今年は一大河ファンとして、今のところ脚本と演出が幼稚であまりにもつまらないため、とても残念な年になりそうだ。だから、書くネタもないので、過去の大河・准大河(※1)を振り返ってみたい。

 

1963 幕末(※2) -(※3) 20.2(※4) 『花の生涯』 記念すべき第一作

1964 忠臣蔵 - 31.9 『赤穂浪士』 昭和は忠臣蔵が人気の定番

1965 戦国 - 31.2 『太閤記』 緒形拳さんの秀吉は絶品(たぶん)

1966 源平 - 23.5 『源義経

1967 幕末 - 19.1 『三姉妹』 架空女性が主人公

1968 幕末 - 14.5 『竜馬がゆく』 人気の司馬遼作品も前年の不人気のあおりか。

1969 戦国 - 25.0 『天と地と

1970 江戸前期 - 21.0 『樅ノ木は残った』 四代将軍家綱期の伊達騒動がテーマ

1971 江戸前期 - 21.7 『春の坂道』 柳生宗矩が主人公

1972 源平 - 21.4 『新・平家物語』 見たかった!

1973 戦国  22.4 『国盗り物語』 評価基準。脳内で理想化されすぎているため、あてにはならない。

1974 幕末 - 24.2 『勝海舟』 断片的な記憶も。難しすぎて見るのを諦めたのかも。

1975 忠臣蔵 - 24.7 『元禄太平記

1976 平安  24.0 『風と雲と虹と』 習慣的に大河を見るようになった初の作品。中盤は子ども(小学生)には少しややこしくて中だるみ気味に感じられた。クライマックスを迎える終盤は興奮して見ていた。

1977 幕末  19.0 『花神』 視聴率は低かったけれど、中村雅俊さんの高杉晋作がじつによかった。

1978 戦国  25.9 『黄金の日々』 緒形拳さんの秀吉が再び登場!

1979 源平  26.3 『草燃える』 去年までは評価は低いと考えていたが、改めて再検討してみた結果、思いのほか評価できると思い直した。事実上の主人公は北条政子と義時(公式には頼朝)

1980 幕末 - 21.0 『獅子の時代』 架空の人物が主人公

1981 戦国  31.8 『おんな太閤記』 平均視聴率が30%突破

1982 忠臣蔵 - 23.7 『峠の群像』 大学受験もあったせいか、ほとんど見た記憶なし。

1983 戦国 - 31.2 『徳川家康』 高身長な滝田栄さんのイメージが家康像とあまりにもかけ離れていたため、意外にも見ていなかった。

1984 近現代 - 21.1 『山河燃ゆ』 近現代大河第一作

1984~85 新大型 - ? 『宮本武蔵』 迷走する近現代大河三部作にかわって、従来の大河ファン向けに放送された新大型時代劇第一作。

1985 近現代 - 18.2 『春の波涛

1985~86 新大型  ? 『真田太平記

1986 近現代 - 29.3 『いのち』 架空女性が主人公

1986 新大型  ? 『武蔵坊弁慶』 鬼平になる前の中村吉右衛門さんが主演

1987 戦国  39.7 『独眼竜政宗』 大河史上最高視聴率。主演の渡辺謙さんの演技が凄い!

1988 戦国  39.2 『武田信玄』 二年連続の戦国大河で完全復活

1989 江戸前期 - 32.4 『春日局

1990 幕末 - 23.2 『翔ぶが如く

1991 南北朝  26.0 『太平記』 個人的にもっとも評価の高い大河

1992 戦国 - 24.6 『信長 KING OF ZIPANGU

1993前期 近世琉球  17.3 『琉球の風』 架空の人物が主人公。いつか古琉球大河を見てみたい!

1993~94 源平  17.7 『炎立つ』 視聴率は低かったが、見応えは十分

1994 室町 - 14.1 『花の乱』 おもしろくなさそうだったので、見なかったのだけれど、見なかったことをもっとも後悔している作品。総集編を見たかぎり、見るべきだった!

