小学校での読み聞かせ活動記録 -11ページ目

新たな年度に向けて・・・


すっかり更新をサボっておりました。新学期も始まり、サクサクと記事をアップしてゆく予定です。よろしくお願い致します。


さて、学校では先生方が年度末に読み聞かせボランティアに対しての反省会を行ったようでした。その時に出た意見をとりまとめて世話人の私に連絡がありました。


①最初に5のつく日に読み聞かせというのは、色々と面倒だから曜日を固定して欲しいとの事でした。実は毎週火曜日は、児童集会や体育集会で朝自習が出来ず、毎週木曜日は朝読書の時間と決まっているので、その他に読み聞かせボランティアが入ると、週に二日しか朝自習の時間がとれないのです。学力低下が叫ばれている昨今、これは由々しき問題であり、それならばいっその事、朝読書の時間である木曜日にボランティアさんに入って頂きたいと思うのです。


②今までは3年生までが対象だったけど全学年を対象に読み聞かせをお願いしたい。5・6年生だってお話を聴くのは大好きなのです。低中学年だけに読み聞かせをするというのは、少々不公平だと思います。絵本を読んでくれなどど贅沢は言いません。朗読でも何でもいいのです。お願いします。


③ところで年度末に、先生方にも読み聞かせに参加してほしいと言う要望を頂きましたが、カリキュラムで充分に時間をとっている上、担任の負担が大きくなるので、あくまで読み聞かせはボランティアの方々だけでお願いしたい。


という要望です。言うのは簡単ですが、40人を超える大所帯ですので、システムの変更は非常に大掛かりなものになりそうです。


新学期から4年生までを対象にと考えてきましたが、5・6年生は考慮の外でした。全学年を対象にすれば、ボランティアに参加してくださる人も拡がると思うのですが、ともかく準備が整っていません。不公平だろうが何だろうが出来ないものはできません。大体、絵本の読み聞かせ以上に「朗読」や「素話」は難しいのです。練習時間の限られた私達には、不可能なのです。


さらに、実施日の変更についてですが、市内のほとんどの公立小学校が「毎週○○曜日に実施」という傾向にあるようで、これは学校側の意向を汲み取り、変更を余儀なくされそうです。ただ、これですと、パートタイマーでお仕事をされている方で、その曜日に該当する方の参加は難しくなることが予想されます。参加人数が、少なくなる上、月3回だった活動日が4回以上に増え、負担が大きくなる事を想定して予定を組み直す必要が出てきそうです。


また、要望はなかったのですが、図書室整理についても少々軌道修正の必要性を感じるようになってきました。先生方の立会いのもとに、活動を進めたいという声があがってきたのです。確かに、ボランティアの一存では決めかねることが多々ありますので、これは尤もな言い分です。学校側にお願いする予定です。


どちらにしても、ボランティアをする側と学校側とで納得ゆくまで話し合いをして、お互いが気持ちよく活動ができるように譲り合ったり、検討を重ねたりしなければなりません。


学校って、学習指導要領に沿った勉強をしながら、集団生活を営むところでした。すっかり忘れて楽しむ事ばかり考えていました。このあたりから、ボランティアをする側と学校側との間に温度差や認識のズレが出てきたのかも知れません。無理のない範囲で、皆が喜び楽しめる活動を継続できるように話し合いをしてくる予定です。

2006.03.15-3年生

ユージーン トリビザス, Eugene Trivizas, Helen Oxenbury, こだま ともこ, ヘレン オクセンバリー
3びきのかわいいオオカミ

前回に引き続き、三匹のこぶたのパロディーものです。お当番の方々が、会議室に戻ってきて真っ先に口にしたのが、「教室に入って表紙を見たとたんに、見たいコールがかかった。」というものでした。余程、前回の読み聞かせの印象が強かったのでしょう。


ちなみに前回は、『三びきのこぶた』福音館、と『3びきのコブタ本当の話』の二本立てでした。この二本立ては、読み手であるお母様達にも大好評で、「家で初めて読んだときは、夢中になってしまった」とか「練習をしていても楽しかった」という声が多く聞かれました。


