八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(東急ハンズ渋谷店 開業1978年)

 

 安倍さん国葬の献花に行った帰り(正確には「献花会場の近くに行った帰り」)、渋谷の東急ハンズに立ち寄った。

 近々我が家に遊びに来る八ヶ岳南麓の囲碁トモAさんが上京したついでに麻雀牌が欲しい、というので事前に置いてあるのか確認するためである。

 なんせ80歳になろうかという田舎モンのじいさんがあんなところをウロついていたら、チーマーに(古いな)ボコられた(同左)としても不思議ではない。

 

(平日のせいか閑散としているセンター街 チーマーはもう絶滅したのか?)

 

 東急ハンズ渋谷店が開業したのは私が大学3年生の時のこと。

 当時の東急ハンズはカネがない貧乏学生の暇つぶしには絶好で、待ち合わせも「来週木曜6時にバラエティ売り場のとこ」と、しょっちゅう使わせていただいた。

 なんせ携帯電話のない時代だから、うっかり「ハチ公前で」なんてことにしたら週末など遭遇できないこともしばしば。ちょっと工夫して「ハチ公のしっぽのとこね」なんて決めても同じようにしっぽ周辺を待ち合わせ場所にした人々が何百人も群れ集っていたりするのである。

 

 およそ40年ぶりの東急ハンズ訪問だが、ところどころ記憶が曖昧でスンナリとたどり着けない。スペイン坂を上がってパルコのとこから、と記憶をたどるがそのスペイン坂がどこだったか分からない(汗)。

 ああ、少年老いやすく道覚え難し。チーマーの餌食になってカツアゲ(古いな)されそうなのはAさんでなく私の方だ。

 

(こんな店40年前にはなかったぞ(当たり前だ))

 

 こけつまろびつようやくたどり着いた東急ハンズは平日のせいもあって森閑としていた。

 

 客が少ないのはおそらく平日のせいだけではあるまい。

 今時の学生クンたちは東急ハンズなどウロつかなくてももっと手軽に刺激を得ることができるわけだし、「いやリアル店舗で」ということならドンキホーテの方が楽しいのだろう。

 かつては東急ハンズの熱烈な支持層だったプレッピー、パルコ族と呼ばれた人々も今や立派な高齢者。東急ハンズに足を運ぶより近くのマツキヨで尿漏れパッドや入れ歯安定材を買う世代なのである。

 

(懐かしのバラエティ売り場には若者が2、3人)

 

 バラエティ、ゲーム売り場の一画に麻雀牌が一つだけ置いてあった。さすがハンズの面目躍如である。

 

(どんな牌なのか見えない 値段からすると変なモノではないはず)

 

 う~む、これだけではなんとも。ついでだから新宿店も覗いてみることにした。

 

(新宿店1996年開業)

 

 考えてみると新宿店に入るのはこれが初めて。

 新宿店が開業したころには年齢的に私もそういった店との縁が薄くなっていたし、なによりここはアクセスが非常に悪い。

 

 

 (渋谷店より客が少ない はっきり言えば誰もいない)

 

 こんな寂れたところに麻雀牌があるのだろうか。

 不安にかられたがさすがハンズ、1セットだけ置いていた。いや、むしろ今や店の主力購買層となった高齢者のために一つ二つは置いてあるのだろう。若者たちは麻雀牌などという昭和の遺物にはもはや見向きもしないはず。

 

(見本では悪い牌ではなさそう 任天堂の半額以下)

 

 Aさんに渋谷店、新宿店の牌の写真を送ってあげた。

 実際に店舗に足を運ぶよりはAmazonで同じものを買う方がよいとは思うが、それはAさんが決めることだ。

 

 家に帰って調べてみると「東急ハンズ」は9月末日をもってその歴史を閉じ、10月1日からはカインズ系列の「ハンズ」に生まれ変わるという。

 

 安倍さんの最期にはきちんとお別れができなかったが、お世話になった東急ハンズの最後に店を訪れることができてホンの少しだけ気持ちが落ち着いた。

 

                 

(九段坂公園に設けられた一般献花台 ここまで行けなかった)

 

 安倍晋三元総理大臣の国葬に伴う献花に行ってきた。

 献花台の設置された九段坂公園の最寄り駅は九段下だが交通規制のため半蔵門駅から歩くことになった。

 もともと行こうか迷っていたのだが、前日にテレビを見たら鶏肥俊太郎という口先だけで世の中を渡り歩いてきたような男が「アベは」、「アベは」とまるで国賊でもあるかのように安倍さんを呼び捨てにしていた。

 一国の元宰相にして、しかも今や鬼籍に入られた方を呼び捨てにするとはいったいどういう了見なのだろう。おそらく「オマエの価値が下がればその分オレ様の価値が上がるんだよ~」という下卑た根性の持ち主なのであろうが、こういう人とはなるべく関係を持たない方がよい。

 

 国民の半分以上が国葬に反対だというし(そうなのかなあ)、ここは枯れ木も山の賑わい、安倍さんの死を悼む国民もこんなにいるんだい、と見せつけたい思いではせ参じた次第である。 

 

(赤線が献花の列)

