小学校での読み聞かせ活動記録 -22ページ目

絵本-い

文化出版局編集部, 石亀 泰郎
イエペはぼうしがだいすき

40P/22×20.8/文化出版局/1978年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-緑と芝生の美しい時期


茶色い帽子が大好きなデンマークの3歳の男の子、イエペの1日を追った写真絵本です。家族や友だちに囲まれている時のイエペの笑顔が印象的です。大好きな茶色の帽子は、イエペにはちょっと大きすぎす気もしますが、この帽子さえあればイエペはいつだってごきげんです。一番のお気に入りというだけあって、最後まで読むうちに、イエペにはこの帽子しかない!って思えてくるから不思議です。


作品では、コペンハーゲンでの日常生活も描かれています。家庭での朝食の風景や散歩の様子。保育園等々。懐かしいと思うほど日本と似ているところもあれば、ちっょとしょっくを受けるほど違うところもあり、外国の生活の様子も垣間見る事のできる押しもろさもあると思います。

パット ハッチンス, Pat Hutchins, 乾 侑美子
いたずらビリーとほしワッペン

32p/21×26cm/偕成社/1995年初版/読み聞かせにかかる時間 3分/季節-全般


あらすじ

いたずら怪獣ビリーが初めて幼稚園に来ました。怪獣の世界のお話なので、悪いことをすればする程先生は感心して、星のワッペンわつけてくれます。友達の間でも大人気です。

神沢 利子, 平山 英三
いちごつみ

31P/23cm/童心社/1980年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-苺と言っていますが、どうみてもこの絵はラズベリー。季節は、夏~秋でしょうか。


小さな女の子が山にラズベリーを摘みに行った時に大きな熊と知り合いになりました。熊は、とても優しくて、女の子の家を直してくれました。熊は、お礼に女の子からは赤い帽子をお母さんからはエプロンをもらって森の中に帰って行きました。


ここに登場する女の子は、とっても誉め上手です。最初は、女の子が勘違いをしていたので、ちょっぴり怒っていた熊も、女の子の話す言葉にいつの間にか相槌を打ってしまうほどです。黄緑色の葉の中に、宝石のように美しい苺の実が沢山なっている絵は、懐かしいようなうれしいような気持ちを思い起こさせてくれるでしょう。

斉藤 恭久, まど みちお
いっぱい やさいさん

24P/26×26/至光社/1992年初版/読み聞かせにかかる時間-3分/季節-野菜の瑞々し春~夏


詩人まどみちおのネームに、斉藤恭久が、本物以上に瑞々しい挿絵を描き、一冊の絵本に仕上げました。「きゅうりさんは/きゅうりさんなのがうれしいのね」と野菜に語りかけるような読者に語りかけるような美しい日本語。詩人ならではの感性が紡ぎ出した言葉といえるでしょう。


『いっぱいやさいさん』は、幼児絵本に分類されがちですが、野菜と一緒に描かれている昆虫は、くびきりぎりすだったり、おにくわがただったり、かなりマニアックな昆虫が描きこまれていたりします。韻を踏んだ美しい日本語は、読むほどに心に残ります。一回といわず、何回も子ども達の目に触れるところに置いておき、声に出して読みたい一冊です。


まどみちお-本名・石田道雄。1909年生まれ。25歳の時に雑誌に投稿した作品が北原白秋に認められ、本格的詩活動を始めます。「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」などの童謡を次つぎと発表しました。幼稚園の卒園児によく歌われる「一年生になったら」も、まどみちおの作品です。

谷川 俊太郎
いつもちこくのおとこのこ―ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー

32p/26×25/あかね書房/1988年初版/読み聞かせにかかる時間5~6分程度/季節-ライオン・ワニ・ゴリラ・津波そんなモノが出てくる作品に、季節は関係なしでしょう!


ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー君がお勉強をしようと学校へ向うと、途中でワニが出てきたりライオンに会ったり、津波に襲われたりして、遅刻してしまいます。理由を正直に先生に話すのですが、先生は信じてくれません。


ある日、めずらしく何も起こらずに学校に着いたら、先生がゴリラに襲われていました。助けを請う先生にジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは答えます。「大きな毛むくじゃらのゴリラなんてものは、このあたりの屋根にはいませんよ、先生。」と。


各ページに出てくる、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー君のフルネームの繰り返しと奇想天外な展開とリアリズム。この不思議な組み合わせが、シュールな世界を醸しだしています。子ども達は意外と、こういう不可思議な絵本の世界を好む傾向があるみたいですね。

 

マーガレット・ワイズ ブラウン, Margaret Wise Brown, Hans Augusto Rey, ふくもと ゆみこ, H.A. レイ
いぬ おことわり!

30P/27cm/偕成社/1997年初版/季節-動物園に行くのに良い春や秋/読み聞かせにかかる時間-8分程度

飼い主のおじさんが、小さな飼い犬を連れて動物園に行くと「犬、お断り」と書かれていました。二人は、がっかり。しょんぼり。すると門番が言いました。「犬はお断りですけど、人間の子どもみたいに見えれば入れるんですけどねぇ。」そこで、小さな犬は、人間の小さな女の子に変身して動物園に入ることにしました。


絵本-う

北川 民次
うさぎのみみはなぜながい―メキシコ民話

32P/31×32/福音館/1962年/読み聞かせにかかる時間-11分/季節-なし。ただ、私見ですが、ジャングル=暑いって事で夏がオススメでしょうか。


うさぎは、神様にもっと大きな体が欲しいとお願いしました。すると神様は、虎とワニと猿の皮を剥いで持ってくれば望みをかなえてあげると言われました。体の小さいううさぎは、知恵をめぐらし、見事に神様の言われたもの揃えて、神様のところへ持ってゆきました。


これを見た神様は、小さな体でもこれだけのことができるのなら、大きな体になったら何をしでかすか判らない。だから、大きな体を与える事はできない。しかし、約束だから、体の一部だけを大きくしてあげよう。そういう訳で、うさぎの耳が長くなったのです。

まつい のりこ
うしろにいるのはだあれ

26P/19×19/童心社-よんでよんでの絵本シリーズ/読み聞かせにかかる時間-1分/季節-なし


「大きな木 うしろにいるはだあれ?」と左半分に文章。右半分は、大きな木ときに隠れたけど、羽がちょっと見えている小鳥の絵。次のページは、もちろん「鳥!ぴぴぴぴぴ」と書いてあって、小鳥が空を飛んでいる絵になっています。


子ども達は、絵本の中に隠れているキャラクターを探すのが大好きですもの。難しすぎず、簡単すぎず、意外な隠れキャラに大喜びします。


五味 太郎, ミア・リン・ペリー
きんぎょがにげた―英語版

『うずらちゃんのかくれんぼ』や『きんぎょがにげた』も、絵が美しかったり、可愛らしかったり、少しずつ違ったところに工夫がされてますが、同じ傾向の絵本だと思っています。結末が判っているから、覚えるのも簡単で、文字が読めなくても読むことの出来る絵本の代表ともいえるでしょう。


こんなお子様絵本だけど、1・2年生は意外にも真剣に聴いてくれます。予測が出来るから、安心できるのかも知れないですね。そして、エネルギーが余っているから、「かたつむりだぁ。」「違うよ、アリ!」と会話も弾みます。

きもと ももこ
うずらちゃんのかくれんぼ

32P/22×20/福音館/1994/読み聞かせにかかる時間-2分/季節-うららかな春~秋


皇太子様のお子様である愛子様がこの絵本を読んでいる姿が放映されて、一躍有名になった絵本です。


ひよこちゃんとうずらちゃんが順番にかくれんぼをするのですが、上手に隠れたつもりでも、ハチが飛んできたり、強い風が吹いてきたりして、二匹ともすぐに見つかってしまいます。そのうち雨が降ってきて、心細くなってきた二匹の元にやってきたのは、ひよこちゃんとうずらちゃんのお母さんたちでした。みんな仲良く安心して、家に帰りました。という内容です。


鮮やかな色彩で描かれていて、ひよこちやんとうずらちゃんが隠れているページは、小さい子でも簡単に見つけられる隠し絵になっていたりします。こんなに可愛いかくれんぼなら、やってみたいなと思わせる絵本です。


安野 光雅
美しい数学-⑦  ふしぎな たね
32P/26.1×21.5/童話屋/1992/読み聞かせにかかる時間-読むだけなら9分なんだけど、計算しながら読むと、個人差が出るかも・・・/季節-なし。

