断わっておきますが、研修医対象ですので…そんな難しい事は書けませんし…。


まず知って頂きたいこと、それはペニシリン系抗生物質はとにかく半減期が短い!

せいぜい1時間、殆どはそれ未満です。更に重要な事はβラクタム系は時間依存性の抗生剤

なのです。従って1日2回で投与している方、全然使い方がなっていません。

何かの理由で仕方なくそうしているならともかく、知らないでやってたら

格好悪いっす。せめて3回、出来れば4回投与が望ましいです。


それから意外と知らない人が多いのですが、ペニシリンは嫌気性菌に強いです。

誤嚥性肺炎や腸管の感染症にも使いやすい薬です。


薬の種類が腐るほどあるので、まずは使用頻度の高い4つを覚えて使いこなすと

良いと思います。


①ビクシリン(アンピシリンABPC)

一応広域のペニシリンですが、ブドウ球菌、肺炎球菌、レンサ球菌がターゲットです。表皮の感染、

例えば蜂窩織炎等にはもってこいで、エビデンスは不明ですが術前の予防薬としても当院では

よく用いられています。


②サワシリン(アモキシシリンAMPC)

内服のペニシリン製剤ですが、吸収しやすく改良されています。ピロリ菌の除菌にも使います。


③ユナシンS(トシル酸スルタミシリンSBTPC)

βラクタマーゼを産生することにより耐性を獲得する菌に有効です。

比較的広域をカバーするペニシリンですが、肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、

クラブシエラ・ニューモニエ、モラキセラ・カタラーリス、嫌気性菌に有効なことから、肺炎の

エンピリックとしては優れた抗生剤だと考えています。

非定型肺炎かも…と自信ない時は…クラリス、ミノマイシン辺りと併用すれば申し分ありません。

緑膿菌には効きません。


④ペントシリン(ピペラシリンPIPC)

緑膿菌に対して活性を有するペニシリン製剤。しかし緑膿菌に使う時は十分な量を使う

必要がある。とにかく色々な菌に効くので腎盂腎炎や肺炎、胆嚢・胆管炎など第3、4世代

セフェムと同じ様な感覚で使用出来ますが、βラクタマーゼ産生菌に弱いのが欠点です…。


参考:今日の治療薬2005

呼吸器内科必修マニュアル(羊土社)


精神科の先生から聞いた事をここに残しておこうと思います(主に薬の使い方)。

真偽を自分で調べていない事もあります。間違いがあればご指摘願います。

これからも、ここに記事を追加していきます。


マイナー(主にBZ系、例えばデパス、ハルシオン)はせん妄を誘発する。

せん妄はマイナーで眠らせるのではなくてメジャーの使用を。例えばリスパダール、セレネース。

内服出来るならセレネースよりSDAを。副作用は少ない。

どうしてもの場合マイスリーを使う先生が多かったです。


②ワイパックスは肝機能障害例や代謝の落ちた高齢者にも使いやすい。

(CYP系の代謝は関与していない)

ドグマチールは腎排泄なので肝機能障害に使用しやすい。


③トレドミン(SNRI)は不安、焦燥が強いケースによく用いられる。


④脳梗塞後の攻撃的な患者さんに内科医は好んでグラマリールを使うがあまり効かない。

ファーストチョイスとしては良いが、効かなければメジャーを使う。但し気質的疾患がある

場合、効きすぎる場合があるので力価の低いルーラン(4mgくらいから)等もよく用いられる。

※ルーラン8mg=リスパダール1mgくらい。


更に困った時、デパケンを用いるそうです。ただこの薬は血中濃度が重要です。


⑤抗躁薬としてのリチウムは効く人と効かない人がはっきりしている。

躁と鬱がめまぐるしく変わる場合リチウムは無効で、むしろこのような状態を誘発すると

考えられている(テグレトールやデパケンを用いる)。


⑥ソラナックス(=コンスタン)はただのマイナーだが、抗うつ作用が報告され、使用される事が多い。


⑦デジレルは抗うつ薬だが眠気の副作用が強い。逆に寝かせてあげたい場合には使用出来る。


⑧非定型の抗精神病薬のうち、ジプレキサは1日1回投与で良い。

リスパダールはやむを得ない時は1回投与にするが基本は2回投与。

セロクエルとジプレキサは糖尿病では使用出来ない(リスパダールやルーランには

この問題はない)

