(高田馬場「まずい魚 青柳」)
お盆の暑気払いということで、会社時代の同僚Aさんと久しぶりに高田馬場で飲むことになった。
夏休み、しかもお盆とあって、学生の街高田馬場も閑散としている。
駅前のビルをふと見ると「北京ダック専門店」の文字が目にとびこんできた。待ち合わせの時間までだいぶ間があるので、どれどれと見物に。
通りに面したエスカレーターを上がっていくと3階にある店の入り口に着いたが、どういうわけか下りのエスカレーターがない(汗)。
(白線のあたりに昇りエスカレーターだけがある)
(エスカレーターを降りたところが店の入り口)
いったん入ると戻れない。これではカゴ漁にひっかかったズワイガニだ。
進退窮まった私はやむなく店に入った。
「特Aサイズ1ぱい!・・・いえ、いらっしゃいませ~」
「ごほん、今日は名刺をもらおうと思ってさ。この店いつできたの」
「ちょうど1年前になります」
「あ、そう。今日は予約した店があるからね、また来ます」
「お待ちしております」
なんとか別の入り口から大海原に戻ることができた。よかった、よかった。
高田馬場という地名は1636年(寛永13年)に時の将軍徳川家光が家臣団の練兵場として馬場を設置したことに由来する。
「高田」というのは越後高田藩主松平忠輝(家康公六男)の生母阿茶局(高田殿)の別荘が彼の地にあったからという説もあるが、はっきりしたことは分からないらしい。
(歌川広重「絵本江戸土産」(国立国会図書館蔵)より)
馬場があったのは明治通りの向こう側、早稲田に近い辺り。ちょっと見に行こうかとも思ったが熱中症になったら大変なので目的地周辺をブラつくことにした。
(以前ショボい居酒屋があったところが「ラム肉専門店」になっていた)
街は以前より肉系の店が増えたようだ。
内閣府が発表した2024年第2QのGDP成長率は2四半期ぶりにプラスに転じ、名目GDPの年間換算値は史上初の600兆円越えとなったというから、街角景気もやや上向いているのかもしれない。
さらに歩くと「塊肉とガブ飲みワイン」というなんとも魅惑的なキャッチの店が。
(「ゴーバル」どうやらチェーン店らしい)
黒板を食い入るように眺めていると店内から店長と思わしき若者が顔を出した。
「いらっしゃいませ~」
「『塊肉とガブ飲み』ってのがいいね。『変り餃子』も食いたいなあ」
「餃子は〇〇料理(どこの国か忘れた)をヒントにこさえました」
「あ、そう。今日は予約した店があるからね。また来ます」
「お待ちしております」
ここは2軒目に覗いてみてもよいかもしれない。
さらに歩くと、かつて何度か利用したことのある中華風バーが健在だった。
(「PANDA STREET」今年で開店8周年 よくつぶれずに頑張ったものだ)
やがて本日の店「まずい魚青柳」に着いた。30年ほど前に栄通りのピンサロやら連れ込み旅館やらが蝟集したいかがわしい路地にあったころから通った店だが、顔を出すのは3年ぶり位だろうか。
ほどなくAさんも到着して乾杯~。
(刺身盛り合わせ(これで1人前)、ナス揚げ出し、キス天ぷらが今宵の肴)
かくかくしかじかで塊肉の店があるからここはホドホドにして後で行ってみようよということで、2時間ほどで店を出た。
そうだ昔行った店が健在だからちょっと覗いていこうよ、ということでまずは「PANDA・・」へ飛び込んだ。
この店の最大の、そしておそらく唯一の取り柄は「焼き餃子ハーフ(=3個)」など、全ての食い物が「ハーフ」にできること。
各種ツマミを食いながら最近始めたというAさんのゴルフのことやら会社の誰それがどうした、などとしゃべり散らかし、ワインをガブ飲みしているといつの間にか時計は11時を回っていた(←「酔っぱらいあるある」だ)。
こうなると「かたまり肉が~」などとホザいている場合ではない。
一行はあわてて高田馬場駅へ。
なんとか家にたどり着いたのは12時過ぎ。
翌朝は何年かぶりのふつか酔いとなった次第である。
(塊肉は次回のお楽しみ)