 

 会場近くの花屋さんでは当日は普段の30%増しで花を仕入れる、なんて報道されていたので

その辺で買えばいいや、とタカをくくっていたが大間違い、半蔵門駅構内から押すな押すなの阿鼻叫喚である。

 

(駅出口の光景 皆さんどっちに行ったらいいのかわからずここで呆然とする)

 

 外に出たのはいいが、どっちが先頭やら判然としない。

 列に並ぶのは後回しにして、周辺をウロウロしてみると、どうやら駅近くで何重かに折れ曲がった行列はその後お濠沿いに献花台まで続いているようだ(地図の赤線参照)。

 

(ようやく見つけた最後尾 右側の列が最後尾ではない)

 

 宮中一般参賀やコミケのように広大な敷地があれば行列に並ぶのも管理するのも容易だがこんな街中ではそうもいかず、警察や内閣府スタッフの方の必死の誘導で行列はどうやら巨大なサナダムシのようになってしまったらしい。

 

(目黒寄生虫館で見たサナダムシ)

 

(不自然に折れ曲がっているサナダムシ、いや行列 黒い服装が目立つ)

 

(「墓苑入口」付近の行列(地図の白丸)この辺までくればあと1時間という感じか)

 

 おそらく10時過ぎに行列に並ばれた方は献花まで2時間ほど待たされたことだろう。

 宮中参賀では臨時特設トイレがずらりと並ぶが、ここでは皆さんどうするのか。列には高齢の方もちらほらいらっしゃるのである。

 

(そりゃそうだ きっとトイレも貸してあげるのだろう)

 

 ああ、よかった。

 国葬反対の論調が強まる中で安倍さんの死を惜しむ人がこんなにたくさんいらっしゃる。滑舌が悪い上に晩節を汚し気味だった安倍さんではあるが、国を思うその熱意は多くの人たちの共感を呼んでいたのだ。

 

 行列を見届けたところで、私は献花を断念した。

 花なんてどこでも売ってないし、私のナリは野球帽にポロシャツ。

「名古屋から朝イチで」

「私は福岡です」

 そんな会話を交わしている行列の人たちは多くの方が黒いスーツ、手には立派な花束を収めた紙袋を持っていらっしゃる。

 

 野次馬根性で葬儀に訪れるような輩は故人を呼び捨てにするのと同じくらい恥知らずだろう。通りがかりの通行人のような顔をして這う這うの体で家路についた。

 

                 

(ツインズ戦に先発14勝目をあげた大谷翔平選手)

 

 MLBエンゼルスの大谷翔平「投手」が14勝目をあげ、104年ぶりにベーブルースの持つ二桁ホームラン、二桁勝利記録(11ホームラン、13勝)を塗り替えた。

 さらに大谷「投手」はあと2回予定されている先発登板で合わせて5イニング以上投げればシーズン規定投球回数(162イニング)に到達する。同一シーズンに規定打席数(502こちらは達成済)、規定投球回数をそろってクリアするのは前人未到の偉業である。

 

 じゃあア・リーグMVPは二年連続で大谷翔平選手だ、とは簡単にはいかない。

 今季圧倒的な強さを見せる名門NYヤンキースを引っ張る主砲アーロンジャッジが大谷の行く手を遮っている。

 

(パイレーツ戦でア・リーグ記録まであと1本に迫る60号ホームランを放ったジャッジ)

 

 かたやルースの記録を104年ぶりに塗り替え、前代未聞の規定打席規定投球回数双方をクリアした大谷、こなた所属チームの地区優勝に貢献し、本塁打、打点の2冠王に輝き、ア・リーグホームラン記録を61年ぶりに塗り替える(多分)ジャッジ。

 

 どちらがMVPになってもおかしくない、と思えるのだが、私の予想では以下の理由から今年のMVPは残念ながらジャッジになりそうだ。

 

理由1 野球はもともと「打撃のスポーツ」であること

 MLBでは優れた投手より優れた打者に対するリスペクトが強い。

 1931年に現在のMVP選考ルールが定められてからこっち、これまでにア・リーグ、ナ・リーグ合わせて延べ185名のMVPが選ばれたわけだが(注)、このうち投手はわずか21人に過ぎない。投手にはサイヤング賞があるから、といってもこの受賞者の少なさは説明がつかない。

 野球の草創期のルールを見ると、投手は下手投げ(トスするような感じ)で打者が指定するコース(高め、低め、など)に球を放っていた。つまり野球とは「打球をどこまで遠くに飛ばせるか」を競う競技だったわけだ。

 そんな野球の精神はいまでも根強く残っていて、ジャッジのようなスラッガーが評価される土壌があるのである。

(注 1979年ナ・リーグMVPは獲得点数同点(確率的に殆ど起こらないはず)で2名受賞となった)

 

理由2 ジャッジとヤンキースは野球を代表するアイコンであること

 MLBを代表する名門ヤンキースの人気、社会的な注目度は想像以上に高い。そのヤンキースの主力中の主力がジャッジである。

 打撃のセンスに加え、いかにも米国人が愛しそうな雰囲気のジャッジ。白人であることも幸いして、デレクジーターを継ぐ「ミスターヤンキース」となることは約束済だ。

 