1995 江戸中期 - 26.4 『八代将軍吉宗』 こちらも見なかったことを後悔している作品の一つ。

1996 戦国  30.5 『秀吉

1997 戦国 5 23.4 『毛利元就』 期待は大きかったのだけど、総大将同士が一騎打ちをしてみたり、とにかく脚本がひどかった。

1998 幕末  21.1 『徳川慶喜』 考えてみたら、これもジャニーズ大河だった。それを感じさせないほどの、本木雅弘さんの熱演だった。

1999 忠臣蔵  20.2 『元禄繚乱

2000 江戸前期  18.5 『葵 徳川三代』 じつは本放送は見ていなかったが、最近、再放送で見たら、それなりにおもしろかった。

2001 鎌倉  18.5 『北条時宗

2002 戦国 - 22.1 『利家とまつ〜加賀百万石物語〜

2003 江戸前期 - 16.7 『武蔵 MUSASHI

2004 幕末 - 17.4 『新選組!』 ジャニーズ大河を理由に見なかった作品。いまでは食わず嫌いはよくないと思い、どんな作品でも大河だけは見つづける努力をしている。

2005 源平 - 19.5 『義経』 上に同じくジャニーズ大河だから、見なかった作品。

2006 戦国 - 20.9 『功名が辻

2007 戦国  18.7 『風林火山

2008 幕末 - 24.5 『篤姫

2009 戦国  21.2 『天地人

2010 幕末  18.7 『龍馬伝』 個人的には21世紀初のヒット作!

2011 戦国  17.7 2 個人的には大河史上最低作。とにもかくにも脚本がひどすぎた(上野樹里さんはうまいと思うし、好きだけど……)

2009~11 特別  ? 『坂の上の雲

2012 源平  12.0 『平清盛』 世間の評判はよくないらしいが、個人的には悪くなかったと思うし、着眼点もよく、それなりにおもしろかった。

2013 幕末  14.6 『八重の桜

2014 戦国  15.8 『軍師官兵衛』 初めて見たジャニーズ大河。思ったほど、ひどくはなかったし、期待以上におもしろかった。

2015 幕末  12.0 『花燃ゆ』 主人公はいったい誰だったんだろう。維新の英雄たちが活躍する前半はふつうにおもしろかったのだが……。

2016 戦国 7(6.5) 16.6 『真田丸』 「6」に近い(ちょっと甘めの)「7」

2017 戦国  12.8 『おんな城主 直虎』 ラノベ風大河?

2018 幕末  12.7 『西郷どん

2019 近現代  8.2 『いだてん~東京オリムピック噺~』 番組としては決してひどくはなかったと思う。素直に近現代劇として放送していれば、それなりの評価は得られたかも知れない。それにしても、視聴者の期待を裏切るにも限度というものがあるように思う。「大河」としてではなく、単にドラマとして見れば、本当は「6」以上の作品か。

2020 戦国 6(6.4) 14.4 『麒麟がくる』 「7」に近い(ちょっと辛めの)「6」

2021 幕末  14.1 『青天を衝け

2022 源平  12.7 『鎌倉殿の13人』 序盤は期待以上だったが、中盤以降は期待外れな面も多かった。大泉洋さんはテレビ界にとって掘り出し物か(物扱いゴメンナサイ)

2023 戦国 1 ? 『どうする家康』 幼稚先人を茶化すような演出脚本は大河史上最悪だと感じる。もうジャニーズ大河云々のレベルではない。評価はあくまでも現時点での個人的なもの。今後、変わりうるし、変わってほしい。

※これまでにも出来(評判)の悪い大河はいくつも(例えば、2011大河『江~姫たちの戦国~』や2019大河『いだてん~東京オリムピック噺~』など)見てきたが、今年ほどひどい作品は空前絶後といっても言い過ぎではあるまい。まさしく異世界ファンタジーといった趣だが、異世界を描いているのであれば設定も世界観もストーリーだって作者の自由だが、「大河」の名を冠するのであれば、視聴者への裏切り以外のなにものでもないだろう。(「看板に偽りあり」という意味で)最悪だ。それゆえの「1」点でもある。いっそのこと、異世界大河の枠を設けて、そちらで放送してはいかがだろう。決して見ることはないが、批評もしない。来年の大河も不安この上ない2023/7/3追記)