なまけものの男が神様にもらったタネは、ひと粒食べると一年間何も食べる必要がありません。最初に2つぶもらった男、一つは食べ、一つは地面に植えました。翌年、一粒のタネから二つの花が咲き、二つの実がなりました。一粒は食べ、一粒は植えるということを繰り返しているうちに、これでは全然増えないことに気づき、ある年、男は違う食べ物で一年間凌ぎ、二粒とも、植えることにしました。


翌年は、4つの実がなりました。一粒食べ、残りを植えました。翌年は、6つの実がなり、その次の年は、10個の実がなりました。男は、9つのタネを植えました。次の年は、18の実がなり、その次の年は、34個の実がなりました。その次の年には、通りがかりの女の人がきて手伝ってくれたので、女の人にも実を分けてあげました。そして、次の年、その女性と結婚することにしました。招待した5にんに、2こずつあげました。ついでに蔵を建てて、16個のタネをしまいました・・・。


このあたりになると、電卓とかメモがないと、今、何個の実が手元にあるのかが全然判りません。その後も子どもが生まれたり、蔵に備蓄したり、算数が嫌いな人には、苦しい展開が続きます。しかし、終盤には台風が来て、10個のたねを残して、皆、流されてしまいます。


お母さんは「この子が無事でよかった」と言います。お父さんは「10個もタネが助かった」と言いました。残ったタネのうち、3個を家族で食べて、残りを地面に植えて「どうか、いいタネが実りますように」と天に祈りました。


途中まで読んだときは、計算が面倒臭くって、放り出しそうになってしまいました。けれども、根気よく読み進んだら、なまけものの男は、いつしか働き者になり、家族が増えて、神に感謝するようになったのです。最後まで我慢して読んでよかったと思いました。でもね、なまけものの男が結婚した年からは、計算はしていません。こういうのは、ちゃんと子どもが神と鉛筆を使って、勉強するべきものです。大人が、むきになってやるものじゃあ、ありませんよね。


シリーズの紹介

①10人のゆかいなひっこし

②③すうがく博物誌 上・下

④壷の中

⑤赤いぼうし

⑥3びきのこぶた



絵本-え

絵本-お

グリム, フェリクス・ホフマン, せた ていじ
おおかみと七ひきのこやぎ―グリム童話

32P/22×30/福音館書店/1980年/読み聞かせにかかる時間-7~8分程度/季節-通年



お母さんは、七匹のこやぎたちに向かって


「おおかみには気をつけるんですよ。」と言って出かけます。



しばらくすると、おおかみが「お母さんですよ。」と言いながら戸を叩く。


子ども達は、おおかみのしゃがれ声に気づいて戸を開けない。


すると、オオカミはチョークを飲んで、声をきれいにする。


子ども達は、戸の隙間から見た手が黒いのでおおかみだと見破る。


すると、おおかみは粉屋に行って、手を白くする。



そして、とうとう子ども達はだまされておおかみに食べられてしまう・・・。



あまりにも有名なグリム童話です。


多くの訳者が邦訳し、挿絵を書いています。


絵本の中では、福音館のせたていじ訳/フェリックス・ホフマン絵が


最も原作に近い気がします。


ただ、最後におおかみが井戸に落ちる場面で・・・



  おおかみ、 しんだ


  おおかみ、 しんだ



こやぎ達がうれしそうに連呼する場面があるんですね。


本当の昔話を小さい頃からたくさん聞いている人たちにとっては


怖い化け物=おおかみが、大好きなお母さんのお陰で完膚なきまでに


叩きのめされ、二度と恐怖におびえる事はないという


単純な子どもの心理に働きかけた優れた童話だということが


判るのでしょうが、、、



意外に、単なる残酷物語ととらえる保護者が少なくありません。



きれいなだけのアニメ絵本やすべての生き物が仲良しという風潮を


助長する作品が氾濫している弊害でしょう。


小さな子ども達にとっては、お父さんとお母さんは絶対的に善の存在なのです。


おおかみやかちかち山のたぬきなどは、家庭を破壊する悪の存在の象徴です。


現実空想の区別があいまいな小さな人にとっては、


単純明快に善悪を判断できる物語でなくてはならないのです。


そうでないと理解できないというべきでしょうか。


悪い事をしても反省すれば許されるというのは大人の理屈です。


小さい人にとっては悪い事は、ただ、単純に悪いのです。


まずは、善悪というものを理解してから、


反省することや仲直りするという事を学ぶのです。



小さい人ほど、悪は完膚なきまでに滅びなければならない存在なのです。


そういうことを理解し、そういう経験を経て


アニメ絵本や創作童話を読むようにできればいいと思います。



ディズニーのアニメ絵本やキャラクター絵本、


昔話や童話を脚色した創作童話などは


本物を知った後で、手に取るようにすれば良いのです。


村山 桂子, 織茂 恭子
おかえし

32P/20×27/福音館書店/1989年/読み聞かせに罹る時間-9分程度/季節-いちごを摘んでいるから春(引越しが春に多いからとも言えるかな?)



ある日、たぬきの隣の家に、きつねが引っ越してきました。きつねは、引越しのあいさつに籠一杯のいちこを持ってきました。恐縮したたぬきの奥さん、お返しに筍を持って、きつねの家を訪れます。


お話がここまでならば、日常です。絵本の世界では「おかえし合戦」が始まります。筍のお返しは、花瓶と生花。そのお返しは、壷で、そのお返しは椅子とクッション・・・。「ほんのつまらないものですが、これはおかえしの おかえしの おかえしの・・・」いきつくところまで行った二人は、自分の子どもをおかえしに差し出してしまいます。子ども達の寂しそうな顔ったらないです。そして、最後は、ご心配なく。ちゃんとハッピーエンドになります。だって、自分をおかえしにしちゃうんですもの。そして、「あら、お隣に引越しのご挨拶に行かなくちゃ・・・」で終わります。


繰り返される同じ言葉と、だんだんとエスカレートするおかえしの品々・・・。小道具こそ違いますが、これはまさにウクライナ民話を基にした傑作絵本『てぶくろ』そのものです。。何となく知っている内容てで、安心して聴いていられるのでしょう・・・。子ども達はこのお話は大好きです。心地よい響きのためか、大抵の場合、一度に二回以上は読んで欲しいとせがまれる絵本です。


マーグレット E.レイ, H.A.レイ, 中川 健蔵
おかえりなさいスポッティ

29P/26cm/文化出版局/読み聞かせにかかる時間-14分~15分/季節-多分、一年中。強いて言うならばうさぎが生まれ易い時期:冬を除くらしいですが、条件によっては一年中繁殖するらしいので)やっぱり一年中ですね

うさぎのお母さんが先週の金曜日に子どもを産みました。たくさん生まれた中に目が青くて体中に茶色のミスだま模様のある子が一匹・・・。お母さんとおばさんは、このスポッティという子うさぎを他の子と同じように好きなんですけど、おじいさんは、見た目が違うから嫌がるかもしれないと悩みます。

結局、真っ白でピンクの目と鼻をしている子ども達だけをおじいさんの家に連れて行き、スポッティは留守番です。ショックを受けたスポッティは家出をしてしまうのですが、その時に出会ったのが、茶色の模様に青い目をしているブラウンさんというお父さんうさぎでした。

ブラウン一家は、全員スポッティと同じ姿をしているのですが、ホワイティという真っ白でビンクの目と鼻を持つ白うさぎが一匹いて、ブラウンさんはホワイテイを好きだけど、おばあさんが嫌うんじゃないかと心配していたというのです。ホワイテイとスポッテイの状況を見て、「これはおかしい!みんな同じなんだ」という事に気づいたスポッティたちは、大喜びです。


一方、スポッティの家では、スポッティがいない事に気づいて大騒ぎになり、家族はスポッティの大切さを実感して大いに反省をしていました。翌朝、ブラウンさん一家とともに帰宅したスポッティは家族に大歓迎で迎えられ、皆で仲良くにんじんパーティをしました。おしまい。

日本人はとかく、周囲からはみ出すことを嫌いますし、自分が周囲と違うことを悩む子も多いようにに思います。読み聞かせにはちょっと長い絵本かも知れませんが、さらりと優しい心を描いたこういう作品は、できるだけ子ども達に届けたいと思います。

