こんにちは、リキュウコートです。 #198
今回も動画の解説を行います。
今回の動画は前回の動画の続きで、雨染みだらけのボンネットを「塗装を削らない磨き」により除去し完成される動画です。
前回の解説では、この様な状態になった経緯と材質や手磨き・機械磨きによる仕上がり具合について解説しました。
また、前回の検証により手磨き・機械磨きにおいても磨く材質により、不純物の除去やコート成分(樹脂成分)の浸透力が大きく変わるという事が判ったと思います。
一番効果のあるウールバフとギヤアクションサンダーを使用し完成させます。
動画の撮影ですが、本番の磨きの場面以外は何度も同じシーンを繰り返し撮影し選別しているのですが、撮影が難しく生で見る状態の再現が思うように出来ないのでもどかしさを感じ残念です。
前回の動画の終わりは、ウールバフによるコート剤の一回塗布による磨きで終了しました。
その時点で7割程度までは塗装を侵食したクレーターを浸透により埋める事が出来ました。
※ ボンネットで最も張り(強度)がある箇所の2回目の磨き
今回の動画は2回目のコート剤の塗布磨きからスタートしています。
前回も説明したように、濃色での磨きでは塗布磨き後に水だけ補水し、バフ内に残るコート剤の余力磨きでワンセットの磨きをお勧めしましたが今回もこの磨き方で全て磨いて行きます。
結果として、同じ個所をコート剤の2回塗布と2回の余力磨きの合計4回磨き、雨染みを完全に埋める事が出来ました(2セットの磨き)。
その後、前回行ったウレタンバフによる一回塗布磨きとの比較を行いましたが、当然ですが仕上がりの差が歴然でした。
コンパウンドの削る磨きでは磨く度に塗装が削れて行き、クレーターが消えて行きますが当然、塗装が薄くなるという事になります。
マルチコート剤による磨きは反対で、段々とクレーターが埋まって行き消えますが、塗装は結果として薄くなりません。
これは、コート成分の「塗り重ね効果」によるものです。
この塗り重ね効果も、強制的な摩擦の作用を利用しているので、目に見える変化がもたらされるという現象です。
本当は、この塗り重ね効果の変化を動画でお伝えしたいのですが、難しいのが現状です。
生で作業を見ていれば、1セットと2セット目の磨きの変化は判ります。
この最初に行った箇所の磨きは比較的に楽に行えました。
続いて磨きを行った箇所は、フロントフェンダーと隣接しているボンネットの端です。
※ 幅が狭く複雑な形状の磨きが難しい箇所
この箇所は2番目に磨きが難しいと思う箇所です。
フェンダー部がボンネットよりも少し高くなっており段差が邪魔をする為と、折れ曲がった形状により磨きが難しい箇所です。
その上、折れ曲がったパネルの幅が狭いので、ウールバフの磨けるポイント(スイートスポット)で、的を射た磨きが必要になります。
幅が狭いので、的が外れた磨きを行うと除去と浸透が上手く行えません。
段差がある箇所はマスキングを施し、摩擦による不要な塗装の削りを防止します。
慣れない箇所では無理をせずに、時間を掛けて丁寧な磨きで除去と浸透を行う必要があります。
続いてボンネット中央のフロントガラス側の箇所を磨きますが、このボンネットで一番磨きが難しい箇所です。
※ パネルの張り(強度)が少なく一番磨きにくい箇所
特別な複雑な形状でもなく、周囲で邪魔をする障害物もないので、普通に磨く分においては問題が無い箇所です。
今回の様に強い摩擦を必要とする磨きでは、強く押さえた磨きが必要になる為、パネルの張りが求められます。
パネルの張りとは、強く押さえても凹まない強度がある事を言います。
動画を見て貰えれば一目瞭然で、特にボンネット端で波打つようにパネルがうねります。
この現象により、強い摩擦が半減してしまい浸透が行いにくいのです。
これはマルチコート剤の特別な磨きで支障が出る訳ではなく、塗装を削るコンパウンドの磨きでも共通する点です。
摩擦が分散してしまうと強い磨きが行えないのです。
対処法としては、丁寧に回数を重ねる他はありません。
という訳で、この中央部の磨きではコート剤の3回塗布磨きが必要になりました。
回数で言うと、余力磨きを含め合計6回の磨きが必要だったという事です。
回数だけ聞くと、全然早くないように思えますが、削る磨きはそれ以上に手間が掛ると思います。
これだけの症状が、この手間で塗装を薄くする事無く除去が行えるというのは楽なものです。
多くの方が塗り重ね効果により、クレーターを埋める事が出来る事を驚かれていると思いますが、それに匹敵するのが4年間の堆積した保護被膜・不純物を除去する能力です。
動画では簡単に早く除去されるので、気付かないと思いますが固着した不純物は簡単には除去出来ません。
前回の動画でクイックコート剤による手磨きを行いましたが、除去には手間取りませんでした。
これはコート成分が瞬時に不純物に浸透し、クリナー効果により分解し軟化させる事により可能となる現象です。
※ 長年の固着した不純物を分解している状態
※ 不純物の分解後、軟化した状態をウールバフで掻き取る様子
コンパウンドの研磨剤では、この様な早い除去は難しいのが実情です。
この効果により手間・時間を掛けないで除去が完了し、コート成分(樹脂成分)の浸透が行われるという訳です。
2回目・3回目の塗布磨きでは不純物が無い為に、全てが浸透に使われクレーターが完全に樹脂成分で埋まるというメカニズムで完成します。
一度強い摩擦で浸透した成分は戻る事も消える事もありません。
という訳で一度消えた傷やシミが出て来るという事はありません。
これがコーティング剤で磨くメリットという事です。
※ プレスラインを境に施工前(下)とウール磨きを行った状態(上)
仕上げに専用ウレタンバフで磨きますが、今回はボンネットだけの補修なので、フロントフェンダーは磨きの対象ではありません。
ですが、隣接パネルが一目で判る差があってはいけないので、ウレタンバフによる一発磨きを行いました。
※ ウレタンバフによる仕上げ磨きと一発磨きが混在する磨き
勿論、ウレタンバフの一回磨きでは雨染みは埋まりませんが、最終保護としてミラーコート剤による仕上げを施す事により、塗装表面が一層仕上がりますので一目では違いが判らなくなります。
動画の完成の模様を見て貰えればその様子が判ると思います。
ウールバフとウレタンバフの磨きのみを比べれば一目瞭然の違いがありますが、ミラーコートで覆えば、光沢が増しますのでウレタン磨きを助ける役割となります。
その様な作用を利用しているのが、ウレタンバフによる「一発磨き」という訳です。
今回の雨染み除去磨きは、リキュウコートの全ての能力が表現されている施工であり、それを表現する動画となりました。
※ 「塗装を削らない磨き」で雨染みを除去した完成状態
最後までお付き合い頂き有難うございました。
気になった方はサイトも覗いてみて下さい。