『BROTHER』 | やりすぎ限界映画入門

やりすぎ限界映画入門

ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『BROTHER』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]

2000年/日本=イギリス映画/114分
監督:北野武
出演:ビートたけし/オマー・エップス/真木蔵人/寺島進/大杉漣/加藤雅也/石橋凌/ジェームズ繁田/渡哲也

2001年 第17回 やりすぎ限界映画祭
2001年 ベスト10 第12位:『BROTHER』
やりすぎ限界男優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『BROTHER』


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界男優賞:ビートたけし


やりすぎ限界男優賞:オマー・エップス


やりすぎ限界男優賞:加藤雅也


やりすぎ限界男優賞:大杉漣


[北野武監督第9作目]



「日本映画」から「外国映画」へ。とうとう北野監督が「ハリウッド」に進出。淀川先生のお導きか。『ラストエンペラー』『シェルタリング・スカイ』のジェレミー・トーマスがプロデューサーとなりおしっこ垂れ流し状態となった。さらに『ダイ・ハード』のジェームズ繁田が共演でパンツについてしまった。『ふたりの人魚』『ギター弾きの恋』『JSA』『ハンニバル』の時代。「世界の北野」の名がもう止められない領域まで進出した。

[男の美学]




「男の美学」。「権力」への憧れ。女は「権力」に憧れる男が「バカみたい」にしか見えないかもしれない。だが「強くなりたい」と思う男の本能は「家族を守る」ことへの本能。『BROTHER』は「創作」の「娯楽映画」。フィクションだ。こんだけ気に入らない奴をブっ殺したらどんなに気分がいいだろう。こんな残酷な人殺し映画を「娯楽映画」として「共感」する「男の哀れさ」。「権力」こそ「男の美学」と思ってしまう「男の哀れさ」を『BROTHER』に見た。

[男の哀れさ]




女性に理解し難い「男性社会」。「親分殺し」で分裂したヤクザ達が女性にはどう見えるのだろう? 「親分殺し」で「裏切者」となり「腹を切る」まで追いつめられる原田(大杉漣)の「男の哀れさ」。勢力争いで負け「アメリカに逃亡」する山本(ビートたけし)の「男の哀れさ」。「親分殺し」「アメリカに逃亡」その他全部の「男の行動」の “本質” は「家族を守る」本能に縛られた「男の哀れさ」に尽きる。俺は「男に生まれたくなかった」と心から痛感する。

[「男の本能」最期は死ぬしかない]



■「もう終わりだな
  みんな死ぬぞ」


『BROTHER』は北野武版『スカーフェイス』だ。徹底した「暴力」で自分の生きる場所を確保する「男の本能」。だが失敗する。「自分が他人にしたことは、いずれ全部自分に返ってくる」。ほどほどで止めておけば良かったものを加藤(寺島進)の「欲の皮」が突っ張りすぎた。「欲の皮」が突っ張りすぎることさえ家族に良い暮らしをさせたい「男の哀れさ」。男が「名誉」を求める “本質” さえ同じと俺は思う。




「欲の皮」が突っ張りすぎた「男の本能」剥き出しの白瀬(加藤雅也)が「暴走」。「権力」の「限界点」に向かって突っ走る。「最期は死ぬしかない」という「こうしか生きれない」加藤、白瀬、山本達の「男の哀れさ」に極限のくそリアリズムを見た。俺は「男に生まれたくなかった」とつくづく思う。今度生まれ変わるなら絶対「パンスト」が似合う “極限ダイナマイト・ボンバー・ギャル” に生まれ変わりたい。

[「兄貴」とは?]




「親分」「子分」。「兄貴」「舎弟」。「男性社会」の上下関係さえ「家族を守る」本能から生まれた。「兄貴」が「偉い」理由。「生きるため」の多くのことを知ってること。「弟分」達に「教える」ことができること。




「良いとこ」と「悪いとこ」があって人間。「狂犬」のような人殺しにも「良いとこ」があった。この「アニキ」山本の泣かすこと。「最期は死ぬしかない」「男の美学」「男の哀れさ」に縛られた人生で、最期は「弟」に愛を教えてこの世を去った。




『その男、凶暴につき』
『3-4X10月』
『あの夏、いちばん静かな海。』
『ソナチネ』
『みんな~やってるか!』
『Kids Return』
『HANA-BI』
『菊次郎の夏』
『BROTHER』
『Dolls ドールズ』
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画像 2017年 1月