プエルトリコ旅行(2)ロイーサ・ナイト | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

エルサルバドルに単身赴任中。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

プエルトリコのサンフアンに朝着いて、一旦荷物を宿に置き、昼間は市街を散策した私。夕方になったので宿に戻ります。

 

 

あらためて、ビジャ・エシュタ (Villa Eshta)。この半ばバックパッカー向けのような宿で、個室素泊まり1泊が115ドル(約17,500円)とは、日本なら高級ホテル並みの価格ですが、これでもこの辺りではかなり安い方の宿なのです。まず第一に、プエルトリコは一般に物価が高い。次に、この地区は観光地なので更に高い。そして第三に、言うまでもなく、円安のせいです。

10年か20年前だったら、今回のような旅行なら経費は半分くらいだったのではと思っています。

 

 

もちろん、他の宿泊者と同じ部屋であるドミトリーはもっと安いです。しかし私は今回、安全を考えて、個室に泊りました。清潔そうですが、やや狭い感じがして、あまり落ち着きません。しかし机があって WiFi が使えるのはありがたい。

ところで、今回の旅行についての連載記事の初回に、「私がプエルトリコに滞在している間に、我がプロジェクトに緊急事態が発生して、まだドミ共にいた彼(日本人同僚のN君)と夜間、国際電話で相談する羽目になってしまいました」と書きました。

この部屋で、夜間、彼がエルサルバドル人と WhatsApp でチャットをしているのを私も「グループ」で共有してもらって、「これはただならぬことだ。取るべき行動について、今すぐ私の判断を彼に伝えよう」と思い、やはり WhatsApp にて電話したのでした。

落ち着かない晩を過ごしました。詳しい話は書きませんが。

 

 

夕食には、グーグルマップで宿のすぐ近く――徒歩3分――に見付けて気になっていたラーメン屋、ダシ・ラーメン (Dashi Ramen) に入ってみることにしました。

 

 

カウンター席に座って、頼んだのはベジー・ラーメン (Veggie Ramen)、つまり野菜ラーメンですな、20ドル(約3,000円)。

たかがラーメンなのに目が飛び出るほど高いのだけれども、上にも書いた事情で、そもそも今どきのプエルトリコ旅行は高くつくものだと割り切って考えるしかありません。

 

 

トマトや豆腐が入っているのはユニーク。汁はそこそこ美味しいものの、麺の味は日本のそれとはちょっと違うのでは……。

店主にその旨を言ったら、「卵が入っていないので」と。その通り。だから、うどんみたいな味がするんですよ。

日本人の評価としては、汁ももう少しコクがほしいところですが、まあ、この地にして頑張っている方かもしれません。

彼に聞くと、実は日本に行ったことがなく、日本人から直接指導を受けた経験もほとんどないようです。中国人や韓国人の店で長年働いて覚えた、と。なるほど。「一度日本に来て本場のラーメンを食べてみなさい」と言いたいところですが、少なくとも私は彼の旅費を出してあげるつもりはありません。

飲み物は最初サッポロ・ビール(パイント瓶6ドル=約900円)で始めたものの、こういう店だから、やはり日本酒をということでメニューを見ると、「サケ・フライト (Sake Flight)」、つまり「酒飛行」という品があります。これは4種類の日本酒を大きめのショットグラスで賞味するもの。15ドル(約2,300円)。

 

 

従業員に頼んで冷蔵してある瓶もカウンターに出してもらい、それぞれのお酒と一緒に撮影させていただきました。左から、モモカワ・シルバー (Momokawa Silver)モモカワ・ダイアモンド (Momokawa Diamond)モモカワ・パール濁り酒 (Momokawa Pearl Nigori)、そしてムーンストーン・ココナツ・レモングラス濁り酒 (Moonstone Coconut Lemongrass Nigori)。ムーンストーン濁り酒は結構甘酸っぱかったです。

後になってネットで調べたら、いずれもアメリカ、オレゴン州にあるサケワン (Sakéone)という蔵元の日本酒ブランドであるとのこと。

越後の地酒をこの上もなく愛飲してきた私としては、もちろん物足らないけれども、ここまでのレベルまでもってきたのであれば、やはりアメリカにして頑張っていると言ってあげよう。

この後、野菜餃子(11ドル)も頼んだようでメニューのその部分の写真を記録に撮っていますが、品物の写真は撮っていませんし、そもそも食べたこと自体を忘れている(汗)。

まだまだ宵の口。ロイーサ地区のバーを開拓してみますよ!

