渡夢太郎家の猫 -3ページ目

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

マギーは自分の胸を見下ろして美喜の胸を見た。

※日本人とアメリカ人のカップの差は測定方法が
違っているので一概に言えないが
日本人をAカップとするとアメリカ人はDカップ
と4カップも違う。

また日本人と欧米人は根本的に骨格が違い
たとえばそれを上から輪切りにすると欧米人は円形、
日本人は楕円形、それに半円形のバストが張り付ければ
円形の方は大きくなり楕円形の方は外側に向くのです。

「私、黒崎から連絡があった件を報告しておくわ」
「そうね、私は指示待ちで東京フォーラムの近くで
待機する」
マギーは出かける為に着替え始めた。

~~~~~
東京フォーラムの喫茶店で美喜からのメールを亮は受け取った。
「黒崎正一郎も株主総会に出席をするそうです。
 3000万株はあっちへ行ってしまいました」
亮は仁木と三雲とケイトの前でため息をついた。
そこに一恵と玲奈が委任状を持ってきた。
「済みません、さっき着いたばかりで」
「大丈夫です。すぐに有効株数(6か月以上保有)計算しましょう」
「はい!」
仁木と三雲は電卓を取り出し計算を始めた。

「亮さん、有効株数って何ですか?」
仁木が亮に聞いた。
「株主には株の売り買いで儲ける人間と
 持ち株の配当を受けるいます。議決権を持つ為には
 6ヶ月以上その株を持っていなければならないんです」
「なるほど、半年間株を保有しなければならないとなると
会社の買収にはそれなりの資金と時間が掛かる訳なんですね」
三雲は納得してうなずいた。

「そうです」
亮が答えると一恵と玲奈の計算が終わった。
「実質有効株数は中国が1億8500万株、
ロシアが8000万株」
「トータルで2億6500万株、こっちの
1億4000万株を合わせて
 4億500万株か・・・」
亮は手を頭に組んで天井を見上げた。

「大丈夫なんですか?30%に満たなくても」
一恵が亮の顔を覗き込んだ。
「はい、浮遊株主、いわゆる株主名簿に載らない
株主が5%ほどいますので発行株15億株のうち
7500万株は無効になると考えられます。
有効株数は14億2500万株、
それの30%は4億2750万株には2270万株足らないですね」
亮はそう言って微笑んだ。

「すみません、外国の株主さんの株ってどこにあるんですか?
 経済学は専攻していないもので」
三雲は正直に聞くとやはり内容が良く分かっていなかった
仁木が胸を撫で下ろした。
「外国人株主は日本に常任代理人を届けなくてなりません。
 ほとんどの場合証券会社です」

「なるほど、そこからの委任状なんですね」
「はい、外国人株主から委任状を集めて
拒否権を発動するなどと言う
 前例がありませんからどうなるか分かりませんが。
 株主の意見に相違はありません」
「はい、亮さん。頑張ってください」

そこに亮の元に四菱銀行の栗田義雄から電話がかかってきた。
「團さん申し訳ありません。昨日の会議の結果当行は今の
 F電機の執行部に付くことになりました。本当に申し訳ありません」
電話の向こうでは栗田が頭を下げているのが見えるようだった。
「大丈夫です。仕方が無い事です。
ご検討いただきありがとうございます」

続いていなほ銀行の山際恭子からも
同じ内容の電話がかかってきた。
「亮、難しい状況ね、今日F電機の株を買ったとしても
何の力もないし・・・」
ケイトが心配そうな顔をしていた。
「そう、良かった」
ケイトはもう一度後ろを振り返った。
「やはり塩見は最初から僕が生きているのを知っていて
僕の動向を探っていたんですね」
亮は三瓶五郎の事が気になっていた。
「じゃあ、五郎はスパイなの?」
「そうではないと思います、警察にスパイがいれば
 僕の動向など簡単に分かりますからね」

亮は金づちを持って亮の家をテニスクラブハウスの椅子を修理していた
朴訥とした人柄の三瓶五郎を信じたかった。
「じゃあ、警察にスパイがいるの?」
「スパイと言う訳じゃあいませんが情報を流す人間はいるでしょうね」
亮は脅しに怯える事無く運転をしながら次の作戦を考えていた。

「雪さん、僕の車を追尾して発砲した
車の照合お願いします。
 ナンバーは品川ま330-23○○-98××」
「了解です。傷はありませんか?」
亮の携帯電話の指示に雪は答えた。
「大丈夫です」
「今、車の持ち主を調べています・・・
 大日本経済研究所で車庫証明は赤坂で出ています」
「なるほどやはりそうですか」

亮が東京フォーラムの地下駐車場に車を止めると
その前に黒い服を着た男が立っていた。
「亮さん、お疲れ様でした」
仁木が頭を下げた。
「ああ仁木さん、三雲さん。ご苦労様です」
「大丈夫です、ここには塩見の子分はいません。
 受付と会場にいるようです」
「ありがとう、総会の10時まであと1時間か・・・」
時計を見た亮は中国とロシアからの委任状を待っていた。

「仁木さん、三雲さん。僕は上の喫茶店で委任状の
 到着を待ちます」
「分かりました」
亮は2人に囲まれ喫茶店に向かった。
「こちらへ来る途中、塩見の部下に狙撃されました」
「だ、誰にですか?」
仁木は驚いて亮に聞いた。
「おそらく塩見の手下だと思います」
「そんなに過激な手を・・・」
2人は塩見の手下がいるのではないかと周りを見渡した。

