●疑問に思うこと
芥子(けし)と罌粟(けし)①
訪問ありがとうございます
平安朝香道の朝倉涼香です
新型コロナウイルスに翻弄され
例年にない大雨が各地を襲っています。
また想定外の災害が起こっています。
災害に遭われた方々に
心よりお見舞い申し上げます。
梅雨が明けるまで
まだまだ油断は出来ません。
これ以上被害が多くならないことを
祈るばかりです。
祈ると言えば
古より人智の及ばないことには
祈るしか方法がなかったのでしょう。
先月の「源氏物語」「葵」の巻では
光源氏の正妻の葵上が
もののけに何度も苦しめられ
最後は生霊(いきりょう)に
苦しめられます。
もののけや生霊を追い払うために
焚かれた物は芥子(けし)でした。
その芥子の香りが
六条御息所の衣に付いて
いくら消そうとしても
その香りは決して
消すことができなかったのです。
そのことで、彼女は自分自身が
生霊となっていることに気付きます。
そこで使われた芥子(ケシ)
現在では一般的に芥子はケシと読み
ポピーのこととなっています。
オリエンタルポピー(オニゲシ)や
アイスランドポピー
そしてシャーレーポピー(ヒナゲシ)が
園芸種としてお馴染みですね。
雛罌栗(ヒナゲシ)がイメージとして
ピンと来るのではないでょうか?
丘の上 ヒナゲシの 花で~
占うの あの人の心~~
アグネスチャンの歌にあるヒナゲシです。
お花のことは話が長くなりますが
雛罌栗(ヒナゲシ)は
英語で ポピー ( poppy)
中国語で 虞美人草(ぐびじんそう)
フランス語で コクリコ(coquelicot)
スペイン語で アマポーラ(amapola)
どの語も
一度は耳にしたことがありますよね。
どんどん横へそれそうなので
軌道修正
薄い紙のような
儚げな花びらを持った
芥子ですが
阿片やモルヒネとなる
危険な種類もあるのです。
危険なケシは
日本では戦後、栽培が禁止され
違反した場合は罰せられます。
園芸種は問題なしですから
ご心配には及びません。
危険な芥子・罌粟(ケシ・オウゾク)は
薬用植物園で見ることができます。
そこで
「源氏物語」「葵」に登場した
芥子の香りとは
どのような香りなのでしょう?
その香りでもののけや生霊を
追い払うことができるのでしょうか?
いくつかの関連書には
ケシ(ポピー)の種子を
焚いたように書かれています。
辞書でさえ芥子はケシ科
として解釈していたりします。
ケシの種子って
あんパンやお菓子に使ってある
あのケシ粒のことです。
あんパンにまぶしてあるケシ粒って
香りがするでしょうか?
家にあるお料理用のケシ粒は
ほんの少しの芳香はしますが
特別な良い香りも
悪い香りもしませんが・・・
噛むと木の実のような風味がします。
芥子の種を焚くと
驚くほど嫌な香りがするのでしょうか?
そこでちょっと実験
ポピーシード(ケシの種)を
フライパンで焙ったり
直接火に落したりしてみましたが
少し香ばしく
やはりアーモンドやクルミなどの
木の実を感じさせる香りです。
決して嫌な香りはなく
その場から退散したくなるほどの
強烈な香りでは全くありません。
なぜかおかしい!
そこで今度は
粉末にすることにしました。
この時点で刺激的な香りがして良いはずですが
今度は香炉で炙ってみましたが
やはり特徴的な香りはしないのです。
ケシの種子とは違うのでは?
一番の問題点は
罌粟(ケシ・ポピー)と呼ばれる植物が
渡来したのは
室町時代になってからのことなのです。
つづく