 

c

 

俗っぽ過ぎたり、上品でも高級レストランであってバーではなかったりして、目ぼしい店がなかなか見つかりませんでしたが、諦めて宿に引き返す時、宿のすぐ近く、ほんの100メートルの所に、落ち着いたいい感じのビール・バーがあるではありませんか。エル・タップ (El Tap)。「タップ」とは、英語でサーバーや樽に付いているビールの注ぎ口のこと。この語をスペイン語として扱って、「エル (El)」という定冠詞(英語でいう The)を付けています。

この名からして期待できますが、果たして入ってみると、カウンターの先にずらりと並ぶクラフトビールのタップ。その上には銘柄の説明板が並んでいます。その数、実に40種。

しかし後で分かったことですが、私が行った時に置いてあったのは、その中の半数くらいでした。それでも多い。

 

 

従業員にオススメを聞いて出してもらったのは、ボックスラブ (BOXLAB) のブリュットIPA (Brut IPA)、16オンス(約473ml)が8.99ドル(約1,400円)、アルコール度数4.7%。「64分音符 (Semifusa)」という変わった名が付いています。「ブリュット」はシャンパンでよく使われる語のようで、元々は「生の」という意味ですが、「辛口」という意味で用いられているようです。IPAについては以前、ガラパゴスに行った時の記事でもご紹介しましたが、「インディア・ペールエール (India Pale Ale)」の略。

甘酸っぱいです。従業員に「どうか?」と聞かれて「グレープフルーツみたいな味がする (Sabe a tronja)」と言ったら、笑って仲間の従業員に共有していました。そして私に、ホップをどうのこうのするから柑橘系の味がするのだと説明します。

 

 

次いで同じく BOXLAB のラガー、「罠(わな)(Señuelo)」。同じく16オンスで9.99ドル(約1,550円)、度数5%。これもわずかながら柑橘系の味がします。どんどん行けそうで、「罠」にハマりそうですからこのくらいで。

翌3月29日の晩も他のビールを開拓しようと思ってこの店に来ましたが、聖金曜日のためでしょう、閉店していました。しばらく周囲を歩いて別の店を探したものの、この日は他にも閉まっている所が多く、一方で開いている数少ない店には客が集中しており、落ち着いて飲めるような雰囲気ではありませんでした。だから仕方なく宿に戻りましたが、飲み足らない方が健康にはいいのかもしれません。

 

 

そこでエル・タップを気に入った私は、そのまた翌日に来店。

 

 

今度はデル・オエステ (Del Oeste) という醸造元――「西から」という意味です――の「ブカネラ (Bucanera)」という名――これは16・17世紀の海賊を指します――の付いたウィスキー・ロック ("Whisky Rock")、16オンス7.99ドル。別にウィスキーは入っていないようですが、度数が7%とやや強いです。ただ、ちょっと苦くてコクに欠けるかもしれません。

もう一杯、同じ醸造元の「ブラマデーロ (Bramadero)」――おもちゃのうなり板という意味だそうです――を。IPAで7.99ドル(約1,250円)。どれもネーミングがユニークですね。度数6%で、新潟から東北・北海道にかけての方言で味を表現すると、やや「すっかい」感じがします。そういう酸味のあるところが、IPAの好きなところでもあります。

 

 

この晩はビールの写真を撮りませんでしたが、代わりに注文した料理の写真を。タコス、13ドル(約2,000円)。具にはシュレッド――つまり細切りに――したチキン、それにアボカドとタマネギ。

やっぱりタコスとビールは相性がいいなあ!

 

 

まだ飲み足らなかったので、宿に戻って、そこのバーにて軽く飲み足すことにしました。週末だけ営業しているそうで、この3月30日は土曜日。昨夜は金曜日なので週末とも言えますが、もともと営業していないのか、聖金曜日だから営業しなかったのか。

パティオ(中庭)がバーになっています。バックパッカーたちが屯(たむろ)っていると思いきや、他には誰もおらず、音楽もなく、静かそのもの。人によっては盛り上がりに欠けて寂しいと思うかもしれませんが、飲むのが唯一の目的である私としては、むしろこういう静寂の中にいる方が快適です。

頼んだのはプエルトリコのラム酒、ドンQ (Don Q) のレモン・フレーバーをコーラで割ってもらって、キューバ・リブレ風にしてもらったものを2杯。一杯7ドル(約1,100円)。サーブしてくれたのは宿の従業員であるオランダ人女性。オランダ人にしては珍しく(?)小柄で小太りした方です。彼女に聞いたら、宿の名の「エシュタ (Eshta)」はアラビア語で「美しい」という意味だそうです。だから、「美しい(アラビア語)別荘(スペイン語)」ということになります。

 

 

 

 

なるほど、この宿は全体的に古代エジプトをイメージした装飾になっているわけです。上の3枚は飲みながら撮った、バーの壁に描かれた絵です。

そのオランダ人の彼女に聞くと、この宿は他にフランス、メキシコなどから来た若者たち――私の見た範囲では全員女性――で営業しているのだそうです。だからバックパッカー宿のような雰囲気なのでしょう(それにしては高いですが)。とにかく独特の印象を与える所です。

ということで半分以上は飲んだ話でしたが、次回の記事では1日戻って3月29日に訪れた、世界的に知られるラム酒醸造元バカルディの施設見学について書きます、……ってこれも酒に関する話ですがね(笑)。