今年2023年は一大河ファンとして、今のところ脚本と演出が幼稚であまりにも悲惨なため、とても残念な年になりそうだ。だから、書くネタもないので、過去の大河・准大河(※1)を振り返ってみたい。

 

1963 幕末(※2) -(※3) 20.2(※4) 『花の生涯』 記念すべき第一作

1964 忠臣蔵 - 31.9 『赤穂浪士』 昭和は忠臣蔵が人気の定番

1965 戦国 - 31.2 『太閤記』 緒形拳さんの秀吉は絶品(たぶん)

1966 源平 - 23.5 『源義経

1967 幕末 - 19.1 『三姉妹』 架空女性が主人公

1968 幕末 - 14.5 『竜馬がゆく』 人気の司馬遼作品も前年の不人気のあおりか。

1969 戦国 - 25.0 『天と地と

1970 江戸前期 - 21.0 『樅ノ木は残った』 四代将軍家綱期の伊達騒動がテーマ

1971 江戸前期 - 21.7 『春の坂道』 柳生宗矩が主人公

1972 源平 - 21.4 『新・平家物語』 見たかった!

1973 戦国  22.4 『国盗り物語』 評価基準ではあるが、脳内で理想化されすぎているため、我ながらあてにはならないとも思う。

1974 幕末 - 24.2 『勝海舟』 断片的な記憶も。難しすぎて見るのを諦めたのかも。

1975 忠臣蔵 - 24.7 『元禄太平記

1976 平安 7↓(7マイナス) 24.0 『風と雲と虹と』 習慣的に大河を見るようになった初の作品。中盤は子ども(小学生)には少しややこしくて中だるみ気味に感じられた。クライマックスを迎える終盤は興奮して見ていたような記憶がある。 ※「6」に近い「7」

1977 幕末  19.0 『花神』 視聴率は低かったけれど、中村雅俊さんの高杉晋作がじつによかった。

1978 戦国  25.9 『黄金の日々』 緒形拳さんの秀吉が再び登場!

1979 源平  26.3 『草燃える』 2022大河を見るまではあまり良い評価をしていなかったが、改めて検討した結果、評価を上方修正した。事実上の主人公は北条政子と義時(公式には頼朝)

1980 幕末 - 21.0 『獅子の時代』 架空の人物が主人公

1981 戦国  31.8 『おんな太閤記』 平均視聴率が30%突破

1982 忠臣蔵 - 23.7 『峠の群像』 大学受験もあったせいか、ほとんど見た記憶なし。

1983 戦国 - 31.2 『徳川家康』 高身長な滝田栄さんのイメージが家康像とあまりにもかけ離れていたため、残念ながら見ていない。

1984 近現代 - 21.1 『山河燃ゆ』 近現代大河第一作

1984~85 新大型 - ? 『宮本武蔵』 迷走する近現代大河三部作にかわって、従来の大河ファン向けに放送された新大型時代劇第一作。

1985 近現代 - 18.2 『春の波涛

1985~86 新大型 7↑(7プラス) ? 『真田太平記』 忍者も大活躍するエンタメ全開な新大型時代劇 ※「8」に近い「7」

1986 近現代 - 29.3 『いのち』 架空女性が主人公

1986 新大型  ? 『武蔵坊弁慶』 鬼平になる前の中村吉右衛門さんが主演

1987 戦国 7↑(7プラス) 39.7 『独眼竜政宗』 大河史上最高視聴率。主演の渡辺謙さんの演技が凄い! ※「8」に近い「7」

1988 戦国  39.2 『武田信玄』 二年連続の戦国大河で完全復活

1989 江戸前期 - 32.4 『春日局

1990 幕末 - 23.2 『翔ぶが如く

1991 南北朝  26.0 『太平記』 個人的にもっとも評価の高い大河

1992 戦国 - 24.6 『信長 KING OF ZIPANGU

1993前期 近世琉球  17.3 『琉球の風』 架空の人物が主人公。いつか古琉球大河を見てみたい!