年齢は伏せさせて頂きます。

彼女は入院の前日、会社で混乱状態となり会社の同僚が自宅に送り届けました。

しかし翌日になっても混乱が続き、おかしな事を口走ったりするため、家族に連れられて

来院しました。


パニックで暴れているという訳ではありません。診察室のドアを開け、普通に歩いて入ってきました。

しかし神様にお告げを受けた、死者の魂に導かれてここに来た等と話し、強い幻覚妄想状態にある

事が明らかでした。シュナイダーの一級症状という、“これがあれば精神病である可能性が高い”

症状がいくつも揃っていました。“やはり統合失調症かな…”と思いました。

更に、連合弛緩と言いますが順番に整理して話す事が出来ず、話が飛んだり

繋がりがメチャメチャです。本人も強い混乱状態にある事は自覚しており、入院して加療を

勧めたところ、初めは拒否されていましたが、間もなく納得され、入院となりました。


この患者さんは数日前まで少なくとも周りからは“普通”だと考えられていました。

叫んだりおかしな事を言ったり、おかしな行動をとったりしませんでした。

まじめで不器用で頑張り屋さん、優しくて家族の不和に心を痛め、恋愛も出来る“普通”の方でした。

仕事は相当ハードだったようです。不眠も続いていたようでした。

他にも何か切っ掛けはあったのかもしれませんが、急にこのような事になってしまいました。


患者さんのお母さんと面談をしました。

やはり優しく人の良さそうなお母さんでした。

主治医が疑われている診断名をお母さんに告げたところ、お母さんは

「ああ…」

と驚いたようにおっしゃり、しばらく言葉が出ませんでした。


『精神科における精神分裂病は、
その診断と告知において内科でのがんに相当する』

と言った人がいました。実際はどうかは別としてそれだけ重い診断という事です。


どんな気持ちだったでしょう…。私も娘がいますので気になりました。

お母さんの表情が頭から離れません。


私は、統合失調症やうつ病、その他の精神疾患は、繊細でまじめな方がかかる病気だと思っています。

どちらかと言うと不器用で要領が悪く、ストレスの発散が上手ではない。

優しく、他人の傷を自分の傷のように感じてしまう。他人ではなく、自分を責めてしまう。

一方で要領が良く、失敗を他人のせいにして、他人に心無い言葉を掛けるような人間は

なかなかこのような病気にはならないのではないかと思っています。

そう考えると、本当に“普通”なのはどっちで、“異常”なのはどっち?と思ってしまいます。


この患者さんは抗不安薬と共に非定型向精神薬のリスパダールが開始されました。

急性一過性精神病障害など、統合失調症に似ていてもすぐに回復し、予後の良い疾患も

あります。そのような病気であれば良いな、と思いながら担当させて頂きます。

付き合っている彼とも上手くいく事を願って…。

内科の先生からアルコール依存症のある方の診察を依頼されました。


糖尿病で当院かかりつけの40代男性です。お酒のため、膵炎や劇症肝炎の既往もあります

今回は事故で入院されましたが、やはりその時も飲酒されていました。

内科の先生も再三注意していますが全然止めません。

軽い離脱症状も見られました。主治医の説得でしぶしぶ本日の診察となりました。


以下、D:上級医 P:患者さんです。


D:初めてお酒を飲んだのは?

P:高校の時です。

D:ビール?日本酒?

P:高校の頃はビール。その後はウィスキーで今は主に焼酎かな。

D:どれくらい飲むの?毎日?量は?

P:そうだなぁ…4合瓶1/3~1/2くらいかな。


普通、依存症の人は量を少なく答えるので、医者も最低これくらいは飲む、というくらいの

理解で聞いています。家族に聞くとより正確です。


D:社会的に問題となったこと(物を壊す、誰かを殴る)は?

