卒業式で殴り合いの喧嘩になった理由 | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

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日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。

先日、娘の親友の医学部の卒業式がありました。

 

 

ニューヨーク

今年は卒業式が中止になった大学もあります。

41丁目に住む友人のアパートからの眺め

 

 

 

 

 

アメリカの医学部は4年制大学(プレメッドという医学部を目指す専門の学科を専攻します)を卒業した後に入学します。

 

卒業式に臨む彼女は、天才的に頭のいい女の子ですが、これまでに彼女が勉強に関して潜り抜けてきた大変さは涙なしでは語れないほどでした。

それを仲間たちはみんな知っているだけに娘たちも自分のことのようにひとしおで心からこの日をお祝いしました。

 

娘も卒業式に参加しました。

 

その晴れの場で、彼女がまさかの混乱を巻き起こすことになろうとは。

彼女自身も想像もしなかったのではないでしょうか。

 

 

 

今週号のニューヨーカー誌の表紙

コロンビア大学には警察が入り卒業式が中止になりました。

他大学でも似たような事態に陥ったことを

表現した表紙です。

卒業生の女の子の表情が

笑っていることに慰められます。

 

!今年コロンビア大学の卒業式は中止になってしまいました。

 

 

 

その日、彼女は晴れの卒業式に、なんとパレスチナの国旗を持って参加したのです。

 

それだけと言えばそれだけなんですが。。。

 

パレスチナの旗はアラブ反乱に基づく意匠の旗であり、その国旗のせいで、突然男の子たちの殴り合いの喧嘩に発展してしまったのです。

 

ニューヨークの医学部の学生にはユダヤ人がとても多いのです。

 

警察が来る前に事態は鎮められたのですが。。。ほっ。

 

しかし彼女がどうしてもその国旗を持って参加したかった理由は。。。

彼女のことをよく知っているわたしはこの行為を決して軽率だとは片づけられません。

 

 

 

卒業式の前にはこんなことがあったのです。

 

イスラエル軍は5月17日、通常の紛争地域よりも北方に位置する沿岸の町を攻撃し、親イラン武装組織ヒズボラの構成員1人とシリアの民間人2人が死亡。

 

また、レバノン東部とシリアの国境沿いの町に対するイスラエル軍の攻撃では、イスラム組織ハマスに属するパレスチナ人2人が死亡。

 

 

 

 

もし、仮にです。

 

北朝鮮か中国が日本海沖から戦闘機でやってきて、突然市民を巻き添えにした爆撃を開始したとします。

あなたの親戚の家屋は焼け、市民が犠牲になったとします。

 

そんなことは起こりようがないことを前提で書いております。

どうぞご理解ください。

あくまで例えです。

 

そうなった時、たとえ両国の間には長い憎しみの歴史があり、相手国はさんざん日本に踏み躙られてきたとしても、現代を生きるあなたは、攻撃を仕掛けてきた国に憎しみを感じることなく、あくまで中立の立場でいられるでしょうか。

 

 

似たようなことを彼女の従兄弟一家は経験しました。

 

10年以上前になりますが、イスラエルとの国境近くに住んでいた彼女の従兄弟さん一家。

 

彼のお父さんは早くに亡くなっていて、お母さんと妹や弟がおり長男であるその従兄弟さんは当時まだ13歳にもなってない頃でした。

 

突然イスラエルの攻撃が始まったのです。

爆撃の犠牲にならないために、なんとか家を脱出する必要があります。

けれど、爆撃は続き、このままでは一家全員死ぬことになると覚悟したそうです。

 

そんな時、ヒズボラの人が来てこう教えてくれたそうです。

「今、イスラエルの戦闘機は給油体制に入っている。逃げるなら今しかない」

 

彼は、弟や妹、お母さんを連れてとにかく必死で逃げたそうです。

どうやって逃げたのか。

詳しいことはあまりに辛い内容で娘も聞けなかったようです。

 

ただ、途中にベイルートに続く命綱的な橋があり、そこが爆破されたら一巻の終わりです。

けれど、なんとか奇跡的に無事に逃げ切ることができたそうです。

 

彼ら一家はそれ以来、一度も自分たちの家には戻っていないそうです。

 

 

その従兄弟さんは娘たちとほぼ同じ歳。

娘がレバノンに行った際、その従兄弟さんと一緒に写っているお写真があるのですが、とてもそんな修羅場を潜り抜けてきたとは思えない、おぼっちゃまっぽい雰囲気の育ちの良さそうな男の子でした。

 

当時はレバノンのアメリカン大学に通っていたということです。

 

 

 

イスラエルとパレスチナの紛争を顧みると、当然ハマスがイスラエルに仕掛けた攻撃は許されるものではありません。

 

また、イスラエルに入植したユダヤ人の多くが、過去に置いてナチスばかりか多くのアラブ諸国でも本当に残念な仕打ちにあってきたことも確かです。

 

だからアメリカ人の多くや、アメリカがバックアップしているイスラエルは、ヒズボラとハマスをテロ組織と認識しています。

 

けれどレバノン人にとってヒズボラは市民に愛され信頼されているレジスタンス的組織とみなされているのです。

 

 

さらに、世界でイスラエルの首都に次いでユダヤ人口が多いと言われるニューヨークの多くのユダヤ人たちの中には、イスラエルは今、行きすぎた攻撃をしており、すぐやめるべきだと停戦を訴える人も大勢います。

 

 

今の世界は白か黒かに分断され、敵か味方かしかない。

中立でいることは許されないような空気感があります。

 

 

中立とはつまり。。。

 

我関せずという態度か

もしくは分かってはいても

己を守るため手出しはしない、

守りたいのは自分だけという態度。

 

国で言うならスイスです。

 

日本ではとても平和で美しい国と考えられるスイスですが、アメリカ人の多くはそうは考えません。

中立という立場のもとに「ずるい」こともしている国だからです。

 

スイスの銀行は世界のビリオネアの脱税逃れに加担しています。

スイスの銀行は汚いお金のマネーロンダリングに利用されています。

 

つい少し前まで、ナチスのアウシュビッツのような収容所で亡くなった大金持ちのユダヤ人の口座を、本人でないという理由で親族が引き出すことはできないとされ、問題になりました。

 

本人が亡くなってしまった今、それをスイスの銀行はまるごと没収するのか、ということになります。

 

また、中立国であるゆえ、スイスの自衛的な軍事施設の立派さは目を見張るようです。

市民全員に徴兵制の義務もあります。

 

つまりこうも言えるかもしれません。

 

中立とは孤立である。

強力な敵もいない半面、味方もいない。

 

娘の親友は、卒業式に、国旗を持参したばかりに大混乱を巻き起こしてしまいましたが、敵が明確になった反面、強力な味方も鮮明に理解したことでしょう。

 

しかし、もし中立というちょっとずるい人生を選んでいたら。

孤立した寂しい人生になるかもしれませんね。

 

 

このお話、長くなりそうです。

ついつい力がこもってしまいうまくまとめられないので、「続く」ということで。。。

 

 

 

 

 

 

 

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