渡夢太郎家の猫 -4ページ目

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

2人は目を合わせて笑った。

1時間後美喜とマギーは正一郎宛てにパンティと手紙を置いて
部屋を出て行った。
『素晴らしい夜をありがとう。美喜♡』

~~~~~
翌朝、亮はキャシーの部屋で目を覚まし
テラスに出てコーヒーを飲んでいた。
「眠れなかったの?」
キャシーは白いガウンを着て出てきた。
「ええ、まあ。今日の事でちょっと興奮しています」
「大丈夫よ、他の株主だって不正を明かして欲しいはずよ」
「でも。不正を明かせば一時的に株価が下がります。
 それを拒否する株主もたくさんいるはずです。
 たとえ30%の株価を抑えて拒否権を発動しても
 残り70%の株主が反対したら会社は変わりません」
「亮ならうまく行くわ。みんなあなたの味方よ」
キャシーはキスをして亮を勇気づけた。

「朝からお熱いわね」
「ああ、おはよう。ケイト」
亮は下着姿で出てきたケイトに答えた。
「ねえ、今日のF電機の株主総会出ていいかしら?」
「それは無理ですね。前もって手続きをしないと・・・」
「じゃあ私の代わりに行ってくれるケイト」
キャシーがケイトの手を握った。
「本当!嬉しい。何着て行こうかな」
「キャシー朝ごはんは?」
キャシーが部屋に戻ろうとすると
亮が止めた。

「ああ、パンケーキ作って」
「分かった」
亮はケイトに合図を送ると心配そうにキャシーに聞いた。
「キャシー、体調が悪いんですか?」
「ううん、ちょっと家で仕事をしないと・・・」
「良かった。じゃあパンケーキ焼きます」

亮がキッチンに入って支度をしていると
美咲から電話がかかってきた。
「亮、塩見の逮捕状出なかったわ。
裁判所が塩見を詐欺と認めなかったそうよ」
「やっぱりそうですか。飯田さんの仕事評判悪いですからね」
「ええ、それに塩見はかなりこっちの
 人間とも繋がっているみたい」
「そんなに・・・」
亮は塩見の裏の世界の力に恐怖を覚えた。

「ええ、父があぶりだそうとしている警察の悪と
 つながっているかもしれないわ」
「やはり正面から向き合う事にします。
 今日の株主総会は荒れそうですね」
 亮はため息をついた。

「ごめんなさい、でも警視庁は塩見を逮捕したくて
うずうずしているはずよ」
「分かりました。今度こそ塩見を逮捕できる確固たる
 証拠を見つけます」
「お願いします」

亮は美咲との電話を切ってパンケーキを
焼きながら思いを巡らせていた。
「亮、うまく行かなかったの?」
キャシーが心配そうに聞いた。
「ええ、日本には総会屋と言って株式総会の運営をスピーティに
 する組織があるんです。そう言えば聞こえが良いんですが
会社内の問題を株主に対して隠ぺいする組織があるんです」

「どうしてそんなことするの?そんなことしたら
 株主訴訟を起こされて逮捕されるわ」
キャシーはアメリカと日本の会社の違いを聞いて驚いた。
「日本にはそれを堂々とやっている企業があるんです」
「本当!」
「日本は経済大国と言われていますがその割に会社運営がずさんで
それに対する法律が整備されていないようです。
もっと会社法を考えるべきでしょうね」
「そうね、国を裕福にするのには国に納税している企業を
 育て強化しなくてはいけないはず」
「これで小妹と田代悦子さんが入れ替わったわ」
「マギー、あのオヤジ何時間後に起きるの」
「きっかり6時間後、後は耳元でエッチな声を聞かせると
 目を覚ました時、やっと思いこんでしまうから
 問題ないわ」
「エッチな声か・・・」
美喜は1人で声を上げるのが恥ずかしくて腕を組んで悩んだ。

~~~~~
亮はマギーから送られてきた宮部の情報で
大飯の電話番号とメールアドレスを知り
すぐにロビンに電話を掛けた。
「ロビン、通信会社にハッキングをして個人情報を調べたいんだが
協力をしてくれないか。セキュリティが厳しくて時間が掛かりそうなんだ」
「ちょっと待ってくれ、美佐江と食事をしているところだ」
「そうかお邪魔だったようだな」

「い、いや。どこの通信会社だか教えてくれ」
「EUだけど」
「そうか、それならハッキングする必要はない。
 その会社とはうちの会社と国際ローミングしている。
 今からアドレスとIDを送るから接続して情報を取り出してくれ」
「あっ、ありがとう。ロビン」
亮はあまりにもすんなりと事が進んで気が抜けた。
「いや、それより明日の株主総会頑張れよ」
「うん」

亮はロビンに言われた方法で宮部の個人情報を取り出し
通話記録の中から大飯の電話番号を調べた。
「こいつか・・・」
亮は位置情報システムで大飯の居所を確認した。
「蓮華、桃華、小妹の居場所が分かったぞ」
亮は嬉しさのあまり大声を上げた。
「それで、小妹を救出に向かうんですか?」
「いいや、すぐに小妹にどうこうする事はない。
 見守って奴らの動向を監視するんだ」