P:それはないよ

あっても答えない事が多いですが…。

D:一人で飲む事は?

P:外で仕事仲間と飲むよ。家には酒置いてないからね。

D:昼間から飲む事は?

P:バーベキューとかそういう時は飲む事もあるけれど…普段はさすがにないよ。

D:手が震えたり(振戦)、小さな動物の幻覚が見えたり…

P:ないない

D:飲んだ時の意識がなくなる事は?

P:それはあるけど…30代こえてから多くなったかな。


これはブラック・アウトと言って脳に障害が出てきていると考えられています

お酒をやめれば多少可逆的な部分もありますが、やがて痴呆に至ります。


D:貴方の場合、臓器障害が出ているのに飲んでいるので依存症と診断出来ます。

辞めない限り、長生きは出来ません。平均寿命は50代と言われています。

辞める意思があっても、一人では殆ど不可能な事が疫学的にわかっています


この方は結局説得に応じ、退院後にアルコールの専門病院を受診する約束をしました。


アルコール依存症は“否認”の病気です。

自分は依存症ではない。自分は病気にはならない。自分は死なない…。単に他の人より少し

酒の量が多いが、まだアル中(アルコール依存症)ではないと真実を見るのを避けていると

簡単に肝硬変となってしまいます。さすがにその時点で辞めたいと言う方は多いですが

もう遅いです…。


以下はCAGE SCOREと言います。4項目中2つ以上当てはまるならアルコール依存症の

可能性が高いです。さっきのお話にもあったように、身体疾患があっても飲む、お酒で

離婚や職を失う方は文句なしの依存症です。

あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down)
あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling)
あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)

アルコール依存は生活、精神(人格)が破綻するのでニコチン中毒よりも深刻です。

まず、やめようとする事が第一歩です。アルコール専門病院を紹介してもらい、

そして断酒会に参加しましょう。

アルコール関連の精神病も少しずつ勉強していく予定です。

精神科病棟には、なんと喫煙出来る部屋があります。今時めずらしいと思いませんか?

ラウンジに吸殻入れが置いてあり、いつも決まった面々がそこで煙草を吸っています。

精神科病棟に入院している方達は、やはり精神的に不安定な部分があるので

一律に禁煙を指導出来ない現状なのかもしれません。

内科医の常識では、医師が煙草を許容するのは警官が駐車禁止やスピード違反を

黙認しているような、妙な気分になります。


私は小さい時から煙草が大嫌いでした。

明らかに体に悪い事がわかっていながら、それに手を出さざるを得ない『何か』が

吸う人にはあるのではないか、大袈裟ですが、何処かにそんな想いがありました。

だから、特に若い人や赤ちゃんを産める女性、弟や友達が煙草を止められないのを見て

胸が痛みました。また、弟が(そして今は娘が)喘息であり、それも喫煙を嫌う

大きな理由であったと思います。


話は戻りますが、精神科に通院している方に煙草を止めるように指導するのは

確かに難しい事なのかもしれません。かろうじて保たれているバランスが、禁煙で

壊れてしまってはかえって損失が大きいですし、何かもっと性質の悪い薬に

走られても困ります。きっと治療がうまくいけば、自然に減煙や禁煙に結び付く

かもしれません。


でも、内科で肺気腫や肺癌、心筋梗塞等多くの患者さんを見て来た私としては

なんとか一人でも多くの人が禁煙出来ないかと願っています。


貴方もこれを機会に禁煙してみませんか?


煙草とさよなら

禁煙を支援するサイトです。

https://www.tabacotosayonara.com/


例えば…↓こんな記事が載っています。ご存知でしたか?是非一度訪問してみて下さい。


“ライト”“マイルド”なんて、ウソばっかりです!
実際は、書いてある数字の約10倍近く、ニコチンやタールを吸ってしまいます。
こんな表示が、許されているのは、日本だけです。

よろだいブログ「精神科医Dr.がいとのブログ」

11月8日にニコチン依存の記事があります。

http://blog.yorodai.com/dr-nakagaito/


他にも大変興味深い記事がたくさんあります。お勧めのBlogです!