチョンが!
このまますんなり終わるわけにもいかないので、お話をひとつ。

ブログネタではないけれど、決断を迫られるといえば、当時はまさしく諸藩が恭順か佐幕かを迫られる状態にありました。要は佐幕派の旗頭会津藩につくか、倒幕の新政府軍につくか……。

そんな中不思議な発想をした人物がひとりいました。
越後長岡藩の河井継之助です。

あ……NHKの大河ドラマ「八重の桜」にきっと出てくるでしょうね。でも、僕は仕事で見られませんけど。
八重さんを演じているのは綾瀬はるかさんですね。でも八重さんの写真を見たことがある人は分かるでしょうが、違いすぎますねヾ(;´▽`A``アセアセ

継之助は洋式の軍備を整え、当時日本に3門しかなかったガトリング砲を2門購入して一藩武装中立という見果てぬ夢を抱きました。(゚ロ[-盾-]
地元では長岡を戦渦に巻き込んだとして不評であったりもするようですが、7万4千石という小藩の家老職は、継之助には役不足の感が否めません。

長岡藩がいかに小藩かというと、ご存じ加賀は102万2千700石、薩摩77万石、尾張61万9千500石、長州36万9千石、土佐24万2千石……。
これを給料に置き換えてみると、その差がよく分かると思います。
たったの7万4千石です (。・´_`・。)
まぁ、実質は14万石とも言われますが。

しかし、その藩風、藩訓は質朴剛健を宗とし「常在戦場」、常に戦場にいる心構えで事をなせというものでした。
戦国時代は現在の愛知県豊川市牛久保町のあたりに居住し、牧野氏の領地の周囲には武田・今川・松平(後の徳川)氏という厄介な勢力がいたせいもあり常に緊張を保っていなければならなかったのですね。そこで生まれたのが「常在戦場の精神」または「牛久保以来の家風」というわけです。

この精神は後の連合艦隊司令長官山本五十六にも受け継がれています。

さて、官軍に中立の話を持ちかけても、勤王か佐幕かの立場をはっきり取るように迫ってくるのみ。小地谷会談も物別れに終わった。
河井の希望通り西郷隆盛の腹心黒田清隆か長州の山県有朋に会えたなら、北越戦争は避けられたかもしれません。
小地谷会談の際、それを受けたのが土佐藩出身の中途半端な男であったのが悲劇でした。

この男、土佐は宿毛の出身で、慶応三年長崎へ砲術研究のため訪れた際、海援隊の伊呂波丸沈没の交渉に当たっていた中島作太郎と交流を持ち、京都の土佐藩邸に到着して大江卓らとともに中岡慎太郎率いる陸援隊に入りました。同藩の先輩である海援隊の坂本龍馬に憧れもあったでしょう。
しかし精一郎が入隊するころには、龍馬も慎太郎もすでに暗殺されていたのですね。

そんな男が河井継之助の申し出を一蹴してしまったのです。その時間わずか30分と言われています。それにより継之助の武装中立の夢は破れ、長岡藩は奥羽列藩同盟に加わり北越戦争に突入したのです。

北越を激戦の地にしてしまった男の名は、岩村精一郎。後に政治家となり、男爵にまでなっています。

長州に吉田松陰なく、その松下村塾の竜虎と称された高杉晋作、久坂 玄瑞(くさか げんずい)なく。土佐に坂本龍馬、中岡慎太郎なく。全国の有能で果敢な志士たちは、すでにこの世を去っていました。
岩村精一郎とは、そんな人手不足のどさくさ紛れに出世してしまった典型でしょう。

捕縛された新撰組の近藤勇の処遇を決める場にいたのもこの男で、処刑の方向へ決定打を打ったと見られています。

新撰組ファンの皆様、この岩村精一郎、いてまってください。
いてまえ、いてまえぇ~~~~~~~~~~~~ッ ヽ(`Д´)ノ

さて、何を言いたかったかというとσ(^_^;)
そう、時世時節(ときよじせつ)には勝てないだろうということですね。だって、そのとき僕が長岡藩にいたら、まっしぐらに武装中立を目指したでしょうから。

