こんにちは、リキュウコートです。 #197

今回も動画の解説を行います。

 

今回の動画は、ブラックソリッドカラーの「雨染み除去」の模様です。

 

 

※ №134の動画でご確認下さい。

 

いつものディーラーより依頼を受けたものですが、いつも電話で概略の説明を受けるのですが、新車から4年程経過したブラックソリッド塗装で、新車時にガラスコーティングを施している車の磨きであると説明がありました。

 

症状は?との問いに、ボディ全体が雨染み状態であり、磨きを行っているお店で相談をしたが「絶対に完全な除去は無理」だと言われた症状ですと正直に伝えてくれました。

 

勿論、現状を実際に見ないと判断は出来ませんが、経年4年の雨染みなら何とかなるのではと思い引き受けました。

 

今回磨く新車から4年経過した純正ガラスコーティング施工車の写真

※ 新車から4年経過した純正ガラスコーティング施工車

 

持ち主の方が、他で断られているので、試しでボンネットだけ磨いて欲しいとの希望でした。

他で「絶対に無理」と言われているので、本当に何処まで改善出来るのかを判断したいというのは当然な事です。

 

引き取り時に実際の現状を見て、正直「ボンネットだけなので助かった」と思う位に酷い状態でした。

 

なかなか動画では実際の状態を伝える事は難しく、想像以上に酷い状態でした。

 

無数の雨染みがボンネット一面を覆い白ボケした状態の写真

※ 無数の雨染みがボンネット一面を覆い白ボケした状態

 

特にボンネット・ルーフパネルの雨染みが酷く、ボディ全体が白く靄が掛った様に白くボヤケた状態です。

 

決して、手入れを怠って起こった症状でない事は、几帳面に手入れしている内装を見ても大事に扱っている几帳面さが伺えるくらいです。

 

現状を見た時点で、この症状の大体の要因が推測出来ました。

 

実際の作業に入り、異物の除去を目的に洗車を行って原因を確信しました。

 

界面活性剤(洗剤)による洗浄でも、全く衰えない強力な撥水を見て確信しました。

 

私がいつも持論を解説しているそのもので、この強い撥水の元となるワックス被膜によるものです。

 

洗浄後でも強い撥水で保護されているボンネットの写真

※ 洗浄後でも強い撥水で保護されている雨染み・白ボケの原因である保護被膜

 

ボディ全体が白くボヤケているのは、定期的なお手入れで使用しているメンテナンス剤(ワックス系)が堆積して起きている現象です。

 

ワックス系の保護被膜も車を保護する目的のものですが、撥水効果が無くっても塗装面から消えて無くなる訳ではなく、効果を失った単なる不純物として塗装上に留まるのです。

 

真面目に繰り返しの手入れを行っている為に、余計に不純物の堆積が多くなり今回の症状に至ったのだと思われます。

 

特に上面に多い雨染みは、ワックス特有の強い撥水効果により、水玉がレンズ効果により水玉状に侵食している為だと思われます。

 

強力撥水で水切れが悪く雨染みとなり塗装を侵食したボンネットの写真

※ 強力撥水で水切れが悪く雨染みとなり塗装を侵食した状態

 

私がワックス系保護剤を嫌う理由はこれらの現象によるものです。

 

但し、今回の車をよく観るとメッキパーツやライトレンズには、白くボヤケた症状は見られないのが不思議です。

 

堆積するなら何処も同じく堆積するはずなのですが矛盾があります。

 

また、塗装面でもバンパー部とフェンダー部の塗装ではボヤケ方に差が見られました。

 

確定した原因までは解明できませんが、少なくても鉄板部の焼き付け塗装を行っているボディの塗装面には、現在使用しているメンテナンス剤は適していないという事は明言できます。

 

この現状を改善する方法として、堆積している保護被膜を除去すれば、雨染みも薄くなると思われますが、雨染みの侵食の程度によっては、塗装を侵食している事が考えられます。

 

塗装を侵食する、いわゆる「クレーター状」になっていると厄介です。

 

コンパウンドなら、クレーター上の底まで塗装全体を削り落とす必要があります。

 

一方、削らない磨きの「マルチコート剤」では、クレーター上面まで樹脂成分で埋める必要があります。

 

この雨染みはボンネット全面に無数にある為、簡単な磨き補修では完了しません。

 

コンパウンドにおいても簡単な作業ではありません。

 

少なくても持ち主の方にとっては、塗装を全面に渡り削って薄くする方法より、マルチコート剤による浸透により除去する方が気持ちは良いのではと思います。

 

クイックコート剤は手磨き用の写真マルチコート剤は機械磨き用の写真

※ クイックコート剤は手磨き用  ※ マルチコート剤は機械磨き用

 