工事現場のような、近代的な獰猛な大ぶたと三びきのかわいいオオカミたちの様子は、身近な建物や小道具に、現代っ子達はひきつけられるのだと思います。ただ、コンクリートで作る家に鉄条網を張り巡らせた家、電気ドリルやダイナマイトを使って家を破壊するシーン等々、あまり小さい子向けの絵本ではないように思います。小学校中学年以上の、想像力と理解力を持った子どもたちが喜ぶ絵本として位置づけたほうが良いように思いました。


絵本の裏表紙に「読んであげるなら○○才~。自分で読むなら△△才~。」という表示は、かなり理にかなったもののようです。書かれている年齢は、大体理解できる最低限度を顕しているのだそうです。ただ、小学校などの不特定多数のお子さんを相手にした場合、絵本を読み慣れている子とそうでない子の差が激しいので、少々割り引いて考えなければいけないかも知れません。


稲田 和子, 筒井 悦子
子どもに語る 日本の昔話〈1〉 より「さるの生き肝」朗読

お話しの『さるの生き胆』では、「生き胆」が何かが判らなかったり、「石持ち鯛」という種類の魚が想像できなかったりして、とまどう子どもが見られた様子です。実体験がなければ想像力は働かないものでしょうか?いえ、実体験がなくとも、想像力で補うのが人間というものです。小学校4年生に近くなってきたので、そういう抽象的な思考も身についてきたと思っていたのですが、まだまだ落差があるようです。


2006.03.15-二年生

ワンダ・ガアグ, いしい ももこ
100まんびきのねこ

二年生での選書ミスは、『あやちゃんのうまれたひ』でした。これ、9月に読んでいたのが、二日前に判明・・・。大慌てでお当番に入って頂いている方々に連絡をして、急遽他の絵本に差し替えをお願いしました。一応、こちらで例示した絵本は『100万匹のねこ』です。図書館に借りに行く余裕のない方は、8~9分程度の絵本を各自の裁量で選択して、読み聞かせを行って頂くことになりました。


お当番に入っている方々にとっては、負担が大きくなってしまいましたが、意外にも個性が出て、非常にいい感じに終われたのが不幸中の幸いでした。ただ、何回もこういう事が続くと、それこそ「前に読んだよ~」というブーイングがいつ出てくるか判りません。本当に綱渡りのような、読み聞かせでした。


個別の報告によりますと、『100まんびきのねこ』を読んだ方からは、繰り返しの言葉が気に入ったようで、結構真剣に聞いている子が多かったという事でした。おじいさんが、どの猫も可愛くってみんな拾って家につれて帰る様子が可笑しいと笑う子もいたそうです。そして、猫同士が「自分が一番美しい」と言い張り、大喧嘩をして、ついにはお互いが共食いをしてしまうシュールなシーンは、さらりと受け入れられたようで、そこを強調して気にする子どもはいなかったとの事です。


ほかに北山洋子作『ぼくがおおきくなったらね』という絵本を読んだクラスもあったそうです。原っぱで、動物たちがせいくらべをしています。大きくなったら何したい?バッタ君の夢は・・?ネコちゃんの夢は・・・?小鳥さんの夢は・・・・?くまちゃんの夢は・・・・・?ぼくは、大きくなったら、何しよう。ぼくだけにできること。ぼくにしかできないこと。大切なみんなを守ること。という内容で、環境問題にも配慮した作品だそうです。二年生も終わりになって、子ども達はとっても聞き上手になってきました。


『だいどころにもはるがきた』は、身近な野菜が、春になって台所で目を出すというお話です。「見たことある~。」や「知らなかった・・・」と反応は様々でしたが、興味津々という一点については共通の反応でした。つくづく、幼児絵本は侮り難い作品が多いです。


そして、子どもの反応はそれ以上に意外性が高く、読み手の方がドキっとさせられる事が多いものです。今回の絵本でも、さすがに二年生!ペーシをめくる前に「花が咲いたブロッコリーだ!」「おじいちゃんの家で畑になっているキャベツの花を見た!」「ネットに入っている野菜といえば、玉ねぎに決まっている!」と次々と実体験をモトにした、たくさんの意見が出たそうです。結局、想像以上に知識があるのを知り、うれしい驚きを得たのは読み手たちだったようです。