1993~94 源平  17.7 『炎立つ』 視聴率は低かったが、見応えは十分

1994 室町 - 14.1 『花の乱』 退屈しそうだったので、見なかったのだが、見なかったことをもっとも後悔している作品。総集編を見たかぎり、見るべきだったと痛感!

1995 江戸中期 - 26.4 『八代将軍吉宗』 こちらも見なかったことを後悔している作品の一つ。

1996 戦国 7↑(7プラス) 30.5 『秀吉』 ※「8」に近い「7」

1997 戦国 5 23.4 『毛利元就』 期待は大きかったのだけれど、総大将同士が一騎打ちをしてみたり、とにかく幼稚な脚本がひどかった。

1998 幕末  21.1 『徳川慶喜』 考えてみたら、これもジャニーズ大河だった。それを感じさせないほどの、本木雅弘さんの熱演だった。

1999 忠臣蔵  20.2 『元禄繚乱

2000 江戸前期  18.5 『葵 徳川三代』 じつは本放送は見ていなかったが、最近、再放送で見たら、それなりにおもしろかった。

2001 鎌倉  18.5 『北条時宗

2002 戦国 - 22.1 『利家とまつ〜加賀百万石物語〜

2003 江戸前期  16.7 『武蔵 MUSASHI』 七代目 市川 新之助さんの、真っ直ぐな武蔵は悪くなかった(再放送を視聴しおえたので、2024/7/2追記

2004 幕末 - 17.4 『新選組!』 ジャニーズ大河を理由に見なかった作品。いまでは食わず嫌いはよくないと思い、どんな作品でも大河だけは最初から最後まで見つづける努力をしている。

2005 源平 - 19.5 『義経』 上に同じくジャニーズ大河だから、見なかった作品。

2006 戦国 - 20.9 『功名が辻

2007 戦国  18.7 『風林火山

2008 幕末  24.5 『篤姫』 見応えはあった。主演の宮崎あおいさんは気品があって、美しいけれど、それだけにかえってあまりにも年をとらなすぎることが不自然に感じられた。それから、原作どおりなのだとしたら、やむをえないのかもしれないが、家定がうつけのフリをしていたという解釈は説得力に欠けるように私には思われた。(再放送を視聴しおえたので、2024/12/6追記

2009 戦国  21.2 『天地人

2010 幕末  18.7 『龍馬伝』 個人的には21世紀初のヒット作!

2011 戦国  17.7 『江 〜姫たちの戦国〜』  個人的には大河史上最低作。とにもかくにも脚本がひどすぎた(上野樹里さんの演技はうまいと思うし、好きではあるけれども……)

2009~11 特別  ? 『坂の上の雲

2012 源平  12.0 『平清盛』 世間の評判はよくないらしいが、個人的には悪くなかったと思うし、着眼点もよく、それなりにおもしろかった。

2013 幕末  14.6 『八重の桜

2014 戦国  15.8 『軍師官兵衛』 初めて見たジャニーズ大河。思ったほど、ひどくはなかったし、期待以上にはおもしろかった。

2015 幕末  12.0 『花燃ゆ』 主人公はいったい誰だったんだろう。維新の英雄たちが活躍する前半はふつうにおもしろかったのだが……。

2016 戦国 7↓(7マイナス) 16.6 『真田丸』 ※「6」に近い「7」

2017 戦国  12.8 『おんな城主 直虎』 ラノベ風大河?