今回の動画では、クイックコート剤による2種類の手磨きと、マルチコート剤による2種類のポリッシャー磨きを行いました。

 

単純な仕事として作業するなら、最初からウールバフによる除去磨きを行いますが、動画の視聴者の方に分かり易い様に行った磨き比較の為に行いました。

 

 

最初はクイックコート剤による手磨きです。

 

専用スポンジとマイクロクロスによる手磨きの比較です。

 

専用スポンジの役割は、2~3ヶ月の汚れの除去と浸透を行う為なので、今回の様な重症の症状では期待は持てませんが磨いて見ました。

 

柔らかな素材の定期メンテナンス用スポンジで手磨きする写真

※ 柔らかな素材の定期メンテナンス用スポンジで手磨き

 

強く磨けた箇所では堆積した保護被膜は除去出来たのではないかと思いますが、案の定塗装面を侵食しており、クレーター状の「クボミ」は残ったままの状態です。

 

一見すると白くボヤケた状態は、黒味が増して改善したように見えますが、やはりクボミが目立ちます。

 

続いて、マイクロクロスでの手磨きでは、スポンジよりも抵抗感があり磨けている感触はありました。

 

やはり素材の違いで不純物を掻き取る能力が優れていると思われます。

 

マイクロクロスにて手磨きにて除去と浸透を行っている写真

※ マイクロクロスにて手磨きにて除去と浸透を行う

 

同じ程度の磨き時間で比較すると、マイクロクロスの方が映り込みにおいてクッキリしており、クボミにおいてもスポンジよりも改善されておりました。

 

此処まで手磨きで改善するというのは想定を上回っておりました。

 

機械磨きが出来ない方には朗報の結果だと思いますが、全面を手磨きで行うのは労力的に大変な事です。

 

但し、ちょっとした磨きを行いたいケースにおいては、マイクロクロスでの手磨きが効果的である事が判りました。

 

マイクロクロスでも埋める効果があるという事が判りましたが、それでも完全な雨染みの除去には至っておりません。

 

今回の検証で重要な点は、手磨きであっても素材の違いで仕上がりが変わってくるという点です。

 

これは機械磨きのスポンジバフとウールバフに共通する違いです。

 

何度も説明してきましたが、素材により得意とする役割があるという事を、理解して貰えれば磨きのレベルが上がります。

 

これはコンパウンドの削る磨きにも共通する知識です。

 

状態・症状に適した選択というものが、最も基本的であり大事な点でもあります。

 

 

専用ウレタンバフの固い素材を生かし除去と浸透を図り磨いている写真

※ 専用ウレタンバフの固い素材を生かし除去と浸透を図る磨き

 

続いてポリッシャー磨きでの比較ですが、先程のスポンジとマイクロの手磨きと全く同じ結果となりました。

 

ウレタンバフによる磨きでは4年間の不純物は除去出来ましたが、塗装を侵食したクボミを埋める事は出来ませんでした。

 

ウレタンバフの一回磨きの状態(クレーターが埋め切れなく残っている)の写真

※ ウレタンバフの一回磨きの状態(クレーターが埋め切れなく残っている)

 

それに比べて、ウールバフの磨きでは一回のコート剤の塗布磨きと、水だけを補水する余力磨きの2回磨きでかなり改善出来ました。

 

強い摩擦力で除去と浸透が行われるウールバフで磨いている写真

※ 強い摩擦力で除去と浸透が行われるウールバフ磨き

 

ウールバフの補水だけで行う「余力磨き」ですが、ウールバフは吸収力があり一回目のコート剤が消化し切れずにバフ内に残っている余力で磨くものですが、特に濃色車の磨きで効果があり、液剤の消化と磨き傷を薄くする「目消し磨き」の役割が果たせますので、お勧めする磨き方です。

 

但し、現状のコート剤の一回塗布による2回磨きでは完全な除去までには至っておりません。

 

磨く前の雨染みと白ボケで映り込みがクッキリしないボンネットの写真

※ 磨く前の雨染みと白ボケで映り込みがクッキリしない状態

 

ウールバフとマルチコート剤の一回塗布の磨き後のボンネットの写真

※ ウールバフとマルチコート剤の一回塗布の磨き後の状態

 

此処までが今回の磨き検証の模様です。

 

次回は、最も効果的なウールバフによる磨きで完全な除去を目指します。

 

という訳で、今回の動画では作業途中ですが、改めて磨く素材の違いと仕上がりについて理解して貰えると有り難いです。

 

 

写真右部をウールバフで磨き不具合を解消したボンネットの写真

※ 写真右部をウールバフで磨き不具合を解消した状態

 

最後までお付き合い頂き有難うございました。

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