妄想独り言… -3ページ目

妄想独り言…

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この10年間、宮本と連絡を取っていない訳ではなかったのだが、やはり最後はケンカの様な形で電話をお互い切ったりしていた。

2度、3度、宮本は亮治に会社に戻って来ないかと誘った事もある。
しかし、宮本の会社に今も勤めている亮治の後輩でもある岩崎の存在があり、それが実現する事は無かった。

岩崎は宮本の会社に入社してから、亮治に叱られない日は1日足りとも無かった程である。
その岩崎は今や宮本の会社の現場の責任者である。
亮治が会社に戻って来たら、岩崎が仕事をし辛くなるのは、宮本も亮治も解っていた。
その事が理由で、宮本も亮治も昔の様に一緒に走るのは無理だと確信して実現には至らなかった。


そんな中亮治は、一人の男のSNSを見付けた。
宮本である。

宮本は15年前に自身で会社を立ち上げ、一人で奮闘するなか亮治と出会い、亮治を誘い会社を築いてきた人物である。

亮治と宮本は一緒に走り続けていたいわば戦友である。
戦友といっても、互いの性格は水と油、互いに相入れる事は殆ど無い二人、戦友でありライバルであり宿敵の様な関係であった。
10年前に亮治が宮本の会社を退職したのも、些細な事から喧嘩になり、亮治は宮本に対して啖呵を切って辞めていったのである。

その宮本のSNSに載せてある日記を見付け、亮治はやはり懐かしさと羨ましさ、自身の虚しさを感じ、また一人下を向き俯く事しか出来なかっのである。
亮治は例の様に宮本にも友達申請を行いPCを閉じた。


人は今が苦しい状況、辛い状況の時に、自分が輝いていた昔を懐かしみ振り返り、少しでも今の苦しみを和らげよう、一瞬でもこの心の痛みから逃げ出そうと考えるものである。

亮治もそうであった。
やり甲斐を持って走り続けていた時代の友人達が、SNSに載せている日記や写真を一人一人見付けては当時を懐かしみ、今も変わらず楽しく生きている事を見ると、羨ましくもあり自分が哀しくなるのを感じていた。

その友人達一人一人にSNSの友達申請を行い、亮治自身はまだ別の世界で生きている事を知ってもらいたかったのである。