ちなみにガトリング砲、あとの一門は佐賀藩が使用したという記録が残っています。
今の価格で言うと1門3億円ぐらいするとかで、河井継之助は本気だったというのが分かります。

ガトリング砲はもっとも初期の手動式の機関銃と言えば分かりやすいと思いますが、なりは小振りの大砲のような形で、車輪付きの台に乗っています。当時の物は6砲身で、砲尾の右側に付いたハンドルを回して撃つのですが、河井自らも撃ったそうです。

継之助の夢を笑う者もいます。愚かしい考えだと退ける人もいます。
恭順をすれば良かったじゃないかという意見もあります。しかし、勝敗は分からないのです。中立が成らずば、どちらかに付くしか道は残っていなかったのだろうと思います。
ただ、継之助の夢は、小さい藩の家老が持つ物ではなかった。

その継之助は北越戦争で重傷を負い、再起を図るため親藩会津へ向けて逃れましたが、峠の途中で命を落としました。

「八十里 腰抜け武士の 越す峠」

河井継之助 辞世の句。

腰抜けは越(越後)抜けではないかとも言われます。

享年42歳


ガトリング砲
あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」

台所で母が支度を始めると、僕は必ず訊いた。
「今日は何(なん)?」
その習慣はいつから始まり、いつで終わったのかは覚えていないけれど、夕餉(ゆうげ)の支度の時間に家にいるということは小学生ぐらいまでだったのかもしれない。
「今日は煮染(にし)めよ」
母の声が返ってくると、僕はちょっとしょげた。そもそも子供は煮物系が好きではないのだろうと思う。
それでも僕は細く切ったこんにゃくの間に包丁を入れて、くるりんとひっくり返すのを手伝ったりした。
「こいでよか?」

その頃の僕が未来にどんな夢を描いていたのかは分からない。そもそも、そんなことなどまったく考えてもいなかったのかもしれない。だって、TVアニメの宇宙戦艦大和の最後に流れる「地球滅亡まで後○○○日」というのを真剣に信じていたぐらいだから。
そんなその頃の僕に今の自分が佇む未来を見せたなら、立ち直れないぐらいのショックを受るかもしれないし、ふぅん……で終わるかもしれない。

僕は自分の肉体以外の物はすべて失った。大切な家族を失った。そのとき僕は一文無しになった。そして、追い打ちを掛けるように長年勤めた会社が倒産した。固めてきた地位も月々の給与も失った。
本当にそのとき、僕にはこの肉体しか残っていなかった。家賃を払うため、公共料金を払うため、食料を買うため、養育費を払うため、僕が背負ったのは借金だけだった。

一年の失業を経てようやく得た仕事は、ビルを建てるための立ち退きで5年で姿を消した。その後得た仕事は経営者の交代で正社員は全員解雇になった。たったの2年だった。
そして今僕は、ここにいる。

こんな未来を、人生をなぜ選んできたのだろう。

それでもまだ、下を見れば憐れな人はたくさんいる。よく来るお客がいる。ワンカップのお酒を買ってちびりちびりと飲んで帰る。その人は数年前まで会社を経営していた。当時を知る人から聞いたところによると羽振りが良かったそうだ。
それが今では家族もなくホームレスだ。でも救いは年金があるから、少額とはいえ何とか暮らしているようだ。だから決して汚らしくはない。
眠る場所は漫画喫茶か山手線。ちょっとのお酒をあおって眠りにつくときがその人の幸せの瞬間なのかもしれない。朝目覚めれば、行くあてさえない一日が始まるのだから。

こんな僕は、20代の頃から、世のため人のために役に立ちたいと考えていた。誰に強制されたわけでもない。何かにひどく影響を受けたわけでもない。そのせいか、その考えは今も変わらない。思いは消えない。消えないと言うことは、やはり魂が望むことなのだ。
だからといって、今何かをしているわけでもない。すべては時が連れてくると思っているからだけれど、それにしても長くなった。

株の投資だの、ネットで金儲けだの、自分のためだけにあぶく銭を掴かんで贅沢をしたいとはさらさら思わない。そんな人生が充実しているとも思えない。楽しく生きたいけれど、楽して生きようとも思わない。
こんな強烈な思いが消えずに続いていると言うことは、単なるボランティア活動でもないはずだ。