(身長201センチ、体重127キロ おツムは弱いが底抜けに明るくてガソリンスタンドの店員やピザの配達なんかをしてそうな風貌が米国人の心を掴む)

 

 MVPの選考基準には所属チームの成績は考慮しない、と明記されている。

 そうは言っても3年ぶりの地区優勝、そして13年ぶりのワールドチャンピオンを目指す名門チームの牽引車とあっては投票する記者連中も無視はできまい。

 人種を理由にすることは表面上許されないが、「どちらでも許されているのなら白人を」そう考えている人々(白人)が多いのもまた事実である。

 

理由3 大谷をMVPにすると2023シーズンも大谷になっちゃいそう

 大谷がMVPに選ばれる理由はなにか。

 それは「前代未聞の高いレベルでの二刀流」ということだろう。となると来シーズンもその次のシーズンも、ことによると大谷が引退するまで二刀流でそこそこの成績を挙げればMVPは大谷のもの、ということになってしまう。

 大谷の事績が歴史に残る快挙であることは間違いないが、「二刀流であること」をMVPの理由にするのはやはり違和感がある。

 

 MVPの投票はレギュラーシーズンの終了後に行われ、発表は11月半ば。

 大谷翔平がMVPに選ばれたらどんなにかうれしいだろう。

 

                 

(来賓の挨拶ってどうしてこう長いのか)

 

 東京都内の市町村(伊豆諸島を除く)対抗戦「第4回多摩地区市町対抗囲碁団体戦」に三鷹市

チームのメンバーとして参加した。

 上級者3名、段級位者5名(私はここ)、シニア、女性、子供各1名の総勢11名で市代表チームを構成し、団体戦で6勝以上あげた方が勝ちというルールである。

 

 何故杉並区民の私が三鷹市チームに加わっているかというと、勤務先が三鷹市だから。

 ではどこで働いているかというと「三鷹市囲碁協会」の臨時雇い職員である。

 もっともこの協会から報酬を得たことはこれまで一度もない。それどころかこの協会、どうやら大会や囲碁教室のお手伝いで主催者から交通実費が支給されることがあるのだが、それすら強制的に吸い上げてしまうという統一教会をさらに悪辣にしたような団体である。

 

「報酬をもらっていない以上『三鷹市勤務』というのは無理があるんじゃないでしょうか(←カネよこせ、と暗に言っている)」

「くくく。そんなこと誰も気にしないよ」

 

 まあそんなわけで朝早く起きて電車とバスを乗り継いで会場の「ルミエール府中」まではせ参じた。

 

(おりからの雨の中陸続とつめかける囲碁フリークたち)

 

 今回の参加チームは全20市町。緒戦の相手は東村山チームである。

 

(対局の必須アイテム お茶と糖分補給のチョコレート お調子こいてチームメイトや対戦相手の方にも配ったらすぐなくなっちゃった(泣))

 

「東村山には勝てるよ」

 リーダーのAさんは力強く予言した。根拠はよくわからないが敵は「東村山音頭」だから、たしかにチャラそうなイメージがある。

 

 

(東村山をバカにするな!という方は東村山の他のイメージをご提示ください)

 

 私の相手は私より少し年上のマダム。

 3段ということなので(私は4段でエントリー)彼女の先番で対局したが、これはどうやらマダムの3段というのが少々無理があったようで私の楽勝。

 ところが左隣で対局していた囲碁トモのBさんが一目負け、右隣のCさんが二目負けと惜敗した結果、トータル5勝6敗で三鷹チームは緒戦を落としたのであった。

 ちなみにこの後も東村山チームは奮戦し、3位になったからBかCの野郎が勝っていれば三鷹チームが3位になっていてもおかしくはなかったのである。チッ。

 

 2回戦は「1敗同士」ということで八王子チームと対戦した。

 八王子のイメージといえば我々世代はユーミンだろう。

 東村山はこれまで何十年もの間「東村山音頭」のせいで人々から侮られ(ホントか)、なにくそとそれをバネに這い上がってきた(同左)わけだが、八王子はどこか浮世離れした感じがする。

 

 魔法の鏡を持ってたら

 あなたの暮らし 映してみたい

 もしもブルーにしていたなら

 偶然そうに 電話をするわ

 

なんて。

 

 私の相手はまたも女性。今度は子供枠の中学2年生(2段)である。

 歳の差50歳、海千山千のおじさんが少女に遅れをとることなどありえない。終局を迎えあとはダメ(どちらの地にもならない無駄な地点 野球でよく使われる「ダメ押し」は勝ちが確定してダメに手を入れる、というところから派生している)を埋める作業のみのとなって盤面は20目以上の大差がついていた。

 

 少女はダメ元で白の地中でノゾキを打つ。私はツぐ。少女はアタリをして伸びる。

 そこで私はありえないミスをしでかした。

 生来のフェミニズムのせいなのか、それとも脳内の糖分が切れたせいなのか。

 

