高口悦子の練習画。

身に全く覚えのない殺人事件の容疑のため警察の留置機関に身柄を拘束されてしまったが、自らの手で真犯人をつきとめるために、国選弁護人のコントロール下に置かれることを条件に、自分の生身の身体を留置施設に預け意識と記憶を機械体に転送される『サイバー被疑者・被告人システム』でロボット化されることにより一時的に自由の身になった少女、みたいな設定です。

改造絵日記(6月10日)「サイバー被疑者高口悦子」
改造絵日記(6月26日)「サイバー被疑者高口悦子Ⅱ」
改造絵日記(6月29日)「サイバー被疑者高口悦子Ⅲ」
改造絵日記(7月4日)「サイバー被疑者高口悦子Ⅳ」

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恋人と大喧嘩をして恋人のマンションを飛び出した高口悦子は、すぐに後悔して頭を下げて謝ろうと部屋に戻ってきたのですが、そこにあったのは背中に包丁を突き立てられた姿で息絶えた恋人の姿でした。気が動転してあと先考えず包丁を引き抜いた悦子は、まるでそれを待っていたかのように部屋に侵入してきた警官たちに現行犯逮捕されてしまい、そのまま警察に連れて行かれてしまったのでした。
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「その疑問は良くわかります」
悦子が口にした言葉に、女性弁護士はその問いを予想していたような表情でうなずきました。
「かってのSF作品では、人間の意識が他の人間や機械に転送されると、その後の肉体は記憶と人格を失った抜け殻になるような描かれ方をすることが多かったのですが、人間の精神作用の根本が非物質的なものだとでも考えない限り、生理学的に考えると無理がありすぎます。結論から言いますと――――このロボット体に意識を転送された後も、あなたの記憶や人格は生身の肉体に残ったままなのです」
「ピピピッ…デモ・ソレダト・私ガ2人ニナッテシマウノデハ?」
「ならないようにするのがこのシステムの要で、あなたの意識がロボット体に転送された後は、あなたの生身の肉体はこれ以上意識活動ができないように、特殊な仮死状態におかれます。そしてロボット体での活動が終了した後は、追加分の経験記憶のデータだけを元の肉体に戻し、元の肉体を仮死状態から蘇らせます。これで意識――自分そのものは常に1つしかないという状態が維持されるのです」
「?????」
「わかりにくいですかね…まあ、相対性理論を一般人にいくらわかりやすく説明しても、質量を持つ物体の速度が光速度を超えられないことがなかなか納得してもらえようなものです。以前は『プラナリアを胴体の中央で真っ二つにしたら、時間が経てば頭の無い側にも頭部が再生して、頭部が2つできます。でも頭部のない方をすぐに凍らせてしまえば頭部が再生しません。それを後から頭部側にくっつけるようなものです』と説明していたのですが、なんかウケが悪いので最近はやめていたんですが、そっちの説明の方がいいですか?」
「ピピピッ…イイエ・前ノ説明ノ方ガイイデス…」

【今回描いた絵】