**Rockafe** -143ページ目

*dinner*


**Rockafe**



ある夜、とても気の合う男の子とバルセロナを歩いていた。

「さまよっていた」というほうが合っている。要は迷子。


さらに私達は恐ろしく金がなく、

物価の特に高くない当時のスペインでさえ、食うに困っているような状態だった。


彼は残りわずかのお金で母国の恋人に電話をし

私はドーナツを買って彼に半分あげていた。

そういえばスペインという国はドーナツ推奨国かと思えるくらいどこででもドーナツが買える。

あつあつカリカリのチュロスとホットチョコレートの組み合わせはどんな季節でも最高のご馳走。



その夜。


空腹のあまり、あしどりはふらふら。

どうしてか宿につかない。

目印にしていたバルが見つからない。

私達はそのバルでささやかなディナーをとって、帰ろうと思っていたのに。


その日は何故か宿の近所の飲食店が皆閉まっていて、

私達の胃袋は絶望的にカラッポだった。


夜がふけ、犬が泣き、道に迷い、

ただ無言で脚を動かす私達の目に、光が入った。


山の上のメリーゴーランド。



それを見た私達ふたりが考えたことは、まったく同じだった。

不思議でもない。だって私達は「気の合う仲間」だったから。




「今夜のディナーは、あれにしよう」



私達はがぜん元気を取り戻し、

その山を登る階段を探し、

そしてそのごちそうにたどり着いた。


それはチュロスとホットチョコレート以上に甘く

私達を満たした。






からだがくったりと疲れている今日みたいな日は

あのご馳走を、思い出す。



*休息*

脳がどろどろに行き場を失っている様な状態になったところへ

アルバイト先の旅館からのヘルプ電話。人が足りないから今夜来て!


着信を見たときは「おい、勘弁してくれよ」と思ったけれど、

気分転換になってよいかな、と思い出勤。


実際なった。

行ってよかった。


今夜はドイツ、イギリス、アメリカからのお客様をおもてなし。

皆綺麗な英語を話してくれたから頭を使うこともなく愉しく終わった。


サンタクロースみたいな風貌のお客様がいて、つい「そっくりですね」と言ってしまったら

「そうかな?じゃあクリスマスに泊まりにこなくちゃね。」とウィンクしてくれた。最高。


いつも思うけれど、人に仕える仕事をするのって本当に楽だ。

ニコニコお喋りしてお客様と楽しい時間を過ごして

これでお金をもらえるんだから最高。


残念だったのは、帰りバイト仲間に誘ってもらったダーツバーを断らなければならなかったこと。

まぁ、楽しんでばかりもいられないし。


それでも帰宅後Hotmailを開いたら、

音友からメッセージが届いていてニヤリ。


この時期に、そして私の好みに、ぴったりの素敵な曲を貼ってくれた。

ああ、もうほんとにだいすき。



Jazz好きの貴方に、幸せのおすそわけです。


http://www.youtube.com/watch?v=YXJRpDQrc1k





今夜も頑張ろう。

*know my distance*

「know my distance」


『自分の距離を知る』??



この場合これは「身の程を知る」ということ。


ちなみに「身の程をわきまえろよ」は

「Don`t attempt more than you are capable of」。



私は、自分の暮らす環境や所有物なんかは「身分相応」を守れていると思っているけど

「すること」については、全然。 成長がないな、と思う。


特に、「できもしない仕事」を請けてしまったときは。



「できもしないと決め付けるなよ!」なぁんてかっこいいセリフだけど

結局ダサイ仕事しかできないなら、手をつけるべきではないね。


その仕事によって自分が成長するのを期待するのは一見前向きなことに思えるけれど、

そもそもそれって、賃金が発生する「仕事」ですることじゃない。

てめぇの成長なんててめぇで勝手にしとけよ、こっちは金払ってんだよって感じ。



私の通っていた小学校では毎春新しく来た「せんせい」の挨拶があって

新卒の若い教師なんかはよく

「私もこどもたちと一緒に成長していきたいですぅっ!」

とか熱く語っていたけれど、

「は?」ってシラけたのを今も覚えている。


「え、そんなの事前に成長し終えとけよ。給料発生するんだろ?

ここはあんたが学ぶ場所じゃないんだから

学び足りてないんなら大学戻んな、ボ ク ち ゃ ん 」。



要はそういうことだ。別に「教師」に限った話ではなく。


例えば企業なら「研修期間」「使用期間」を設けて教育するんだろうけど、

「ものをつくる仕事」でそれはない。

そもそもそんな猶予無しに求められている以上のことをするから「プロ」なのだ。



私がウンコみたいなものを書いて送っても

彼らはきっと怒らない。


国際バンクのATMに行って私に過不足なく報酬を振り込んで

帰りに寄ったバルのゴミ箱に「それ」をつっこんでおしまい。

「やれやれ、代稿用意しといてよかったよ。セニョリタ、ラ・クエンタ!」





「身の程を知る」、は、「know my place」 とも言う。



『ここはあんたが成長する場所じゃないんだよ、おじょうちゃん』



パソコンのディスプレイが、そう言っているように思えてならない。