 私の敗北で三鷹市は5勝6敗となり、まさかの二連敗である。

 対八王子戦はどうやら6勝5敗で勝利、トータル1勝1敗で午後を迎えるものと目算していたリーダーのもとに意外な敗戦のご注進がもたらされ、Aさんが鬼の形相でやってきた。

 ご注進役のDさんがこれこれこう、と局面を再現する。

「ったく、死活の基本からもう一度勉強しなさいよ!」

 

 夏の終わりの 天気雨

 ついてないのは 誰のせい(泣)

 

(我が三鷹市チームの最年少小学2年生のT君(4段)大人相手になんと4戦全勝)

 

 3回戦は国立市チーム。対戦相手は私より10ばかり上の紳士(2段)である。

「国立というと桐朋のイメージですね」

「ボク、桐朋のOBだよ」

 どうりでお上品な感じで親近感がわくわけだ。

 対局は序盤であっさり私が投了し、残った時間で非公式戦をやりながらセレブとセレブ風の二人は話の花を咲かせた。

 この方社会人になってからしばらくは井の頭公園の近くに住まわれていたとのこと。

「私の家はその東側の立教女学院の近くです」

「あ~、あそこでマーガレット祭ってのがあってね」

「今年は10月28、29です。以前変質者扱いされたので堂々と中に入るチャンスです」

「ふふふ、それは災難でしたね。桐朋の頃ね、毎年通ったのよ。ダンスの時に男子が少ないから取り合いになってさ」

「フフフ。入れ食い、ですね」

「そう、入れ食いなの。うふふ」 

 

 結果は7勝4敗で三鷹チームの勝ち。これでトータル1勝2敗となった。

 次回もこの紳士にお目にかかれるのが楽しみだ。

 

 最終戦は多摩市チーム。多摩市というのはてっきり神奈川県だと思っていたがいつのまにか東京都になったらしい(最初からだろ)。

 このあたりになると一同もう上位入賞の可能性がないこともあってリラックスして打てるようになり、なんと9勝2敗の圧勝となった。

 

 この結果2勝2敗ながらも総勝敗数が26勝18敗となり、三鷹市は7位入賞となった。

 この夜の酒が五臓六腑にしみわたったことは言うまでもない。 

 

                 

(みずほ銀行 通常の通帳とハローキティ通帳 時代は通帳レスだが・・・)

 

 郵便局で振り込みを済ませ、通帳やキャッシュカードを秘密の隠し場所に戻した時のこと。

 以前は貴重品類は銀行の貸金庫に預けていたのだがこれは引っ越しの際に解約、新たな棲家ではもともと大した財産もないうえに近くに銀行がないものだから家の中の秘密の小箱に隠している。

(セレブの気分が味わえる貸金庫 「プチ贅沢」にお勧め)

 

 ふと見ると小箱の中にあるはずのみずほ銀行の通帳が見当たらない。小箱の周囲や、机の引き出しなどを探しても、ない。

 

 最後に通帳を見たのはいつだろう。

 悶々とすること5分、ようやく思い出した。

 9月1日に近所の飲みトモと井の頭線三鷹台駅周辺で飲むことになり、その時ついでに駅のみずほATMで通帳記帳をしたのだった。

 

 亡父の死亡、相続の際、相続税の対象となる贈与がなかったか(死亡前3年間の贈与は相続税の対象となる)チェックするため税理士の小野寺センセイに亡父だけでなく私の通帳も過去5年分(センセイは念のため5年分チェックしている)の提出を求められ、大いに難渋したことがあった。

 金融機関に出入金履歴の提示を求めると結構な額の手数料を請求されるので、以来私は自分の死に備えてマメに通帳記帳をしている。これも地味だが重要な終活だ。

 

 さっそくリュックや当日身に着けた服のポケットなどをチェックしたが見つからない。

 はては下駄箱、物置の中(なにかの拍子にふとそういう所に置いてしまうことがある)まで捜索したが通帳の消息は杳として知れないので、やむを得ず再発行してもらうことにした。

 

 みずほ銀行のHPを見ると、口座を作った支店に行け(新宿だよ~)、近場の支店でも受け付けてやるけどその場合は「取次」扱いだからね、などとメンド臭い。ところがふと見ると「みずほダイレクト(ネットバンキング)」でもやってるよ~、とあるではないか。

 

 ネットバンキングでの手続きは簡単そのもの。支店まで足を運ぶのとは雲泥の差である。

 「通帳の種類」は後腐れがなさそうな「普通預金通帳」にチェック、

 「通帳のデザイン」は「ハローキティデザイン」でしょう。

 あとは「申込」ボタンをクリックして手続き完了~。

 ・・・となるはずだったが、ハローキティは総合口座通帳を選択しないとダメとのこと。チッ。

 

(ったく総合口座希望者だけに確認するアルゴリズムにしろっての)

 

 ハローキティを断念(泣)し、「申込」を再度クリック。これで手続き完了~。

 ・・・となるはずだったが、「再発行の理由」を「盗難・紛失」にしたのが仇となり、「警察に届けて銀行のコールセンターにも一報してから手続きを開始しろ」、とヌカす。

 じゃあ「それ以外の理由」にすればいいわけだ。

 盗難、紛失以外の理由とはどんなものなのか、いくら考えても「自損(ムシャクシャしてた)」位しか思いつかないが、敵もそんなことに興味はないらしく具体的な理由を記入する欄は設けていない。