※思うに、本作の考証家は自分がすべき仕事を理解していないのではないか。
 考証家の仕事はできそこないの話のアリバイ(史料)さがしではあるまい
 大河だってフィクションなんだから、嘘があるのは当然だ。その嘘をいかにも本当にあったことのように見せる工夫を助言するのが考証家の仕事だと私は思う。どうしても、本当らしくならない話であれば、はっきりとそう伝えるべきであろう。
 そうした仕事ができていないから、幼稚で、先人への敬意を感じられない脚本(演出)になってしまうのだと私は思う。2023/7/6追記)

 

1)1984~86年に放送された新大型時代劇、および2009~11年に放送されたスペシャルドラマを本稿では准大河と呼ぶ。

2)時代(テーマ)区分。平安源平(治承の内乱期)、鎌倉南北朝室町戦国江戸前期忠臣蔵江戸中期幕末近世琉球近現代にくわえて、新大型(時代劇)および特別(スペシャルドラマ)に分類した。

3)じぶんなりの主観による10段階評価。記憶に残っている最も古い1973大河『国盗り物語が基準になっている。もっとも子ども時代のことゆえ、記憶は断片的で、テレビと小説の記憶が入り混じっているかもしれず、また脳内で理想化されている可能性も多分にある。「-」は幼くて見ていなかったか、見る前から「つまらないだろう」と決めつけて見なかった作品。途中で評価が変わることもありうるし、見てないものは評価することもできないから、食わず嫌い反省し、いまはつまらなくても苦痛でも最後まで見るようにはしている。「」以上が合格点?

4)期間平均視聴率ビデオリサーチ調べ(世帯視聴率。関東地区)

 今年は一大河ファンとしては2011大河『江〜姫たちの戦国〜』(主演の上野樹里さんは大好きだったのに、脚本が……。無念!)以来の、残念な年になってしまったが、来年の2024大河『光る君へ』はいままでにないテーマで新しい地平(なんと紫式部を主人公にした平安貴族大河!)を切り拓いていこうとする野心作だという。ズッコケルか、大当たりするかの二つに一つだろうが、不安も大きい反面、期待も膨らむ

 そこで2025大河が何になるかに思いを馳せつつ、妄想大河『江戸』を提案してみたい。

 家康が登場する大河といえば、滝田栄さんの1983大河『徳川家康』をはじめ、枚挙に暇がない。家康、秀忠家光の三代を描いたものには先頃までチャンネル銀河で再放送していた2000大河の『葵徳川三代』がある。1995大河『八代将軍吉宗』(チャンネル銀河さん、ぜひ再放送して下さい!)には、家綱の時代は出て来ないものの、綱吉家宣家継から家重の時代までが描かれている。家定以降の幕末大河は人気の定番ものとして、繰り返し制作されている。

 ところが、私たちがイメージする江戸にもっとも近い家治家斉家慶の時代はどういうわけか、まったく描かれていないのだ。戦後、見直されつつある田沼意次を前半の主人公に据えてもおもしろそうだし、社会はすでに町人の時代になっている。主役を張る人材には事欠かないはずだ。野心的な脚本家が手を挙げようとしないのは不思議なくらいだ。

 前半は日本の改造を夢見て、挫折するまでの意次を、後半は世界に開かれた日本を夢見ながら、黒船来航の直前に非業の死を遂げた高野長英では地味すぎるだろうか。あるいは、新しい日本を伊豆韮山から生み出そうとして、ペリー来航直後、志半ばに倒れた江川太郎左衛門ではどうだろう。いずれも日本史上の巨人ではあるが、エンタメ的には派手さに欠けるのが致命的か。

 世界では二十歳の少女グレタさんが新世紀のリーダーになりつつある。大河にだって、新しい時代のヒーロー・ヒロインが生まれてもいいころなのかもしれない。声を大にして言いたい。

 

 忠臣蔵でも幕末大河でもない江戸大河を見たい!