エズフィール スロボドキーナ, Esphyr Slobodkina, まつおか きょうこ
おさるとぼうしうり

44P/21×17cm/福音館/1970初版/読み聞かせにかかる時間-6~7分/季節-通年


最初に注意したいのは、絵本の大きさです。


小学校の一学級で読むのには、


少々小さいと言わざるを得ません。




まずはじめに じぶんの こうしじまのぼうしを かぶります。


そのうえに ねずみいろの ぼうしをのせ、


そのうえに ちゅいろのぼうしをのせ、


そのうえに そらいろの ぼうしをのせ


そして、 いちばんてっぺんに あかいぼうしを のせました。



と書いてあるのですが、



帽子売りの帽子の模様と


売っている帽子の模様の区別がつかないのです。


遠目で見たら判る子はほとんどいないでしょう。




自分の帽子とねずみ色の帽子の区別がつかないというのは


大きなマイナスに思えてしまいます。


家庭でもしくは、数人程度を対象とした


読み聞かせに適してる絵本と考えられます。



それでもあえて、この作品を取り上げたのは


4年生の国語の教科書の中に出ていたからです。

お話の内容は次のようなものです。



あるところに、帽子売りがいました。


帽子売りは、帽子を頭の上に重ねて売り歩いているのですが


ある日、全然帽子が売れなかったので


田舎のほうまで歩いてゆきました。


たくさん歩いたので疲れてしまった帽子売りは、


大きな木の根元で長いこと昼寝をしました。


目が覚めたとき、頭の上にあったはずの


売り物の帽子が一つもありません。


驚いて木を見上げると枝という枝に


帽子を被ったおさるがたくさんいるではありませんか!


帽子売りが指を突きつけながら


「おれのぼうしを かえしてくれ」


というと、猿たちは帽子売りに指を突きつけ、


「ツー、ツー、ツー」


と言うばかりです。


両手を振り上げて


「おい、そこのさる。 おれのぼうしをかえせ!」


というと、猿たちは両手を振り上げて


「ツー、ツー、ツー」


と言うばかりです。


こうして何回かのやり取りの後、


帽子売りは帽子を回収する事ができて


何事もなかったかのように帽子を売りに行くのでした。



猿たちは、帽子売りの真似をしているだけなんですけど


帽子売りは、全然それに気づかないです。


そして、偶然ですが、帽子売りの真似をして


帽子を返させる事に成功するのです。


4年生の国語の教科書では


「一年生に読んであげましょう。」という結論になっていましたが


4年生だってこの絵本を読んでもらったら


喜んでしまいそうだわ。。。と思えました。



他にも、


阿部 夏丸, 村上 康成
ライギョのきゅうしょく

というのが教科書で取り上げられていました。


調べたら読み聞かせではちょっと難しいページ数(77P)だった上、


図書館では書架から倉庫に移されていたので


現物を手にとって見ることが出来なくなっていたので


確認するのを躊躇してしまいました。


作品の出版年数を見たら1999年なので


さほど古い作品ではないのですが・・・


絵本というよりは読み物に近い感じなのかなぁ。


機会を見て、確認をしようと思っています。



ともかく『おさるとぼうしうり』については


娘のクラスで話題になっていたようなので、


できれば読み聞かせで読んであげたいと思っています。



中学年程度からは、ブックトークのように話題になった作品を


芋づる式に読んでいったり考えたりすることもできるレベルなんだなぁと


感心させられました。



加古 里子
おたまじゃくしの101ちゃん

30P/26cm/偕成社/1973年初版/読み聞かせにかかる時間-9分程度/季節-おたまじゃくしの見られる春


岸辺のたんぽぽが白い綿毛に包まれる頃、いちべえ池のかえるのうちに可愛い赤ちゃんが101匹も生まれました。ある日のこと、おかあさんは子供たちを連れて遠足に行く事にしました。喧嘩をはじめる子や、寄り道をしたりする子がいておかあさんは大忙しです。ふと気づくと101ちゃんがいません。かあさんかえるは、必死の思いで101ちゃんを探しに行きます。


めだかさんに聞くと「かわとんぼのおばさんのところ。」と言われ、そこへ行くと「アメンボのところ」と言われ、そこへ行くと「あっちの深いところへ行ったよ。」と言われます。おかあさんは、暗くて深い水藻の林の中へ分け入り、とうとう101ちゃんをみつけますところがそこには、水かまりりのたがめとざりがにの大親分が待ち構えていました。。


大親分がでてくるあたり、加古里子らしい古臭さと懐かしさを感じます。ともかく、おかあさんはたがめとざりがにが戦いを始めたのを見計らって、101ちゃんを逃がします。101ちゃんは命からがら逃げ出して、他のきょうだいたちに助けを求めます。皆を連れて戻ってみると、幸いな事にたがめとざりがには、相打ちで死んでいました。でも、おかあさんもぴくりとも動きません。


子ども達は、悲しくて悲しくて、大泣きの大合唱です。結局、そのうるささに、ただ気を失っていただけのおかあさんは目を覚まし、たがめとざりがにのいなくなったいちべえ池は、平和で楽しい世界になりましたとさ。


こんなお話です。同じ作者の『だるまちゃんとうさぎちゃん』には、丹下左膳と座頭市が出てきましたし、今回の作品には大親分が出てきました。加古里子という人は、時代劇が好きだったのでしょうか?もちろん、好きだったと思います。そして、これらの絵本がかかれた時代では、子ども達も時代劇が大好きでよく知っていたのだと思います。おじいちゃんの膝に座って、家族で観るテレビから流れ出てくるのは、勧善懲悪の時代劇。こんな風景を想像すると、「情報のたれ流しBOX」と呼ばれるテレビもまんざら悪者には思えなくなってくるから不思議です。


結局、テレビが悪者にされるのは、テレビに子どもの相手を任せてしまうからではないでしょうか。居ながらにして世界の情報を一瞬にして手に入れることのできるテレビ。情報収集のためとか、家族のコミュニケーションのり手段としてとか、使い方によっては絵本と同様、いえ、それ以上に便利で有効な道具になること間違いなし。ですね。


瀬田 貞二, 脇田 和
おだんごぱん―ロシア民話

24P/31×32cm/福音館/1966初版/読み聞かせにかかる時間-6分/季節-通年。暖かい色合いとロシア民話というイメージから、つい冬場に読みたくなります。



ある日の事、おじいさんが何かおいしいものを食べたくなって


おばあさんに何か作ってくれるように頼みます。


けれどもおばあさんなは材料がないと言って断ります。


するとおじいさんが、粉箱をごしごしひっかいて粉を集めれば


作れるよ。と提案します。


そこでおばあさんはおじいさんの言うとおりにして、


おだんごぱんを作りました。


窓辺で冷されていたおだんごぱんは、寂しくなりました。


そこでころころ、ころころ・・・・。


野原に出てゆくと、うさぎに出逢いました。


おだんごぱんを食べようとするうさぎに対して


おだんぱんは



ぼくは てんかの おだんごぱん。


ぼくは、こなばこ ごしごし かいて、あつめて とって、


それに、クリーム たっぷり まぜて、バターで やいて、


それから、まどで ひやされた。


けれども ぼくは、おじいさんからも、おばあさんからも、


にげだしたのさ。おまえなんかに つかまるかい。



と歌って逃げ出します。


それから、おだんごぱんはオオカミからもくまからも逃げます。


でも、キツネの悪知恵には適わず、ぱくっと食べられてしまいます。



物語を邪魔しない暖かい色合いの判り易い絵、


何度も繰り返される歌。


この絵本は、1966年に初版発行されてから80版以上を重ねて


読み継がれています。


子どもが、うっとりと絵を眺めている横で


優しい声でお母さんが歌うように読む典型的な絵本だと思います。



こういう絵本を手に取ると、本当に絵本というのは


子どもが絵を眺めている横で


大人が声を出して読むものだなぁと思わずにはいられません。

つくづく絵本は、人と人との言語による
コミニユケーションツールなんだと思います。




長谷川 摂子, 降矢 奈々
おっきょちゃんとかっぱ

32P/27×20/福音館書店/1997年初版/読み聞かせにかかる時間9~10分/季節-きゅうりとすいかの実る頃。川底でお祭りをする時期・・・夏ですね。


おっきょちゃんという女の子が川岸で遊んでいると川の中から河童のガータロが顔を出した。おっきょちゃんは、水底のお祭りに招待されたのだ。着物に着替えてお土産にきゅうりを持って水底の世界に行ったおっきょちゃんは、河童達に歓迎されて河童の子になってしまった。


しばらくは楽しく暮らしていたが、あるとき自分の人形が水の中に落ちてきて、やっぱり家に帰りたいと泣き出した。ガータロ達は、どうやったら地上に返せるか悩んでしまった。