 おそらく金融庁から「盗難・紛失の場合には箸を上げて、おろせ。重箱の隅も忘れるな」、と細かい指示を受けているのだろう。

 

 これにて手続き完了。手数料が1100円かかるが、まあ安いものだ。

 それにしてもここんとこ「家庭内神隠し」が急に増えてきた。

 

 「秘密の小箱の隠し場所もそのうち忘れちゃうかも」、そんな不安がよぎるのである。

 

 ボケの予感そんな気分

 いつもと違うでしょ~

 春に誘われたわけじゃない(もう秋だし)

 だけど気づいて~ I've been mellow~

 

                 

左:キザンセレクション メルロー/プティヴェルド(甲州市 機山洋酒工業)

右:北杜カベメル(カベルネソーヴィニヨンとメルローのブレンド) (韮崎市 本坊酒造)

(いずれも山梨県産ブドウのみで生産されている)

 

 私が最も敬愛する囲碁トモ、八ヶ岳南麓大泉にお住まいのAさんご夫妻が杉並の我が家に遊びに来ることになった。ご夫婦でやりたいことも違うので奥様には家内と吉祥寺でお買い物の後我が家に泊まっていただいて女子会を、Aさんと私は夜は三鷹のBさん(やもめ暮らし)宅に雑魚寝して囲碁三昧、ということに。

 

 このBさん、噂では「カクヤス」の500円ワインは全て制覇したという無類の赤ワイン好きである。

 そこで山梨の赤ワインをBさんのお土産兼宿賃代わりに持参することにして、さっそく「ひまわり市場」に赤ワインを買いに行ってきた。

 

 山梨産赤ワインの主力はベリーAだが、はっきり言ってこれは不味い。

 ベリーAでは欧州、北米、南米、オーストラリアなどの海外ワインに太刀打ちできないことから近年多くのワイナリーがベリーA以外のブドウを栽培するようになってきたのだが、背景には地球温暖化の影響もあって某ワイナリーの経営者から伺ったところによると甲府盆地の気候に適したブドウの品種が少しずつ変わってきているそうだ。

 

 そんな中でこれまで私が気に入っていたのが山梨産シラーである。

 

 ところが赤ワインといえばシラーかカベルネソーヴィニヨンだった私が心臓発作を起こすちょっと前位から好みが変わってきた。

 次第にメルローが口に合うようになってきたのである。おそらく無意識のうちに肉肉した食い物を避けるようになってきたのであろう。

 

 そんなわけで、醸造酒断ちをした私が飲むわけではないのだが、ひまわり市場酒コーナーで山梨産メルローの2000円~3000円クラスのものを選ぶことにした。

 ところがこういう時に(正確に言うとこういう時だけに)頼りになる「アルコール感知機能つきAI搭載ヒト型ロボット HIRAIDE-Z」号(以下「Z号」という)が見あたらない。

 

 まあ大して種類も多くないし(自分が飲むわけでもないから)、ままよ、と選んでレジに向かうとZ号は何を血迷ったかレジのお手伝いをしているではないか。

「あ、ちょっとレジ止めてさ。こっち来て」

 ったく忙しい時に迷惑なんだよね、まあお得意さんだから相手しないわけにはいかないな、と言わんばかりにギコギコギコと異音を立てながらZ号はレジを離れ、買い物をバッグにしまうコーナー(なんて言うんだろ、あれ)に飛ぶようにやってきた。おそらくロボットながらに単調なレジの作業にウンザリこいていたのだろう。

 

「かくかくしかじかでこれ買ったんだけど、どうですか」

「ピコピコピコ(←アルコール検知機能作動中)。いいと思います」

「・・・」

「こっち(機山洋酒工業)は夫婦お二人でワインを作ってるんです」

 

(創業1930年「機山」とは武田信玄公のこと 恵林寺の至近にあるので参拝のついでに寄ってみてもよさそう)

 

「プティヴェルド、ってどんなの」

「〇〇が××で・・・」

 Z号の説明はよく理解できなかったが、ググってみると本場おフランスでは「黒ブドウ」とも呼ばれるスパイシーな品種で、ワインを力強い味わいにするためにボルドー左岸のワインでは1~2%、マルゴーでは6~7%ほどこいつを混ぜているとのこと。

 「キザンセレクション」のプティヴェルドブレンド率は25%(残りはメルロー)。どんな味わいなのか楽しみだ(←すっかり飲む気になっている)。

 

 もう片方の「本坊酒造」は鹿児島が本拠の焼酎メーカーである。

 同社が経営多角化の一環で山梨県にワイナリーを設けたのが1970年のこと。同社の「穂坂収穫」シリーズはセブンイレブンほか各所に置いてあるので口にされた方も多いはず。

 

(マルス穂坂ワイナリー 韮崎IC近くの丘陵にある 3kmほど離れた所に人気の観光フレンチレストラン「キュイエット」があるので食事のついでに寄るのもいいかもしれない)

