
(白骨温泉 築93年「斎藤旅館別館」)
中学・高校時代の旧友A君と白骨温泉に出かけた。
宿は白骨温泉の湯元である「斎藤旅館別館」。本館は20年程前に新築されていて、別館の方が古めかしく、かつ料金も本館の半額だからこちらがおススメだ。
小淵沢駅で集合して1530には宿に到着する予定だったのだが、またぞろ車中でああでもないこうでもないと話し込んでしまい、ふと気がついた時には愛車フォレスターは駒ケ根ICを通過していた(汗)。
結局宿にたどり着いたのは1700過ぎ。あわてて風呂へ飛び込んだ。

(しあわせのかたち①白濁湯につかって法悦の表情を浮かべるA君)
白骨温泉は鎌倉期にはすでにその存在が知られていたという。
というのも白骨温泉の所在する杣道は当時鎌倉と北陸を結ぶ最短ルート「鎌倉往還」として人の往来が盛んだった由。
ちなみに温泉名の由来は、「舟」と呼ばれた丸木舟状にくりぬいた運搬具が温泉の湯で白濁した「白舟」を「しらほね」と称し、これにいつからか「白骨」という当て字が用いられるようになったことによるという。
これを決定づけたのが中里介山の長編小説「大菩薩峠」である。
上高地の河童橋もそうだが、テレビやSNSなんぞなかった時代には活字媒体の影響度は今では想像できないほど強大だったのだろう。
先日行った乗鞍温泉と一見白濁度は似通っているが、こちらの方が硫黄臭が強く、また炭酸カルシウムの影響か、ヌルヌルした感じは乏しい。
温泉を堪能(私は10分ほどだけど)したあとはいよいよ晩メシである。
山中の温泉宿に多くを期待するのはいかがなものかと思うが、それなりに手がかかった料理が
待ち受けていた。

(中央の八寸ぽいヤツはどこの宿でもお約束だが、はっきり言って不味いのでこれはなくていいと思うのだが)
冷えたビールが湯上りに心地よい。
ビール、酒、ビール、酒・・・。
アルコールの無限ループはいつしか2人を桃源郷へと誘った。
夢か現か、鄙にもまれな天女が周囲を舞い踊り始めたではないか。

(しあわせのかたち②天女じゃなくて仲居さんだった模様)

(イワナ塩焼き 塩加減が強烈で酒が進む)
翌朝は24時間開いている浴場へ。
私は例によって10分ほどで上がったが、待てど暮らせどA君が戻ってこない。
万が一にも死んでたらどうしよう。
「オヤジを、返してくれよ~」なんて遺族に責められてもねえ。
1時間ほどして安否確認に行くと、親の心子知らず(親子じゃないだろ)、A君は湯舟でまったりしていた。ちっ。

(中央上は珍しい山芋のしゃぶしゃぶ 関西からのお客さんも多いせいか納豆は見当たらない)

(名物温泉粥 病人食じゃあるまいし普通のご飯が食いたい)
メシを済ませて今度は本館の風呂にいってみることにした。
白骨温泉の源泉は1号~5号まであり、別館は5号の由。本館は1~5全て揃っているという
からさすが本館だけのことはある。
「ここから遠いですか」
「本館までは200m位ですけど、そこから遠いです」
まあ遠いといってもそれほどではあるまい。どうせチェックアウトまですることもないので2人はトボトボと本館に向かった。

(鉄筋コンクリート造の本館は温泉街のどん詰まりにある)
本館の案内の人に別館のルームキーを見せて館内へ。
エレベーターで4階まで行くとほどなく露天風呂が見つかった。

(しあわせのかたち③孤高の湯治客)
さて、大浴場はどこか。
そこいらをウロウロしてもそれらしきものは見当たらない。
たまたま通りかかったヒョウ柄のおばちゃん(←あくまで心象風景でホントは浴衣姿)に聞くと、
「ず~っと先やで。ず~っと」と、まるで虫コナーズの宣伝のような口調で道筋を教えてくれた。おばちゃん、おおきに。
廊下をずんずん進んでいくと行き止まりにエレベーターが。これで2Fに行くとようやく大浴場にたどり着いた。
仲居さんが遠いです、と言ってたのは館内のことだったのね。やれやれ。
「おお」
帰り際A君が奇声を発した。
「ゆるふわ、カラオケルームがあるぞ」
案内の人に聞くと予約制で午後3時からやっているそうな。
再びこの地を訪れた時はまっさきにカラオケを予約しよう、2人は手に手をとりあって固く誓ったのであった。
宿を後にした2人は「大王わさび農場」へ。
オッたまげたことに平日にもかかわらず道は大渋滞。広大な駐車場も「満車」サインが出ていたがウロウロしてようやく空いてるとこをみつけてやれやれ。
ところが売店を覗いてみるとここも長蛇の列である。
ワサビ市場がここまで熱いとは。

(肝心のワサビ田は日よけシートで覆われて冴えない)
結局ロクに見物もせず、土産も買わずに近場の蕎麦屋へ(名前忘れた)。
観光客向けというより地元のお客さんでほぼ満席状態だ。
A君は天ぷら盛り(並)と十割そばのセットに決定。

(海老天1、野菜天4という盛り合わせ 1690円なり)
地元志向の強い店のせいか、カツ丼セットのカツ丼があまりに巨大なのにビビった私は十割そばの特盛に海老天とキス天のトッピング。

(2つで430円の追加なり)
そうこうするうちにA君、
「やっぱ天ぷら盛り(上)にするわ」
海老天なんと2本、キス天、野菜天5品という豪華版である。
待つこと10分、しずしずと登場したセットを見てまたもオッたまげた。
蕎麦の多いことといったら。
ついついどこぞの申し訳程度の分量でせいろ1枚で1000円ふんだくる店を想像してしまったのだが、さすが地元志向の店は貫目が違う。
(特盛は並の倍はありそう)
「こんなに食えないな~、A、蕎麦少し手伝ってよ」
「これだって多すぎるよ。天ぷらも食いきれないし」
「じゃあなんで「大」に変更したのさ」
「だってその方がトクだから」
A君は私のトッピング代が430円のところ、「大」にすると海老天、キス天が1つずつ増えて野菜天もついでに1つ増えて差額は300円というのをすばやく計算したらしい。
「目から鼻に抜ける」といえば聞こえはいいが、まあ「才子才に溺れる」の典型でしょう。
黙々と蕎麦をたぐり、天ぷらを腹に詰め込んだ。
苦しくて口をきく元気もない。
「考えてみるとさ・・・」
「・・・」
「天ぷら大を2人でシェアすればよかったね」
そういうこと、早く言ってよ~。
TIL(Today I Learned)
・斎藤旅館別館の方が風情があって料金半分、こちらがおススメ
・本館のカラオケはチェックイン前に予約すること(別館の客も利用可)
・本館の風呂はパスしてもよい
・夏の大王わさび農園は行くだけムダ
・蕎麦の注文前によくよく吟味すること シェアできるものはシェアすること