昨日、予定通り日本ACLS協会のBLS(Basic LifeSupport)を取得して

参りました。成人、小児、乳児の、薬物を使わないCPR(心肺蘇生)を学ぶ

この講習、予想していたよりも面白く、非常に勉強になりました。

参加者は2/3が看護師さん、残りが医師と、数人の一般参加者がいました。


朝8:00から始まり、ビデオを観て人形を使った実技の練習、の繰り返し

ですが、異物による上気道閉塞の処置など、結構ややこしくて、

あれ?次なんだっけ?と立ち止まってしまう場面もありました。

小児、乳児では方法が違ったりするんですよ。

一応、実技と筆記の試験があるんですが、これはみんな合格でした。

車の免許取る方がよっぽど難しい、というレベルの試験です。

稀に不合格がいるみたいですけれど…18000円も出して朝から晩まで

拘束されるので、これで不合格ではたまりませんが。


これくらいの内容です、という問題をいくつか出してみますね(実際は4択です)


1. 道端で前を歩いていた60代の男性が突然倒れました。周囲には貴方しかいません。

次のa~を、行うべき順番に並べてみて下さい。


a)呼吸していなければゆっくり2回人工呼吸をする

b)頭部を後屈し、気道を確保する

c)救急車を呼ぶ

d)“大丈夫ですか?”と声を掛け、意識を確認する

e)呼吸をしているがどうか確認

f)循環のサインを確認









簡単ですか?


答えはd→c→b→e→a→fですね。


ポイントは意識を確認したらすぐさま救急車です。呼吸や脈を確認するのは後。

何故なら成人の非外傷性の心停止の可能性はVF(心室細動)が多く、これを

回復させるのは除細動しかありません。心マ、人工呼吸は除細動までの時間

稼ぎであるからです。除細動の成功率は1分ごとに10%ずつ低下します。

心停止じゃないかもしれませんが、突然呼吸停止する事は稀ですし、他の

原因であれば少し時間的余裕があるからです。


では、次の文章が正しい内容であれば○、間違っていれば×をつけて下さい。


①成人のCPRで人工呼吸と心臓マッサージの割合は、救助者が1人でも2人でも2:15である。


②成人の心臓マッサージは1分間に100回を目標とする。小児も同じである。


③睡眠薬の過量服薬で運ばれてきた若い女性。喘ぐような呼吸であったため、気道確保し人工呼吸を

ゆっくり2回行った。次に脈を触知出来たが、微弱であったため心臓マッサージを行った。


④溺れていた成人の男性を救助した。水をたくさん飲んだようなのでまずハイムリック法

(腹部突き上げ法)で水を吐かせるように努めた。


⑤1歳から8歳の小児が異物を飲み込み、気道を閉塞してしまった時は、ハイムリック法

(腹部突き上げ法)を、異物が出るか意識を失うまでひたすら繰り返す。








回答です。


①○ 文章通り

②○ 文章通り

③× 人工呼吸までは正解。脈が触れている場合は心臓マッサージの適応にはならない。

結構間違えた人が多かった選択肢でした。

④× 海草等の異物の場合は別だが、水を吐かせる意味はない。
⑤○ 文章通り。意識がある時は小児、成人を問わずハイムリック法を行う。

出来ましたか?