2018 幕末  12.7 『西郷どん

2019 近現代 7↓↓(7ダブルマイナス) 8.2 『いだてん~東京オリムピック噺~』 ドラマ自体は決してひどくはなかったと思う。素直に近現代劇として放送してさえいれば、それなりの評価は得られたかも知れない。にも関わらず、従来の大河ファンに挑むかのように、大河枠を使って放送してしまったことが不幸であったように思う。歴史・時代劇がテレビ画面から消えつつある今日、わざわざ数少ない枠を奪ってまで本作を放送する必要があったろうか。こんな仕打ちをしたのだから、大河ファンにそっぽを向かれたのもやむをえないだろう。「大河」枠で見せられてさえいなければ、大河ファンに「裏切られた」ような心象を与えることもなかっただろうし、標準以上どころか、見ごたえある作品として十分に評価されたことだろう。それが残念でならない2024/12/20修正

2020 戦国 6↑(6プラス) 14.4 『麒麟がくる』 ※「7」に近い「6」

2021 幕末  14.1 『青天を衝け

2022 源平  12.7 『鎌倉殿の13人』 序盤は期待以上だったが、中盤以降は期待外れな面も少なくはなかった。大泉洋さんの頼朝がとてもよかった。

2023 戦国  11.2 『どうする家康』 幼稚な脚本と演出は最後まで改まらず、残念な作品のまま終わってしまった。他の作品の評価との兼ね合いから、評価を「1」から「4」に変更2024/12/15修正

2024 平安 6↑(6プラス) 10.7 『光る君へ 本音をいえば、あまりおもしろくはなかった。主人公の生涯を一年かけて語り尽くさなければならない大河にはつきものとはいうものの、ご都合主義が過ぎる展開にはしばしばがっかりさせられた。それでも、昨年の『どうする~』とは違って、制作陣の真摯な姿勢や熱意は丁寧な創りからも十分に伝わってきた。作品への純然たる評価は「6」といいたいところだが、新たな地平を切り拓いた点を加味して「6↑(プラス)」とした。大河は必ずしもおもしろくはなくても、見る価値があるということを感じさせられた作品。 ※「7」に近い「6」2024/12/19追記

2025 江戸中期  ? 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 

最終更新:2024/12/20

 

以下は2023大河『どうする家康』放送期間中の評価とコメント。

評価「1」(記事公開時点)幼稚先人を茶化すような演出脚本は大河史上最悪だと感じる。もうジャニーズ大河云々のレベルではない。評価はあくまでも現時点での個人的なもの。今後、変わりうるし、変わってほしい。

2023/7/3追記:これまでにも出来(評判)の悪い大河はいくつも(例えば、2011大河『江~姫たちの戦国~』や2019大河『いだてん~東京オリムピック噺~』など)見てきたが、今年ほどひどい作品は空前絶後といっても言い過ぎではあるまい。まさしく異世界ファンタジー(『転生したらタヌキだった件』といった感じだろうか)、異世界を描いているのであれば設定も世界観もストーリーだって作者の自由だが、「大河」の名を冠するのであれば、視聴者への裏切り以外のなにものでもないだろう。(「看板に偽りあり」という意味で)最悪だ。それゆえの「1」点でもある。いっそのこと、異世界大河の枠を設けて、そちらで放送してはいかがだろう。決して見ることはないが、批評もしない。来年の大河も不安この上ない

2023/7/6追記:思うに、本作の考証家は自分がすべき仕事を理解していないのではないか。考証家の仕事はできそこないの話のアリバイ(史料)さがしではあるまい。大河だってフィクションなんだから、嘘があるのは当然だ。その嘘をいかにも本当にあったことのように見せる工夫を助言するのが考証家の仕事だと私は思う。どうしても、本当らしくならない話であれば、はっきりとそう伝えるべきであろう。そうした仕事ができていないから、幼稚で、先人への敬意を感じられない脚本(演出)になってしまうのだと私は思う

