『悪魔と戦うキューバ人』1971年 | MARYSOL のキューバ映画修行

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『悪魔と戦うキューバ人』/1971年/130分/フィクション/モノクロ

ポスター

監督:トマス・グティエレス=アレア
助監督:フェルナンド・ペレス
脚本:トマス・グティエレス=アレア
  (協力:ミゲル・バルネー、ホセ・トゥリアナ、ビセンテ・レブエルタ)
撮影監督:マリオ・ガルシア=ホジャ
編集:ネルソン・ロドリゲス
音楽:レオ・ブローウェル
録音:ヘルミナル・エルナンデス
歴史考証:エウセビオ・レアル
美術:ビットリオ・ガラッティ、ペドロ・ガルシア・エスピノサ、R.ララブレ
原作:フェルナンド・オルティス著「(仮)悪魔とキューバの闘いの物語」

出演:ホセ・アントニオ・ロドリゲス(マヌエル神父役)、ラウル・ポマーレス(ファン・コントレラス役)、シルバーノ・レイ、オリビア・ベリサイレ、レイナルド・ミラバジェス(ポルトガル人役)、ベロニカ・リン、ルイス・アルベルト・ガルシア他



ストーリー
*フェルナンド・オルティス著「悪魔とキューバの闘いの物語」(実話)に着想を得ている。

1659年のキューバ。島の中部に位置し海に近いサン・ファン・デ・レメディオス・デル・カジョでは、頻発する海賊の出現に悩まされる一方で、密貿易が盛んだった。
ある日、農場主のファン・コントレラスが製糖工場の開設を祝して宴会中、海賊に襲撃される。和やかな宴は、瞬く間に掠奪、凌辱、殺し、放火の舞台に転じ、レヒドール(統治評議会参事)で金持ちのエバリストの妻ラウラは、海賊に凌辱されてしまった。

悲劇の後のミサで、村の主任司祭、マヌエル神父は「この村は神の意思に逆らっている。異邦人との接触で穢れ、災いの絶えない村から、住人を救い出して奥地へ移住させるよう、神のお告げを受けた」と説教した。
すると突然、ラウラが悪魔に憑かれたようになり、神父は彼女に対し悪魔祓いを施す。
マヌエル神父は異端審問所の支部長も務めていたのだ。

さて、カビルド(統治評議会)では神父の移住発言が問題になった。「神父の言に従い、村ごと移転すべきだ」と主張するエバリストに対し、村長らは「移転には何のメリットもないうえ、損失は計り知れない」と異議を唱え、神父の行いは越権行為に当たると非難。この問題を総督府に報告する。

まもなく中央政府から密貿易の実態を調査しに3人の判事が到着した。彼らを前に、エバリストは、神父が作成した報告書を読み上げ、呪われた村から移住する必要性を訴えた。一方コントレラスは、酒場の衆と広場に繰り出し、「判事たちは早く帰れ」と騒いだ後、議会に乗り込んで、「なぜマヌエル神父は劣悪な環境への移住に固執するのか」と疑問を呈した。判事一行は、慎重な検討を約束し、そそくさと帰京した。

密貿易の現場を判事に見せる目論見が外れ、焦りを覚えた神父は、遂に(自己犠牲を払い)悪魔と手を結ぶことを決意。その計画にエバリストを巻き込んだ。

判事の来村から2か月後、総督府の裁定が下った。
「村民が海賊の襲撃に苦しみ、悪霊に憑りつかれるのも異端者との密貿易のせいである。この災いを断ち、民を守るため、住民を〈グゥイヘ〉に移住させることを命じる。尚、最善の移転先の選定については議会および信者一同を招集し決定すること。その任務をマヌエル神父に託す」。

こうして神父は、信徒の群れを引き連れ、グゥイヘに向かった。
「我らは悪の魔王から逃れた。もう自由だ」と高らかに歌いながら。

だが、果たして神父の行動は何をもたらしただろうか?
無益な死と破壊のほかに…

★マリオ・ピエドラ教授(ハバナ大学)による解説:
https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-11950139916.html

★フェルナンド・ペレス監督の解説
https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-12786693484.html