渡夢太郎家の猫 -2ページ目

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

3人の男に囲まれ20代男の顔色が変わった。
「僕の名前は團亮です。
あなたに僕の殺害を命令したのは誰ですか?」
亮はしゃがみこみ男の目を見て話を掛けた。
「・・・」
「あなたの身の安全は保障します。このまま
 警察に身柄を渡さず逃がします」
「えっ?」
男は亮の顔を見上げた。

「とにかくこのんな世界から足を洗ってください」
「でも・・・俺・・・」
「ある男が塩見のところを辞めて来た。
 彼は自分の夢を叶えようとしています。
 家具職人としての夢を・・・」
「家具職人って三瓶五郎ですか?」
「そうですよ。知っているんですか?」
「ええ、あいつ警察に捕まったとばかり思っていました・・・
 俺もなれますか?高校中退だけど」
「はい、なれます。努力してビッグになってください」

「・・・俺。須藤武と言います。上の命令で團さんを
 殺すように言われました」
「誰に?」
仁木が真剣な顔で男に詰め寄った。
「宮部さんです。團さんを殺して株式総会に
出られなようにしろって言われました」
「分かりました。ありがとう須藤さん」
亮は優しく須藤の肩を叩き結束バンドを切った。
「仁木さん、外で待機しているマギーのところへ
 須藤さんを連れて行ってください」
「分かりました」
仁木は駐車場の出口から須藤を連れ出した。

「痛てえ・・・」
亮は右脇腹を抑えた。
興奮から覚めた亮はアドレナリンの量が減り
痛みが強くなってきた。
「大丈夫?亮」
「ええ、まあ」
亮は5mmと玲奈に言ったが
傷口はそれ以上に深かった。
「亮、沙織さんを呼んだから頑張って、20分ほどで着くそうよ」
「はい、ありがとう玲奈さん」
亮は時計を見ると脇腹を抑えた。

「亮さん、手を貸しましょうか?」
「いいえ、大丈夫です」
心配して手を出した三雲を断った。

そこにスーツを大事そうに抱えた一恵が走って来た
「亮、お待たせ。安物のスーツだけど・・・」
「ありがとう」
亮がそれを受けとってトイレの個室に入ると
一恵も一緒に入った。
「な、何?」
「とりあえず止血をしないと」
一恵は亮を裸にして絆創膏が付いている脇腹に包帯を巻いた。
「さあ、パンツを脱いで」
一恵はまるで母親のように亮のパンツを脱がせると
買って来たパンツを履かせシャツを着せ
ワイシャツを着せた。

「既製品だから足の長さが少し短い
 かもしれないけど我慢して」
ズボンをはかせると釣りベルトを付けた。
「これならウエストが楽でしょう」
「はい、ありがとう」
ズボンを履いた亮は個室の中から出て上着を着た。

「さあ、時間がありません。会場へ行きましょう」
「大丈夫ですか?」
心配になった三雲は亮に聞いた。
「大丈夫です、脇腹をきつく締めたら
 楽になりました」
亮は背筋を伸ばし皆を引き連れて
F電機株主総会に向かった。
「わわわ・・・」
男は右手でナイフを持ち左手で股間を抑えた瞬間
亮は体を回転させ回し蹴りを顎にヒットさせた。
男は後ろの個室に飛ばされ便器に座り込んだ。
「人のオシッコを邪魔しやがって、手がびしょびしょだ」
亮は男の顔を右手で思い切りビンタして
男の服で手を拭いた。
「亮!どうしたの?」
一恵が男子トイレに飛び込んで来た。
「ああ、丁度良かった。僕のスーツとワイシャツを買ってきて
 くれますか?スーツの青○がフォーラムを出てすぐにあります」
「はい・・・亮それ出ているわよ」
一恵は恥ずかしそうに亮の股間を指さした。

「ああ、ごめんごめん」
亮は慌ててチン○ンをしまってチャックを上げた。
「怪我は?」
「ちょっと脇腹をね・・・」
亮は切れたスーツの上着を上げると
ワイシャツが赤く血で染まっていた。
「どうして炭素繊維ウエアを着ていなかったんですか?」
一恵は怒るように言った。
「だってあれは黒だからワイシャツの下には着られない」
「分かりました。すぐに買ってきます」
一恵は男子トイレから走って出てきた。
「待ってください一恵さん。ついでにパンツも買って来てください」
「うふ、濡れちゃった」
一恵は早足で男子トイレから出て行った。

「仁木さん、ちょっとトイレまで来てくれませんか」
亮が電話を掛けると仁木と三雲が飛んできた。
「亮さん何か有ったんですか?」
「あいつが後ろから僕を狙った」
仁木は亮の答えにため息をついた。
「済みません、この男警察に突き出してください」
「分かりました」
三雲は男の手首を結束バンドで後ろ手に結んだ。
「亮!大丈夫」
玲奈が走って来た。
「脇腹を5mmほど切られました」
亮はシャツを上げ右脇腹を見せた。

