クローバー(ノンフィクション小説) -110ページ目

採用試験‐5‐


看護婦になる気もない
やる気もない
そこに居続ける事に
何の意味もない私を選ぶなんて……

世の中間違ってんな。

嬉しかった事は
リエとの約束が守れたって事だけだ。

そうやって心を騙し続けていく
自分は1番最低だ……


最後は得意の自己否定。


駄目だわたし……

採用試験‐4‐


学科試験はかなり難しかったが
とりあえず全部埋めた。

小論文は……
まだ当時は導入されていなかった
『介護保険制度について』。

よく理解していなかったがそれとなく大人が好きそうな言葉を並べ立てて無難に熟した。


そして面接……
院長と1対1
かなり貫禄のある院長。

「君はテレビとか新聞は見てるか?」

「寮にいるのでテレビはほとんど見てないし、新聞はないので読んでません」


「テレビや新聞は見なきゃ駄目だよ。常に新しい情報は収集しないと」

「はぁ そうですね」


「君は何故うちの病院を受験したんだ?」

「海が好きで、この場所が好きだからです」


看護婦とは全然掛け離れた受け答え……

それは今自分にできる
精一杯の抵抗だった。


終わった。


これで採用されたら
見る目がなかったって事だね

採用試験‐3‐


試験会場に着くと
あまりの人の多さに面食らった。

そしてこの中から採用される人数
たったの4人。

隣に座っていた子が話しかけてきた。

「ねぇねぇ あなたはこの病院に知り合いとかいるの?」
黒髪の清純そうな子……

「そんなのいないよ」


「まじで? ここはコネないと入れないよ!」

「あぁ 知ってる。てか何かコネあんの?」


「親が院長先生と知り合いなんだよねぇ」

「ふーん」


「絶対この病院に行きたいんだ」

「あっそ 頑張らないとね」


コネで受かる気満々の余裕なあの子と……

看護婦になりたくないのに
ここに来ている自分。




どっちが
最低なんだろ……