 

 Z号に選んでもらえなかったのは少々心残りだが、一応お墨付きをもらえたようなので何より。

 もっともよく考えてみればひまわりの酒は全てZ号自身が選んだ逸品ぞろいだから、ハナからお墨付きなのである。

 

(ついでに記念写真をパチリ)

 

                  

(閑散とした八ヶ岳高原ロッジ 外気温13℃半袖じゃ寒い)

 

 新たなゴルフ友(の候補)は八ケ岳高原ロッジ近くにお住まいの別荘族Aさん。

 それでは高原ロッジのレストランでメシを食いましょう、ということになり、台風14号の余韻が残る中、野辺山まで出かけた。

 

 野辺山というとエラく遠くに思えるのだが、我が家から約20キロクルマで25分程度だから思いのほか近い。途中には「コスモス」もあるので一年ぶりにおばさんに会えるのも楽しみだ。

 

 三連休も終わり、台風が来たこともあって道中行き交うクルマは殆どない。141号からロッジ方面の道に入るといよいよ孤独感が増してきた。

 

(ロッジへと続く道)

 

 ようやくたどり着いた駐車場にはクルマが1台、2台。

 霧の中にぼんやりと佇むロッジはなんだか「シャイニング」のようだ。

 

(ロッジ正面玄関)

 

(Aさんがこんな人だったらどうしよう ジャックニコルソン演じる主人公ジャック)

 

 「こんにちは。ゆるふわさんですね」

 玄関で出迎えてくれたAさんは温厚そのもの。私の不安はたちまち吹っ飛んだ。

 

(ロビーにもヒト気はなくてどこまでもシャイニングっぽい)

 

 Aさんの奥様と三人でレストラン「花暦」へ。レストランも閑散としているが三連休は大賑わいだったそうだ。

 ここはやはりカレーだろう。

「国産牛とホワイトカレー」、「牛すじとろとろカレー温野菜添え」、どちらにするか迷ったが、ネタ的に面白そうなのでホワイトカレーを注文した。

 

 Aさんご夫妻がもともと土地勘のあったこの地に別荘を建てられたのは7年前のこと、ほとんど私と同時期らしい。

 以前この近辺に住んでいたことがある知人は、冬の寒さ(マイナス20℃がザラとのこと)はともかくとして、買い物が不便なので八ヶ岳南麓大泉に移ることにしたという。なんせ一番近いスーパーは「ひまわり市場」。そりゃ大変だ。

 Aさんご夫妻は東京で料理の下ごしらえを済ませたものを大量に持ち込んでいらっしゃるとのこと。近所で野菜だけ買えばいいような状態にしているのでひまわり市場まで足を運ぶことは滅多にないそうだ。

 

「二人とも酒が好きなので昼から飲み始めることもあります」

 そのお気持ち、よ~く分かります。

 お気の毒なことに界隈に歩いて行けるような店は皆無である。

 唯一高原ロッジがあるだけなので時折バーラウンジで飲むこともあるそうだが、ああいう所は決して財布には優しくない。といって大泉までタクシーで遠征するとなると、タクシー代は片道1万円は覚悟せねばならないだろう。

 

 そうこうするうちにカレーがやってきた。

 

 

(なんかポタージュみたい)

 

 「ホワイトカレー」というのはターメリックを使わないカレー全般の総称で、どうやら北海道で生まれたらしい。

 何故北海道でこんな変テコなものが生まれたのか(ホワイトチョコのアナロジー?)

 何故ターメリックを使わないことにしたのか(たまたま切らしてたりして)

 何故そんなものが八ヶ岳高原ロッジで出されるのか(野辺山の牛乳を使いたかった?)

 疑問が次から次へと浮かんでくる。

 

 味は、というと別段可もなく不可もない。

 ただ食い物は味覚、嗅覚だけでなく視覚でも味わうものだから、「白いカレー」という見た目がもうひとつしっくりこない。

 

 カレーの評価は?

 よく考えてみたらここは八ヶ岳南麓ではないから、まあ今回は番外編ということにしよう。

 

 それよりも重大なことは、ゴルフはいずれおつきあいいただくとして、「Aさんと飲む機会をどうしたら持てるのか」、という点である。

 私たちが八ヶ岳高原ロッジに宿泊するか(高いだろうな~)、はたまたAさんご夫妻に「ペンションブロッサム」にお泊りいただくのか。それ以外にうまい解決策があるのか、この辺はよ~く考えてみなくてはなるまい。

 

(「コスモス」営業中 リンゴもおばさんも見当たらなかったがどうやらお元気のようだ)  

 

                  

(我が家最後のポンポネッラ 台風14号の風雨をしのげるだろうか)

 

 「数十年に一度」の超大型台風14号が九州に上陸、火曜日にはこちらに向かってくるらしい。

 それにしてもここんとこ毎年「数十年に一度」、「過去に例がない」と聞いているように思える。日本の熱帯化は確実に進行している。

 

 この日の朝の気温は20℃、風は至って穏やかだ。予報では朝方の雨もいったん上がるようなので、その間隙を縫ってウォーキングに出かけた。

 

