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これを聴いて死ねっ

ヘヴィメタルやハードロックを中心に作品紹介を行うサイトです。


「Daargesin」 1995

ドイツのデスメタルバンドDaargesinの1stアルバム。
デスメタルと書きましたが話はそんな単純ではなく、どうにも掴み処の無い作品です。
あえて基本を示すなら、クランチーなリフを弾きながらミドルテンポでズンズン進むタイプで、慌ただしさは無く展開は整然としています。時折思い出した様に走り出しますが、これがまるで覇気が無い。かと思えば叙情的なフレーズやアトモスフェリックなシンセ、果てはケーナ(?)の音色まで顔を出す。デスメタルの衣さえ捨てている曲もいくつかあります。ヴォーカルもデス声に留まらず普通声やダミ声などを使ってこれまたヘンチクリンなメロディを歌う。多彩と言えばそうですが、アルバム一枚の中で全然統一感が無く、この取りとめの無さが非常に気持ち悪い。不快感だけなら並のデスメタルの軽く上を行くでしょう。意図的なら大した策士です。プログレッシブと言うより変態な音。何回聴いても未だになんじゃこりゃって感想です。
Amazonなどを見ると結構プレミアが付いていますが、私は田舎のレコード屋で2000円くらいで買いました。完全にマニア向けなので並のリスナーがわざわざ大枚叩いてまで聴くにはちょいと敷居が高い。
実は2014年現在も活動中で3枚のアルバムを出してます。他はどんな音なのか気になる。


「Tyrants and Man」 2011

アメリカのメロディックデスメタルバンドThousand Year Warの1stアルバム。
いやぁ~素晴らしい。90年代の北欧メロデスをド直球でプレイしているバンドです。結成当初は二人組で活動していましたが、現在はヴォーカル、ギター、ベースをこなすオッサン一人だけなのでバンドと言うかプロジェクトと化している。
それはさておき、ホンッとーにモダンさの一欠片も無い完全無欠の”あの頃”の音です。やり過ぎなまでのクサさもド派手な展開もなく、ただひたすらにザクザクとしたリフと叙情的なトレモロを駆使して突き進むスタイルは今となっては地味でしょうけど、この地味さこそが味だと言うのを分かって欲しいなぁ。
ルチオフルチ並にオリジナリティ皆無でどの曲聴いても必ずどっかで覚えのあるフレーズが飛び出してきますが、ここまで潔いと何も言う気になりません。むしろニヤニヤしっぱなしです。2曲目のトレモロなんぞ聴いた瞬間死ぬでしょうし、今作随一にキャッチーな6曲目もあっさりながら中盤の良いアクセントです。メロデスバンド御用達の”あのフレーズ”は4曲目で登場します。ほとんど3~4分ですっきり終わる曲ばかりでダレないのもマルです。
ヴォーカルは高低使い分けるお決まりのデス声でこれも全く問題ナシ。
何の進歩も発展も無いってンなモン当たり前だっつーの。これぞ懐古です、レトロです、ノスタルジーです。古臭いと思う人は聴かなくて結構。私の様なオールドメロデスが好きな輩が幸せになるための作品です。頑張って活動してくれェイ!