そうそう、つい先日宝くじを買った。何とかジャンボ……呼び込みのお兄さんの「大安吉日」に誘われたわけでもないけれど、元気な声に思わず振り向いてしまった。
1億円かぁ……。
5億6億ならまだしも、1億円じゃなぁ……。
貯金さえない僕が真剣にそう考えた。1億円じゃ何も出来ない。己の足元さえ固めていない人間に、人に役立つことなど出来ないと思うから。
でも、売り場に足を向けていた僕はそれを買った。
ま、とりあえず1億円でもいいや、と。

僕がどんなラストシーンを描いて生まれてきたのか、知りようもない。
それを知っているのは生まれてくる前の僕と、そのとき周りにいた魂だけだろう。

僕のラストランが空を飛ぶようであるのか、地を這うようであるのか、疾駆するのか、息を切らせ、よろめきながら走るのか皆目分からないけれど、先に逝ってしまった魂に、再び相まみえる魂たちに恥じぬ最後を迎えたい。これは僕の願いだ。

君は僕のリバイバル(復活)を期したラストランを目撃するだろうか。そして、声援を送ってくれるだろうか。
もう少しだよって声を張り上げてくれるだろうか。
テープを切った瞬間に、僕は一足先に、元いた場所へ還っているよ。君と出会う約束を交わしたあの場所へね。それは突然かもしれない。そのときは少しだけ泣いて欲しい。

そして君が天寿を全うしたら、きっと僕が迎えに行く。お疲れ様! 待ってたよって。


五輪真弓 「リバイバル」



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電車の中で寝る? ブログネタ:電車の中で寝る? 参加中

電車の中でなら寝たことはありますね。
電車の外とか上とか下とか横とかの質問だったら、何となく嫌な予感ですけど。

でも、基本的には寝ません。
運良く座れたら、目を閉じて電車の揺れに身を任せます。
そして、ひどく疲れていたときに、あの! 恐ろしい現象が起こるのですね。

ビクンッ!w|;゚ロ゚|w


あれ、ちゃんと名前があるんですね。ジャーキングという名前なんですけど、入眠地の筋肉の痙攣らしい。もちろん、無意識の。
疲れていたり、寝心地が悪かったり、眠りの浅かったときに起こる。
あれ、犬や猫もやるんだよね。飼っている人なら目撃したことが一度や二度あるでしょう。

そうそう、あれで椅子から転げ落ちた人がいるらしい。聞いた話なのだけれど、何かの講義で車座になって椅子に座っていたそうです。演劇だったかな?
ビクンッ! となって、件(くだん)の彼は隣の人の二の腕にすがりながら椅子から転げ落ちたそうです。
そこまでやると、いたずら小僧のジャーキング君も喜びますね。

電車の中であれをやると、まぁ基本的に恥ずかしいですね。肩が揺れる程度ならいいけれど、どうも今のは、腕が鞭のようにしなったような……それで隣に座るおばちゃんの頬など引っぱたいていたら、もう命取りですね。

で、恥ずかしいので何もなかったふりでまたうなだれてじっとしていると、睡魔が平泳ぎでやってきて(分かりにくいギャグだこと)両足をそぉーと引っ張り込むんですね。(。-ω-)zzz. ……

ビクンッ!!!!!!!!!!!!!!!! (。゚ω゚) ハッ!
CMソングで好きなもの ブログネタ:CMソングで好きなもの 参加中
はなっから破綻してます。
何せ、好きなCMソングは?ってお題なのに……肝心の歌がない。

でもでも、詩(うた)ならある。

強引グ・マイウェイ( ´艸`)


〝こだまでしょうか〟 金子みすゞ

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
 
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
 
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
 
そうして、あとで
さみしくなって、
 
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
 
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。


薄命の童謡歌人金子みすゞの詩に乗せて流れるメロディも印象的だったなぁ。
CM用に作られたのだろうけれど、誰の何という曲なのかは分かりません。

ブログに何度も書いているけれど、人は与えた物しか受け取れないのだから、良いものだけを放射したいものですね。
これは僕の戒めでもあります。


ACジャパン「こだまでしょうか」