(雨雲レーダー出発時の状況 我が家周辺にタチの悪そうな雨雲は迫っていない)

 

(どこを見てもどんよりしていて普段は真正面に見える八ヶ岳の姿は全く見えない)

 

 まずは「ノベヤマ」のキャベツの様子を見に行った。

 もう玉ができ始めていて、生育は順調そのもの。

 

(10月半ば頃からこの付近を「ウォーキング重点エリア」に指定する予定)

 

 続いて私がベンチマークにしているキウイ棚へ。やや小高い所にある棚なので強風の影響でキウイも被害を受けるかもしれない。

 

 

 

(まあたくさんついているから 葉っぱはまだシナシナしていない)

 

(近くにイチジクがあった 八ヶ岳南麓でイチジクを見かけるのは初めて)

 

 台風で一番心配なのは大雨と強風であるが、大雨に関しては我が家近辺ではそれほど心配しなくてもよさそうだ。雨雲レーダーで見ても最大10ミリ/h程度の予想である。

 

(家の前の「法定外道路」に溝ができちゃってムカつく程度か)

 

 風に関してはもっと心配が要らない。

 アメダスの予報では19日夜から20日朝にかけて最大5mの風(南風)になるらしいが、九州を襲っている60mなんていう暴風に比べればタカが知れている。

 八ヶ岳南麓(少なくとも私の住む辺り)はふだんから思いのほか風がない。おそらく南アルプス、甲斐駒、八ヶ岳が天然の屏風になってくれているのだろう。雪が降らないのもこの天然屏風に負うところが大きいはず。

 さらに私の家の場合は四囲にそこそこ木立ちがあり、かつ「八ヶ岳が見えない」という防風に関しては優れたロケーションなのでこれまで風の被害を経験したことがない(何年か前に物置小屋の床下に放り込んであった遅霜から苗を守る防霜キャップが風で飛ばされて行方不明になったことがある程度)。

 これから家を買う方、家を建てる方は「八ヶ岳が見える」という点にはあまり拘泥しない方がよいかもしれません。どうせちょっと歩けばイヤってほど見れるんだし。

 

 乗馬ペンション「フリースペース」の跡地付近から進路を南へ。

 廃業したものとばかり思っていた「フリースペース」だが、リニューアルして高級乗馬クラブに変身しつつある。

 

(こちらでも雨の間隙を縫って馬が散歩していた)

 

 雨で濡れた道をズンドコズンドコ南へ。湿度は高いが、八ヶ岳方面からそよそよと吹く北風がなんとも心地よい。

 「月の手」、「山栗」、「SAIZ」を通過してやがて「麦と卵街道」(官名県道28号)に出た。

 三連休最終日だが「麦と卵街道」のクルマの往来は少ない。台風のせいで皆さん遠出を控えているのだろう。この辺りの(つまり「麦と卵街道」沿いの)お店にとって休日の悪天候は大きな痛手だ。

 

 「らーめん一休」を過ぎたあたりで再び北へ向かうことにした。

 昨年メインの看板が折れてしまった「一休」。

 残った看板は台風14号を無事やり過ごせるのだろうか。

 

(まあ折れたとしても売り上げには響かないかも)

 

                  

(小須田牧場併設のレストラン「カントリーキッチンロビン」 同店HPより)

 

 「今日の昼メシ、どうします」

 ゴルフのレッスンを終えたところで犬トモにして飲みトモ、そしてゴルフ友のAさんから打診があった。

 前回の飽食で「ちいちいふぐの立ち泳ぎ」状態になったAさんだが、どうやら学習効果が働いていないらしい。こういうのを「羹に懲りて羹を食う」というのだろう(言わないって)。

 

 「ここ(丘の公園清里ゴルフ場)の近くに『ロビン』というレストランがあります」

 「ほうほう」

 「ステーキが有名ですが、実は裏メニューのオムライスが旨いんです」

 私はパクチーとカメムシ以外なら何でもオーケー、さっそく案内していただいた。

 

(店内には西部劇に出てくるようなバーカウンター)

 

 三連休初日とあって忙しいらしく、オムライスは今日は無理とのこと。

 さあどうするか。名物のリブロースステーキに大いに惹かれたが、残念ながら晩メシ用にひまわり市場の2割引のランプステーキ肉が買ってあるのでカブってしまう。

 

(「寒いほどお得フェア」の目玉中の目玉がこのステーキの由 最終日(気温に関係なく50%引き)はお客さんが殺到するので4600円と6700円のセット(これの半額になる)限定になるそうだ)

 

 クヨクヨ悩んだあげく、「グリルチキンカレー」にすることにした。カレーは「大外れ」ということがまず考えられない食い物だから、初めての店では無難な選択である。

 

 八ヶ岳南麓に家を建てて7年、これまで随分あちこちでカレーを食ってきたように思うのだが、実際数えてみると(あいうえお順)、

 一休(ガテン系)

 ヴィラアフガン(欧風カレー)

 かるみれんげ(インド・アジア系 パクチーに要注意)

 ギャラリー彩(藤あや子の店 現在閉店中だがここは実に不味かった)

 サーカス(不思議ちゃん系)

