以前、お話ししました外部からの依頼で制作していた、ハーブをレジンに閉じ込めた作品が完成して、先日無事に納品することができてやれやれです。
ふだんは外部からの制作依頼は受けないことにしているのだけど、企画の内容を見たら、自分にしかできない、作れない内容だったので、『作ってあげないと気の毒だな』との思いもあり、また『この仕事は受けた方がいい』という内なる声の後押しもあり、制作を受けあったのはいいけれど、やはり結構ハードな約1ヶ月間の仕事でしたよ。
レジンという素材は、硬化に時間がかかるという点で、こうした急ぎの制作依頼は、レジンの性質を熟知していて、扱いにも慣れていないとむずかしいのです。
なぜこの依頼を受けたのか? 私にしかできない、作れないか?というと
◆製作日数が短すぎる。
◆ハーブは季節外れのため、苗から育成する必要があり、植物を育てることに慣れていなければいけない。
◆ハーブの色と姿をそのままドライにする必要がある。
◆短期間で試作を含めて原形を制作する必要がある。
◆複雑な形状の両面シリコン型を制作する必要がある。
◆製作期間を考えると、レジンを硬化させる際に加温して、硬化を速める必要があり、それはレジンの性質を熟知していないと無理。
◆レジンを立体成型する必要がある。
◆短時間でレジンの仕上げをする必要がある。
◆提示された予算で引き受けてくれる会社はまずない。(失礼)
と、これだけをクリアできる人間は、おそらく自分以外にはないだろうとの判断で、エラそうな言い方になるけれど、「やってあげる」ことにしたのですよ。
それに内容的にもやりがいがありそうでしたし、自分にもプラスにできると思ったのもあります。
実際に新たな型の取り方を思いつきましたし、ハーブのレジンフラワーのおもしろさにも気づくことができましたしね。
それではざっくりと画像で見ていただくことにしましょう。
とにかく依頼先にレジンの知識がなく、レジンフラワーの現物を見たこともないまま、コンピューターグラフィックでのイメージだけだったので、いくつかの原形を制作して、実際にレジンで固めると、中のハーブがどう見えるか?ということを示さなければいけなかったから、その点がけっこう大変でしたね。
結局、3タイプの原形を制作して、それぞれサンプルを作りました。
納品した完成作品
このレジン素材は、某大手化粧品メーカーの、海外向けプロモーション映像とビジュアルの撮影に使われるそうなので、まぁ私たちが目にすることはないかもしれませんが、限られた日数の中で、自分の能力をフル活動させて、自分としてはよくまとめたと思っています。
なにが一番大変だったかと言いますと、ハーブを短期間で生長させることでしたね。
ハーブの種類はここでは書きませんが、土や肥料の配合、日照や温度管理など、かなり気を使いましたし、大変でしたけれど、よく育ってくれましたよ。
実際に制作してみて、やっぱりこれは自分にしかできない仕事だったな、ということを痛感しています。
疲れました。
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