作者は『きょだいなきょだいな』を書いた長谷川摂子と降矢奈々である。美しい水彩画に不思議な世界を描いた文章。非常に日本人らしい絵と内容のお話である。子ども達は、おっきょちゃんが川に吸い込まれるようにお話の中に入り組んでしまう。真剣なまなざしでおっきょちゃんがどうなるのかを固唾を呑んで見守っているのだ。


このお話に限っては、不思議と「ありえねぇ~」という声があがった事がない。「ありえねぇ~」という発言は、現実と虚構の世界に隔たりがあるから出てくる言葉なのだ。現実からフィクションへの導入がごく自然に移行するから子ども達は、あたり前のようにカータロの住む世界の住人に同化できるのだろう。祭りの餅をもらって食べるおっきょちゃん。

  一口食べたら、お父さんのことを忘れ

  二口食べたら、お母さんのことを忘れ

  三口食べたら、水の外のことを全部忘れてしまった。



読み手の私でさえ、ちょっとドキドキする怖いフレーズである。聞き手の子ども達は、小さく固くなって聞いている。お化けじやなくても怖いものがあるっていうのを子ども達が体感しているように思えた。


織茂 恭子おてだまのたね―秋田・向陽幼稚園の実践記録より

28P/26×23/福音館-がくのとも傑作集-どきどき☆しぜん/1998/読み聞かせにかかる時間-6分程度/季節/おはぎが出てくるので秋かな。



ある日、おひさま幼稚園に近所のおばあさんから88個のお手玉が届けられました。おばあさんが、米寿になったお祝いのおすそ分けにと、寄付したものだったのです。子ども達は、大いに感謝し、そのお手玉でイロイロな事をして遊びました。やがて、お手玉は、汚れ、ほつれてきました。



破れたお手玉の中から出てきたものは、「お手玉のたね」でした。先生と子ども達は、このタネを撒いて、大切に育てました。萎えはすくすくと育ち、翌年の秋には、たくさんの「おてだまのたね」が収穫できたのです。



先生は、これをぐつぐつと煮てお砂糖をいれて甘~いあんこを作りました。もち米を炊いて、小さな丸いおにぎりをつくって、これをあんこでくるむと、「おいしいお手玉」が出来ちゃったのです。子ども達は、大喜びです。そして、おてだまをくれたおばあさんにも「おいしいあてだま」のおすそ分けをして、皆でおいしく頂きました。



おばあさんの米寿のおすそ分けというところに、惹かれました。自分の誕生日を祝ってもらうのではなく、ここまで長生きできた事を感謝し、その喜びを分かちあおうという気持ちを持てるって、いいですね。こんな風に年をとれたらいいなと思いました。



幼稚園の先生も、ちゃんとおばあさんに感謝して、お手玉でたくさん遊びます。お手玉の中から出てきた小豆を撒いて栽培して、命が続いていることをさりげなく子供達に教えています。



こな温かい人ばかりだから、最後には、「おいしいお手玉」のおすそ分けを思いつくのでしょうね。全く同じように実践することは出来ないかもしれませんが、クラスで工夫をいれば似たような体験ができるかもしれないですね。素敵な思い出が出来そうな気がします。


小出 保子
おなべおなべにえたかな?

32p/27×20cm/1997年初版/読み聞かせにかかる時間6~7分/季節-仕上げにたんぽぽ入れるおなべなので・・・読み聞かせに適した季節は早春ですね。


きつねのきっこは、おおばあちゃんにおなべの番を頼まれました。「おなべおなべにえたかな?」そう言いながら試食をするきっこと友だち。おいしく煮えた時には、おなべは空っぽになってしまいました。おなべばジュージュー言いながら「こげつく。お水を入れて。」と叫びました。お水の次はお豆。煮えたら塩・こしょうで味付けして、仕上げにたんぽぽいれて、春の味のする春のスープの出来上がり!



山下 明生, アネット チゾン, タラス テイラー
おばけのバーバパパ

32P/23×25cm/偕成社/1979初版/読み聞かせにかかる時間-3分程度/季節-通年。バーバパパって土から生まれてくるんです。だから、生まれいづる春ってどうかしら?



フランソワくんという男の子が庭で花に水をあげていたとき


バーバパパは唐突に生まれてきます。


生まれたときからバーバーパパはとても大きかったので


フランソワくんの両親は、バーバパパを動物園に預けてしまいます。


何にでも変身で来ちゃうバーバパパはするりと檻から逃げ出します。


でも誰も相手にしてくれなくて悲しみに暮れてしまいます。


そんなとき、火事が起きて人命救助をしたり


動物園から逃げたトラを捕まえたりして


人気者になりました。


だから、、、


フランソワくんの家で幸福に暮らせることになるのです。




続編やら色々なシリーズやらががたくさん出ていてテレビアニメ化されている上、


ケン○っキーのキャラクターになっていたりして、少々抵抗があった絵本です。


でもねぇ。。。やっぱり面白いんですよ。


記事にするついでに何冊か読んでみました。


アネット・チゾン, タラス・テイラー, 山下 明生
バーバパパたびにでる

バーバパパが寂しくて仲間を探しに旅にでる話です。


最後にハバーバママに出逢うことが出来るのですが


メーテルリンクの『青い鳥』じゃないけど幸せは


すごく身近にあるという結末が、ちょっぴり面映いうれしさを


演出してました。


どうやらこの作品から、家族が出現するみたいです。



アネット・チゾン, タラス・テイラー, 山下 明生
バーバパパのがっこう

子どもは厳しく教育すべしという学校の方針が許せないバーバ一家。


とうとう、自分達で学校を作ってしまいました。


家族は、各自の得意分野の先生になって


個性を生かしてゆったりとした自由教育を行います。


得意分野であれば、子どもたちはコアな勉強も大好きです。


平均化した学校教育では到達し得ない、専門的な学習をすすめ


誰もが生き生きと学ぶ姿が描かれています。


これはこれで賛否両論あるでしょうが、


子どもから見た場合、理想的な教育現場でしょうね。


好きなことを心ゆくまで、好きな人と極めることができるんですから・・・。




という訳で、読み出すと止まらない面白さです。


子どもたちに優しく平和的な種族のバーバ一家は


アニメ化し易いキャラクターですし、


その内容は、判りやすいほど意図的で教育的です。


少々、判り易すぎるほどの意図があるのが気にかかりますが


読んでもいいかなと思う程度に、良い作品だと思います。


ただ、何十冊も出ている続編を片端から読んであげたいと思うほど


優れた作品かというと、ちょっと首を傾げたくなります。


一冊読んであげて「あとは自分で読めるよね。」と


つき放してもいいかな。



ヤーノッシュ, やがわ すみこおばけリンゴ

32P/29×21/福音館書店/1969年初版/読み聞かせにかかる時間-8分程度/季節-リンゴの実る秋でしょうか・・・


昔ある所にワルターという貧乏な男がいました。ワルターは、リンゴの木を一本持っていましたが、今まで一度も実がなったとがありませんでした。そこでワルターは、「ひとつでいいから、リンゴがなりますように。」と祈ったのです。その願いはかなえられ、とびきり大きなリンゴの実がなりました。すると、ワルターはそのリンゴが盗まれるのではないかと疑心暗鬼に陥り、夜もろくろく眠れなくなってしまいました。


この頃、一匹の食いしん坊の竜がこの国を荒らしまわっていて王様は大変心を痛めていました。王様はこの事態を打破すべく、秘密警察を呼び寄せ、竜退治を命じました。秘密警察官たちは、ワルターがおばけりんごを持っていたことを思い出し、竜に食べさせることにしました。食いしん坊の竜は、りんごのかけらがのどにつまって、死んでしまいました。


リンゴの番をしなくて良くなったワルター。国を脅かす竜の死。めでたしめでたしです。そして、ワルターは、「今度はちいさなリンゴを二つ、ならせて下さい。」とお祈りしながら、眠りにつきましたとさ。

竜が出てくるので、とっても古いお話かと思うと、秘密警察官が出てきたりするあたりは、近代的なつくり。シリアスなようでナンセンス。思わぬ展開にびっくりするやら、あきれるやら。とても楽しい作品でした。


エリック カール, Eric Carle, 佐野 洋子
おほしさま かいて!

