今年(2023年)は一大河ファンとして、今のところ脚本と演出が幼稚であまりにも悲惨なため、とても残念な年になりそうだ。だから、書くネタもないので、過去の大河・准大河(※1)を振り返ってみたい。
1963 幕末(※2) -(※3) 20.2(※4) 『花の生涯』 記念すべき第一作
1964 忠臣蔵 - 31.9 『赤穂浪士』 昭和は忠臣蔵が人気の定番
1965 戦国 - 31.2 『太閤記』 緒形拳さんの秀吉は絶品(たぶん)
1966 源平 - 23.5 『源義経』
1967 幕末 - 19.1 『三姉妹』 架空の女性が主人公
1968 幕末 - 14.5 『竜馬がゆく』 人気の司馬遼作品も前年の不人気のあおりか。
1969 戦国 - 25.0 『天と地と』
1970 江戸前期 - 21.0 『樅ノ木は残った』 四代将軍家綱期の伊達騒動がテーマ
1971 江戸前期 - 21.7 『春の坂道』 柳生宗矩が主人公
1972 源平 - 21.4 『新・平家物語』 見たかった!
1973 戦国 9 22.4 『国盗り物語』 評価基準ではあるが、脳内で理想化されすぎているため、我ながらあてにはならないとも思う。
1974 幕末 - 24.2 『勝海舟』 断片的な記憶も。難しすぎて見るのを諦めたのかも。
1975 忠臣蔵 - 24.7 『元禄太平記』
1976 平安 7↓(7マイナス) 24.0 『風と雲と虹と』 習慣的に大河を見るようになった初の作品。中盤は子ども(小学生)には少しややこしくて中だるみ気味に感じられた。クライマックスを迎える終盤は興奮して見ていたような記憶がある。 ※「6」に近い「7」
1977 幕末 8 19.0 『花神』 視聴率は低かったけれど、中村雅俊さんの高杉晋作がじつによかった。
1978 戦国 5 25.9 『黄金の日々』 緒形拳さんの秀吉が再び登場!
1979 源平 7 26.3 『草燃える』 2022大河を見るまではあまり良い評価をしていなかったが、改めて検討した結果、評価を上方修正した。事実上の主人公は北条政子と義時(公式には頼朝)
1980 幕末 - 21.0 『獅子の時代』 架空の人物が主人公
1981 戦国 6 31.8 『おんな太閤記』 平均視聴率が30%突破
1982 忠臣蔵 - 23.7 『峠の群像』 大学受験もあったせいか、ほとんど見た記憶なし。
1983 戦国 - 31.2 『徳川家康』 高身長な滝田栄さんのイメージが家康像とあまりにもかけ離れていたため、残念ながら見ていない。
1984 近現代 - 21.1 『山河燃ゆ』 近現代大河第一作
1984~85 新大型 - ? 『宮本武蔵』 迷走する近現代大河三部作にかわって、従来の大河ファン向けに放送された新大型時代劇第一作。
1985 近現代 - 18.2 『春の波涛』
1985~86 新大型 7↑(7プラス) ? 『真田太平記』 忍者も大活躍するエンタメ全開な新大型時代劇 ※「8」に近い「7」
1986 近現代 - 29.3 『いのち』 架空の女性が主人公
1986 新大型 6 ? 『武蔵坊弁慶』 鬼平になる前の中村吉右衛門さんが主演
1987 戦国 7↑(7プラス) 39.7 『独眼竜政宗』 大河史上最高視聴率。主演の渡辺謙さんの演技が凄い! ※「8」に近い「7」
1988 戦国 7 39.2 『武田信玄』 二年連続の戦国大河で完全復活
1989 江戸前期 - 32.4 『春日局』
1990 幕末 - 23.2 『翔ぶが如く』
1991 南北朝 9 26.0 『太平記』 個人的にもっとも評価の高い大河
1992 戦国 - 24.6 『信長 KING OF ZIPANGU』
1993前期 近世琉球 5 17.3 『琉球の風』 架空の人物が主人公。いつか古琉球大河を見てみたい!
1993~94 源平 8 17.7 『炎立つ』 視聴率は低かったが、見応えは十分
1994 室町 - 14.1 『花の乱』 退屈しそうだったので、見なかったのだが、見なかったことをもっとも後悔している作品。総集編を見たかぎり、見るべきだったと痛感!