「了解です」
出かけようとする2人を亮が止めた。
「待て!」
「はい!」
「僕がプレゼントしたポーチ持っているね」
「はい」
「緊急時は発砲を許可する」
亮は二度と仲間を危険にさらす事をしたくなかった。
「ラジャー」
蓮華と桃華は笑顔で走って行った。

「亮さん、あの2人に任せていいんですか?
 俺たちが行った方が・・・」
仁木が病み上がりの蓮華たち2人を心配していた。
「はい、明日のF電機の株主総会が終わるまでは
 塩見は本業の方で動いているの大丈夫です」
「そうですね」
「それより明日の総会は僕が代表で社内年金基金の
行方の件を質問しますのでかなり荒れると思います
よろしくお願いします」
亮は仁木と三雲に頭を下げた。
「はい、了解しました」

~~~~~
「美喜さん、そんなに心配しなくていいわよ」
美喜はいやらしい声の練習をしていると
マギーはテレビを点けオプションチャンネルの
アダルト番組をセレクトした。
「そうかこれを聞かせればいいのね。考えすぎちゃった」
「あの睡眠薬で眠りに陥った時AVを点けおくと
耳から入った情報は脳に記憶されて、
さも実体験があったように錯覚させる。
朝、目を覚ました時やった気になっているわ」
「本当!」
「元々、亮が睡眠学習用に作った物なんだけど
 別な用途に使っている」
「うふふ、面白い」
「ところでこの女いつまで気を失っているんだ、
 生きているんだろうな」
そう言って小関が小妹の顔を叩いた。
「う、うーん・・・・」
悦子と入れ替わった小妹は今まで気を失っていたように
芝居をして目を開けた。
「おい。大丈夫か?」
目を開けた小妹と目が合った
小関がなぜか小妹に気を使って聞いた。
「あ、はい。大丈夫です。私は・・・」
「俺たちはあんたを誘拐したんだ」
大飯は小妹と小関の間に割り込んで答えた。

「私を誘拐って!?。私の両親は
貧しくてお金なんて払えません。
月々の私の仕送りと少しの年金で暮らしているんですから」
小妹は悦子に成りすまして答えた。
「大丈夫だ、金なんて要求しねえよ」
大飯は思わず身代金目的も誘拐では無い事を言ってしまった。
「じゃあ、どうして私を?まさか・・・」
大飯は無言のまま目をそらした。

「あのう、さっきiphonの使い方が分からないと遠くで
聞こえた気がしたんですけど私やりましょうか?」
「ああ、でもなあ・・・」
小関は誘拐した人間の確認のメールを被害者に頼むわけに
行かないと思った。
「大丈夫です、それはそれこれはこれ変なことしませんから」
「そうか・・・この写真をこのアドレスに送ってくれ」
小関は小妹に小妹が寝かされている写真を塩見の部下、宮部
に送るように依頼した。

「まあ、私の写真ね」
小妹は1分ほどで写真を送った。
「送りました、変な事していませんから」
「ああ」
小関は気まずそうにそれを受け取った。
「疑っているようでしたらメールが
 届いたかどうか確認してください」
「わ、分かっているよ」
小関は小妹の一言で電話をするチャンスを逃していると
大飯は隣の部屋に行って宮部に電話を掛けた。

「宮部さん、写真を確認してくれましたか?」
「ああ、今先方にメールを転送するところだ返事が来たら
 連絡する」
「お願いします。まさか人違いと言う事は無いでしょうね」
「あはは、部屋番号を間違わなければ大丈夫だ」

~~~~~
正一郎は足元をふらつかせ、美喜の肩を借りて
銀座ルーセントホテルの部屋に入って来た。
「大丈夫ですか?社長」
「うん、少し飲み過ぎたらしい。
 せっかく君と楽しい夜を過ごすんだ少し休めば大丈夫だ」
美喜は正一郎の上着を脱がせベッドに横にさせた。

ベッドルームから出た美喜は入口のドアを開けると
マギーが入って来た。
「入って、マギーにもらった薬の効果があったわ」
部屋に入るとマギーは正一郎の上着からスマートフォンを取り出した。
「やっぱり着ていたわ、確認のメール」
マギーは小妹が添付されていた写真をマギーに見せた。
「本当だ!」

「亮、黒崎のスマフォに確認の為に小妹の写真が送られてきたわ」
「分かった、差し替えの写真を送る、
 そのメールをこちらに転送してくれ」
「了解」

「悦子さん、ソファに横になって手を後ろに回し、
 目を閉じて体をぐったりさせてください」
「は、はい」
亮は悦子に捕まっている様に見えるように
指示をして写真を撮り加工し宮部の
アドレスで正一郎のスマフォに送り返した。

亮のメールを受け取ったマギーは
宮部から来たメールを削除した。