2023/12/31追記:今年の大河は幼稚な脚本・演出が最後の最後まで改善されることなく、まことに残念な作品になってしまった。考証家の言い訳もちらほら見られるようだが、時代考証の役目視聴者が話に入り込めるようなリアリティある肉付けをできるように手助けすることであって、史資料によるアリバイ(言い訳)探しをすることではない、と私は思う。有り体にいえば、史実かどうかなんてことは誰にもわからないのだから、どうだっていいその時代時代の人びとが織りなす本当のドラマだと思わせることこそが大切なのだ。来年の大河はチャンバラ要素もなく、不人気だろうと考えられてきた平安時代が舞台となるだけに視聴率的には今年以上に苦戦するかもしれないが、だからこそ安直なお約束に頼らずに新境地を開くことができるかもしれない。来年の大河に期待しよう

 

1)1984~86年に放送された新大型時代劇、および2009~11年に放送されたスペシャルドラマを本稿では准大河と呼ぶ。

2)時代(テーマ)区分。平安源平(治承の内乱期)、鎌倉南北朝室町戦国江戸前期忠臣蔵江戸中期幕末近世琉球近現代にくわえて、新大型(時代劇)および特別(スペシャルドラマ)に分類した。

3)じぶんなりの主観による10段階評価。記憶に残っている最も古い1973大河『国盗り物語が基準になっている。もっとも子ども時代のことゆえ、記憶は断片的で、テレビと小説の記憶が入り混じっているかもしれず、また脳内で理想化されている可能性も多分にある。「-」は幼くて見ていなかったか、見る前から「つまらないだろう」と決めつけて見なかった作品。途中で評価が変わることもありうるし、見てないものは評価することもできないから、食わず嫌い反省し、いまはつまらなくても苦痛でも最後まで見るようにはしている。

 10:文句のつけようもなく、おもしろかった(素晴らしい!)

 :とてもおもしろかった

 :おもしろかった

 :それなりにおもしろかった

 :おもしろくはなかったが、標準レベルはクリアしていると感じられた

 5以下:おもしろくもなく、標準レベルにも達していないと感じられた

 ◯↑(◯プラス):◯よりもややよかった

 ◯↓(◯マイナス):◯よりもやや悪かった

 ◯↓↓(◯ダブルマイナス):評価対象外(たとえるなら、蕎麦を注文して、パンが出てきたような……)

評価基準を2024/12/7追記

4)期間平均視聴率ビデオリサーチ調べ(世帯視聴率。関東地区)

 以前、「江戸幕府の役職名を現代風に言い換えてみる」という記事を書いたが、今回は天保十一年における北町奉行所の職員録をもとに、江戸町奉行所の分課・役職名を現代風に言い換えてみたい。

 市政裁判所長官(町奉行)※1
 ■人事グループ 第◯ユニット(◯番組)※2、3

  首席判事(各番組の支配役与力)※4

  判事(支配役以外の本勤与力)

  判事補(本勤並与力)

  警部(年寄同心)

  警部補(物書同心)

  巡査部長(若同心)※5

 以上、組与力30人、組同心121人 計151人 (但し、部屋住、見習等を含む)※6

 

 □長官官房(用部屋)

  官房長(公用人)※7

  裁判担当首席補佐官(目安方)※8

  主任補佐官(手附=物書同心)、補佐官(手附=若同心)※7

  以上、内与力5人、組同心11人 計16人

 

  □災害時長官随行係(引纏役)

   補佐官(若同心)

  以上、組同心3人

 

 □総務部(年番方)

  部長(支配役与力)

  次長(本勤与力)

  係長(下役=年寄同心)、主任事務官(下役=物書同心)、事務官(下役=若同心)

  □同文書係(同書物方)

   事務官(書役=若同心)

  □同職員名簿係(両組姓名懸)

   事務官(下役=若同心)

  以上、組与力2人、組同心15人 計17人

 

  □臨時司令係(定触役)

   主任事務官(物書同心)、事務官(若同心)

  以上、組同心4人

 

  □臨時対応係(定中役)※9

   事務官(若同心)

  以上、組同心10人

 

  □市民訴願室(当番方)