2006.03.15-一年生

マーガレット・ワイズ・ブラウン, クレメント・ハード, 岩田 みみ
ぼくにげちゃうよ

『ぼくにげちゃうよ』は、白黒の絵とストーリーのページとカラーの挿絵だけのページが交互になっています。お話を聞くときは、お話に集中し、絵を見るときは、絵に集中する。しかもその絵に、子うさぎが隠れているのですから、子供たちが夢中にならない筈がありません。


「子うさぎが、庭のお花になるなんてありえねー。」と言いながら、次のページでチューリップに化けている子うさぎを探すのに夢中になっている子ども達。幼く純粋な心をいつまでも持っていてね。と願わずにはいられなくなる光景でした。


加古 里子, Richard McNamara, Peter Howlett, ピーター ハウレット, リチャード マクナマラ
だるまちゃんとうさぎちゃん 英語版

 英語版なので、表紙の参考にして下さい。


加古 里子
だるまちゃんとうさぎちゃん

今年度最終回にもかかわらず、大きな選書ミスでした。手遊びや簡単な折り紙等々、子供たちが喜びそうな情報満載の絵本ですが、いかんせん、雪の日のお話です。関東地方の小学校で、3月に読むべき絵本ではありませんでした。だるまちゃんシリーズは、別世界だから季節は関係ないだろうと、タカを括って内容を確認しないままの選書でした。大いに反省しております。


この痛い経験のお陰で、ここ数週間は絵本漬けの毎日を送っております。以後は、このような選書ミスを極力減らしたいものです。


反省は、ここまでにしまして、季節さえ合致していれば、この絵本は非常に反応が良い絵本でした。手袋を裏返したり、縛ったりして作る手袋うさぎや、リンゴをうさぎさん型やだるまちゃん型に切って食べたり、ナフキンを折って、うさぎちゃんにしたり、新聞紙でうさぎちゃん兜を作ったり「やってみた~い」という声がたくさんあがり、もう一冊の絵本がなければ、目の前で新聞紙を折ってあげたかったという報告もありました。


結局、そういう部分をピックアップしてコピーをして、各クラスに配布しました。「時間があったら、先生と一緒に楽しんでね。」と渡しに行った時も、待ってましたとばかりに、どのクラスも子ども達がわらわらと寄ってきて、大騒ぎでした。


活動母体は、読み聞かせボランティアですが、たまにはこういう、図工っぽい要素を取り入れても面白いかも知れないという話も出てきました。ともかく、子供たちとの距離がとても近く感じられるようになりました。

2006.03.15-複式学級

マーガレット・ワイズ・ブラウン, クレメント・ハード, 岩田 みみ
ぼくにげちゃうよ

あるところに子うさきがいました。子うさぎは、家を出てどこかへ行ってみたくなりました。そこで、かあさんうさぎに言います。「ぼく逃げちゃうよ」って。すると、かあさんうさぎは、「私のかわいい坊やだもの、どこまでもどこまでも追いかけますよ。」と優しく言うのでした。


子うさぎが小川の魚になるのなら、かあさんは、猟師になって釣り上げると言い、子うさぎが山の上の岩になるなら、かあさんは登山家になって登ってゆくと言います。結局、子うさぎは何になっても同じ事に気づき、逃げるのをやめることにしました。


この作品は、1942年に始めて出版されて以来、版を重ねて多くの親子に愛され読み継がれて来た絵本です。このほほえましい言葉のマジックと母親の愛情が子供達に心地良いものだという証でしょう。


『ぼくにげちゃうよ』という絵本は、読んでもらったことがある子や持っている子がいて、この絵本に対する認知度が高く、そういう子たちが、積極的に繰り返しを楽しんでくれたのが良かったようです。お話を知らない子も、優しい絵で、安心して楽しめる絵本だったようで、終始にこにこ顔でお話を聞いていたそうです。うさぎの親子が色々なものに変身するのも、楽しかったようです。


加古 里子
だるまちゃんとうさぎちゃん
   英語版なので、表紙の参考に・・・
      ↓
加古 里子, Richard McNamara, Peter Howlett, ピーター ハウレット, リチャード マクナマラ
だるまちゃんとうさぎちゃん 英語版

今回のだるまちゃんの遊び相手は、妹のだるまこちゃんとうそぎちゃんとうさぎこちゃんです。雪だるまを作ったり、雪ウサギを作ったり色々なものを作って遊びます。おやつまで、色々なうさぎに変身してとってもたのしいひと時を過ごします。