~~~~~
浜松町の美喜のマンションに正一郎から電話がかかってきた。
「おはよう美喜ちゃん、昨日は年甲斐も無く頑張ったよ。
先に寝ちゃって申し訳ない」
「ううん、昨日の黒崎さん凄かったわ」
「今からF電機の株式総会があるんだ。終わったら会わないか?
 渋谷の店に連れて行きたい」
「本当!行くわ。どこへ行けばいいかしら?」
「有楽町の東京フォーラムだ。12時過ぎに終わるはずだからランチでもしよう」
「分かりました。じゃあ後で・・・」

セクシーな声で電話を切った美喜にマギーが声を掛けた。
「黒崎?」
「ええ、昨日の晩本当にやった気でいるわ」
「へえ凄い」
「へえって使う初めてなの?」
「うん、亮が作った物だから信じていた」
マギーは平然な顔をして答えた。
「そうね、亮が作った物だものね効果があって当たり前ね」
美喜はうなずきながら答えた。
「ところでマギー、黒崎がF電機の株式総会に出るそうよ」
「マジ?困ったわ!」
マギーは亮のガードに付くつもりでいた。
「どうする。マギーの顔は黒崎にばれているから
 亮に近づけないわよ」
マギーは困ったような顔をしていた。
「変装すればいいかしら?」
「ダメよ。顔は変えられてもその巨乳は一目でばれてしまうわ」
「そうね」
「そうなんですけど、企業を弱体化させている総会屋や
 中小企業に貸し渋りをしているのに反社会勢力にお金を貸している
銀行を中々取り締まれない状況なのです」
「ひどい。日本の企業は清廉潔白だと思っていたわ」
「すみません、日本人は元来勤勉で手先が器用で
会社の上司や御上の言う事には逆らう事が出来ない人種なんです。
政治家にとってこんなに扱いやすい国民はいない訳で
往々にして政治家は自分が有能だと勘違いするのです」
「ねえ亮。あなたはアメリカに行けばもっと実力発揮できる、
 私と一緒にアメリカに行って仕事をしない。あなたの友達が
 アメリカにたくさんいるでしょう」
「そうですね。考えておきます」
亮がキャシーの気持ちを汲んで答えると
キャシーは自分のお腹を撫でててニコニコ笑った。

「ケイトパンケーキ焼きあがったよ!」
亮はケイトを呼んだ。

~~~~~
亮とケイトが仕度が終わって地下の駐車場に降りた。
「ケイト、その格好いいですね」
「そう、ありがとう」
黒いタイトスカートのスーツに黒いメガネを掛けたケイトが嬉しそうに笑った。
「どう見てもビジネスウーマン・・・」
亮は何故がどきどきしていた
ケイトは嬉しそうに笑って背筋を伸ばし大股で歩き車に乗った。
「ケイト、もしもの時の為にシートベルトをしっかりしてください」
「ええ、しているけど。どうしたの?」
「ひょっとしたらひょっとするかも」
亮は駐車場を出ると右に曲がりF電機の株式総会が行われる丸ノ内の
東京フォーラムへ向かった。

そして麻布十番の近くで車が後ろに付いた。
「来たな!」
亮はルームミラーで後ろの車を確認すると
サングラスをかけた男が乗っていた。
「何?どうしたの?」
ケイトは亮が厳しい顔つきが変わったのに気付き
聞いた。
「僕を付けています。ひょっとしたら株式総会に行かないように
塩見が妨害をするかもしれません」
「大丈夫なの?」
「ええ、ちょっとスピードを出します。掴まっていてください」
亮はアクセルを踏み目の前に東京タワーが見える一の橋交差点で
都道415号線を横切り赤羽橋方面に向かうと後ろの車も
スピードを上げて付いて来た。
亮は赤羽橋の交差点を左に曲がり増上寺と東京プリンスホテルの脇の道を
ハンドルを切って右に曲がった。
「キャ!」
ケイトは亮の方に体を寄せた。
「バシッ」
リアのガラスから音が聞こえるとケイトが振り返った。
「な、何の音?」
「弾丸が当たった音です。大丈夫ですダイヤモンドと同じ硬さの
炭素繊維ボードですから」
「こんな事アメリカでも無かった」
ケイトは体を屈めた。
「済みません、物騒で!」
「私たちを殺すつもり?」
「いや、警告だと思います」
その2車線だが両側が壁に囲まれ視界が悪く狭い
その道を亮は全速寮で走り抜けた日比谷通りに出でた。
「キャー、ぶつかる」
日比谷通りを走って来た車が追突しそうになって
ケイトは足をつっぱらせた。
「あはは、ごめん」
亮はそのまますスピードを落とさず
日比谷に向かって走った。
「追ってこないわ」
ケイトは後ろを振り帰って確認した。
「普通の人間にはあれで十分脅しになりますからね。
 もう追ってこないと思いますよ」