●光源氏には共感できませんが
「源氏物語」の香りは聞いてみたいのです
ご訪問ありがとうございます
平安朝香道の朝倉涼香です
これから冷え込んで来るそうです。
どうか風邪など召しませぬように!
「源氏合わせ」の時期が来ると
その度毎に、皆様の怒りを受け止めることとなります。
なぜって女性なら光源氏の行いを
正当化出来ないからです。
もしも自分の彼氏だったら
絶対に許しておけません。
彼氏が浮気して、発覚したら
「じゃ、サヨナラ~」
ですよね。
よほど気に入っている彼氏なら
許して上げる?
「ウ~~ン」
「やっぱり、ダメ!」
「先生。光源氏って許せない!」
「どうしてこんな男がもてるの?」
「源氏物語が世界的に評価されている
のはわかります。」
「でも、でも絶対許せない。」
「継母と恋愛?
しかも不義の子をもうける。」
「付き合いたくない女性への表現の凄さ。」
「いつまでも思い切れない女々しさ。」
「それから良く泣くんです。」
「なんでこんなことで涙するの?
あきれて物も言えません。」
まあまあ、お待ち下さい。
私も女性ですので皆様のお気持ち
よ~~くわかります。
でもこれって物語なんです。
紫式部の創作です。
なんて言っても
紫式部が凄い方なんです。
もちろん似たような事実もあったでしょう。
紫式部は宮中を丹念に取材して
経験と想像から作った物語なんですものね。
当時の人々を夢中にさせたんです。
印刷なんてない時代、夢中で読んで
気に入ったら、自分の手元に置いておきたくなるはず。
必死で書写したのでしょうね。
中にはそらんじる方もいらしたでしょう。
とにかく、紫式部は天才です。
千年後の人々に様々な思いを提供することになるなんて
思っていたでしょうか?
「源氏物語」を読み始めると
今起きた事件のように腹が立ち
怒りたくなるのです。
「私の筆の術中におちいったわね」
と紫式部がほくそ笑む顔が見える気がいたします。
「源氏合わせ」の前には生徒さんに
課題の帖を現代訳や原文で読んで頂きます。
(マンガでもOK)
その中で薫物にして表現したい
心情や情景、心に残る場面などを
香に表現していただきます。
それが
薫物(様々な香を合わせ、蜂蜜で練り
しばらく寝かせておきます。)の創作です。
毎回、怒りを鎮めて頂いてから
「源氏合わせ」を行うこととなります。
光源氏に良い思いは抱かないけれど
「源氏物語」に登場する薫物は作ってみたい。
できたら「源氏合わせ」で
皆様が共感して下さる薫物を創りたい。
きっとそのような思いで創作なさっているのでは?
「源氏合わせ」のために作られた薫物の香りを
聞くことでわかります。
皆様気を入れて熱心に作られているのでしょう。
光源氏には怒りを覚えても
人を引き寄せる薫物をまとっていた光の君
暗闇のなかでも
「もしかして、あの方?」
「なんて素敵な香り~」
香りで自身の存在をアピールし
相手の心までも引き寄せるのです。
そっと忍んでくるくせに
「私だよ。」
とすれ違う者にも気づいてほしい。
そのような香りって
いったいどのような香りだったのでしょう?
「源氏物語」から薫物を抜いては
私には何も語ることが出来ません。
味のない銘菓や
香りのない華やかな花のようで・・・
光源氏のことは許さなくても
「源氏物語」の中で香りは
重要な役目を担っているのです。
「その香りを作ってみたい」
その欲求が「許せない」感情よりも勝っている
ですから光源氏に怒りを覚えても
「源氏合わせ」は楽しみ
とおっしゃるのでしょうね。
ほら、薫物を聞いたらスッキリなさったでしょう?