高口悦子の練習画。

身に全く覚えのない殺人事件の容疑のため警察の留置機関に身柄を拘束されてしまったが、自らの手で真犯人をつきとめるために、国選弁護人のコントロール下に置かれることを条件に、自分の生身の身体を留置施設に預け意識と記憶を機械体に転送される『サイバー被疑者・被告人システム』でロボット化されることにより一時的に自由の身になった少女、みたいな設定です。

改造絵日記(6月10日)「サイバー被疑者高口悦子」

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「逮捕っていうのは何のためにするのか知っていますか?…むしろ犯罪被疑者を逮捕するのはなぜ必要かと聞いた方がいいかな?」
警察に逮捕された時に初回は無料で面会できるということなので申し込んだらやって来たその当番弁護士は、留置施設の高口悦子に対していきなりそんなことを聞いてきました。
「え、ええっ?…犯罪をしたおそれのある人間を警察が捕まえて取り調べやすくするため…ですか?」
「……と、思っている人が多いんですが、現行法では被疑者取調べ目的の逮捕は認められていないんですよ。逮捕の必要性は『被疑者逃亡のおそれ』と『罪証の隠滅のおそれ』の2つだけで決まるのが建前です。言い換えれば、この2つのおそれが絶対になければ、被疑者の身柄は解放されることになります」
「……で、でも、それは暴行とか窃盗などの軽い犯罪であって、殺人の被疑者なんか、とても無理なんでしょう?」
「もちろん今までは犯罪の重要性から、万が一逃亡されたり罪障隠滅行為をされたりしたらことなので無理だったんですが、最近はご存じのとおり『サイバー被疑者・被告人システム』がありますので、それを使えば、留置施設から解放されることができます。実際のところ普通の人は逮捕勾留されるだけで、職場に解雇されるなど社会的生命に打撃をこうむりますからね。判決が確定するまでは犯罪者でないし、刑罰権は国家が独占するという建前もどこへやらですわ」
「あ、あの、全然ご存じじゃないので、できたらその『サイバー被疑者・被告人システム』について詳しく教えていただけますか?」

【今回描いた絵】