まったりと時間の流れる精神科とは打って変わって、ERでは時間との戦いです。

患者さんの訴えを聞くのはもちろんですが、あまり聞き入ってしまうと、他の患者さんを

1時間、2時間…とつらい症状を持ったままお待たせする事にもなります。

ポイントを絞って、時には他の患者さんが待っているので、と話を切り上げなくては

いけません。私はこれがあまり得意ではないので、どうしても時間当たりに診る

患者さんは少なめです。


あまりに忙しいと、夜中に「下痢だけ」の患者さんが来たり、「熱が37.5℃」等という

若い患者さんが来ると、「それ、明日じゃ駄目なの?」とつい思ってしまう事もあります。

もちろん、顔には出しませんが。


しかし、夜中ふっと患者さんが途絶えて、外に空気を吸いに出ると、

あ、こんなに寒いんだ…と我に返ります。

この寒い中、患者さんは来てるんだな。

ふっと、自分が子供を連れて夜間に受診する時の事を考えて、

そのように感じていた自分が嫌になります。


しかし、ERという場所はフラストレーションが溜まる場所なのだと思います。

患者さんも、医師も看護師も。

みんな「はやくして」とイライラしています。

正直、看護師さんも他の場所と比べて短気で感じ悪いです。

そんな中、穏やかな声を聞くとホッとします。

私もそういう存在になれればと思います。


まだまだ要領も悪く、思うように仕事が出来ていませんが、

早くERを「楽しむ」ようになれたら、と思っています。


12日はBLSの講習を受けにいきます。

BLSはBasic Life Supportの略で、心臓マッサージや除細動などの救命処置

の講習で、医師や医療者だけでなく、一般の方も講習を受ける事が出来ます。

簡単な試験に受かると、ライセンスカードがもらえます。

私の場合、内科認定医を受けるためにも必要なので受けに行きますが

興味のある方は以下のACLSのサイトで申し込みが出来ますよ。


http://acls.jp/index.htm



使いやすいSSRIですが、本剤の内服開始については色々な場所でその方法を確かめる

事が出来る割に中止の方法についてはあまり述べられていないように思います。


本当に重症のうつ病では、精神科の先生は高血圧や糖尿病と同じように抗うつ薬を

一生飲む事を推奨しています。初発ではともかく、2回、3回と繰り返す大うつ病エピソード

では、再発の可能性は非常に高いからです。しかし、何とかして薬を中止したいと

思うのは当然だと思います。また、薬の効果が思うように出ない場合も、他剤を開始

すると共にSSRIの減量、中止が必要となります。その場合ご参考になればと思います。


SSRIを突然中止すると、『離脱症状』が出る事があるのはご存知だと思いますが、

どれくらいの割合で、どんな症状が出るかわかりますか?

…などと偉そうに言っていますが、私も知りませんでした。


離脱症状の多い、パロキセチン(パキシル)の場合、どうやら25%もの患者さんに

離脱症状が出るようです(英国の添付文書)。


具体的な症状は、不安、焦燥(じっとしていられないようないらいらした感じ)、

衝動性(物を投げたくなるような感じ)、不快気分などの精神的な症状や、吐き気、

頭痛などが見られることがあるようです。薬を中止して、通常数日以内に症状が出ます


文献から、パキシルを20mg飲んでいる場合の、離脱症状を出さないための減量法を記しておきます。

(Pacheco L,et al.Can J Psychiatry 48;129-130,2003)