   ●室長(当番与力)※10

   ●係長(当番同心=年寄同心)、主任事務官(当番同心=物書同心)

   ●当番長(番方世話役)、当番職員(番方同心=若同心)

  以上、組与力2人、組同心16人 計18人

 

 □司法グループ

  □司法部(吟味方=詮議方)

   部長(支配役与力)

   司法判事(本勤与力)

   司法判事補(本勤並与力)

   主任調査官(下役=物書同心)、調査官(下役=若同心)

  □同文書係(同書物方)

   事務官(書役=若同心)

  以上、組与力9人、組同心18人 計27人、

 

  □調査編纂部(赦帳撰要方)※11

   部長代理(本勤与力)

   次長(本勤与力)

   次長心得(本勤並与力)

   主任調査官(下役=物書同心)、調査官(下役=若同心)

  以上、組与力4人、組同心9人 計13人

 

  □判例調査部(例繰方)

   部長代理(本勤与力)

   次長(本勤与力)

   次長心得(本勤並与力)

   主任調査官(下役=物書同心)、調査官(下役=若同心)

  以上、組与力3人、組同心9人 計12人

 

 □行政管理グループ

  □本所深川地域行政管理部(本所方)

   部長(支配役与力)

   係長(下役=年寄同心)、主任監督官(下役=物書同心)、監督官(下役=若同心)

   道路管理担当(本所道役)

  以上、組与力1人、組同心3人、その他2人  計6人

 

  □小石川医療保護センター担当(養生所見廻り)

   部長代理(本勤与力)

   主任監督官(下役=物書同心)、監督官(下役=若同心)

  以上、組与力1人、組同心3人 計4人

 

  □江戸拘置所担当(牢屋見廻り)

   部長代理(本勤与力)

   主任監督官(下役=物書同心)、監督官(下役=若同心)

  以上、組与力1人、組同心3人 計4人

 

  □地域消防隊監督担当(町火消人足改)

   部長代理(本勤与力)
   主任監督官(下役=物書同心)、監督官(下役=若同心)
  以上、組与力2人、組同心4人 計6人

 

  □地域消防隊臨時監督担当(増人足改)
   部長代理(本勤与力)

   監督官(下役=若同心)

  以上、組与力1人、組同心3人 計4人

 

  □橋梁管理担当(定橋懸り)

   部長(支配役与力)

   監督官(下役=若同心)

  以上、組与力1人、組同心2人 計3人

 

  □道路安全管理担当(高積見廻り)

   次長心得(本勤並与力)

   係長(下役=年寄同心)

  以上、組与力1人、組同心1人 計2人

 

  □火災予防監督担当(風裂廻り、昼夜廻り)

   部長代理(本勤与力)

   次長(本勤与力)

   次長心得(本勤並与力)

   監督官(下役=若同心)

  以上、組与力4人、組同心3人 計7人

 

  □備荒貯蓄センター監察担当(町会所懸り)

   部長代理(本勤与力)

   次長(本勤与力)

   監督官(下役=若同心)

  以上、組与力2人、組同心3人 計5人

 

  □横川製錬所監察担当(古銅吹所見廻り)

   部長代理(本勤与力)

   次長(本勤与力)

   主任監督官(下役=物書同心)

  以上、組与力2人、組同心1人 計3人

 

  □猿屋町事務センター監察担当(猿屋町会所見廻り)

   部長代理(本勤与力)

   主任監督官(下役=物書同心)

  以上、組与力1人、組同心2人 計3人

 

 □公安グループ

  □特別公安係(廻り方)

   特命係長(隠密廻り=年寄同心)

   地域係長(定町廻り=年寄同心)、主任公安官(定町廻り=物書同心)

   捕亡係長(臨時廻り=年寄同心)、公安官(臨時廻り=若同心)

   主任公安官(増臨時廻り=物書同心)

  以上、組同心12人

 