手袋や新聞紙やナフキン、リンゴまでうさぎに変身するこの絵本を読むと、思わず真似をしてやってみたくなります。小さな頃、父や母と色々なモノを作った事を思い出しました。ほんの少し前の時代には、今みたいに高性能なおもちゃがなくとも、家族で楽しみながら簡単なおもちゃを作ったりして楽しんでいたんですよね。そんな楽しいひと時を思い出させてくれた絵本です。


良い絵本ですけど、大雪の後の雪遊びの絵本ですから、関東地方の3月半ばに読む絵本ではありませんね。大きな選書ミスです。その上、「丹下左膳」やら「座頭市」という表現がわからない上に、新聞紙でうさぎちゃん型の兜の作り方の解説が載っていたりして、少々混乱をしてしまった様子だったそうです。おなじだるまちゃんシリーズでも、『だるまちゃんとてんぐちゃん』とか『だるまちゃんとかみなりちゃん』などのさらっとしたストーリーの方が、入り易かったようです。


イエペはぼうしがだいすき

文化出版局編集部, 石亀 泰郎
イエペはぼうしがだいすき

40P/22×20.8/文化出版局/1978年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-緑と芝生の美しい時期


茶色い帽子が大好きなデンマークの3歳の男の子、イエペの1日を追った写真絵本です。家族や友だちに囲まれている時のイエペの笑顔が印象的です。大好きな茶色の帽子は、イエペにはちょっと大きすぎす気もしますが、この帽子さえあればイエペはいつだってごきげんです。一番のお気に入りというだけあって、最後まで読むうちに、イエペにはこの帽子しかない!って思えてくるから不思議です。


作品では、コペンハーゲンでの日常生活も描かれています。家庭での朝食の風景や散歩の様子。保育園等々。懐かしいと思うほど日本と似ているところもあれば、ちっょとしょっくを受けるほど違うところもあり、外国の生活の様子も垣間見る事のできる押しもろさもあると思います。

ざりがに

吉崎 正巳
ざりがに -かがくのとも傑作集

24P/26×23/福音館書店/1973年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-春~初夏


文字通り、ざりがにの生態を描いた科学絵本です。人間につかまえられそうになったざりがにが、自分のはさみを残して逃げていった様子や、片手になったざりがには、生きて行くのが難しいことなどを判り易く描いています。脱皮の様子やメスが卵を産み、子を育てる様子などが描かれています。


身近なところから、どんどん自然が失われている現代社会では、あたりまえに体験していた生き物とのふれあいも絵本を通して、疑似体験しかできないのかと、悲しくなってしまう反面、このような絵本を通して、あまりにも身近にいて、気にもしなかった事実を改めて認識するきっかけとなることになったりもするのです。


大人の思惑をよそに、小学生達はこのような科学絵本が大好きです。物語絵本が苦手な男の子でも、食い入るように寄ってくるのがこのテの絵本だったりします。名作を読んで感性を磨くことも素晴らしい事でしょうし、読み聞かせを通して読書好きにしようという運動も素晴らしいでしょうが、所詮は絵本です。善し悪しはともかく、みんなで純粋に楽しみを共有しましょう。

ごろごろにゃーん

長 新太
ごろごろにゃーん

32P/20×27/福音館書店/1976年初版/読み聞かせにかかる時間-2分/季節-全体が青緑色の色調で涼しげなので夏と言いたいですが、これは私の勝手な考えです。多分、通年だど思います。


トビウオのような形の飛行機に猫達が乗り込みます。「ひこうきは/ごろごろ、/ねこたちは/にゃーん/にゃーん/ないています」。


大きなパラパラ漫画のように少しずつ絵が変わってゆきます。けれども、書かれている文字は全部一緒です。「ごろごろ/にゃーん/ごろごろ/にゃーん/と、/ひこうきは/とんでいきます」文章が同じなのに、これだけの違う絵が書ける長新太さんば凄い!同じ文章だから、少しずつ違っている絵が際立ちます。出発したばかりの船の中から外を見ている猫達の顔は、なんだかとてもうしそうです。大きなクジラに追いかけられているときの船の中はどんな状態でしょう。