1995 江戸中期 - 26.4 『八代将軍吉宗』 こちらも見なかったことを後悔している作品の一つ。
1996 戦国 7↑(7プラス) 30.5 『秀吉』 ※「8」に近い「7」
1997 戦国 5 23.4 『毛利元就』 期待は大きかったのだけれど、総大将同士が一騎打ちをしてみたり、とにかく幼稚な脚本がひどかった。
1998 幕末 7 21.1 『徳川慶喜』 考えてみたら、これもジャニーズ大河だった。それを感じさせないほどの、本木雅弘さんの熱演だった。
1999 忠臣蔵 6 20.2 『元禄繚乱』
2000 江戸前期 7 18.5 『葵 徳川三代』 じつは本放送は見ていなかったが、最近、再放送で見たら、それなりにおもしろかった。
2001 鎌倉 5 18.5 『北条時宗』
2002 戦国 - 22.1 『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』
2003 江戸前期 6 16.7 『武蔵 MUSASHI』 七代目 市川 新之助さんの、真っ直ぐな武蔵は悪くなかった(再放送を視聴しおえたので、2024/7/2追記)
2004 幕末 - 17.4 『新選組!』 ジャニーズ大河を理由に見なかった作品。いまでは食わず嫌いはよくないと思い、どんな作品でも大河だけは最初から最後まで見つづける努力をしている。
2005 源平 - 19.5 『義経』 上に同じくジャニーズ大河だから、見なかった作品。
2006 戦国 - 20.9 『功名が辻』
2007 戦国 6 18.7 『風林火山』
2008 幕末 7 24.5 『篤姫』 見応えはあった。主演の宮崎あおいさんは気品があって、美しいけれど、それだけにかえってあまりにも年をとらなすぎることが不自然に感じられた。それから、原作どおりなのだとしたら、やむをえないのかもしれないが、家定がうつけのフリをしていたという解釈は説得力に欠けるように私には思われた。(再放送を視聴しおえたので、2024/12/6追記)
2009 戦国 5 21.2 『天地人』
2010 幕末 8 18.7 『龍馬伝』 個人的には21世紀初のヒット作!
2011 戦国 4 17.7 『江 〜姫たちの戦国〜』 個人的には大河史上最低作。とにもかくにも脚本がひどすぎた(上野樹里さんの演技はうまいと思うし、好きではあるけれども……)
2009~11 特別 9 ? 『坂の上の雲』
2012 源平 7 12.0 『平清盛』 世間の評判はよくないらしいが、個人的には悪くなかったと思うし、着眼点もよく、それなりにおもしろかった。
2013 幕末 6 14.6 『八重の桜』
2014 戦国 6 15.8 『軍師官兵衛』 初めて見たジャニーズ大河。思ったほど、ひどくはなかったし、期待以上にはおもしろかった。
2015 幕末 5 12.0 『花燃ゆ』 主人公はいったい誰だったんだろう。維新の英雄たちが活躍する前半はふつうにおもしろかったのだが……。
2016 戦国 7↓(7マイナス) 16.6 『真田丸』 ※「6」に近い「7」
2017 戦国 5 12.8 『おんな城主 直虎』 ラノベ風大河?
2018 幕末 6 12.7 『西郷どん』
2019 近現代 7↓↓(7ダブルマイナス) 8.2 『いだてん~東京オリムピック噺~』 ドラマ自体は決してひどくはなかったと思う。素直に近現代劇として放送してさえいれば、それなりの評価は得られたかも知れない。にも関わらず、従来の大河ファンに挑むかのように、大河枠を使って放送してしまったことが不幸であったように思う。歴史・時代劇がテレビ画面から消えつつある今日、わざわざ数少ない枠を奪ってまで本作を放送する必要があったろうか。こんな仕打ちをしたのだから、大河ファンにそっぽを向かれたのもやむをえないだろう。「大河」枠で見せられてさえいなければ、大河ファンに「裏切られた」ような心象を与えることもなかっただろうし、標準以上どころか、見ごたえある作品として十分に評価されたことだろう。それが残念でならない(2024/12/20修正)
2020 戦国 6↑(6プラス) 14.4 『麒麟がくる』 ※「7」に近い「6」
2021 幕末 6 14.1 『青天を衝け』
2022 源平 7 12.7 『鎌倉殿の13人』 序盤は期待以上だったが、中盤以降は期待外れな面も少なくはなかった。大泉洋さんの頼朝がとてもよかった。
2023 戦国 4 11.2 『どうする家康』 幼稚な脚本と演出は最後まで改まらず、残念な作品のまま終わってしまった。他の作品の評価との兼ね合いから、評価を「1」から「4」に変更(2024/12/15修正)