 遅れ馳せながら、2022大河『鎌倉殿の13人』を前作(1979大河『草燃える』)とも比較しながら、総括してみたい。

 大いに期待して迎えた本作ではあったけれど、ご都合主義的なストーリー展開には感情移入が難しい回も少なくなかったし、「首チョンパ」のような昭和ギャグに鼻白む面もあるにはあった。それでも、最後まで興味を失わずに見続けられたということは、総じて期待に応えてくれていたということだと理解したい。

 とりわけ前半は坂東武者の動静にスポットが当てられており、大いに満足した。

 前作では人気女優松坂慶子さん演じる加藤武さんが演じた大庭景親の娘)や滝田栄さん演じるオリジナルキャラ(伊東十郎)まで登場させながら、坂東武者たちにはあまりスポットが当たらなかった印象が強く、不満もあった。だから、今作はワクワクして見た。

 英雄然とした上総介広常佐藤浩市さん)はとても良かったし、大いに話題も呼んだが、前作の傲岸不遜な広常(小松方正さん)もいかにも広常らしかった。おそらく従来の広常像そのものであったろう。

 前作の主人公は映画スター石坂浩二さんが演じる源頼朝という建前ではあったものの、実質的には大女優岩下志麻さんが演じる北条政子と、当時まだ無名だった松平健さんの北条義時であったといってよく、じつは本作とあまり変わらなかったのだ。

 岩下さん、松平さんのコンビと比較しても、今作の小四郎(小栗旬さん)と政子(小池栄子さん)のコンビは善戦していたと思う。こんな言い方をするのは失礼かも知れないが、小池栄子さんの政子は予想以上に素晴らしかった。

 時政坂東彌十郎さん)に関していえば、前作の金田龍之介さんに分があるように思う。例のギョロッとした目つきの有名な木像にソックリなのはちょっとズルい気もするが、いかにも田舎の成り上がり者地方の有力者・権力者といった風情を強烈に醸し出していた。金田さんの時政に比べると、坂東さんの時政は無味無臭といった感があって、少し物足りなかった。『草燃える』当時は、地方政界を牛耳るような強烈な個性をもった政治家が多く、お手本に困らなかったということもあるのかも知れない。

 時政の後室・牧の方(今作ではりく)は大谷直子さんと宮沢りえさんの新旧女優対決で、どちらも政子の悪女イメージを食ったといってもいいぐらいの熱演ぶりではあったが、宮沢さんには愛するわが子を失った母の懊悩と狂乱ぶりをもっと激しく見せて、政子との対比を際立たせて欲しかったようにも思う。

 本作の最大のヒットは大泉洋さんの頼朝だろう。石坂さんを初め、菅原文太さんや中井貴一さんなど、歴代の頼朝俳優と比べても、遜色ないどころか、出色だったとさえ思う。私の中では足利尊氏(1991大河『太平記』)真田広之さんや徳川家康(1985時代劇『真田太平記』)中村梅之助さんらとともに、三大幕府の初代将軍トリオとして記憶に刻まれた。

 最終回だったろうか、小四郎の口から「執権殿の(野望の犠牲となった)13人」の名前が明かされた。すなわち、梶原景時中村獅童さん)、阿野全成新納慎也さん)、比企能員佐藤二朗さん)、仁田忠常高岸宏行さん)、源頼家金子大地さん)、畠山重忠中川大志さん)、稲毛重成村上誠基さん)、平賀朝雅山中崇さん)、和田義盛横田栄司さん)、源仲章生田斗真さん)、公暁寛一郎さん)、源実朝柿澤勇人さん)、阿野時元森優作さん)の十三人である。

 彼らがそんな宿命を背負った人物として数え上げられていたとは思いもしなかった。

 前作では江原真二郎さんが「げじげじ梶原」のイメージを一新して話題になったが、中村獅童さんの景時はより一層クール&スマートに描かれていて、かつての景時像はすっかり消え去ってしまったといえるかも知れない。

