犬も冬はさむい -10ページ目

犬も冬はさむい

読んだ本、映画などについての感想です。

ルームやフォトも充実させる予定ですのでぜひ御覧になって下さいませ。

ボルベール<帰郷> コレクターズ・エディション


ペドロ・アルモドバル監督。

アルモドバルといえば、ゲイだのバイだのといつも散々書いているのですが、
今回も男にはない視点が満載の作品でした。

女の強さと男の情けなさ。
画面からそんなものがあふれ出てきて、情けない自分を若干いらだたせましたが、なるほど的を射ているから文句の付けようがありません。

男ってどうしようもない生き物だなって思わされるし、現実を受け止めながらも強く生き続けようとする女の強さを見せつけられます。

強烈で灰汁のつよい話ですが、劇中は笑いあり涙ありなので退屈することはないです。
女の面倒くさいところも多分に発揮されているので男性は見るに耐えかねるでしょう。

いつものように女性にオススメな作品です。
ククーシュカ ラップランドの妖精


戦争の話。ロシアの作品。舞台はフィンランド。
ロシアがフィンランドに侵攻していたときのお話。

つい100年前まではどの国も当然のように侵略戦争を繰り返していたのだけれど、そんなに領土を広げて何が欲しかったのだろうか。
見えない死の恐怖。生への渇望。
生きるためにそうした。
まぁ、生物の本能に従った誠に理にかなった行動ではある。
理由なんてないのかもしれない。

フィンランド人の狙撃兵、ヴェイッコ。
ロシア人の大尉であるクソクラ。
そして、フィンランドの原住民である女性、アンニ。

この3人がフィンランドのツンドラ地帯で出会い、コミュニケイトする話です。
ただし言葉はいっさい通じません。
会話がまったくかみ合いません。
アンジャッシュのコントみたいです。

まぁなんかテーマはジョンレノンとオノヨーコがいってたみたいに、
「戦争をする代わりにベッドで過ごそう 髪を伸ばそう 平和になるまで」
そんな作品です。

↑面倒くさくなりました。スイマセン。
トリ

昨日は暖かかったですね。
公園をフラフラしていたらトリが歩いていたので撮ってみました。

携帯しか持ってなかったため、撮影は困難を極めましたが
試行錯誤の末、何とか接写することに成功しました。

近づくと逃げるし、すぐ後ろ向くから結構大変でしたよ汗

それにしても、可愛過ぎますなカモ
グラスホッパー 伊坂 幸太郎


またまた伊坂幸太郎。
最近はこの人の小説しか読んでいないな。

さて、この小説には多数の殺し屋が登場する。

押し屋という殺し屋。
人を自殺させる殺し屋。
ナイフで刺し殺す殺し屋…

まぁイロイロいるわけなのだが、その中に殺し屋の仲介をしている「岩西」という男が登場する。
彼はこの小説中でジャック・クリスピンというロック歌手の言葉を引用をしているのだけれど、それがなかなか興味深かったのでここに抜粋してみる。

あのジャック・クリスピンも言っていただろうが、『時間を守れば身を守る』ってなp44
ジャック・クリスピン曰く、『二十代の男は、知らないことが多いほうが幸福だ』ってな。p46
ジャック・クリスピンも言ってるだろうが。『やったら、逃げろ』」p50
つまりあれだ、『隙間を探せ』ってやつだ」どうせ、それも引用だ。p51
大事なのは準備なんだよ。トンネルから飛び出す前こそ気をつけろ、だ」「ジャック・クリスピン曰く」p70
『死んでるみたいに生きていたくない』というレトリックを最初に使ったのは、ジャック・クリスピンだよ。p70
ジャック・クリスピンはこう言ったんだぜ。『許してやるのは最初だけ』ってな。p98
ジャック・クリスピンはな、本当に国を導く人間は、政治家の格好をしては現れない。そう歌ってんだよ。p99
『同じ場所に置かれた物は腐る』って言葉知らねえのかよ。p99
信用を得たければミスするな、だろp145
ジャック・クリスピン曰く」と言った。「人生から逃げる奴は、ビルから飛んじまえ」p200
ジャック・クリスピンはな、音楽活動をやめる時に、雑誌の記者に、『引退したら、何をやりたいか』って質問されたんだ。で、何て、答えたか知っているか?…ピザを食いたいp207

そして岩西は最後にこう言っている。
「神ってのはジャック・クリスピンのことかよ」

コレだけでは何が何やらよくわからないかもしれないけれど、岩西にとってジャック・クリスピンとは自分の分身であり、自分の中の言葉では説明できないものの発露だったのかもしれない。(言葉にしているけれど…)
つまり、人間が言葉で説明できないものを神や宗教で説明付けてきたことと同じことをしていたことをやっているのだ。

たとえこの先、すべてが数字で表せる世界がこようとも神や宗教はなくならないと僕は思う。
人間の脳には限界があるから。二次方程式すら満足に解けないこの人間の脳では…


とにかく、そんなことを思わせた小説でした。

ツァラトゥストラはこう言った 上 岩波文庫 青 639-2/ニーチェ


過去のない男


寒い日には一人でカウリスマキ。
かつて孤独に耐えられなかった自分が、
ここ数年で孤独と向き合えるようになったから月日というものは恐ろしい。

今回の主人公は、記憶喪失男です。
いきなり襲われて死にかけます。
コンテナに住む貧しい一家に救われた男は
そのまま浮浪者としてその近くのコンテナに住むことになります。

でも、今回は違います。
登場人物に表情はあるし、音楽も流れる。
なんといっても主人公の男が割りと前向きな性格なのです(笑)
いやぁ、生きるってスバラシイですね。

おとぎ話的に不幸な人々を描く。
場末のスナック。
くたびれた革ジャン。

こんなキーワードが思い浮かぶ映画でした。