31P/31×24/偕成社/1992/読み聞かせにかかる時間-3分程度/季節-なし。自分の先入観で、星=7月というイメージがあります。でも、この絵本に限っては、一年中使えそうです。



原作がエリック・カールですから、ストーリーというよりは、絵の美しさと流れを重視したい絵本です。美しい色彩と子供たちが好む美しいものを次から次に連想して行く絵本です。ドイツ人のおばあちゃんの星の絵描き歌を紹介して終りという優しくて懐かしくて夢のある絵本です。


早春は、まだまだ寒い日もあります。そんな日に食べてみたいなぁ。春の味のする春のスープ。主婦にとっては煮えたどうだか教えてくれるおなべがあったら、なんて便利でしょう。あったらいい。こんなおなべ。

絵本-か

ベラ B.ウィリアムズ, 佐野 洋子
かあさんのいす

32p/21×26/あかね書房/1984年初版/読み聞かせにかかる時間9分前後/季節-通年


かあさんと買い物に出かけて、家に帰ったら、家が家事になっていました。おばあちゃんは無事でしたが、家は全焼してしまいました。近所の人が色々なものを分けてくれましたが、すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きい椅子がありません。


かあさんは、食堂から大きなびんをもらってきました。椅子を買うために、小銭を貯めるのです。そして、びん一杯に溜まった小銭で、とうとう椅子が買える日が訪れました。昼間は、おばあちゃんが座り、かあさんは仕事から帰ってきて、椅子に座ってテレビのニュースを見ます。晩御飯が済むと、私はかあさんと二人で一緒に椅子に座り、いつの間にか眠ってしまいます。


絵本にしては、めずらしく現実的なお話です。おばあちゃん、かあさん、私という母子家庭が、火事に遭ってしまい、貧しいながらもつましく暮らしている様子を描いているのです。最後のページに描かれた三人で椅子に座っている姿を撮った写真の絵は、現実的だけれども私服のひと時を焼き付けたように見えます。容赦ない現実の中にも、幸福が至るところにあるという証明のように思えてなりません。

ベラ B. ウィリアムズ, Vera B. Williams, 佐野 洋子
ほんとにほんとにほしいもの

30P/21×26cm/あかね書房/1998年初版/読み聞かせにかかる時間-11分程度/季節-主人公の少女の誕生日の前後のお話なのだけど、半そでだったり長袖だったり・・・。だから冬以外でいいんじゃないだろうか・・・。


『かあさんのいす』の続編です。火事で燃えてしまった立派な尾ながらの母さんの椅子を買うために貯めていたお金が、ちょっぴり残っていました。しかも、残った上にまたお金を溜めて・・・。そこで家族は、私(ローザ)の誕生日のプレゼントを買うことに決めてくれたのです。買い物にでかけようとした時に、おばあちゃんの大きな声。「ローザ、ほんとにほんとに好きなものを買うんだよ!」さて、ローザが迷いに迷って買ったものは何だったと思いますか?


アメリカのちょっと貧しい母系家族のお話ですが、家族同士が思いやりをもって生活している様子がとてもよく判る作品です。モノがあふれている現代社会、あなたの「ほんとにほんとにほしいものって何ですか?」って聞かれたら、即答できますか?思っている以上に難しい問いですよね。

木下 順二, 清水 崑
かにむかし―日本むかしばなし

44P/33cm/岩波書店/1976年初版/読み聞かせにかかる時間-11分くらい/季節-昔話なので通年ですが、強いて言えば・・・柿の実の熟れる秋ですね。



蟹が丹精込めて育てた柿の実を猿が横取りした挙句、


青い実を投げて蟹を殺してしまいます。


蟹の子たちは、母蟹のあだ討ちを計画し


ぱんぱん栗に蜂に牛の糞、はぜ棒と石臼が仲間になり


結託して猿を退治するという勧善懲悪の典型ともいえる


非常にメジャーな昔話の一つ。



方言や旧い言い回しが随所に出ているのだけど


昔話というのは、そういうものという感じがして


全然違和感がないのが凄いですね。


何回も読み込むうちに、語り口調が無意識のうちに


『日本昔ばなし』の市原悦子風になってしまうのが


自分の年代を彷彿させてしまうあたり、ちょっと悲しいです。


読み聞かせ仲間で井戸端会議をしていると


子どもがこの絵本が大好きで、毎日読まされたとか


図書館に行くと毎回借りるので、買ってしまったとか


べたべたな昔話なのに今でも子ども達には


根強い人気があったりしています。


こんな小さな子どもでも、


無意識のうちに日本らしいものに惹かれるのね


と不思議がったり、面白がったりしています。



そんな中で数人の方から指摘があったのが


絵が見開きになっているのに、


ストーリーが次のページに書かれている箇所です。


一番の見せ場なのに文章を読もうとすると


ページを繰らなきゃならないのよねぇ。との事です。



多くの読み手さん達は、このページだけは暗記したり


本文をコピーして、絵をみせながら読んだりしているそうです。



ちょっとした工夫や手間をかけることで


臨場感が格段にあがるので


少しだけ頑張ってみましょう。




ジョン・バーニンガム, 光吉 夏弥
ガンピーさんのふなあそび

28P/26×26/ほるぷ出版/1976/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-川に落ちても寒くない時期。


ガンピーさんは船を一そう持っていました。その船にのってでかけると、子どもや動物たちが次々と乗り込んできます。その都度、ガンピーさんは、「○○をしなけりゃいいよ。」と注意をするのですが、あまりにたくさんのお客様でとうとう、船の中はぎゅうぎゅう詰めです。結局、大騒ぎになって船がひっくり返り、みんなびしょ濡れです。服が乾く間、みんなは仲良くお茶を頂き、夕方には、みんな家に帰ってゆきました。


この作品には、『ガンピーさんのドライブ』という姉妹作もあり、ジョン・バーニンガムの柔らかくも暖かいタッチの挿絵と牧歌的な内容の釣り合いがよく、特に小さな子ども達に喜ばれる構成になっています。


子ども達・うさぎ・猫・犬・豚・羊・・・とたくさんの人間や動物が次々と現れて、無理やりに一緒に船に乗ろうとするところは、次々と動物達が入ってゆく『てぶくろ』という絵本を連想させます。おなじみの結末が待っていることが予想できて、その通りになるというのは、子ども達にとっては大きな快感なのでしょう。とってもうれしそうに絵本に見入ってくれます。


見開き一杯にピンクを基調としたティータイムの図は、「流石は、ジョン・バーニンガム!」という感じの完成度の高さです。できれば、このまま切り取って、壁に飾りたいくらいの優しく美しい絵で、一枚の完成された作品のようにも思われます。

絵本-き

長 新太
キャベツくんとブタヤマさん

28p/26.3×21.4/文研出版/1990年初版/読み聞かせにかかる時間-3分程度/季節-通年


いつもお腹をすかせているブタヤマさん。チャンスがあれば、キャベツくんを食べてやろうと目論んでいます。しかし、今回ばかりは、食べられそうな側に回ってしまいました。食べられそうな立場って、すごく怖い・・・。ブタヤマさんは、大いに反省をしてなみだをポロポロ流してキャベツくんに許しを乞います。


でも結局、危機を乗り越えたら、おなかがぺこぺこで目が回りそうです。がばっと、キャベツくんをつかまえたブタヤマさん。その耳に聞こえたのは、キャベツくんの小さな声でした。「おいしいレストランがあるから、ごちそうするよ。」ですって。


内容は、とっても単純なのですが、ともかく絵が豪快です。びっくりするほど大きな魚。気持ちの悪いへぴやムカデにミミズ、青虫だって超巨大なんです。絵本の世界でもこんなに雄大な絵で表現できるなんて、長新太さんは本当に偉大な方でした。もう少し長生きをして、もっとたくさんの素晴らしい絵本を作って欲しかったですね。他にも、キャベツくんシリーズとして、以下の絵本がありますよ。


長 新太
キャベツくん
長 新太
つきよのキャベツくん
長 新太
キャベツくんのにちようび
長谷川 摂子, 降矢 なな
きょだいなきょだいな

32P/20×27/福音館/1988初版/読み聞かせにかかる時間-3分前後/季節-通年


あったとさ あったとさ 


ひろいのっぱらどまんなか


きょだいな○○あったとさ


こどもが100人やってきて・・・・


意外なモノが野原のど真ん中に出没して度肝を抜かれ、


その驚きに対して100人の子ども達が体を使って楽しむ。


その巨大さと天真爛漫さに子ども達は、身を乗り出して絵本の中に引き込まれます。



「ありえねー。」絵に「ありえねー。」リズムの文章。


子ども達は、降矢ななの絵と長谷川摂子の不思議な世界が大好きです。


同じ作者で『おっきょちゃんとかっぱ』(福音館書店)という作品があります。


やっぱり、別世界の「ありえねー。」話しなのに子ども達は


食い入るように絵を見つめ、お話しに聞き入ります。



何年生に読んであげても、何回読み聞かせに使っても、


毎回、反応のいい絵本というのがいくつか出てきます。


この二人の組み合わせで出来上がった絵本には


そういう作品が多いような気がします。

五味 太郎
きんぎょが にげた

24P/22×21/福音館書店/1982年初版/読み聞かせにかかる時間-2分程度(きんぎょを探すので・・・)/季節-個人的に、金魚鉢を見ると涼しい気持ちになれる初夏