「ごろごろ/にゃーん/ただいま-。」文章は、これだけです。


未就学の小さな子どもを対象に作られた幼児絵本ですが、無限の想像力を育める名作だと思います。日本の絵本作家の第一人者、長新太さんの作品の中でも上位を占めるよい出来だと思います。子どもを抱いて、会話をしながら読み進める想像力の拡がる絵本です。

アンガスとあひる

マージョリー・フラック, 瀬田 貞二
アンガスとあひる

32P/17×25/福音館書店/1974年初版/読み聞かせにかかる時間-4分/季節-柳の木の芽が美しい春~初夏


好奇心の強いスコッチ・テリア(犬の種類)のアンガスは、庭の境の生垣の向こう側から聞こえてくるやかましい音の正体が気になって仕方がありませんでした。ある日のこと、ドアが開け放しになっていたので、アンガスはそれっと、おともてに飛び出しました。垣根の向こう側に出ると、目の前に2羽のあひるがいました。

アンガスは、あひるたちに向ってうなりました。「ウーウーウーウーウーワン!」アヒルは逃げ出し、柳の木陰の水のみ場でゆっくりと水を飲み始めました。そこでまた、アンガスは「ウーウーウーウーワン!」。


こんなことをしたものですから、今度はあひるたちが、アンガスに向って「シーシーシーシーシーシーシュ!!!」と言い返され、尻尾をつつかれてしまいました。

アンガスは、脱兎のごとく逃げ出し、うちの中へ駆け込むとソファの下に潜り込み、一、二、三分間、何事も知りたいと思いませんでした。というお話です。


マージョリー・フラックは1897年ニューヨークのグリーンポートで生まれ、アート・スチューデンツ・リーグ校で絵を学びました。1930年に出版された『Angus and the duck (アンガスとあひる)』から、本格的に絵本作家として描き始めたようです。このアンガスシリーズは、好評を得て、その後4冊が出版されています。


フラックの作品の主人公はどれも、小さな子どもそのものであり、子どもが自分を主人公に重ね合わせながら夢中になって冒険できるものばかりです。翻訳者の瀬田貞二氏も子どもがはじめて出会う物語絵本、に最適だ、と述べています。(同氏著『絵本論』より)


実際、彼女の作品は、ストーリー・挿し絵共に単純明快で判り易く、計算の行き届いた全体の過不足ないページ割り等の配慮が全体に行き届いています。子供心を充分、研究・理解した上での作品づくりは、芸術と言っても過言ではないて思われます。


また、フラックの作品の特徴として、「行って帰る」手法が使われている事が挙げられます。トールキンの『ホビットの冒険』では-ゆきてかえりし物語-ではありませんが、主人公が冒険に出かけて行ってまたもとの所に戻ってくるという手法は、子供たちに特に好まれるものなのです。彼女はこの手法を昔話から学んだのではないかと、瀬田氏は述べています。


瀬田氏は「絵本の歴史をみて、アメリカに絵本を創始したのがワンダ・ガアグだとすれば、ガアグに続いて30年代後半と40年代に絵本の基礎を固めたのがフラックであったろう」とも書いており、このような良書をふんだんに子ども達にふんだんに与えることによって、子供たちの持つ豊かな感性がより磨かれることを願ってやみません。

きんぎょがにげた

五味 太郎
きんぎょが にげた

24P/22×21/福音館書店/1982年初版/読み聞かせにかかる時間-2分程度(きんぎょを探すので・・・)/季節-個人的に、金魚鉢を見ると涼しい気持ちになれる初夏


五味太郎さん独特のイラストで、金魚鉢から逃げたきんぎょを探す幼児向けのしかけ絵本です。カーテンの模様やお花の一つになったり、キャンデーの中やいちごの中にまぎれ込んだり、テレビの映像にだってなってしまう内容のお話です。


最後は、お外の池の中に逃げ込んだきんぎょ。たくさんの金魚と一緒に泳いでいます。でも、よ~く注意してみてみると、「あっ。逃げていたのはこのきんぎょだ!」って判る筈です。


イラストとして完成度の高い五味さんの絵は、とても鮮明なのに目に優しく、小さな子ども達の目に受け入れやすく創られているように思われます。極限まで単純化した言葉に、最高にマッチした絵ですね。『きいろいのはちょうちょ』『まどからおくりもの』『わにさんどきっはいしゃさんどきっ』『ゆびくん』などたくさんの素敵な絵本があねのも魅力的です。