  □石川島保安センター監督担当(人足寄場定懸り)

   公安官(若同心)

  以上、組同心2人

 

  □登城日警備係(下馬廻り)

   主任公安官(物書同心)、公安官(若同心)

  以上、組同心5人

 

  □対客日閣僚公邸警備係(門前廻り)

   公安官(若同心)

  以上、組同心10人

 

 ◆江戸拘置所(小伝馬町牢屋敷)※12

  拘置所長(囚獄 石出帯刀)

  刑務官(牢屋同心)、刑務補助員(牢屋下男)

 以上、組同心53人、牢屋下男36人 計89人

 

 ◆小石川医療保護センター(養生所)※12

  センター長(肝煎)

  医師、その他職員

 

 ◆江戸市役所(町年寄役所)※12

  江戸市長(町年寄)

  手代その他の職員

 

 ◆市域土地管理センター(地割役役所)※12

  総裁(地割役)

 

 ◆区役所(町名主役所)※12

  区長(町名主)

  手代その他の職員

 

※1)()内は本来の分課・役職名は全職員(組与力同心)が所属している番組は担当職員のみが所属する業務分課を意味している。

※2)すべての組与力同心は、一から五番までの番組に所属していた.。

※3)本記事では職権の大きさの違いを表現するため、便宜上、与力の組役首席判事判事判事補、同心の組役を警部警部補巡査部長としているが、すべての組与力が裁判業務、すべての組同心が警察業務に携わっていたわけではない。

※4)いわゆる筆頭与力

※5)若(平)同心を「巡査部長」としたのは、彼らが支配側(町奉行組)の末端ではあっても、自治行政の末端とはいいがたいからだ。垂直的に見れば、町政の根幹には、町奉行-町年寄-町名主-家主(月行事と五人組)-警察・消防を担う町抱えの頭や人足などのラインがある。町方の自警力があればこそ、百万都市の治安は保ちえたのだ。

※6)人事グループの記載人数は部屋住や見習を含む実人数(与力家は23家、同心家は100家、与力同心あわせて123家)。それ以外の分課等の人数には重複兼帯者を含む。

※7)公用人および目安方は奉行の家来。いわゆる内与力

※8)内与力の指揮下で働く組同心

※9)在宿(自宅待機)し、臨時の命令を受け、出張対応していたものと思われる。

※10)は日々の宿直当番を意味する。

※11)既決囚の罪質を調査し、恩赦の対象者名簿を作成・管理するとともに、重要な案件に関する記録文書を編纂する。

※12)は町奉行支配の組織等を意味する。

 今週(長徳元年、965)の『公卿補任』はこちら

 

 長兄の関白(正二位)道隆(43、井浦新さん)は病のため、しばらく出仕していなかったが、三月九日、道隆が病気のあいだは伊周(22、三浦翔平さん)が内覧(関白に准ずる役割)を務めるようにとの宣旨があり、四月三日には病も重いことから、関白(天皇補佐)を辞職し、六日出家すると、十日には東三条殿の南院で薨御した。

 