五味太郎さん独特のイラストで、金魚鉢から逃げたきんぎょを探す幼児向けのしかけ絵本です。カーテンの模様やお花の一つになったり、キャンデーの中やいちごの中にまぎれ込んだり、テレビの映像にだってなってしまう内容のお話です。


最後は、お外の池の中に逃げ込んだきんぎょ。たくさんの金魚と一緒に泳いでいます。でも、よ~く注意してみてみると、「あっ。逃げていたのはこのきんぎょだ!」って判る筈です。


イラストとして完成度の高い五味さんの絵は、とても鮮明なのに目に優しく、小さな子ども達の目に受け入れやすく創られているように思われます。極限まで単純化した言葉に、最高にマッチした絵ですね。『きいろいのはちょうちょ』『まどからおくりもの』『わにさんどきっはいしゃさんどきっ』『ゆびくん』などたくさんの素敵な絵本があねのも魅力的です。

絵本-く

なかの ひろたか
くさる

26P/25㎝/福音館-かがくのとも-特製版/1996/読み聞かせにかかる時間-4分/季節-食べ物の腐りやすい時期


暑い時期に食べ物を出しっ放しにしておくと、嫌なにおいがして食べられなくなりますね。この臭いは「食べたら毒だよ。」と危険信号を出しているのです。という説明から始まり、お母さんが家の裏庭に穴を掘って、生ごみを埋め、ゴミが土に還る話しを解説します。


教育的な絵本に分類されますが、環境問題などをとりあげることの多い学校教育の場での読み聞かせの場合、こういう話題は身近なものとしてとらえられるのでしょう。子ども達も興味津々で食い入るように絵本に集中してくれます。最後の方には、食物連鎖についても言及していて、恐竜まで出てくる盛りだくさんな絵本です。


小学校の朝読書の時間という場合、内容によっての好き嫌いなどがありますから、「長生きをしている大人の絵本」とか「読み聞かせに適していると言われている絵本」だけでなく、色々な分野の絵本を紹介したいと考えています。ただ、絵本の嫌いな子には、ちょっとつらい時間かも知れませんね。

ウェンディ トクダ, リチャード ホール, 末吉 暁子, ハナコ ワキヤマ
クジラのハンフリー

31P/27cm/国土社/読み聞かせにかかる時間-8分程度/季節-ハンフリーが川に入ってきた10/10~海に帰った11/4の間?


1985年10月10日の夜、ザトウクジラのハンフリーは仲間とはぐれて、サンフランシスコ湾のゴールデンゲートブリッジの下にさ迷ってきました。人々の心配をよそに、ハンフリーはどんどんサクラメント川を遡ってゆき、川幅も深さもハンフリーには限界が・・・。しかし、ハンフリーを見守っていた人々が協力して、11月4日、実に26日ぶりにハンフリーは海に帰ることが出来ました。


という実話を絵本にしたものです。クジラと人間の言葉が通じる筈はないのですが、ハンフリーは川にいる間、人々を傷つけたりせず、人々もハンフリーを家族のように心配していました。くじらと人間の友情物語は、実話であるだけに説得力があります。


内容は違いますが、「川」と「迷い込んだ」というキーワードから、私は下の絵本を思い浮かべてしまいました。


フィリス・クラシロフスキー, ピーター・スパイアー, みなみもと ちか
うんがにおちたうし

そう。『うんがにおちたうし』です。牛のヘンドリカは、のどかな僕小児すっかり飽きていて、運河に落ちたのを幸い、大きな箱に乗ってあこがれの町に到着するというお話しです。

内容が全然違うのに、何故???と思っていたけれど表紙を見て納得。川と海と空の水色が印象的だったのですね。絵本なのですから、挿絵は重要なアイテムです。ストーリーだけでなく、登場人物や「絵」つながりで色々な作品を連想するというのも面白いかも知れませんね。



神沢 利子, 井上 洋介
くまの子ウーフの絵本-おかあさんおめでとう

31p/23cm/ポプラ社/1979年初版/読み聞かせにかかる時間5~6分/季節-葡萄の実がなっているから秋

今日は、ウーフのおかあさんのお誕生日です。ウーフは、母さんが喜ぶようなプレゼントを探しに外へ出かけました。色々考えたウーフは、木の実(ぶどう)とはちみつとかにをプレゼントにしようと決めます。さて、ウーフは、お母さんにちゃんとプレゼントをあげることが出来たんでしょうか。


くのまの子ウーフの絵本はシリーズになっています。

1.おかあさんおめでとう
2.さかなにはなぜしたがない
3.ぶつぶついうのだあれ
4.お月さんはきつねがすき?
5.お日さまはだかんぼ
6.くまの子ウーフのかいすいよく
7.あかいそりにのったウーフ
8.まいごのウーフとクー
9.ウーフはあかちゃんみつけたよ
10.ぴかぴかのウーフ


なかがわ りえこ, やまわき ゆりこ
ぐりとぐらのかいすいよく

32P/20×27/福音館/1978/読み聞かせにかかる時間-5分程度/季節-海水浴の出来る時期


ぐりとぐらにはたくさんのシリーズ本が出ています。福音館書店のぐりとぐらのページ に、色々なぐりとぐらが紹介されています。一番よく読まれているのは、もちろん『ぐりとぐら』でしょう。あのおいしそうなホットケーキは、多くの人の子ども心を今でも魅了し続けています。次に読まれているのは、『ぐりとぐらのおきゃくさま』でしょうか。誰だろうと思っていたらお客様が、サンタクロースだったなんて、うれしいに決まっています。


さて、今回紹介した、『ぐりとぐらのかいすいよく』もよく出来ています。季節性が強すぎて、なかなか読み聞かせなどでお目にかかることができないのが欠点かも知れません。図書館に借りに行っても7月はほとんど貸し出し中ですからね。春が過ぎ若葉の頃を過ぎると梅雨になって、梅雨明けと同時くらいに夏休みになってしまうので、手にとることができた人はラッキーかも知れません。


ところで、この作品に出てくる「うみぼうず」は、人間の姿をしています。ぐりとぐらという野ねずみが主体になると、自分達と異種なる生き物=人間になってしまうって事でしょうか。そういえば、サンタクロースも完璧に人間のおじいさんでした。森の動物が友達なのに、ぐりとぐらにイルカ泳ぎを教えてくれる「うみぼうず」が人間って、大人の私には、ちょっと理解の範囲を超えています。



西内 ミナミ, 堀内 誠一
ぐるんぱのようちえん

28P/20×27/福音館/1965初版/読み聞かせにかかる時間-5分前後/季節-通年



ひとりぼっちでくらしていた、とても大きなぞうの「ぐるんぱ」は


いつもぶらぶらしていたので、働きに出る事になりました。


最初に行ったお店はビスケット屋さん。


ぐるんぱは、特別張り切って、大きな大きなビスケットを作ります。


出来上がったビスケットは、大きくて高すぎて買う人がいません。


ぐるんぱはお店の人に「もう結構!」と断られてしまいます。


次々とお店を変えて、ぐるんぱは一生懸命働きますが


どこのお店で働いても「もう結構!」と断られてしまいます。


しょんぼりしているぐるんぱに救いの手を差し伸べたのは


小さな子どもが12人もいるお母さんでした。


忙しいので、ぐるんぱに子守を頼んだのです。


ぐるんぱは、子ども達と一緒に楽しく遊び、それを見ていた


近所の子供達も集まってきて、ぐるんぱは、幼稚園を開きましたとさ。


おしまい。



2000年に藤井フミヤさん、堂本光一さん主演のテレビドラマ


「天使が消えた街」(日本テレビ)の中で取り上げられ、


サヴァン症候群役の藤井フミヤさんが


「ぐるんぱはしょんぼり。ぐるんぱはしょんぼり。」と


何度もつぶやいていた事で、一躍有名になった絵本です。



まぁ、ドラマで取り上げられたりしなくとも、


幼稚園で楽しく遊びましたとさということから、


多くの幼稚園では欠かす事のできない絵本の一つだと思います。



特別張り切ったのに失敗してしまうぐるんぱは、


大きなぞうの筈なのに、しょんぼりしてとっても小さく見えます。


色々なお店で頑張れば頑張るほど


しょんぼりが増えてしまうぐるんぱ。


子ども達は心配そうに絵本に見入ります。


最後に、ぐるんぱが子ども達と一緒に遊んでいる姿を見ると


子供達もほっとした顔になります。


何回も読んでもらって、知っている子が多い絵本なんですけど


違った場所で違う人に読んでもらうと、


違った印象になるのでしょうね。


絵本-け

絵本-こ

ルイーズ・ファティオ, ロジャー・デュボアザン, むらおか はなこ
ごきげんならいおん

32P/26×21cm/福音館/読み聞かせにかかる時間-10分程度/季節-なし。


ごきげんならいおんり家は、フランスの町の中にあります。人々はらいおんの家の前を通り過ぎるときに、いつも声をかけます。飼育係の息子のフランソワも、デュポン校長先生も、パンソンおばさんも、みんな声をかけてくれます。


