広島で乳がんの治療をしている檜垣健二です。
「エゴ」とは「わがまま、利己的、自分勝手」というネガティブな意味で使われることが多いようです。しかし、その「エゴ」が許される立場があると思います。それは、恋愛と病気です。人を好きになると他人の恋人でも奪いたくなるはずです。患者さんはとにかく自分の病気を治してほしいと考えます。
私たちはその「エゴ」が許される患者さんと毎日接しています。私の上司は要求の多い患者さんに接した時は「人でなく病気を恨め」と教えてくれました。人の為とは「偽り」と書くという人もいますが、患者とは「心に串が刺さった者」とも書きます。私にできることは包容力をもった医師になることです。
この度、私は病院を退職して開業します。そのことを告げた際、ある患者さんから私をほっといてなぜ自分勝手に病院を辞めるのかと泣かれました。フロイトによると「エゴ」は自我を意味します。今回の私の決断はこの年になってようやく芽生えた自我と思っていただけるでしょうか。
広島で乳がんの治療をしている檜垣健二でした