現金書留で仕送りが届いた日に、インスタントラーメンを箱買いした。
普段はそんなことしないから、たぶん特売品だったのだろう。
よく行くその店は何だったろう? 八百屋だったのかな?
並べた商品の奥に調味乾物などが置いてあった。
買い込んだインスタントラーメンの段ボールを抱えて、僕はうきうきと部屋に帰った。天気がいいことも相まって、かなり浮かれていた。
何てビッグな買い物なのだ!
大人じゃん! 大人じゃん! もう、お・と・な・じゃ~ん!
部屋にはすでに、手際よくご飯も炊けている。

インスタントラーメンを作るときは常にそうだったけど、一個では絶対足りない。かといって二個食べるのは贅沢すぎる……ということで、一個と1/2を作った。
すると粉末スープが少しずつ余っていく。
ラーメンも米も底をつき、いよいよお金が尽きると、そのスープを飲んだ。それだけで命をつないだ。
それが一日二日どころではなく続くのだ。
その時僕は、かつて触れたこともない真実に触れることになる。人間は咀嚼という行為を望む生き物なのだと。
そう、噛みたくて噛みたくて仕方がないのだ。腹がふくれるだけではダメなのだ。
けれど、ラーメンスープしかないから。飲みながら口だけを動かした。
噛みたい、噛みたい、噛みたい! 僕は髪を掻きむしらんばかりに部屋の中を見渡した。
けれど、あるはずもなかった。
そのスープだって無限にはない。やがて最後の半袋ぐらになると、塩を入れて量を増やして飲んだ。
塩を入れてお湯を差し、それが減ったところで再び塩とお湯を投入するのだけれど、その頃にはもう、味は薄味塩スープだった。
手に受けて入れるなり、スプーンなりですくえばいいものを、不精者の僕はお椀の上で塩の袋を慎重に傾けた。
そして、悲劇は起こった。
とぽん!
うわ!
お椀の薄味スープに波紋が広がり、僕の目がまん丸になった瞬間、口にできるものは水道水しかなくなった。
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