河口湖を抜け、西湖までの道のりは、ひたすら登りが続く。
その途中にあるのが、51.6km地点にある西浜小学校のエイド。
着替えや食料等の荷物を置ける場所ではあるが、
69.8km地点の本栖湖エイドだけでいいと判断して、ここでは給水のみ。
無駄に長居する必要もなければ、先を急いだほうがいい。
顆粒のサプリメントを水で流し込んでリスタート。
3番目の砦となる西湖は、復路に比べれば往路はまだ淡々と走れる。
歩道のない場所も徐々に増え、対向車が続くと多少窮屈になるが、
ここまで来ると集団もバラけてほぼ縦1列になって走るのでそれほど
影響はない。
順調に往路の西湖もクリアし、野鳥の森公園へとつながる登り坂へ。
72kmの去年よりもはるかにキツく感じる上に、長くも感じる。
ちらほら歩くランナーもいたが、ここで歩いてては完走が厳しくなる。
野鳥の森公園・・・で待っている「吉田うどん」目指して、無心で走る。
ダラダラとした山道を走り、人だかり、そして駐車中の観光バスが見えたら
そこが別名「うどんエイド」と呼ばれる、野鳥の森公園。
この先、青木ヶ原樹海~精進湖~R139~本栖湖を折り返し、
再び降りてきた道を登ってこの場まで帰ってくる中盤の踏ん張りどころを控え、
エネルギー補給に欠かせない腹ごしらえの場なのだ。
吉田うどん(具なし。七味を少々)を勢いよくすすり上げ、ホットココアで
ひと息ついて、それでも長居はせず3分程度でエイドを後にする。
スタート時に持っていた、塩タブレット以外のサプリメントがここで尽きた。
(ザバスのゼリーバー3本、NI2本、アミノバイタルプロ1本)
しかし気温も低く、それほど消耗もないのでこのまま本栖湖までいけそうだ。
青木ヶ原樹海を眼下に見下ろしながら、連続する陸橋を一気に下る。
(私のような高所恐怖症の人間には少々つらい区間だが)
最も外周の短い精進湖へ。
それでも長かった。去年の2倍ぐらい長く感じた。
このあたりから、少し雨が落ち始める。
そして、長い長いR139(富士パノラマライン)の地獄道。
下り基調とはいえ、本栖湖から戻ってきたランナーとの交差が絶えない。
どちらも歩道を走るので、前に歩いているランナーがいると追い越しが難しくなる。
加えて木の枝がせせり出る場所も多く、前のランナーのはね返りで枝が身体を
直撃することも少なくない。
まだ参加者の少なかった頃は、それほど気にならない状況だったとは思うのだが、
今や3000人以上が同じコースを走る盛況ぶり。これもまた試練である。
雨が少しずつ強くなっていく中、やっとの思いで本栖の交差点へ。
これもこのコースの名物、階段つきの地下道をくぐって本栖湖へと一直線。
69.8km、本栖湖県営駐車場の関門を通過。
なんとか歩かずにここまで来れた。貯金も徐々に積み上げ、ここは少しゆっくりできる。
先回りしていた嫁と合流する。(雨の中、応援する側も大変だ)
両脚にエアーサロンパスを思いっきりぶっかけられながら、
ここでウエアを着替える。
今回は雨の有無にかかわらず冷えると予想して、長袖を2着用意した。
「雨が降っても重くならない」と店員さんに勧められたニューバランスの
ウエアにスイッチ。いよいよ本降りになってきたので、上からビニール袋で
作ったポンチョをかぶせる。
復路用の補給食やサプリメントもポケットに入れて、
軽くストレッチをしていたら、普段同じ場所で練習しているクラブの方と出会う。
・・・疲れで少し朦朧としていたので、はっきり会話できたかどうか分からないが、
頑張りましょうと言葉を交わし、本栖湖を後にする。
ゴールまであと30kmあまり。距離は未知だが、コースは既知だ。
正直、まだ完走は半信半疑であり、余裕もそれほどない。
でも幸い、両脚に感じる痛みはまだ少ない。
去年の夏頃から痛み始めた左足の裏も、ソックスとテーピングのおかげで
なんとか持ちこたえている。
帰りのR139、精進湖、青木ヶ原、再び野鳥の森公園・・・
雨に打たれながらも歩かずに走り続け、気持ちで帰ってきた。
エイドで食べるレモン味のグミが、疲れを癒してくれる。
80km(残り20km)通過で、残り4時間あれば大丈夫。
なんとか目処を立てるべく、復路の西湖へと入っていった。