 前作ではクールなイメージの伊藤孝雄さんがどこか醒めたように演じていた全成。重たい空気の中で場を和ませる新納慎也さんの全成はそれとは真逆で、そのコミカルな存在感は貴重ではあったものの、彼自身の哀しい末路を思えば、その名のとおり悪禅師ぶりを存分に発揮してくれていた方が見ている側は救われたかも知れないとは思う。もっとも、救われない展開こそが今作の真骨頂であるといってしまえばそれまでなのだが……。

 前作では名優の佐藤慶さんが演じていた比企能員を、今作では佐藤二朗さんがじつに憎々しげな小悪党として見事に演じきってくれた。それは素晴らしかったのだが、そもそも長く頼朝を支えてきた比企一族の棟梁である彼を欲望まみれの小悪党に、比企尼を残念なお婆ちゃんに仕立て上げた脚本には納得いかない思いもある。

 「優しくて力持ち」を地で行くような仁田忠常は演じた高岸さんの人柄と相まって、生き馬の目を抜く鎌倉で一服の清涼剤となったが、その優しさがあったればこそ、鎌倉殿(頼家)と北条の板挟みとなって哀れな末路を辿った。ちなみに頼朝の挙兵時には(数えで)十四歳だったのだ(現代なら中学一年生)!

 実母である政子をも拒絶せざるをえなかった悲劇の貴公子頼家を演じた金子大地さんの迫真の演技は素晴らしいの一言に尽き、多くの視聴者の琴線に触れたことだろう。ちなみに前作では当時、アイドルからの脱却を模索していた郷ひろみさんが演じていた。

 ミスター坂東武者こと畠山重忠を演じていたのは、前作ではウルトラセブン=モロボシダン森次晃嗣さんで、いかにも超人らしいキャスティングだったが、今作の中川大志さんは馬を担いで降りる豪傑にしてはいささかイケメンの優男すぎはしなかっただろうか。皆さんはどうお感じになったろう。

 前作で御家人の旗頭たる和田義盛を演じていたのは(TBSの超人気番組『水戸黄門』でおなじみの)格さんこと伊吹吾郎さんだった。重忠と並び立つ豪傑キャラにはふさわしいキャスティングだった。一方、ちょっと抜けたところがあって、愛妻家でもあり、今作中屈指の愛されキャラにもなった義盛を演じたのは横田栄司さん。私には評価が困難なキャラの一人だ。私にはよく理解できない人物だったが、こうした家庭的なキャラが受けるのも時代の流れだろうか。不満を募らせる御家人たちに押され、のし上がる北条を相手に無謀にも立ちはだかろうとして、ドン・キホーテさながらに戦いを挑むものの、あえなく義時の術中に嵌まってしまう。そんな単純ではあっても、雄々しく時代の波に立ち向かって、飲み込まれてしまう。そんな凄ノ王のような荒々しい義盛を見てみたかった。

 今作で生田斗真さんが演じた源仲章。実朝暗殺の当日に、なぜか義時と入れ替わってしまい、かわりに殺されてしまう悲運の人物だ。謎めいたキャラメイクで期待を持たせてくれたのだから、もう少しスパイスを効かせた展開があってもよかったように思う。ちょっと惜しい気がする登場人物ではあった。

 日本史上もっとも高貴な刺客(中大兄皇子は除く)といってもいい公暁を操っていたのは前作・今作ともに三浦平六という解釈であった。平六を演じたのは前作が仮面ライダー=本郷猛こと藤岡弘さん、今作は山本耕史さんだ。高級兵器・公暁を無情にも使い捨てた冷徹な黒幕役だけに、どうしても武闘派のイメージがつきまとう藤岡さんより、知能派の印象が濃い山本平六に軍配が上がりそうだ。

 こうして振り返ってみると、あまり良い印象のなかった前作もなかなか捨てたもんじゃないように思われてきた。北条嫌いと、子どもには陰惨すぎる展開が悪印象を残して、低評価につながっていたのかもしれない。

 機会があれば、前作もまた見てみたい気がした。