本中毒、映画中毒、仕事中毒、そして...恋愛中毒 -84ページ目

公共の福祉と個人 「風立ちぬ」を観ながら考えた事

先日、宮崎駿監督の長編引退作「風立ちぬ」がTVで初放送された。
作品に対する評価は、僕の中ではもう済んでいるのでどうでもいいのだが、その中で気になる場面があった。
映画の中盤から少し後、ヒロインが喀血した電報を受け取った主人公が名古屋から東京に向かう場面。
今から東京に一番早く行く方法を教えてください。と下宿先の上司の奥さんに尋ねる。
すると奥さんは一時のバスに乗って…と応える。
更に爺をやって、待たせておきましょう。と続ける。

いやいや、公共交通機関を待たせてはいかんだろう。
そう思うのだが、次のカットでは爺を置いてバスが発車するシーンだ。


この放送を観ながら、僕は考えてしまった。
もとより、この映画は宮崎駿監督のエゴを全面に押し出した映画なので、作劇上これくらいのエゴは当たり前なのだが、このシーンをわざわざ脚本の中に入れたのは何故だろう…


「公共の福祉」と「個人」のどちらを優先させるべきなのか…
この問いは二律背反であり、どれほど考えても明確な線引きや結論はない。
もし、バスの乗客の中にも火急的に急いでいる人がいた場合、主人公達の行為は許されざるエゴイズムになるが、当時の牧歌的な雰囲気の中では一つの美談になる。

社会と個人を分け、常に個の権利を主張する現代では、こうした処置は理解の埒外にある。
おそらく、この場合、TwitterやFacebookですぐに状況が拡散され、運転手やバス運行会社に非難が殺到するだろう。
社会に迷惑をかけないように…
既に考え方の時点で現代のオヤジ達は去勢されている。

僕は、自分が既に犯されているこうした考え方を恥じるのと同時に、社会と個人の関係をもう一度考え直さないといけないなぁ…と思った次第。

一方で、社会は個人の為にある。と社会資産を自分の為に有効利用しようとするのが、消費者マインドにあふれた現代の若者達であり、そしてお年を召してすこし図々しくなった女性の方々、一部のお年寄りの方々である事も忘れてはいけない。

社会は個人の為に、個人は社会の為に…

<追記>
この映画を観た数日後、家人と出かける機会があった。
家を出る時に少し手間取った家人は、先に行ってバス停で少しバスを停めておいてくれ。などと無茶なことを言う。
そんな反社会的な事が出来るか!と返す僕。
しかし、結局、バス停の手前の信号で引っかかっている家人を30秒くらい待ってくれとバス運転手に頼む事になった。
偉そうに言っても、僕の公共道徳はこの程度。


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Lenovoのセキュリティホール問題

年末にLenovo製のタブレットを購入し活用してきた。
ところが、先週、LenovoのPCに重大なセキュリティホールを持つソフトウェアがプリインストールされている事が発表された。
その他参考記事*1,*2

やれやれ…と思いながら当該のソフトをチェック、削除をした。
僕のタブレットは、初期設定時に当該ソフトのインストールを確認するダイアログで「いいえ」を選んでいたので、ソフトはインストールされておらず、レジストリの汚染も最小限だった。
インストールを拒否したのに、レジストリが汚染されていた事はかなり不可解で、Lenovoが提供した削除ソフトではレジストリの汚染は検出されなかったのが気持ち悪い所だ。
実はLenovoが提供した削除ソフトは不完全なモノではないのかしら…などと疑っている。

今回の騒動は、いろいろなソフトがプリインストールされたメーカー製のPCやタブレットを購入し使う事のリスクを改めて確認した感じだ。
ある程度PCの知識もあり設定も自分で変更出来る人は、情報さえ開示されればすぐに対策する事ができる。
しかし一般のユーザー、特にアンドロイドとかiPadとかのタブレットと同じ感覚でWindowsタブレットを購入した層には、こういう対策は難しいだろう。
今回の騒動を知らずにそのまま使い続ける可能性も高い。

Lenovoの対応もかなり悪い。
この騒動は、問題が公けになってから既に数ヶ月が経過している。
その間、問題を認めず、問題を認めた後も、登録をしているユーザーに警告のメールを送るわけでもなく、ネットの情報や一部のマスコミに取り上げられるまで放置状態。
メーカー責任としての広報の義務を果たしていない。
事実、僕の所には何のメールもまだ来ていない。
無責任なものだ。

Lenovoは、IBMのPC部門を買い取った中国資本だ。
元々はIBMという点で信用していたのだが、ちょっと裏切られたと感じてる。
Lenovo製のPCにはバックドアが仕込まれているのが見つかったため、米国や英国の政府機関では使用禁止になっていると言うが、今回の騒動から推測するに、そういう事もあるのだろうと思う。


しかしながら、もっと大きな問題がある。
現在ネットへの接続が一番多いスマホやタブレットはどうなのだろう。

Androidはセキュリティ的にはいろいろと問題があるOS(?)だ。
最初からユーザ側で保持している情報をぶっこ抜いて集めるAPIが準備されている。
位置情報・検索情報・購入履歴・IDや場合によっては記憶させているパスワードなどのデータをソフトの提供者は必要に応じて収集する事ができる。
パスワードを一度記憶させれば、その後はパスワードを入れなくても課金サイトを使えるのはそういう事だ。
LINEやFacebookとかはそれを使ってアドレス帳の情報を抜き取り、「友達かも…」とかいう余計な提案をしてくる。
これは、Googleが意図的に作り込んだAndroidの基本的なAPIなので、悪意を持ってソフトを組めばIDやパスワードを盗む事など造作もないと聞いている。
iphoneやiPadで使われているiOSも同様だ。
そして、それ以外にも、AndroidはGoogleに、iOSはAppleに対してバックドアが提供されている。


こりゃ、米国の盗聴を暴露したスノーデンが使っているようなTailsOSとは言わないまでも、プレーンなWindowsやLinux、FirefoxOSみたいなのでも使わないと恐ろしくて仕方ない。

■書評 夏目漱石『門』

門 (新潮文庫)/新潮社
¥400
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いつの間にか出張の特急電車のお供は、タブレットと夏目漱石の『青空文庫』になってしまった。
先週の出張では『門』を読了。

昔に読んだ様な気もするのだが、はっきりとしない。
そのまま、最後まで読んだ。
『それから』の後日譚の様な話なのだが、この小説自体の時系列の中では何も起こらない話。
モラトリアム小説と言って良い。

過去に他人の妻を盗ったという事を除けば、日々の時間を無駄に過ごすこの小説の主人公宗助は、現代の多くの会社員の姿の様だなぁ。
などと考えて、夏目漱石が近代から現代の有り様を見透かしていたのではないかと感心する。
まぁ、この小説はそれくらいだろう…

文春文庫は『それから』とセットで一冊になっているから、『それから』も『門』も持ってない人は、そちらが良いかもしれない。

それから・門 (文春文庫)/夏目 漱石
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