 舅(妻倫子の実父)の源雅信(故人、益岡徹さん)の弟で、左大臣(正二位)の重信(74、鈴木隆仁さん)もまた五月八日に薨御した。
 次兄の道兼(35、玉置玲央さん)は右大臣(正二位)に右大将を兼ねていたが、長兄の関白道隆が病で薨ずると、四月二十七日に関白、翌二十八日には氏長者となったが、彼自身も病に冒されており、五月八日には二條邸で薨御した。あまりにも短い天下であったが、世間は彼を「七日関白」と呼んだ。
 甥(長兄道隆の嫡男)で中関白家のプリンス伊周は前年には叔父の道長ら三人を飛び越えて、二十一歳で内大臣(正三位)になっていたが、父道隆が病で伏せると、関白が病のあいだ内覧を務めるようにとの宣旨が伊周に下り、四月五日には左右近衛府から、それぞれ四人ずつの随身(護衛官)を給わるなど、最高権力者の椅子にあと一歩のところまで迫っていたが、同月十日に父道隆が薨御すると、伊周は熱望していた関白に任じられることもなく、内覧を停止された。関白になったのは叔父の道兼であった。その道兼も薨じた後はもう一人の叔父道長が内覧右大臣の地位を掴み取った。伊周は二人の叔父との椅子取りゲームに敗れたのである。伊周は八月二十八日、居貞親王(後の三条天皇)の東宮傅(皇太子の教育係)を兼ねた。
 準主役の道長(30、柄本佑さん)は権大納言(従二位)に中宮大夫を兼ねていたところ、左大将を兼ねていた大納言の藤原済時(55)が四月二十三日に薨御し、右大将を兼ねていた道兼も同月十日に病で薨じた道隆の後任として関白に就任する見込みが高く、要職である大将に欠員を生じないようにするため、同月二十七日、急遽道長が済時の後任として左大将を兼ねることになった。その後、関白となった道兼も薨じたため、五月十一日には道長に内覧の宣旨があり、六月十九日には右大臣に転じ、氏長者にもなって、翌二十日にはいままでどおり、左大将も引き続き兼ねることになった。同母姉の詮子吉田羊さん)の推しもあり、年の初めには公卿中の七番手に過ぎなかったった道長がひとまずは内覧右大臣、氏長者という最高権力の座を手に入れたのである。


 従兄弟で、まわりからは無能扱いされている顕光(52、宮川一朗太さん)は中納言(従二位)に左衛門督検非違使別当(京中の治安を維持し、違法行為を取り締まる役所の長官)を兼ねていたが、四月六日に権大納言となり、六月十九日には權官から正官(大納言)へと転じ、翌二十日には右大将をも兼ねた。
 叔父の公季(40、米村拓彰さん)は中納言(正三位)に春宮大夫を兼ねていたが、六月十九日に兼官(春宮大夫)はそのままで大納言に転じた。
 庶兄の道綱(41、上地雄輔さん)は参議(正三位)に右中将、備前権守を兼ねていた。
 切れ者と噂実資(39、秋山竜次さん)も参議(従三位)に左兵衛督、美作権守を兼ねていたが、四月二十五日に検非違使別当に補され、八月二十八日には権中納言に任じられると、その日のうちに右衛門督を兼ね、九月五日には今までどおり検非違使別当も引き続き兼ねることになった。加えて、同月二十八日には太皇太后宮大夫(太皇太后宮に関する事務等を扱う役所の長官)をも兼ねた。
 亡父兼家(故人、段田安則さん)の家司でもあった平惟仲(52、佐古井隆之さん)は参議(従三位)に左大弁、近江権守を兼ねていたが、十一月十八日には勘解由長官(官吏交替時の引継文書を審査する役所の長官)を兼ねた。
 友人の公任(30、町田啓太さん)は参議(正四位下)に近江守を兼ねていたが、八月二十八日には左兵衛督、九月二十一日には皇后宮大夫(皇后宮に関する事務等を扱う役所の長官)を兼ねた。
 義兄(安和の変で失脚した源高明の三男で、妻明子の兄)の俊賢(37、本田大輔さん)は八月二十九日、頭弁(弁官を兼ねた蔵人頭)から右兵衛督を兼ねたまま、参議(従四位下)となり、公卿(摂関、大臣、大・中納言、参議および三位以上の上級官人)の仲間入りを果たした。
 伊周の弟で、中関白家の荒ぶる貴公子隆家(17)は最年少の公卿で、非参議(従三位)の右中将であったが、四月六日には権中納言に昇り、六月十九日には權官から正官(中納言)に転じた。

以上、この年は納言以上が八人も薨じ、二月二十二日には「長徳」と改元されたが、上級貴族といわれる公卿総勢31名であった。