グッド・ジョブ媚薬8 黙示禄108 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

3人の男に囲まれ20代男の顔色が変わった。
「僕の名前は團亮です。
あなたに僕の殺害を命令したのは誰ですか?」
亮はしゃがみこみ男の目を見て話を掛けた。
「・・・」
「あなたの身の安全は保障します。このまま
 警察に身柄を渡さず逃がします」
「えっ?」
男は亮の顔を見上げた。

「とにかくこのんな世界から足を洗ってください」
「でも・・・俺・・・」
「ある男が塩見のところを辞めて来た。
 彼は自分の夢を叶えようとしています。
 家具職人としての夢を・・・」
「家具職人って三瓶五郎ですか?」
「そうですよ。知っているんですか?」
「ええ、あいつ警察に捕まったとばかり思っていました・・・
 俺もなれますか?高校中退だけど」
「はい、なれます。努力してビッグになってください」

「・・・俺。須藤武と言います。上の命令で團さんを
 殺すように言われました」
「誰に?」
仁木が真剣な顔で男に詰め寄った。
「宮部さんです。團さんを殺して株式総会に
出られなようにしろって言われました」
「分かりました。ありがとう須藤さん」
亮は優しく須藤の肩を叩き結束バンドを切った。
「仁木さん、外で待機しているマギーのところへ
 須藤さんを連れて行ってください」
「分かりました」
仁木は駐車場の出口から須藤を連れ出した。

「痛てえ・・・」
亮は右脇腹を抑えた。
興奮から覚めた亮はアドレナリンの量が減り
痛みが強くなってきた。
「大丈夫?亮」
「ええ、まあ」
亮は5mmと玲奈に言ったが
傷口はそれ以上に深かった。
「亮、沙織さんを呼んだから頑張って、20分ほどで着くそうよ」
「はい、ありがとう玲奈さん」
亮は時計を見ると脇腹を抑えた。

「亮さん、手を貸しましょうか?」
「いいえ、大丈夫です」
心配して手を出した三雲を断った。

そこにスーツを大事そうに抱えた一恵が走って来た
「亮、お待たせ。安物のスーツだけど・・・」
「ありがとう」
亮がそれを受けとってトイレの個室に入ると
一恵も一緒に入った。
「な、何?」
「とりあえず止血をしないと」
一恵は亮を裸にして絆創膏が付いている脇腹に包帯を巻いた。
「さあ、パンツを脱いで」
一恵はまるで母親のように亮のパンツを脱がせると
買って来たパンツを履かせシャツを着せ
ワイシャツを着せた。

「既製品だから足の長さが少し短い
 かもしれないけど我慢して」
ズボンをはかせると釣りベルトを付けた。
「これならウエストが楽でしょう」
「はい、ありがとう」
ズボンを履いた亮は個室の中から出て上着を着た。

「さあ、時間がありません。会場へ行きましょう」
「大丈夫ですか?」
心配になった三雲は亮に聞いた。
「大丈夫です、脇腹をきつく締めたら
 楽になりました」
亮は背筋を伸ばし皆を引き連れて
F電機株主総会に向かった。