(山梨県馬術競技場の風景)
老母の入所先がようやく決まった。
今週末から介護老人保健施設「エスポワール練馬」にお世話になる(「エスポワール練馬」の記事は → ここ )。ここでリハビリを受けたとしても母が自宅に戻るのは難しいだろうから、半年先には終の棲家となる施設を探さねばならない。
そんなおり、ご近所のWさんが今年4月にオープンしたばかりのシェアハウスを紹介してくださった。
「わがままハウス山吹」という施設で経営母体は「一般社団法人だんだん会」、Wさんの知り合いが運営に参画しているとのこと。
さっそくWさんの付き添いで見学に行った。場所は小淵沢の馬術競技場の向かい、我が家からは15分ほどの場所である。
建物は以前は高級ペンションだったそうで、食堂も部屋も豪華な造り。見学しているうちに次第に私自身の入居先を探しているかのような気持ちになった。
(ダイニングルーム メシ食うなら窓際がいいけどジジイはお仲間にまぜてもらえるのだろうか)
ダイニングの端っこにある冷蔵庫に献立表が貼ってあった。これは入居者向けでなく献立の重複を防ぐための備忘メモとのこと。
「おお、カレーだ!三日前の夜!ほら、右上。右上のとこ」
「ふふふ、カレーお好きなんですね」
そうなんです、いくつになってもたまにはカレー食いたいよ。
(リビングの前に広がる大きなデッキ 天気のいい日はここで昼メシ食うそうだ
そうめんなんかいいね~、ひまわりのイカ天ぷらと海老かき揚げをお供にして)
(豪華な浴室 バスクリン「バラの香り」がぴったんこの感じ)
部屋は洋室和室計10室で、現在6室が入居中とのこと。空いている部屋で私が気にいったのは二階の洋室で、窓から馬術競技場がよく見える。
(6畳ほどの洋室 小さな洗面台つき
南と西(競技場側)が窓なので夏は暑いかもしれないがエアコンが設置されているので大丈夫)
「あの~、入居者は女性ばかりですか(ここに入るとぼっちメシかな~)」
「(あ、ぼっちメシ心配してるのね)たまたま今は女性だけですけど、大丈夫ですよ。以前ショートステイされたおじいさんはモテモテでしたから」案内の女性も私の入居と錯覚し始めている。
素晴らしい環境の素晴らしい施設。ここで人生を終えることができたら幸せだろう。
そんな感傷は価格を聞いて一気にしおれてしまった。3食付きで月額20万円以上、しかも介護費用は別だという。考えてみれば入居者わずか10名の施設だから高いのは当然である。
価格も価格だが、仮に老母がここに入居したとしても、もはや豊かなリゾート生活などエンジョイできないだろう。10年前、いやせめて5年前に両親ともどもこういう施設にブチ込めばよかったのだ。
(昼からサックスの演奏会があるのだという
入居者の皆さんが花を摘んで演者に渡す花束をこさえていた)
「親孝行したい時に親はなし」
そんなしょっぱい思いを胸に、トボトボと施設を後にした。