「Firestorm」 2014

スウェーデンのヘヴィメタルバンドAmbushの1stアルバム。
近年はオールドスタイルに回帰した正統派ヘヴィメタルをプレイするバンドが次々と現れておりますが、2013年結成のこのバンドも80年代メタルにビシッと敬礼しているコテコテのサウンドを披露しています。
兎にも角にも”Don't Shoot (Let' Em Burn)”のPVを見て御覧なさい。テキトーに撮った映像を繋ぎ合せただけの素人臭いつくりですが、ヴォーカルの暑苦しくもどこかコミカルな顔芸と言い、ヘドバンしながらコーラスタイミングでフイッと顔を上げる演奏隊の可愛さと言い、所々で挿入される尺稼ぎの意味無しプライベートカットと言い、バカッぽさと、俺達メタルが好きなんだァアアッ!!と言う想いが同居したまことに素敵な作品に仕上がっています。
アルバム内容の話に戻りますが、小細工一切ナシのあまりに真っ直ぐ過ぎるヘヴィメタルながら完成度と再現度は高く、音質を除けば80年代当時にあっても全く不自然ではありません。ヴォーカルがまた80年代メタルを歌うために生まれてきたとしか思えない金属的ハイトーンの持ち主で、力量に関しても十分。そして同じくらい存在感があるのが、サビで登場する演奏隊の力強いコーラス。この野郎コーラスとヴォーカルとの掛け合いはこれぞメタルな興奮を湧き起こしてくれる強力な武器です。
後半でミドルテンポの似た様な曲が続きややダレますが、前半”Firestorm”から”Don't Shoot (Let' Em Burn)”までの流れは素晴らしい。
そつが無さ過ぎるのが難点と言えば難点でもあるので、次作はもっとはっちゃけて自分達のカラーを出してくれて良いと思います。何にせよ80年代メタルを聴いてきた人、正統派メタルが好きな人は絶対聴いて損はしない好作。

「When All Life Ends...」 2011

ドイツのメロディックデス/ブラックメタルバンドDecember Flowerの1stアルバム。
近年聴いたメロデスの中でも特に気に入っている作品です。トレモロギターが冴え渡る全盛期の北欧メロデスを正しく、しかし現代的な激しさを加えてプレイしており、In FlamesやDark Tranquility、Dissection辺りが好きなら間違いなく琴線に触れるでしょうし、マニアどころで言えばAblaze My Sorrow、A Canorous Quintet、Eucharist、Unanimatedなどを聴いてきた方にも嬉しい音でしょう。攻撃性と扇情的なメロディとの兼ね合いが素晴らしく、劇的な主題を持つ7曲目や9曲目は悲壮メロデスの名曲。また4曲目では色々なバンドが料理してきたメロデス界お馴染みのフレーズを、力強いアレンジと共に登場させています。あと8曲目の後半で出てくるリフなども嬉し過ぎて泣きます。
ヴォーカルはドスの利いた中音域吐き捨てデス声で歌唱しており、普通声など使うはずもありません(ここ最重要)。
90年代メロデスのザラついた質感を踏襲した音質は、まさに「よく分かっている」のひと言。さらにドスドスと腹に響く音圧には、その辺のナヨナヨしたメロデスもどきなど一発で叩き潰す気迫が籠っている。メンバーはいずれも一定のキャリアを持つ人達で、この音の説得力にも納得。回顧主義的なモノを快く思わない向きもあるでしょうが、こう言う屋台骨を支える存在を応援しなけりゃシーンは腐る一方です。全オールドメロデスファンは迷わず聴くべき強力作だ!

「Lancer」 2013

スウェーデンのメタルバンドLancerの1stアルバム。
メロスピやメロパワと漢のヘヴィメタルとの中庸を行く、メロディックメタルを地で行く作品。基本は北欧的透明感と美意識を持つ聴き易いサウンドですが、やたらキーボードをピロピロはべらせたりと言う事はしておらず、あくまでメロディの主役を担っているのは二本のギターです。伝統的なブリティッシュメタルのエッセンスが組み込まれているのも好感が持てます。
無駄にバタバタしているリズムやアレンジの甘さ、Joacim Cans似のあまり力強くないヴォーカルなど、クオリティはまだまだB級ですが、哀愁と高揚感のあるサビを初めとしたメロディセンスにはかなり光るモノが感じられ、歌の漢度と楽曲自体の緊張感がもっと増せば、次でアッと驚く作品が出来そうな期待が持てます。個人的には1、2、6、8辺りが気に入りました。こりゃ次作が楽しみだな。
日本盤ボーナスとしてEuropeの”Stormwind”のカバーが収録されています。ヴォーカルが似た様な系統なのもありなかなかハマっています。次作ではぜひとも”Scream Of Anger”を原曲の様に歌ってくれ。
※この如何にもメタルらしいジャケットもポイント高いのだ。