ある日、飼育係がらいおんの家の戸を閉め忘れていました、ごきげんならいおんは、みんながいつも挨拶に来てくれるから、今日は自分がみんなのところへ行こうと決心します。町であったすずめやリスは、普通に挨拶を返してくれたのに、人間達ときたら、「ふぅぅぅぅ。」と言って倒れてしまったり、「ふわぁーーー」と言って逃げて行ってしまうのです。


がっかりしていたごきげんならいおんに、いつもと同じように声をかけてくれたのは、飼育係の息子のフランソワでした。彼は、丁度学校の帰りで「公園まで一緒に帰ろうよ。」と誘ってくれたのです。それからというもの、ごきげんならいおんは家から出ることは消してなくなりました。怖がられるよりも、みんなに声をかけられるほうがごきげんな気分になるのですもの。



読みながら、あらすじを書きながら、これって良い作品かなぁって悩んでいます。檻に閉じ込めたライオンには、友達のように声をかけるくせに、檻から出て対等の立場になったらいおんに対しては、恐怖や悲鳴や警戒心しか与えられないのですから。らいおんはどんなに孤独だったでしょう。悲しかったでしょう。唯一声をかけてくれた、フランソワをどれほど、頼もしく思ったことでしょう。ここまでなら、少しは納得できたのですが、ごきげんならいおんは、決して家からでなったという結末には、思わず涙がこぼれそうになりました。


そうまでして、皆にこびこびしないと、ごきげんでいられないなんて、悲しいよ。ごきげんならいおん。こんな思いをしてまで、人間達に挨拶をしてもらう必要はないじゃない。生まれ故郷に帰りたくはなかった?アフリカに帰れば、同じ姿をしたらいおんがたくさんいて、両親や親戚や友達がたくさんできるだろうに。。。って、思ってしまいました。


ここまで書いてしまっては、これを朝自習の読み聞かせの時間には、使えそうもありません。そうそう。読み聞かせをする場合は、自分の好きな絵本や得意分野の作品を選ぶのが良いのでした。「気に入っている」「素敵でしょ」という気持ちが以心伝心で伝わって、子ども達の心の奥深くに訴えかけやすいから。というのが理由です。つまり、自分には合わない作品だな。とか、自分の感性とは、そぐわないと思う作品を読み聞かせに使ってはいけないということですね。


しかし、「好きすぎる」作品というのも、読み聞かせに使ってはいけないそうです。思い入れが強すぎて「これでもかぁぁぁ」光線が出ちゃうらしいのですよ。絵本そのものの良さ以上に読み手の気持ちだけがクローズアップされてしまったのでは、本末転倒ですからね。


さらに、これって名作だし、面白いけど、どこか一箇所ひっかかるんだよね。って「読み聞かせに使いたいし、読んでみたい。でも、躊躇するところがあって、迷うなぁ」という作品に巡り合ったときはどうしたらよいか。答えは簡単です。「読んではいけません。」迷うこと自体に問題があるし、その迷いが聞き手に伝わってしまうからなんですね。しばらく時間をおいて、気持ちが整理できたときに、本当に読み聞かせに使えるかどうか、正しい判断が下せるときがくるでしょう。


ということで、今の私のレベルだと『ごきげんならいおん』は、まさにお蔵入りの作品です。ただ、哀し過ぎて忘れられない作品の一つでして、読み捨てるには惜しくって記事にしてしまいました。すみませんです。

ジュリエット ダラス=コンテ, Juliet Dallas‐Cont´e, Alison Bartlett, たなか あきこ, アリソン バートレット
コッケモーモー!

26P/28cm/徳間書店/2001年初版/読み聞かせにかかる時間-2~3分程度/季節-通年




ある朝、雄鶏が精一杯の大声で鳴きました。


 「コッケモーモー!」


その鳴き声を牛に注意され、改めて・・・


 「コッケガーガー」


あひるに馬鹿にされたので、改めて・・・


 「コッケブーブー!」


豚に揃って指摘されたので・・・


 「コッケメーメー!」


最後には鳴き方を思い出せるんですけど


この「あり得ない」鳴きかたが子ども達には非常にウケます。


コッケコッコーじゃないのに、何故か一度で覚えてしまいます。



だからという訳ではないんですけど、この絵本を使う場合


最初の一回を読み終えた後、ちょっと時間を空けてもう一度


読みます。


「今度は皆も一緒に読んでね。」と言いながら。。。



  あるあさの ことです。


  おひさくが のぼると おんどりは、


  よが あけたことを つげるために


  いきを おおきく すいました。 ところが・・・



「はい、みんな一緒に・・・」とかけ声をかければ、


本物の雄鶏よりも大きな声で


  コッケモーモー!


と叫んでくれちゃいます。




いつもは聞くだけのお話しや絵本。


参加型の絵本を折々に取り入れると面白いものです。


そういえば、このような絵本の読み方は


アニマシオンと言います。


スペインのモンセラット・サルトらが始めた読書教育の方法の一つで、


同じ本を読んだ子ども達がその本を使って遊びやゲームをするものです。


子ども達の読む力を引き出すために考え出された指導法です。



そんなこ難しいことを考えなくたって、簡単な絵本を一回読んであげて、


二回目に読むときは、ちょっと間を置いて


「次に出てくるのは誰たっけ?」


「次は何を持っていたけっけ?」


と聞けば、十分アニマシオンになるのです。



簡単じゃない?って思うでしょ?


意外と難しいんですよ。


福音館の『てぶくろ』に出てくる動物達の本当の名前を


順番に言えますか?




答えは・・・










  くいしんぼねずみ


  ぴょんぴょんがえる


  はやあしうさぎ


  おしゃれぎつね


  はいいろおおかみ


  きばもちいのしし


  のっそりぐまま



以上の七匹です。


子ども達の記憶力の素晴らしさを目の当たりできますよ。


一度、お試しあれ!






松居 直, 赤羽 末吉   こぶじいさま

28p/20×27cm/福音館書店/読み聞かせにかかる時間6分程度/季節-山へ柴狩りに行ける季節だから春~秋ですね。


昔あるところに、ひたいにおおきなこぶのあるおじいさんがいました。ふとしたことから、山の中で鬼に出会ってしまい、鬼どもと楽しく踊り明かしてしまいました。鬼はこぶじいさまを大層気に入り、「明日も来い。」と言い「約束を忘れないようにお前のこぶを預かっておく。」と言ってこぶをとられてしまいます。


家に戻ったじいさまを見て、隣のこぶのあるじいさまも、自分のこぶをとってもらおうと、山へ分け入ります。けれども、鬼が恐ろしくて思うように踊れません。上手に踊れないじいさまを見た鬼たちは、怒って「昨日預かったこぶは返す。」と言って、こぶを返されてしまいました。隣のじいさまは、こぶが二つになってしまいましたとさ。 というお話です。


最近は、昔話を聞く機会が少なくなってきたように思います。けれども長い間語り継がれてきた昔話は、初めて聞いても不思議と心に染み入ります。教訓的な内容のものも多いのですが、無理やりな道徳性もなく、さらりと勧善懲悪を推奨しているところも良いですね。



谷川 俊太郎, 和田 誠   これはのみのぴこ  

31p/29×21.5cm/サンリード/1979年初版/読み聞かせにかかる時間-5分程度/季節-春~秋(のみの生きている時期?)