2024 平安 6↑(6プラス) 10.7 『光る君へ』 本音をいえば、あまりおもしろくはなかった。主人公の生涯を一年かけて語り尽くさなければならない大河にはつきものとはいうものの、ご都合主義が過ぎる展開にはしばしばがっかりさせられた。それでも、昨年の『どうする~』とは違って、制作陣の真摯な姿勢や熱意は丁寧な創りからも十分に伝わってきた。作品への純然たる評価は「6」といいたいところだが、新たな地平を切り拓いた点を加味して「6↑(プラス)」とした。大河は必ずしもおもしろくはなくても、見る価値があるということを感じさせられた作品。 ※「7」に近い「6」(2024/12/19追記)
2025 江戸中期 ? ? 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
(最終更新:2024/12/20)
以下は2023大河『どうする家康』放送期間中の評価とコメント。
評価「1」(記事公開時点)幼稚で先人を茶化すような演出と脚本は大河史上最悪だと感じる。もうジャニーズ大河云々のレベルではない。評価はあくまでも現時点での個人的なもの。今後、変わりうるし、変わってほしい。
2023/7/3追記:これまでにも出来(評判)の悪い大河はいくつも(例えば、2011大河『江~姫たちの戦国~』や2019大河『いだてん~東京オリムピック噺~』など)見てきたが、今年ほどひどい作品は空前絶後といっても言い過ぎではあるまい。まさしく異世界ファンタジー(『転生したらタヌキだった件』といった感じだろうか)、異世界を描いているのであれば設定も世界観もストーリーだって作者の自由だが、「大河」の名を冠するのであれば、視聴者への裏切り以外のなにものでもないだろう。(「看板に偽りあり」という意味で)最悪だ。それゆえの「1」点でもある。いっそのこと、異世界大河の枠を設けて、そちらで放送してはいかがだろう。決して見ることはないが、批評もしない。来年の大河も不安この上ない
2023/7/6追記:思うに、本作の考証家は自分がすべき仕事を理解していないのではないか。考証家の仕事はできそこないの話のアリバイ(史料)さがしではあるまい。大河だってフィクションなんだから、嘘があるのは当然だ。その嘘をいかにも本当にあったことのように見せる工夫を助言するのが考証家の仕事だと私は思う。どうしても、本当らしくならない話であれば、はっきりとそう伝えるべきであろう。そうした仕事ができていないから、幼稚で、先人への敬意を感じられない脚本(演出)になってしまうのだと私は思う
2023/12/31追記:今年の大河は幼稚な脚本・演出が最後の最後まで改善されることなく、まことに残念な作品になってしまった。考証家の言い訳もちらほら見られるようだが、時代考証の役目は視聴者が話に入り込めるようなリアリティある肉付けをできるように手助けすることであって、史資料によるアリバイ(言い訳)探しをすることではない、と私は思う。有り体にいえば、史実かどうかなんてことは誰にもわからないのだから、どうだっていい。その時代時代の人びとが織りなす本当のドラマだと思わせることこそが大切なのだ。来年の大河はチャンバラ要素もなく、不人気だろうと考えられてきた平安時代が舞台となるだけに視聴率的には今年以上に苦戦するかもしれないが、だからこそ安直なお約束に頼らずに新境地を開くことができるかもしれない。来年の大河に期待しよう
1)1984~86年に放送された新大型時代劇、および2009~11年に放送されたスペシャルドラマを本稿では准大河と呼ぶ。
2)時代(テーマ)区分。平安、源平(治承の内乱期)、鎌倉、南北朝、室町、戦国、江戸前期、忠臣蔵、江戸中期、幕末、近世琉球、近現代にくわえて、新大型(時代劇)および特別(スペシャルドラマ)に分類した。
3)じぶんなりの主観による10段階の評価。記憶に残っている最も古い1973大河『国盗り物語』が基準になっている。もっとも子ども時代のことゆえ、記憶は断片的で、テレビと小説の記憶が入り混じっているかもしれず、また脳内で理想化されている可能性も多分にある。「-」は幼くて見ていなかったか、見る前から「つまらないだろう」と決めつけて見なかった作品。途中で評価が変わることもありうるし、見てないものは評価することもできないから、食わず嫌いを反省し、いまはつまらなくても(苦痛でも)最後まで見るようにはしている。
10:文句のつけようもなく、おもしろかった(素晴らしい!)
9:とてもおもしろかった
8:おもしろかった
7:それなりにおもしろかった
6:おもしろくはなかったが、標準レベルはクリアしていると感じられた
5以下:おもしろくもなく、標準レベルにも達していないと感じられた
◯↑(◯プラス):◯よりもややよかった
◯↓(◯マイナス):◯よりもやや悪かった
◯↓↓(◯ダブルマイナス):評価対象外(たとえるなら、蕎麦を注文して、パンが出てきたような……)
評価基準を2024/12/7追記)
4)期間平均視聴率。ビデオリサーチ調べ(世帯視聴率。関東地区)