 魚ZENZOW(黒カレー)

 タラマウンテンスパイス(純ネパールカレー 現在閉店中)

 テフィンデココ(インドカレー)

 Night Market(現SAIZ スパイシーなカリブ風だが今はやってないはず)

 肉ダイニング天(業務用カレー系)

 mountain*mountain(アジア系)

 まきばレストラン(業務用カレー系)

 萌木の村ROCK(欧風カレーだが どこかの工場でレトルトを大量生産)

 八ヶ岳小僧(ジビエカレー)

 八ヶ岳美術館ソサエティ(カレードリンクのようなおすましのようなカレー)

のわずか15軒。

 

 この中で私が一番気に入っているのは欧風カレーの「ヴィラアフガン」である。

 一方一番不味かったのは名前は伏せるが某美術館併設ホテルのカレー。まあここは朝のバイキングのカレーだったからホンの少しは割り引いてあげねばなるまい。

 

 さて八ヶ岳南麓16軒目のカレーはいかなるものか。

 

(サラダつきで1650円と結構なお値段)

 

 旨い。

 カレーは観光客目当てのレストランにありがちな業務用のそれではなく、スパイシーかつオリジナリティが感じられる風味である。

 また焼きたてのグリルチキンの旨いことといったら。カレーとの相性が実によい。

 

 私のカレーのモノサシはセブンイレブンの「金のビーフカレー」(税込473円)である。

 これをはるかに凌駕するもの(たとえば「ヴィラアフガン」)をA、

 まあ旨いが値段を考えると同等程度のものをB、

 「その値段で「金の・・」より不味いってどういうこと」というのをCとすると、

ここのカレーはB+からB++といったところだろう。

 

(国道141号沿い 清里黄金時代にはさぞ賑わったことだろう) 

  

                  

(草至庵 北杜市明野町)

 

 囲碁合宿の後、近隣住民の囲碁トモAさんが案内してくれたのは築200年という古民家の蕎麦屋「草至庵(そうしあん)」。 

 2011年にオープンしたこの店は翌年「人生の楽園(テレビ朝日)」に取り上げられ、一躍人気店になったらしい。

 

(当時の取材記事 TV朝日HPより)

 

 いかにも、という古民家の玄関をくぐるとそこは異空間への入り口であった。

 

 

(三和土(たたき)を彩るいろいろなもの)

 

 広大な空間には随所に装飾が施され、家の中というよりなんだか庭先に佇んでいるかのような錯覚におそわれる。八ヶ岳南麓の古民家蕎麦屋といえば「いち」が有名だが、古民家度、異空間度では断然こちらが上だ。

 

(北側の座敷には囲炉裏が切ってある ここがかつての居間だったのだろう)

 

 奥の座敷には女性客がお一人。何を召し上がってらっしゃるのだろうか、と遠目に眺めてみたが卓の上の食事には殆ど手をつけず、眠ったように動かない。

 

(こたつの左端に先客がいらっしゃるが写真には写りこまないように撮影した)

 

(骨董品コーナー とっくりや盃は分かるが碍子(がいし)なんて買う人いるのかね)

 

 屋敷のあちこちをウロチョロしているとやがて女将さんがやってきた。

 何年か前にご主人に先立たれ(←ここはAさん情報)、手が足りないので現在は「そばセット(1500円)」しか出していないんですけどよろしいでしょうか、と丁寧な口上。むろん我々に否やはない。

 

 待つこと10分。セットがやってきた。

 いきなりつけ合わせ群のボリュームに度肝を抜かれた。

 

(巨大万願寺唐辛子(デカい)、巨大ナス(これはもっとデカい)とかぼちゃの天ぷら その下には野菜かき揚げが隠れている

 手前は烏骨鶏の卵焼き、かぼちゃ煮、キュウリ漬物、棗(なつめ)のシロップ漬け)

 

 蕎麦はかつては細切りの更科風だったようだが、今では田舎のおばあちゃんが打ってくれるようなやや太めの素朴なものになっている。

 

(一輪挿しの器はよく見ると崎陽軒の醤油入れじゃないの)

 

 旨い。

 旨いが、腹がはち切れそうだ。

 

 「今朝かぼちゃを煮ててうっかり焦がしちゃったんです。うふふ、一からやり直し」

 そんな女将さんが一生懸命こさえてくれたのだと思うと残すなんてバチ当たりなことはできない。

 メンバー全員思いは同じだったようで、81歳のBさん、79歳のCさんの蕎麦だけ少々私が手伝ってあげたものの、皆さん必死のパッチで全て平らげたのはあっぱれであった。

 

 席で女将さんに代金を支払い、ふと奥座敷を見るといつの間にか女性客は消えていた。

 

(我々の前を通った形跡はない ほかにも出入口があるのだろうか)

 

 なんとも不思議なことがあるものだ。

 囲碁の疲れと食い過ぎで幻影を見たのかもしれない。

 

 ところがボツにした入店時の写真をよく見ると・・・

 

(やっぱりいるじゃないの!)

 

 古民家にはいろいろなものが住みついているのかもしれない。

 そんな晩夏の日のエピソードである。