最初のページには「これは蚤のピコ。」次のページをめくると、「これはのみのぴこの住んでいる猫のゴエモン」となり、その次のページは「これは、蚤のピコの住んでいるゴエモンの尻尾ふんずけたアキラ君」と、どんどん文章が増えてくる。非常に語呂もテンポも良い作品となっており、子ども達のお気に入りの作品の一つ。皆で音読しても楽しいし、早口言葉にしても楽しめる。一度に二回以上、繰り返して読んであげたい絵本である。

長 新太   ごろごろにゃーん

32P/20×27/福音館書店/1976年初版/読み聞かせにかかる時間-2分/季節-全体が青緑色の色調で涼しげなので夏と言いたいですが、これは私の勝手な考えです。多分、通年だど思います。



トビウオのような形の飛行機に猫達が乗り込みます。「ひこうきは/ごろごろ、/ねこたちは/にゃーん/にゃーん/ないています」。


大きなパラパラ漫画のように少しずつ絵が変わってゆきます。けれども、書かれている文字は全部一緒です。「ごろごろ/にゃーん/ごろごろ/にゃーん/と、/ひこうきは/とんでいきます」文章が同じなのに、これだけの違う絵が書ける長新太さんば凄い!同じ文章だから、少しずつ違っている絵が際立ちます。出発したばかりの船の中から外を見ている猫達の顔は、なんだかとてもうしそうです。大きなクジラに追いかけられているときの船の中はどんな状態でしょう。


「ごろごろ/にゃーん/ただいま-。」文章は、これで終わりです。


未就学の小さな子どもを対象に作られた幼児絵本ですが、無限の想像力を育める名作だと思います。日本の絵本作家の第一人者、長新太さんの作品の中でも上位を占めるよい出来だと思います。子どもを抱いて、会話をしながら読み進める想像力の拡がる絵本です。

マージョリー・W・シャーマット, リリアン・ホーバン, 小杉 佐恵子   こんにちは,バネッサ

54P/22cm/岩崎書店/1984年初版/読み科背にかかる時間-13分程度/季節-通年。新しい友達を作りたい時期が良いと思うので、クラス替え直後かな。


子ネズミのバネッサはとても恥ずかしがりやです。


おかあさんはそんなバネッサをとても心配して


お友達をつくる努力をするように勧めます。


必死の思いでバネッサはやぎのリサに声をかけました。


「こんにちは。」


あまりの声の小ささにリサはバネッサが何を言いたいのか


判ってくれませんでした。


別の日、ヒキガエルのシグムンドに声をかけました。


「こんにちはっ!。」


シグムンドは、びっくりして飛んでいってしまいました。


バネッサはもう友達なんかつくりたくないと思いました。




ある日のことです。


バネッサは「学校」という文字をカタカナで書くことができるのに


恥ずかしくて手を上げることが出来ませんでした。


このエピソードは、作者のマージョリー・シャーマットの逸話なのだそうです。


作者は、とうとう手を挙げることができなかったのでしょうか。


この作品の中では、


何日も悩み考えたあげく、バネッサは勇気を出して


教室で正しい答えを発言します。


そして大鹿のクインシーに尊敬されて友達になります。


「毎日、だんろの火のそばに座っておしゃべりする


仲良しのお友達はとくべつにね!」としめくくる一節には


友達が欲しかったバネッサの心が痛いほど表現されています。



学校って、新しい知識を学ぶところだけれども


友達をたくさん作るところでもあるんですよね。


元気な子、わがままな子、臆病で内気な子。


色々な個性の子ども達が集まり、お互いの長所を認め合い


短所を補い合える友達がたくさんできるといいな、と思わせる作品です。

絵本-さ

吉崎 正巳
ざりがに -かがくのとも傑作集

24P/26×23/福音館書店/1973年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-春~初夏


文字通り、ざりがにの生態を描いた科学絵本です。人間につかまえられそうになったざりがにが、自分のはさみを残して逃げていった様子や、片手になったざりがには、生きて行くのが難しいことなどを判り易く描いています。脱皮の様子やメスが卵を産み、子を育てる様子などが描かれています。


身近なところから、どんどん自然が失われている現代社会では、あたりまえに体験していた生き物とのふれあいも絵本を通して、疑似体験しかできないのかと、悲しくなってしまう反面、このような絵本を通して、あまりにも身近にいて、気にもしなかった事実を改めて認識するきっかけとなることになったりもするのです。


大人の思惑をよそに、小学生達はこのような科学絵本が大好きです。物語絵本が苦手な男の子でも、食い入るように寄ってくるのがこのテの絵本だったりします。名作を読んで感性を磨くことも素晴らしい事でしょうし、読み聞かせを通して読書好きにしようという運動も素晴らしいでしょうが、所詮は絵本です。善し悪しはともかく、みんなで純粋に楽しみを共有しましょう。

ユージーン トリビザス, Eugene Trivizas, Helen Oxenbury, こだま ともこ, ヘレン オクセンバリー
3びきのかわいいオオカミ

32P/18×22/富山房/1994年初版/読み聞かせにかかる時間-11分/季節-キンセンカ、スイセン、バラ、サクラ、ヒマワリ等の花が同時に咲く季節・・・狂い咲き・・・春~秋・・・通年?


ふわふわの毛皮にふさふさのしっぽを持った、3びきのかわいいオオカミが、お母さんと一緒に暮らしていました。そして、3びきのかわいいオオカミたちが協力して作った家を強力な武器を使って破壊してゆく悪い大ブタが出てくるんです。


3びきのかわいいオオカミたちは、要塞みたいな頑丈な家ではなく、弱々しいけど美しい花の家を建てることにしました。結果は、大成功。4匹は、いつまでも仲良く暮らしましたとさ。


この絵本もある意味で、『三びきのこぶた』のパロディーになるのでしょうか。しかし、かわいいオオカミたちの作る家も近代的なら、それを破壊する悪い大ブタの持ってくる破壊兵器も強力です。何せ、ハンマーや電気ドリル、果てはダイナマイトなんて出てくるのですから・・・。あまりにも強烈で近代的すぎます。『三びきのこぶた』を知っていれば知っている程、楽しめる。そんな絵本だと思います。


山田 三郎
三びきのこぶた―Three little pigs

↑は画像のみ参照してください。

実際に読み聞かせに使った絵本は、下のタグの作品です。

瀬田 貞二, 山田 三郎
三びきのこぶた―イギリス昔話

20p/27cm×20cm/福音館書店/1980年/木になっているりんごを投げたから秋でしょうか。


藁の家、木の家、レンガの家でおなじみの三びきのこぶたはイギリスの昔話です。とつても有名な作品で、少しずつ内容を変えて色々な出版社から絵本が出版されています。今回読み聞かせに使った絵本は、福音館書店の作品です。


おかあさんぶたが、貧乏で子どもを育てられなくなったからこぶたたちを独立させたのでした。さらに、木の家は、正確には木の枝で作った家の事でした。そして、ワラの家のこぶたと木の家のこぶたは、オオカミに食われてしまいました。レンガの家を建てたこぶたは、オオカミとの約束を破って、オオカミを出し抜き、最後にはオオカミをことこと煮て食べてしまいました。


昔話は、「お話し」ですから、語られる毎にどんどんとお話が変わってしまいます。最近の絵本では、三匹ともこぶたが助かったり、オオカミが反省したり、みんないい人風に替えられている作品が多いように思います。毒気を抜かれた作品には、アクもない代わりに印象も残りません。できるだけ語り継がれた形に近い作品に触れることができるようにしたいものです。


知恵が回る事は、時としてずる賢く残酷なもの。悪は、反省の余地はなく、完膚なきまでに滅ぼされる。こんな作品を残忍で、思いやりがないととらえますか?姉歯物件やライブドア関連や国会答弁を見聞きする方が子ども達にとっては、よほど有害ですよね。


それどころか絵本の中では、ちょっとした知恵がわが身を助け、自分を脅かす悪は、なくなってよい世界が訪れるのです。どちらが、子ども達が受け入れたいと思う世界でしょう?良い絵本では、悪が滅びる場面をさらりと流します。リアルな死体や流血は避けているのも、子ども達に対する配慮ですね。


実は、殺人や死体、事件などの描写にかけては、お話は非常に優れています。たったひと事。「オオカミは死にました。」ですからね。昔話では、どのように切り刻まれて死んだかなんてこと細かに話しません。


大事なのは、悪いことをするとばちがあたる事であり、知恵を働かせると得をして、なまけものやおろか者は損をするという事です。また、正直者はごほうびをもらい、ずるがしこい人は罰をもらいます。単純明快で、答えがわかっていて安心して聞くことができるのが、良質のお話しだと思います。


子ども達は、不安を嫌い、繰り返して行われる安定感を好みます。現代社会の不安ばかりを煽るマスコミには、自重してもらたいたものです。