<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
そしてその子狐眷属の故郷、
高野山の清高稲荷大明神にお参りに行った際に
「お祭りをしてほしい」と無茶ぶりをされた私だが……
***
秋空はいいですなーー。✨
私は初の多賀大社参拝♪
そしてもちろん一番のお目当ては稲荷社であります。
新しい鳥居がずらり。
ほほーう。やっぱりお名前の通りに、モテモテなお稲荷さまのようですな。
菊「金咲稲荷大明神さま。めっちゃ信頼されている神様なんですね」
この多賀大社の印象と同じ、優しさと重厚さを感じる色の装束をまとい、
自然に浸透しているような穏やかな存在感。
宇迦之御魂神(以下:宇)「いい風の吹く日に参ったな」
菊「……初めまして……(緊張) 宇迦之御魂神さま……」
宇迦之御魂神さまには既に
西宮神社と諏訪神社でお会いしたことがあるけど……
やっぱり伏見稲荷大社のご祭神だと思うと、緊張する……💧
宇「お前は "稲荷は自然" といつも申しておるのに、
そんな風に緊張するのだな。
まあ自然に対してもそのように敬意をはらっておる証拠か」
穏やかに微笑む宇迦之御魂神の手には、
笏ではなく………しゃもじ? があった………??
菊「???」
宇「……これか? 今から昼食だからではないぞ。
これはお多賀杓子といってな。
願いを叶える優れものぞ」
宇「お前に必要な ”すくってポン” はどのようなことであるかな」
そういって宇迦之御魂神は、私の顔を見た。
宇「目を反らすな。お前の ”すくってポン” はそこだな(笑)」
菊「…………?💧」
宇「ここの名前……金咲という言葉。
お金が花ひらくように増えていくように、皆は私のところにやってくる。
それをお前もこの名から想像がついただろうに。
なのにそうやって目を反らす。
それは悪い癖だと自覚した方が良いぞ」
菊「……………」
宇「そのお金というものに対する苦手意識を
”すくってポン” して進ぜよう。
ハイ。すくってポン。✨」
あれ?
確かに。
なんか。
ん???💧
宇「(笑)もう少し時間が経つと、もっと理解できるはずだ。
掬って食した米が身体の組織になり、身体を強くするように。
徐々に変化が現れる。
まあ、楽しみに待つことだな。
ただ、その想いの変化に乗せて行動を起こすことは条件だ。
金を降らせる神ではない。
金を咲かせる神である。
咲かせるためには種を蒔き、その成長を待たねばならぬぞ」
菊「………はい。あ、ありがとうございます……」
宇「金とは、お金のことだけを指すものではない。
己の中にある "光り輝く宝" を指す。
それを咲かせよ。
それがお前もその周りも豊かにすると信じてな」
菊「マジか……✨」
金の花を咲かせれば、
その花はみんな実になると。
しかも望外の幸福が来ると!✨
るんるんとしたテンションで多賀大社の門を出ると、
大きな多賀杓子が飾られた看板が。
菊「え。うそ。 糸切餅!✨」
実はネットで調べたことがあって、めっちゃ食べたかったのがこの糸切餅♡
米粉とこし餡。両方、種から育って花が咲いて……
こんなに美味しいものになるんだなあ。幸せ♡
菊「小豆の花言葉ってなんだろ……”爽やか” だって!
爽やかに花咲かせていくわ!」
子狐2「たぬきヅラしてる場合じゃないよね(モグモグ♪)」
菊「オイ!💧」