玲奈はタオルで傷口を抑え
出血を抑えるとバックから20×10cmの絆創膏を取り出した。
「これでいいの?」
「はい、卵の内皮と同じ成分のメチオニンが塗布してありますから
 傷口が早く治ります」
亮は絆創膏の透明のシートをはがし脇腹に貼った。
「でも病院へ行かなくちゃ・・・」
玲奈は心配そうに亮の顔を見た。
「分かっています。玲奈さん申し訳ありません。
沙織さんを呼んでください」

「亮さん、警察に引き渡す前にこの男に依頼者を吐かせた方が
 良いんじゃないですか?」
亮が男のところへ行くと仁木は男の顔を叩いた。
「いいえ、この男は口が堅そうです。
 仕事に失敗して自殺するかもしれませんよ。
 注意してください」
亮は20代の黒いスーツ姿の男を乱暴に
扱われないように仁木を止めた。

「そう言えば。ある組織の部下は仕事に失敗すると
 腹を切って自殺する事で有名ですね。この前も
 幹部の男が行方不明だとか」
「自殺は表向きの話で本当は何かドジを踏んで始末されたんだろう」
仁木と三雲が男を冷ややかな目で見詰めた。
20代男は仁木と三雲の会話を聞いて体を震わせた。
「なあ、兄さんよ。やくざな人間はまともな感情じゃない、
 自分の事しか考えていなんだ。
いったいいくら金をもらっているんだ?」
仁木が男の顔を取り上げたナイフで叩いた。
「まさか、ノーギャラで幹部にしてやるなんて
馬鹿な話じゃないだろうな?」
三雲が笑った。
「ええ、難しいですね。次の手はどうしたらいいか・・・」
亮はそう言って時計を見た。

「亮、俺だ」
「あっ、森さん」
「やっと塩見の部下菊池澄夫の事が分かった」
「本当ですか?」
「ああ、奴は女とマカオに旅行をする約束をしていたが
 ある日、ぷつんと連絡が途切れたらしい」
「菊池は敵対している組織から逃げようとして
殺されたんですね」
「いや、女によると組織から逃げると言うより
最近金回りが良くなって随分貢いでもらっていたそうだ」

「どれくらい?」
「500万円以上だそうだ」
「500万円!それは尋常じゃないですね。
ひょっとしたらそのお金・・・」
「ああ、俺もそう考えている。塩見の金に手を出して
 塩見に殺されたんじゃないかと・・・」
「そうですね、でも部下の宮部に殺させるでしょうか?」
「いいや、塩見が雇った殺し屋だろう。いくら塩見の
過激な部下連中でも殺しまではしないだろう。せいぜい拉致、
監禁だろう」

亮は森にそう言われて小妹を監禁しているのは
小妹の部下であることを祈った。
「では菊池の部屋に鑑識を入れて証拠品を集めさせましょうか?
 ベッドにたっぷりと血液が残っていたそうですから」
「いや、それでも塩見の命令でいる証拠は出ないだろう。
 もうしばらく俺に任せてくれ、必ず菊池の死体を探し出して見せる」
「分かりました。何かあったら連絡ください、僕でできる事が有ったら・・・」

「うん、早速だが亮に会ってもらいたい女がいる」
「えっ?」
「菊池が入れ込んでいたホステスだ」
「それで僕ですか?」
「ああ、お前の事を知っているそうだ」
「だ、誰ですか?」
「さてそろそろ」
亮は時計を見て立ち上がった

「あっ、ちょっと待ってオシッコ」
亮は立ち上がるみんなを笑って制した。
「緊張しているの亮?」
「あっ、私も行く」
一恵が立ち上がって亮の脇に立った。

「亮、緊張しているの?」
一恵が亮の脇に立って亮の顔を覗き込んだ。
「男は自分の物を握って男の自覚を持つんです」
「うふふ、じゃあ女は何処を掴めばいいかしら?」
「ち・く・び」
「嘘!本当!」
一恵が大声を上げた。

「あはは。な、わけ無いか・・・」
「もう、亮が言うと本気にするじゃない」
「自分が女として自覚している場所を触るのは
 良い事ですよ。それは個人差でしょうけど」
「そうか・・・」
一恵はニヤニヤと笑った。

亮は軽く手を上げて男子トイレに入り
ズボンのチャックを下ろした。
「ふう」
亮は便器を見下ろした。

その時、亮の目線に黒い影が走った。
「野郎!」
男が亮の腰目がけナイフを両手に持って走って来ると
亮は右手で自分の物を持ったまま右足を後方に上げた。

その足は男の腹部入りそれ以上の接近を止めた。
「ウッ!」
亮は体を返し正面を向いてもう一度
男の股間を蹴り上げた。