内科の先生からアルコール依存症のある方の診察を依頼されました。
糖尿病で当院かかりつけの40代男性です。お酒のため、膵炎や劇症肝炎の既往もあります。
今回は事故で入院されましたが、やはりその時も飲酒されていました。
内科の先生も再三注意していますが全然止めません。
軽い離脱症状も見られました。主治医の説得でしぶしぶ本日の診察となりました。
以下、D:上級医 P:患者さんです。
D:初めてお酒を飲んだのは?
P:高校の時です。
D:ビール?日本酒?
P:高校の頃はビール。その後はウィスキーで今は主に焼酎かな。
D:どれくらい飲むの?毎日?量は?
P:そうだなぁ…4合瓶1/3~1/2くらいかな。
普通、依存症の人は量を少なく答えるので、医者も最低これくらいは飲む、というくらいの
理解で聞いています。家族に聞くとより正確です。
D:社会的に問題となったこと(物を壊す、誰かを殴る)は?
P:それはないよ
あっても答えない事が多いですが…。
D:一人で飲む事は?
P:外で仕事仲間と飲むよ。家には酒置いてないからね。
D:昼間から飲む事は?
P:バーベキューとかそういう時は飲む事もあるけれど…普段はさすがにないよ。
D:手が震えたり(振戦)、小さな動物の幻覚が見えたり…
P:ないない
D:飲んだ時の意識がなくなる事は?
P:それはあるけど…30代こえてから多くなったかな。
これはブラック・アウトと言って脳に障害が出てきていると考えられています。
お酒をやめれば多少可逆的な部分もありますが、やがて痴呆に至ります。
D:貴方の場合、臓器障害が出ているのに飲んでいるので依存症と診断出来ます。
辞めない限り、長生きは出来ません。平均寿命は50代と言われています。
辞める意思があっても、一人では殆ど不可能な事が疫学的にわかっています。
この方は結局説得に応じ、退院後にアルコールの専門病院を受診する約束をしました。
アルコール依存症は“否認”の病気です。
自分は依存症ではない。自分は病気にはならない。自分は死なない…。単に他の人より少し
酒の量が多いが、まだアル中(アルコール依存症)ではないと真実を見るのを避けていると
簡単に肝硬変となってしまいます。さすがにその時点で辞めたいと言う方は多いですが
もう遅いです…。
以下はCAGE SCOREと言います。4項目中2つ以上当てはまるならアルコール依存症の
可能性が高いです。さっきのお話にもあったように、身体疾患があっても飲む、お酒で
離婚や職を失う方は文句なしの依存症です。
| 1 | あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down) |
| 2 | あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism) |
| 3 | あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling) |
| 4 | あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener) |
アルコール依存は生活、精神(人格)が破綻するのでニコチン中毒よりも深刻です。
まず、やめようとする事が第一歩です。アルコール専門病院を紹介してもらい、
そして断酒会に参加しましょう。
アルコール関連の精神病も少しずつ勉強していく予定です。