まず今日は嬉しいお知らせをさせていただきます。
マリオ先生の講演『キューバ人のヒーロー「座頭市」』が、本日発売の「すばる1月号」に載録されました。
12ページもあるので立ち読みは無理です。お買い求めになるか、図書館などでぜひ読んでください!
「座頭市」の人気の秘密に迫るだけでなく、革命前後のキューバ映画の状況についてもよく分かる内容です。
DVD『アキラの恋人』 も併せて観ると、さらに理解が深まると思いますので、DVDもよろしくお願いします。
さて、「マリオ先生来日滞在記5」(最終回)は、「座頭市」特集です。
今回のピエドラ教授来日イベントで“サプライズ”だったのが、元勝プロの
プロデューサーS氏と関係者の方が、11日のイベントに来て下さったこと。
おそらく朝日新聞の記事のおかげだと思います。
(写真は11月8日付 掲載記事の一部)
この思いがけない“出会い”で、イベントは「座頭市(勝新太郎)」の話題で
盛り上がりました。
S氏のお話によると、勝新太郎がキューバに行ったのは、「銀座のバーで
飲んでいた時に、そこで出会った安宅産業の偉い方から『(ハリウッドなんかより)キューバに行ったらどうか』という話になったから」だとか。
「当時、日本の大手商社はキューバと貿易ができなかったが、安宅はキューバと商取引があった」。そして「キューバ行きには、同じく俳優の二谷英明氏も同行し、合計3名の旅だった」そうです。
キューバで勝・新は、フィデル・カストロにも会います。「フィデルは勝に会ったからか『座頭市』を見る。そして演説で言った。『イチのようにサトウキビを刈ろう!』」
(マリオ先生いわく「刀で人間の首を斬れても、それでサトウキビを刈るのは大変だよ」)
さて、先生は、勝プロの方から「一周忌記念の写真集」や「特製DVD」をもらって大喜び。
一方、私が嬉しかったのは、先生秘蔵の“勝新太郎直筆のイラスト”↓が「本物」と太鼓判を押していただけたこと。
勝さんの隠れた“才能”に驚きを隠せない私に、「色紙を求められることが多いので、そういう時のために準備していた」と、S氏は解説してくれました。三味線、居合道など多才な方だったんですね。
★「座頭市」に関する質問と回答(講演会等にて)
質問:キューバでは「座頭市」のリメークは作られなかったのか?
回答:勝新太郎なしには「座頭市」は作れない。北野武には申し訳ないが…。
質問:“正しさ”にこだわらない座頭市は、“ピカロ(または悪漢小説)”と通じるものがあるのではないか?
回答:その通りだ。キューバでは“ピカロ”と言われたら、ネガティブではなく、むしろ褒め言葉だ。
ハリウッドのヒーローも社会主義のヒーローもパーフェクトな人間だが、イチはその対極にある。
Marysolより
朝日の新聞記事がきっかけで、フィデルやチェの写真で有名な写真家、近藤彰利氏
からもメールをいただきました。
そこに書かれていたエピソードが臨場感に富んでいたので、ご本人の承諾を得て紹介させていただきます。
近藤氏は、キューバでなんと10本以上も「座頭市」をご覧になったそうです。
「67~68年、70年のキューバ滞在中、座頭市の映画は映画館、サトウキビ刈りの農場などで何回も観ましたので、凄く懐かしかったです。市の居合い抜きの一瞬、はっと静まりかえり、どよめきが湧き上がったり、貧しい農民たちと一緒に権力者と戦う市の姿に激しい拍手が起きるなど今でも忘れることが出来ません。」
「座頭市」関連記(拙ブログ)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10003436658.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10003510783.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10045039873.html
最後に:
「座頭市」と共に、「サムライ映画」が60年代後半から70年代にかけてキューバで大人気を博しましたが、それを示す良い例が「エルピディオ・バルデス誕生秘話」。併せて読んでください。
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10002402895.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10002578393.html
作者:ファン・パドロン
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10002625630.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10007628828.html
そうそう、最初に拙ブログのプロフィールに使っていたサムライの絵は、実はマリオ先生の本の表紙で、ファン・パドロンが描いたもの。
☆このほかにも、日本映画がキューバに与えた影響について著名人の様々な証言があります。
いずれあらためて紹介したいと思います。お楽しみに。