貧乏学生が行く!「1」 | 風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」
タイトル通り、グラフィックデザインの学校に通っていた僕は貧乏な学生だった。

「リバイバル」の八切莊には狭いながらも台所がついていたが、僕が実際に住んでいたのは、6畳一間にトイレと台所が共同のアパートだった。

実家にいた頃はインスタントラーメンぐらいしか作ったことがなかった僕は、料理というものを全く知らなかった。

今つらつらと思い出してみても、私鉄沿線にある僕の住む街にはスーパーがなかった。だから、パンはパン屋で、野菜は八百屋で、お肉は肉屋で買った。

おぉ~豚こまが断然安い。
よし、これを砂糖醤油で味付けして食べよう。



そう、僕はこれぐらいしか味付けを知らなかった。そのルーツって、実家で食べてたお餅じゃん……。

そして、共同台所でその豚こまを油で揚げた。ジュージューシュワシュワ音がする。
もう、いいかな?
頃合いを見ておもむろに片手鍋に移し、砂糖と醤油を適当に入れて火に掛けた。

できあがったものにレタスを添えて、マヨラーの僕はずよずよとマヨをかけた。もちろんキューピー。

炊きあがったご飯でそれを食べた。
美味しかった。もう無上に美味しかった。

お皿に残った砂糖醤油とマヨに、残ったご飯を投入してわしわしと口に掻き込んだ。
こんな美味しいものが世の中にあるのかと思われるぐらい、美味しかった。



そして次の日、残った豚こまでまた同じものと作ろうと台所へ行った僕は、異変に気がついた。
こ、これはなんだ! 何が起こったんだ!
なんと、フライパンの油が真っ白に固まっているではないか。

そう、豚こまの油が固まっていたのだ。
背脂ではないけど、要はラードである。でも、そんなことを僕は知らない。

あ~! 油がダメになっちゃった!
でも、お肉をダメにするわけにはいかない。
それに、また食べたい。

泣く泣く油を捨てた僕は、またもや豚こまを揚げた。
油がもったいないと泣きつつも、それをその後、何度繰り返したろう。

僕は、炒めるということさえ知らない男だった。

何て男らしいんだ!

─続く─

ポチポチッとクリックお願いします。

短編小説 ブログランキングへ


にほんブログ村

blogramによるブログ分析