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鈴と空のブログ

読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

約束の森/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥1,995
Amazon.co.jp


警視庁公安部に属していた奥野侑也は、

妻を殺人事件で亡くし、退職を決めた。
以降、人知れず孤独に暮らしていたが、かつての上司から
北の寂れた土地でモウテルの管理人を務めてほしいと依頼され、任地に向かう。
そこで待っていたのは、見知らぬ若い男女と傷ついた一匹の番犬だった…。
――――― 「BOOK」データベースより


個人的評価 : ★★★★☆


マクナイト!
2段組で長い話なんだけど、すべて読んで残る印象となると
何たって一番はマクナイト。


前半と後半で少し印象が違った気がしてしまったような。


奥野は家族を亡くし、職を失い。
「若い男女」の方はそれぞれ過酷な状況を生き抜いてきて
色んなものを失くしたり、そもそも持たせてすらもらえなかったり、と
みんながそれぞれに大きな、深い傷を抱えて集まった3人。


「傷ついた一匹の番犬」マクナイトもあまりに可哀想で。
モウテルに暮らすようになって原因も、
そこに捨て置かれてから奥野に救ってもらえるまでの環境も。


そんな3人と1匹が少しずつ傷を癒して

関係を築いていく様子の前半が好きだった。


という前半と少し印象が違った後半。
奥野たちが集められた目的でもある組織。
それら組織と奥野たちとが命がけでのぶつかり合いが。

敵対組織がどう片付くのか、奥野たちは無事に切り抜けられるのか、
ハラハラしながら一気に読んだし、

その雰囲気の違いも嫌いではないけれど。


で、最後はやっぱりマクナイト。
マクナイト……!


ノーマジーン/ポプラ社
¥1,575
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「シズカの背中を押すためにぼくはきたんだ」
車椅子で生活をする鞄職人のシズカと、
純真無垢なサルとの凸凹な“ふたり暮らし”。
一日一杯のミルクをわけあい、
収穫を待ちわびながらリンゴの木を育て、映画を見る約束をする――。
しかし、隠された彼の“秘密”が明かされるとき、
物語は終わりとはじまりを迎える……。
赤毛のサルの正体は?
そして彼が現れた目的とは?
ミステリー界の旗手が描く、渾身の衝撃作!!

世界が終わっても、ずっと一緒にいるよ。

終末論が囁かれる荒廃した世界で孤独な女性のもとに現れたのは、
言葉を話す不思議な赤毛のサルだった――
ひとつ屋根の下、奇妙で幸せな一人と一匹の“ふたり暮らし”がはじまる。
壊れかけた世界で見える、本当に大切なものとは――
不条理で切ない絆を描き出す寓話ミステリー
初野晴の原点回帰にして新境地!
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


ノーマジーンが可愛い。
無邪気に一生懸命にシズカを慕って、向かって。


実は、最初は「好きになれないかも」と思ってしまったシズカ。
とても頑なな印象で、
ノーマジーンに対する接し方にしても意地悪というか何だか厭な感じで。


そんなシズカが、それでも一向に挫けないノーマジーンと

少しずつ心を通わせていくのにホッとして。


でもそんな彼らの背負う(背負わされた)ものはあまりに……。

孤独を選ばざるを得ないような、
自分で選ばなくとも周囲のあり様でそうなるしかないシズカの過去も今も。
ノーマジーンの正体、シズカの許に来る前に最後にやらされていたことも。
あまりにしんどくて、重くて。


こういう雰囲気も嫌いではない。
あのラストも。


でも、好みとしてはハルチカの方が好いな。
こちらは読んでいて少し疲れる。


スノーフレーク/角川グループパブリッシング
¥1,575
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函館に住む高校三年生の真乃。
東京の大学に進学が決まった彼女の前に、
小学生のときに死んでしまった幼なじみ・速人によく似た青年が現れた。
それから真乃の周りでは不思議なことが起きはじめ――!?
切なく心温まる青春ミステリー!!
――――― 表紙袖より


キミが遺してくれた謎は、切なく、ちょっぴりほろ苦い
『配達あかずきん』の著者が描く青春ミステリーの決定版!!
BR
「溶けない雪の欠片を見にいこう」
その約束を果たせないまま、死んでしまった幼なじみ・速人。
六年後、高校卒業を控えた真乃は、彼とよく似た青年を見かける。
ほんとうは生きているのかもしれない。
かすかな希望を胸に、

速人の死にまつわる事件を調べ始めた真乃だったが――!?
函館の街を舞台に描いた青春ミステリー!
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


後半何だかバタついた感じが少々。
廃工場云々のあたりからくらいだろうか。
慌しい感じというか。


速人が亡くなったとされるあの事件が起こってから今まで、
あの彼とあの彼にとってどんな時間だったんだろうな……。
ネタバレにならないようにと思うから具体的には書かないけど、
それぞれに背負ってきたもの、抱えてきたものの重さを考えると。


そんな彼にあれだけ想われるほどに真乃の魅力が分からなかったのは
私が捻くれているせいなんだろうか。
健気で直向ないい子、なのか。


夢違/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥1,890
Amazon.co.jp


夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。
夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、

亡くなったはずの女の影に悩まされていた。
予知夢を見る女、結衣子。
俺は幽霊を視ているのだろうか?
そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。
各地の小学校で頻発する集団白昼夢。
狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。
悪夢を変えることはできるのか。
夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは――。
人は何処まで“視る”ことができるのか?
物語の地平を変える、恩田陸の新境地!

――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


気になる、面白そうな要素は色々ある。

夢を映像として記録して視られるようにした「夢札」、
職業として成立している「夢判断」、
他にいないくらいに鮮明で高精度の予知夢を視る女性、
見え隠れする亡くなったはずの彼女の影、などなど。


実際にその色々に引き込まれて(しばらくは)ぐんぐん読めちゃう。


なんだけど……。


最後まで読んでもすっきりしないというか、
もやもや・ざわざわすうる感じというか。
その雰囲気がまた恩田さんらしいといえばらしいのか?


4ページミステリー (双葉文庫)/双葉社
¥580
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こんなにしっかりしたアイディアを

原稿用紙五枚ぽっちにしちゃうなんてもったいない!
と内外から言われ続ける、『小説推理』の名物連載「2000字ミステリー」。
でも、短いからこその、この面白さ!?
5年も続く当連載をギュッとまとめたこの1冊で、ぜひともお確かめを。
オール4ページ、全部で60本!
冒頭の「最後のメッセージ」は

本格ミステリ作家クラブ編のアンソロジーにも収録された上作。
これはオイシイ!!
――――― 裏表紙より


個人的評価 : ★★★★☆


本当に全部4ページ×60本、というのにまずびっくり。
タイトルを見ただけ(裏表紙の説明を読む前)の時点で
「4ページ」というのは「短い」ということの例え、くらいに思っていたら。


個人的には蒼井さんは短い方が好きなようだ。
長編や連作短編集ではあまり乗り切れないことが多かったんだけど。


苦味だとか毒っ気だとか悪意だとかが描かれてるものが多い(印象だ)けど、
何せ1編あたり4ページと短いこともあって、
サラッとサラッと、あっという間に読み終わっちゃう。


正直なところ、「ん、どういうこと?」

のまま終わってしまったものもあったんだけど。
ボールに顔を書く話とか。
これが一番分からなかった。
どういうことだったんだろうか……。