減量開始~20日 パキシル20mgと15mgを交互に

21~40日 15mgを毎日

41~60日 15mgと10mgを交互に

61~80日 10mgを毎日

81~100日 10mgと5mgを交互に

101~120日 5mgを毎日

121~140日 5mgを隔日


…何とも面倒くさいですね。実際にこんな事やってる人がいるとはとても思えません。

4人に3人は離脱が出ない訳ですから、1月に10mgずつ減量とか、

せいぜい2~3週間ごとに5mgずつ減量、離脱が出たらもっと慎重に減量する

というのが一般的だと思います。

(ちなみにパキシル5mg錠はありません。割るか砕くしかありません。


ちなみにデプロメール(ルボックス)はもう少し早く、2~4週間で中止してもOKという

ことです。例えば1週間ごとに、150mg⇒100mg⇒50mg⇒中止。


これ、精神科の先生はちゃんと患者さんに説明しているのかなぁ。

頭痛でERを受診する患者さん。

見逃しやすい頭痛に、緑内障、側頭動脈炎、CO中毒等が挙げられると思います。

今日は緑内障をまとめてみました。


みんながみんな、

「先生、左目の視野が狭いんです」

とか、

「右眼がぼやけてよく見えません」

とか言ってくれれば気付くのですが、あいにく眼はふたつあるので

患者さんも気付いているとは限りません。また、訴えとしても頭痛と吐き気のみ

となると、片頭痛です、とか風邪です、とかで終わってしまう可能性もあると

思います。どんな病気もそうですが、まずは疑うことです。


眼圧が測れるくらいの先生は、ここは読んでおられないと思いますが、

それが出来ない我々も、いくつかの特徴で緑内障を思い浮かべる事が

出来そうです。その特徴として、


散瞳、対光反射減弱/消失

②結膜充血(特に角膜の周囲)

③角膜混濁

④瞼の上から眼球を押した時の左右差


視野検査、って我々には難しいですよね…。


科医を呼んで来るまでの時間に以下を行います。


1 サンピロ点眼 最初の1時間は5分おきに点眼。その後は2時間ごと。

2 グリセオール 300ml~500ml 点滴

3 ダイアモックス注(500mg)1A 静注 1回


ブスコパン静注後の頭痛でも本症を疑うのは言うまでもないですね。


ちなみに片方の眼を痛がる、群発性頭痛。私はまだ見た事ありませんが、

眼の奥の、キリで刺すような痛みが数分間(30分以内)、発作的に繰り返すのが

特徴という事です。

抗うつ薬を飲むと自殺のリスクが高まるのではないか、という事は以前から言われて

いました。確かに、うつ病が本当にひどい時は自殺をする力もない、というのは理解

出来ます。状態が上向きになった時に、ふとしたはずみで自殺してしまう、という事は

なるほど、起こる得る話です。


大うつ病性障害または双極性障害の10%~15%に自殺がみられると考えられています。

もともと自殺が多いこの疾患ですが、本当に抗うつ薬が自殺率を高めているのか。

これは重要で大切な問題だと思います。


2004年、アメリカのFDIは、自殺のリスクを高める可能性があるとして

10種類の新世代抗うつ薬(ブプロピオン、シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、

ミルタザピン、ネファゾドン、パロキセチン、ベンラファキシン及びescitalopram)で

治療する患者さんについて、自殺傾向に関する緊密なモニタリングを勧める

公衆衛生勧告を発表しました。こんな勧告が出ていると本当に大丈夫かな、と

心配になってしまうと思います。


しかし、2006年1月3日、ロイターヘルスから、



“新世代抗うつ剤治療の開始後に自殺リスクが増大するとは思われない”



という発表がありました。過去10年間の試験の結果から、リスクが増大していない

ということがわかったのです。自殺のリスクは、治療を開始する前が最大で、

治療を開始した始めの月に急激(1.5倍以上)に低下し、その後6ヶ月で徐々に減少していました。

なるほど、治療を開始する直前は精神状態が最悪の事が多いでしょう。

それだからこそ、診察を受けて治療が始まるわけです。


その治療前1ヶ月前を無視すると、なるほど、いかにも治療開始直後に自殺者が多くなった

ようにも見えます。しかし、治療開始1ヶ月では新世代抗うつ剤の効果が完全には出ていない

時期であり、自殺を防止するのは効果が不十分であった、と考えられます。


因果関係について個々の患者さんで“薬が原因だ”、“原因ではない”と完全に証明するのは

ある意味不可能だと思うのですが、少なくとも治療開始後急激に自殺の危険が減少した事だけは

統計的に証明されました。更に過去のTCA等と比較しても自殺企図のリスクは有意差が

ありませんでした。


専門家は、

「抗うつ剤治療の緊密なモニタリングが必要なことは明らかであるが、抗うつ剤が引き起こす

自殺に関する警告は、追跡治療の質を改善するよりもむしろ効果的な治療の妨げに

なっていると思われる」

と助言しています。


Am J Psychiatry 2006;163:41-47