古典香道の醍醐味 | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

雲六月の「源氏合わせ」

 薄雲の色はどのような色?

 

 

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

梅雨とは名ばかり

どうやら

梅雨明けになりそう

 

例年は大体

7月20日

夏休みに入る日と記憶

 

6月の4週目

一昨日、一昨昨日とお教室でした。

酷暑に関わらず

皆様お見えになりました。

 

 

 

 

 

 

今回の「源氏あわせ」は

「源氏物語」

第十九帖「薄雲」でした

 

師範の方も

そうでない方も

ご一緒に愉しんで頂きました。

 

「源氏って、なんて人!扱いの酷いこと!」

 

「気の毒なのは明石の君です」

 

「紫の上もお気の毒に・・・」

 

「何て言っても冷泉帝は踏んだりけったり」

 

 

この帖も源氏への風当たりが

凄まじいこと

 

物語の上とはわかっていても

実在の人物に思えてしまいます。

 

紫式部の手につい

乗ってしまうのです。

 

この帖は読者にも

源氏にとっても

明るい帖でありません。

 

桐壺帝に寵愛された

源氏の母の面影を持つた

藤壺の尼宮の他界

 

源氏の悲しみは

尋常ではありませんでした。

 

その想いは周囲に

決し知られてはならない

ものでした。

 

 

 

 

 

 

藤壺の宮に胸焦がした

かつての花の宴を思い出し

 

その深い哀しみを

人に知られぬよう

念誦堂(ねんずどう)で詠った和歌が

帖名「薄雲」となっています。

 

 

 

 

 

 

夕日はなやかにさして

山際の梢あらはなるに

雲の薄く渡れるが鈍色なるを

なにごとも御目とどまらぬころなれど

いとものあわれにおぼさる

 

 

 

入り日さす

 峰にたなびく薄雲は

もの思う袖に 色やまがへる

 

 

(夕陽が射す峰の上にたなびている薄雲は

私の哀しみの衣に似せたのか

私の気持ちと同じように哀しく映る)

 

 

平安時代

哀しみを表す衣の色(喪服)は

鈍色(にびいろ)とされていました。

 

鈍色とは染め色の一つで

濃い鼠色です。

死者と縁が深いほど濃く

浅いと薄い色となります。

 

源氏と藤壺の尼君の間柄は

義理の母と義理の息子ですが

実は、二人の間には男の子が

誕生しています。(後の冷泉帝)

誰にも明かせない秘密なのです。

 

ですから

鈍色を濃くしたくとも

表立って深くはできないのです。

 

では

 どの位の濃さ?

 

推察すると

とても面白いキラキラ

 

 

最上の濃さで

墨染

濃い鼠色

青鈍(あおにび。青みがかった鼠色)t

薄墨色

銀鼠

まだまだありそうキラキラ

 

源氏はどのような

鈍色の衣を?

 

季節は春晩く

当時の空模様からすると

夕日が峰の辺を射しているので

晴れ

 

春遅い夕暮れ

明日への希望を残した

陽の光が峰を照らし

木々の梢がくっきり見え

そこに鈍色の薄雲が・・・

 

源氏は哀しみ深く

できるなら

濃い衣を纏いたいと

思ったに違いありません

表に現わすことを控え

薄雲の棚引く軽さから考えると
淡い鼠色

 

棚引く雲のように

白に近い薄い鈍色だった

のではないでしょうか?

 

 

今回の「源氏あわせ」には

私も薫物創りをいたしました。

 

今回は2日に分かれましたので

残念に思われます。

全員集合できたら

もっと楽しめたのではないでしょうか

 

同じ物語を読んでも

人それぞれに思いは異なり

出来上がる薫物も違い

面白いものです。

 

いつもいつも感心させられ

私も学ぶことの多い香合わせです。

 

とても愉しい時間を持て

感謝しております。

 

また4か月先が愉しみです。